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第2章 若妻・麻美【6】


体が異様なほど重かった。ほとんど眠ることが出来なかったのだ。麻美は明け方まで、四人に責め続けられた。大量の浣腸を繰り返され、その後四人に犯された。次々と襲いかかってくる商店主たちは、麻美がどんなに許しを乞おうとも、休ませることなく、続けて挿入してきた。何度も絶頂に追い上げられ、その挙げ句に失神してしまうと、気付けだといって、また浣腸された。

麻美が男たちから解放されたのは午前4時過ぎになってからだ。麻美は調教室の隅のベッドで寝ることを許されたが、赤い首輪から伸びた鎖をそのベッドにつながれた。調教室には鍵が掛けられるので、逃亡の心配はないのだが、自分が奴隷であることを思い知らせるために、麻美は常に鎖につながれるのだ。

男たちが去った後も、麻美は眠りにはつけなかった。あまりにもショックが大きすぎた。つい昨日の朝まで続いていた夫と娘との幸せな生活が一転、身も心もズタズタにされるほどの恥辱と屈辱。男たちの好色な視線の前で何度も排泄させられ、そして犯された。思い出すと気が狂ってしまいそうだ。

悪夢だったのではないかとすら思う。しかし、膣と肛門のヒリヒリする痛みが、それが現実であることを麻美に思い知らせる。

それでも、ようやくウトウトしそうになった時、調教室の扉が開いた。

「おはよう、奥さん。少しは眠れたかい?」

寝間着姿の町田だった。町田もそれほど眠れていないはずなのに、生気に溢れた表情をしている。また麻美を嬲れることが嬉しくてたまらいのだ。

麻美は町田の姿を見ると、のろのろと起き上がってベッドを降り、床に正座した。昨夜、みっちりと教え込まれた奴隷としての礼儀だ。

「おはようございます。ご主人様」

麻美は深く土下座する。

「ふふふ、奥さんも自分の立場がわかってきたようですね。本来なら奴隷は、ご主人様より早く起きて、朝食の準備などをしてもらうところですが、しばらくの間は調教のほうが重要ですからね。それは免除しておきましょう。ほら、奥さんの食事ですよ」

町田は床の上にプラスチックの皿を置いた。奴隷用の食事皿だ。麻美は一瞬躊躇したものの、四つんばいのままで顔を皿に落として、犬のようにそれを食べた。生肉と生野菜を混ぜたものだった。見た目は残飯そのものだったが、肉屋だけあって、新鮮な肉なのか、味は悪くなかった。それでも、こんな食べ方をしなければならないみじめさに、涙が浮かんでくる。しかし、昨夜の厳しい責めにより、麻美の反抗心は影を潜めていた。

「今日はね、ちょっとお出かけしますよ。奥さんもたまには、外の空気を吸いたいでしょう」

町田の言葉に、麻美はビクっと反応してエサを食べるのが止まった。

奴隷として外出する。かつて麻美も、街で主人に連れられた奴隷を何度も見かけたことがある。奴隷の身分を示す赤い首輪を着けた女に対して、男たちはニヤニヤと笑いながら好奇の視線を降り注がせるが、明日は我が身と思っている女たちは、つい目を背けてしまう。

「ど、どちらへ行くのでしょうか?」

思わず麻美が尋ねる。出来れば知り合いの多いこの近所は歩きたくない。

「権堂さんのお宅ですよ。あそこには、よく調教された奴隷が何人もいますからね。奥さんに奴隷のイロハを覚えてもらおうと思いましてね」
「権堂さん……のお宅ですか……」

権堂はこの町で一番の有力者であり、とかく悪い噂がつきまとっている。裏社会、そして中央政界とのつながりも太いと言われ、この町で権堂に逆らえるものは一人もいない。
麻美は権堂が奴隷を連れているところを見たことがある。奴隷と言えども、公共の場でふしだらな格好をさせることは法律で禁じられているのだが、権堂はそんなことお構いなしで二人の奴隷を恥ずかしい格好で商店街を歩かせていた。二人とも、まだ若く、10代だっただろう。乳首と股間を絆創膏を貼って隠しただけのほとんど全裸の姿で四つんばいにさせられていた。しかも、突き上げられた尻からは尻尾が生えていた。恐らく肛門に挿入されていたのだろう。

和服姿の白髪の老人が、そんな二匹の牝犬を引き連れて散歩する姿は強烈な印象として麻美の脳裏に焼き付いている。通行人も、目を見張って見つめるばかりだった。野次の声を飛ばす者など一人もいない。ほぼ全裸の姿を町中に晒される恥辱に顔を真っ赤にしている少女たちの表情が、なんとも哀れだった。

あの恐ろしい男のところへ連れて行かれる。麻美は震え上がった。しかし、どんなに許しを乞うても、町田は聞いてはくれないだろう。麻美は黙って町田の命令に従う以外にないのだ。

しばらくして麻美は町田に連れられて家を出た。シャワーを浴びて、化粧もさせてもらえた。そしてちゃんと洋服も用意されていた。この家に来た時の白いワンピースは切り裂かれてしまっていたが、町田が似たような服を出してくれたのだ。聞けば、逃げ出した前の妻の服らしい。だいたいサイズはあっているようだったが、麻美のほうが乳房が大きいようで、少々胸のあたりが苦しかった。

「さぁ、行きましょう」

町田は麻美の赤い首輪からつながる鎖を手に持つと、歩き始めた。誰が見ても、自分が奴隷なのだとわかる姿だ。麻美は顔を伏せ、知り合いが近くにいないことを祈った。
しかし、それは無駄なことだった。町田の家は町田屋ミートショップと共に商店街の真ん中にあるのだ。まず、周囲の店の店員から声がかかる。

「おっ、市川さんの奥さんじゃないですか。本当に町田屋さんの奴隷になったんだ」
「へぇ、そりゃあいいや、今度、町田屋さんちに遊びに行くか」

そう呟いた乾物屋の主人が、隣にいた妻に睨まれる。

商店街を買い物に来ていた主婦仲間にも出会う。たいていの主婦は、麻美の赤い首輪に気づくと、表情をこわばらせ、視線を外した。

しかし、中には話しかけてくる主婦もいた。

「あら、町田屋さん。ずいぶん綺麗な方を奴隷にしたのね。へぇ、この近所の奥さんなの? そう言えば見たことあるかもしれないわ。あらぁ、スタイルもよさそうだし、これじゃ町田屋さんも寝不足になっちゃいそうね。ふふふ」

その中年の主婦は、不躾に麻美の全身を眺めた。麻美の美しさに嫉妬を覚えたのかもしれない。

「あんたも大変ね。町田屋さん、かなりの変態趣味っていうから、色んなことされちゃったんでしょ? 前の奥さんもそれで逃げ出したくらいだからね。でも、それだけいい体なら、何されても耐えられそうね」
「おいおい、あんまり人聞きの悪いこというなよ。おれは至ってノーマルな男さ」
町田が慌てる。商店街の中でそんなことを言われて、さすがの町田も困ったようだ。しかし、主婦はお構いなしだ。
「だって本当のことじゃない。あたし、前の奥さんから色々相談されてたんだから。ま、あんたもあきらめて変態趣味を覚えたほうがいいわよ。これも国民の義務なんだから、せいぜい頑張ってね」

勝手なことを言って主婦は去っていった。町田は頭をかく。

「参ったな、佳子ちゃんには」

古くからの幼なじみらしい。

麻美は町田について歩いていく。見慣れた街の風景なのに、今日は全く違って見える。麻美の家のほうへ近づいていた。権堂の邸宅は、麻美の家の先にあるのだ。

自分の家の前を通るかもしれない。そう思うと、麻美は複雑な気持ちになった。今の時間は夫は会社だろう。娘の祐実は保育所のはずだ。二人は何をしているだろう。祐実は自分がいないことで、泣いていないだろうか。

「おっと、こっちはいけないな」

町田は、慌てて左折した。

「奴隷期間中は、家族とは決して顔を合わせることは出来ないんだからな。家の前を通るのも禁止されてるんだ」

町田は麻美の家を避けるルートを通って、権堂の邸宅へ到着した。

戦前に立てられたという古い建物だった。本来はこの地域の大地主の家だったのだが、権堂によって取り上げられてしまったという。

門をくぐると、黒いスーツを着た男たちが、近づいてきた。

「どちら様でしょうか?」

「町田です。権堂先生とお約束してるんですが」

町田がそういうと、黒スーツの男は一礼した。

「失礼いたしました。先生がお待ちです」

そして二人は、屋敷の奥の和室へと通された。屋敷の中は綺麗に整えられていたが、古い家屋特有のカビ臭さが微かに感じられた。

しばらくして、襖が開き、和服の老人が現われた。白髪に白髭を蓄えた小柄な老人だが、何か得体の知れない威圧感を漂わせている。まともな生活を送っている人間とは明らかに違った雰囲気を持っていた。権堂だ。

二人は頭を下げる。

「おお、町田屋さん。久しぶりだな」
「先生もお元気そうで」
「その子が、町田屋さんの奴隷か。ふふふ、ずいぶん上玉じゃないか」

笑顔を浮かべているものの、その目は決して笑っていない。鋭い視線で見つめられた麻美の背筋にゾッとする悪寒が走った。

「せっかくなので、ぜひ先生のところの奴隷を見習わせたいと思いまして」
「そうか、そうか」

権堂がポンポンと手を叩くと、奥の襖が開いた。そこに二人の少女が正座していた。一人は長い黒髪のふっくらとした身体つきの少女。もう一人はショートカットで少年のようにスレンダーな身体つきの少女だった。二人とも一糸まとわぬ全裸だが、首にはもちろん奴隷の身分を表わす赤い首輪が付けられていた。

かつて、権堂が商店街を散歩させていた二人の奴隷だった。麻美は一瞬びっくりしたように二人を見たが、慌てて視線を外した。まだ成熟しきっていない少女の裸身は、痛々しかった。

「今、うちにいる奴隷はこの二匹だ。こっちの胸の大きいのが江美子、ペチャパイなのが奈津美だ。どちらも17歳だよ」
「ほう、さすがにピチピチしてますな。実に可愛らしい。うちの麻美のちょうど10歳下ですな」
「27歳か。ふふふ、熟れ頃じゃないか。服の上からでも、素晴らしい体だというのはわかるよ。ワシも最近はすっかりロリコン趣味になってしまってね、10代の子じゃないと興奮できないんだが、この子はなかなかよさそうじゃないか」
「ええ、体だけは自慢できますよ。ほら、奥さん、何してるんだ。先輩奴隷が裸なのに、お前だけが服を着ていて恥ずかしいと思わないのか?」
「は、はい……」

麻美は哀しげな表情で、立ち上がり、ゆっくりと服を脱ぎ始めた。

「町田屋さん、奴隷を奥さんと呼んでるのか?」
「ええ、もともとウチのお店のお得意様の奥さんでね。そう言ったほうが私もグッと来るし、本人も屈辱的だと思いましてね。しばらくは、奥さんと呼んでやろうと」
「ほう、それは面白いな。それではワシも奥さんと呼ばしてもらおうか。さぁ、早く奥さん、自慢のヌードを見せてくれ」
「は、はい……」

言われても、麻美の手の動きは鈍い。ためらいながらボタンをひとつひとつ外していく。
痺れを切らした権堂が二人の少女奴隷に命令した。

「おい、奥さんが服を脱ぐのを手伝ってやれ」
「はい」

奈津美と江美子は立ち上がり、麻美に近づいた。

「え、え?……」
「失礼します、奥様」

奈津美も町田たちを習って、麻美を奥様と呼んだ。そして、麻美の服を素早く脱がしていった。

「あ、いや……」
「じっとしていて下さいね、奥様」

ブラウスを脱がされると、ブラジャーに包まれた見事な乳房が現われる。権堂も、そして奈津美も江美子も思わず息を飲んだ。

町田が得意気に言う。

「Gカップだそうですよ。見事なもんでしょう? これだけ大きくても、感度のほうも悪くないんですよ、ふふふ」
「ほう、確かにすごいな。江美子もFカップあるんだが、その上を行くのか。さぁ、早く見せてくれ」
「失礼します」

比べられた江美子が、麻美の背中のホックを外し、手際よくブラジャーを取り去った。

「あ、いや」

思わず、麻美は胸を腕で隠した。

「おい、隠させるな」
「はい。奥様、ごめんなさい」

江美子が麻美の両腕を背中にまわして押さえ込んだ。

「ああっ」

麻美の豊かな乳房が剥き出しになった。

(続く)


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09.10.05更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |