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最終章 奴隷の王【6】

北尾は麻由里と深く愛しあうようになっていた。麻由里の父である相楽健吉も、その関係に気づいているようではあったが、黙認しているのか、何も言わない。

相変わらず、女を責める助手として北尾を立ち会わせてはいたが、一緒に麻由里を責めることはなくなった。麻由里に聞くと、北尾と関係を持った日から、北尾に責められることはなくなったのだという。

北尾はそれを聞いて、安堵した。二人が実の父と娘だと知ってから、健吉が麻由里を責める光景を想像するのも抵抗があったのだ。いくら肉の関係は結ばないとはいえ、父が娘の肉体を性的に責めるというのは、北尾のモラルを大きくはみ出している。

「でも、相楽家では代々、娘は父親から夜伽の技術を鍛えられてきたそうです。うちはそういう一族なのですから」

ベッドの中で、全裸の麻由里はそう言った。どこかあきらめを秘めたような複雑な表情だった。

相楽家が戦国時代から続く、性の技術を極めた特殊な一族であるという事実を北尾は麻由里から聞かされていた。そして、健吉がその技術によって磨きをかけた女たちを道具として、我が国の外交を影で支える存在であることも知った。

治安維持庁で特別扱いされていたのも当然だと言えよう。健吉は、一省庁だけではなく、政府にも大きな影響力を持っているのだから。今、大きな問題となっている国民奉仕法の改訂も、健吉の意向が働いているらしい。

麻由里は、そんな超大物の娘なのだ。本来なら一役人に過ぎない北尾は近づくこともできないだろう。

しかし、麻由里はこうして、ひなびたラブホテルの一室のベッドで、北尾と抱きあっている。さすがに健吉の屋敷で身体を重ねるわけにもいかず、二人は少し離れた国道沿いのラブホテルで逢瀬を交わしていた。

白くとろけるような肌を持った麻由里の肉体は素晴らしく、北尾は夢中になっていた。どんなに抱いても飽きない魅力が彼女の身体にはあった。

しかし、それ以上に麻由里は北尾にのめり込んでいた。健吉の手で、一族に代々伝えられる秘術による開発をされていた肉体だったが、そこには男女の愛情はなかった。健吉は職人のように、実の娘の肉体を、武器として磨きあげていっただけだった。

あらゆる快楽を刻みこまれてはいたが、そのどれよりも、好きな男からの愛撫は、深い喜びを与えてくれたのだ。

北尾は決して性体験の少ないほうではなかったが、それでも数百年に渡って磨き上げられてきた相楽一族の技術と比べられるものではない。しかし、それでも、北尾に強引に貫かれる時、麻由里はこれまでに味わったことのない快楽を感じることが出来るのだ。

たった今も、麻由里は北尾の身体の下で、激しく快感に打ち震えていた。ほとばしる北尾の精を、喉の奥深くに飲み込んだばかりだ。

「相楽先生は、おれたちのこと、気づいてるよな……」

突然、麻由里を責めることを止めたのが、何よりの証拠だろう。健吉なりに北尾に、そして麻由里に気を遣っているということか。

「たぶん……。でも、何も言わないということは、私たちを認めてくれているということだと思います。それに、以前から、父は北尾さんのことを大変気に入ってましたから」
「おれを気に入ってる?」
「ええ。最初に私を北尾さんに責めさせた日に、あいつは見込みがありそうだって言っていました」
「ふふ、何の見込みなんだろう……」

北尾が健吉の屋敷に通うようになってから、本来の目的である政治的な会話は一切したことがない。ただ、ひたすら女を責める助手を務めさせられ、そしてその技術を教えこまれた。北尾は、時に自分が治安維持庁の仕事としてここに通っているということを忘れそうになる。しかし、上司からは、とにかく健吉の言うことを聞いて彼に気に入られるようにしろと命じられているのだ。

それが、彼の娘とこんな関係になっていることが知れたら、どうなるのだろう。健吉の怒りを買えば、おそらく治安維持庁に自分の居場所はなくなる。これまで築きあげてきた実績もすべて消えてしまう。

それでも引き返すことが出来ないほどに麻由里は魅力的な女だった。美しい顔立ちと艶やかな肉体、そして男の庇護欲をかきたてるような、その表情。この女のためなら、全てを捨てても構わないと思わせる力が麻由里にはあったのだ。

幸い、健吉はこの関係を悪くは思っていないようだ。もし、このまま麻由里と結婚するようなことになれば、自分は健吉の後継者となるのかもしれない。彼の底知れぬ権力を手にすることができるかもしれない。

北尾は、ついそんなことも考えてしまう。それは少しでも大きくなりたいという野望を持っている青年としては自然なことでもあった。

自分が、政府の動きを陰から操るほどの権力を持った人間になる……。北尾はそうなった自分の姿を想像する。胸にこみ上げるものがあった。

そしてその衝動に突き動かされるように、目の前の白い肉体に挑みかかる。柔らかく、滑らかな肌。豊かな乳房を荒々しくつかみ、親指の腹で桃色の突起を転がす。

「あ、ああん……」

やはり麻由里は、乱暴に扱われるほうが興奮が高まるようだ。北尾はさらに乳房をつかむ力を強くする。乳房の形が変形していく。

「あっ、あっ、北尾さん……」
「麻由里、麻由里……」

北尾は麻由里の名を呼びながら、その股間に手を滑り込ませる。無毛の下腹部の中心の亀裂は、十分に湿り、ぬるりとした液体を溢れさせている。

「どうして、またこんなに濡らしてるんだ、麻由里」
「ああ、ごめんなさい……」
「立って、おれの目の前にその濡れているところをよく見せるんだ」
「はい……」

麻由里はベッドから起き上がる。

「失礼します」

仰向けに寝転がっている北尾の頭を跨ぐ。

手を頭の後ろに組んで、まっすぐ立った。

「ふふふ、丸見えだよ、麻由里」
「ああ、恥ずかしいです。見ないで……」

北尾の頭上には、麻由里の股間が花開いている。腿の付け根に無毛の肉裂がうっすらと口を開いているのだ。

しかし、北尾はまだ容赦しない。

「もっと見せてくれ、麻由里。もっと脚を開いて、しゃがむんだ」
「は、はい……」

麻由里は言われるがままに、脚をさらに左右へ開き、腰を落とした。女としては耐え難いガニ股のみっともない格好になる。トレーニングのヒンズースクワットのような姿勢だ。すると、麻由里の肉裂は大きく口を開ける。薄桃色の肉唇の奥の、ぬれそぼった粘膜が露になる。まるでそこだけが別の生き物のように、生々しい。

「奥までよく見えるよ、麻由里。綺麗だ。いっぱい濡れてるね。おれに見られるのが、そんなに嬉しいのかい?」
「ああ……。はい、嬉しいです。北尾さんに見られるのが、とても嬉しいんです」

どんな男に見られても、濡れるように麻由里は開発されている。自分の気持ちがどうであれ、身体が勝手に反応するのだ。

しかし、北尾に見られる時の興奮は、他の男に見られる時とは全く違う。恥ずかしいけれど、身体の奥から熱くなってくるのだ。興奮の深さが違う。見られているだけで、絶頂に達してしまいそうなほど、身体が熱くなり、頭の中が真っ白になる。

「もっと腰を下ろしてごらん」
「はい……」

言われる通りに深くしゃがみ込む。股間が北尾の顔にどんどん近づいていく。至近距離から見られていると思うと、さらに身体が熱くなっていく。脚と腰に負担のかかる厳しい姿勢のせいで膝がガクガクと震える。しかし、震えているのはその姿勢の苦しさばかりではなかった。それ以上に、興奮が麻由里の身体を震わせているのだ。

「すごいな。いやらしい匂いがしてくるよ」

そう言いながら、北尾は舌を思い切り伸ばして、ぺろりと秘奥を舐めた。

「あっ!」

それは強烈な快感となって、麻由里の脳天まで突き抜ける。高圧電流でも流されたかのような衝撃だった。思わず、力が抜けた。

「んぐっ」

麻由里は思わず、思い切り尻を北尾の顔の上に落としてしまった。北尾が苦しげな声を上げた。

「ああっ、すいません!」

慌てて麻由里が腰をあげようとするが、北尾は手を伸ばして、下半身をつなぎとめた。腰が持ち上がらない。

「あ、だめ……」

北尾が麻由里の股間にむしゃぶりついていた。尻の谷間に顔を埋め、舌を素早く動かして、肉裂の中をかき回す。

「あっ、ああっ」

麻由里は再び力が抜けてしまい、北尾の顔の上に尻を落とした状態になる。北尾の舌の動きは止まらない。

「ああっ、だめぇ、気持ち、気持ちいいっ……」

麻由里は北尾の上で、大きく仰け反り、甘い悲鳴を上げた。



弾力のある肉の重みを顔いっぱいで受け止める。鼻も口も塞がれて息が苦しいが、それすらも快感に思える。甘酸っぱい若い雌の匂いにうっとりする。

「痛くないですか、先生?」
「大丈夫だ、もっと、強く、押し付けてくれ……」

なんとか声を出す。

「わかりました、先生」

真弓はそう答えると、ぐいぐいと豊満なヒップを動かす。井浦の顔はさらに潰される。頭がクラクラしてくる。

「ああ、先生、すごく元気になってる……」

真弓はスラックスの前を突き破らんばかりに勃起している井浦の下腹部に気づいた。尻を井浦の顔に載せたまま、身体を倒して、布地越しにそれに触れた。

「んごっ!」

突然の快感に井浦は声をあげて仰け反る。

「そんなに気持ちいいの、先生?」

真弓は手際よく井浦のベルトを外し、そしてスラックスを下ろしてしまった。真っ白なブリーフが現われる。当然、そこにも大きなテントが張られている。

「先生、こんなに、すごいの……」

真弓はブリーフの中に手を滑り込ませ、指先でそれを弄った。

「おおおっ!」

井浦がまた仰け反る。

「先生の、硬くて、熱くなってる……」

細い指先が、井浦の敏感な部分を這いまわる。それは男の快感のツボを知り尽くしていなければできない動きだった。

真弓の指はさらに進んで、玉袋の皮の上を這いまわった。指先が触れるか、触れないかというソフトタッチ。くすぐったさと紙一重の快感が井浦を襲う。

「んぐ、んぐ、んん……」

ブリーフの中で、真弓の指は縦横無尽に動きまわる。その指の動きのひとつひとつが、井浦に強烈な快感を与えるのだ。

「う、ううっ!」

井浦がひときわ大きな声をあげ、次の瞬間、真弓の手の中で暴発した。温かく、生臭い液体が、ほとばしった。

すると、真弓は顔の上から腰を上げた。そして、精液で濡れたブリーフを下ろすと、ぱくりとその先端を咥えた。舌で亀頭を舐めまわし、精液を拭い取り、飲み込んだ。

そして、井浦にニッコリと笑顔を見せる。

「先生、今夜はまだまだいっぱい頑張ってくれますよね」

(続く)

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12.04.23更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |