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第6章 外交奴隷・アイリ【5】

イサクは、すっかりアイリに夢中になっていた。アイリの献身的な態度と、羞じらう姿は、イサクにとって、新鮮であり、たまらなく魅力的だった。

イサクの国では伝統的に女性の立場が強く、女性に対して差別的な行動は厳しく非難された。バックス社でもそれは徹底され、ちょっとしたユーモアを交えたような言動でも、セクシャルハラスメントとして処罰されてしまうことがある。

社長であるイサクは特に気をつけなければならない立場だったし、妻であるマリアが輪をかけて気の強い女性だった。

そしてアイリは、マリアとは全く逆の性格だった。性格だけではない。子供を産んだ今も、まったく衰えることを知らないように素晴らしくダイナミックな肉体と華やかな美貌を持ったマリアに比べれば、アイリはなんとも貧弱だった。胸も尻も小さく、体も顔立ちも華奢だ。

しかし、その弱々しいアイリが、イサクを満足させようと健気なまでに献身的に性的なサービスで尽くしてくれるのだ。しかも、そのいちいちに恥じらってみせるのが、イサクを興奮させた。

アイリはマゾヒストとしての性癖を持っているのだが、それ自体を恥じていた。恥ずかしいことをされると興奮してしまう自分を恥ずかしいと思っているのだが、そこを指摘されると、その羞恥がさらに快感となって彼女を興奮させてしまうのだ。

その姿が、いじらしくも可愛らしく、本来はサディストとしての性癖など意識していなかったイサクも、ついアイリをからかいたくなってしまうのだ。

また、幼いルックスに似合わず、アイリの身につけている性的愛撫のテクニックもまたイサクを虜にしていた。こんな愛撫の方法があったのか、と毎回驚かされた。そして、イサクが思わず快感の声をあげると、アイリは心底嬉しそうな表情をする。それがまたイサクには、可愛らしくてしょうがないのだ。

特に、アイリはイサクの肛門を舐めるのが好きなようだった。イサクにとって、そんなところを舐められたのはアイリが初めてであり、それまではそこがノーマルな男性にとって性感帯なのだとは考えもしなかった。しかし、アイリにそこを舐められた時、イサクは強烈な快感を体験した。

その反応がよっぽど嬉しかったらしく、アイリはイサクのそこをやたらと舐めたがった。イサクは、どうにも恥ずかしくて、抵抗があるのだが……。


イサクが別荘を訪れて4日目の朝だった。昨夜も夜更けまで、イサクはアイリの体を存分に楽しみ、そして倒れるようにベッドで眠り込んだ。アイリはイサクにギュッと抱きしめられていたが、主人が眠りに落ちたことを確認すると、そっとベッドを抜けだして、その横の床にしゃがみ込み、猫のようにまるまった。奴隷であるアイリは主人の命令を受けるなど、特別の場合を除いて、同じベッドで眠ることは禁じられているのだ。奴隷は奴隷らしく床で眠る。それはアイリが調教によって体に刻み込まされたルールだった。

そして必ず、主人よりも先に起きることも厳守しなければならないルールだ。イサクが目を覚ますと、アイリはすでに朝の支度を終えた後に、ベッドの横の床に正座していた。

「おはようございます、ご主人様」

ぼんやりとしたイサクの視界の中で、メイド姿のアイリはにっこりと笑顔を見せていた。ここで迎える3度目の朝だ。目覚めた時に隣にいるのが妻のマリアでないことにも、慣れてきた。

「ああ、おはよう、アイリ」
「ご主人様、朝のご奉仕させていただいてよろしいでしょうか?」

アイリがイサクの顔を覗きこむようにして尋ねる。

「ああ、頼むよ」
「はい」

アイリの表情がパッと明るくなる。一方的に奉仕されるのは、今でも少し抵抗があるのだが、この顔が見たくて、つい許してしまう。

「失礼いたします、ご主人様」

アイリは掛け布団の下半分をめくり上げる。パジャマのズボンを穿いたイサクの下半身が現われる。アイリはベッドの上に座り、下腹部へと身を寄せる。

「ご主人様、今朝もお元気ですね」

言われた通りに、ズボンの前は大きな山を作っていた。
この別荘で、アイリとの生活を始めてから、イサクは自分でも信じられないほどに精力がみなぎっているのを感じていた。もともとそれほど強いほうではない。特に30代も半ばに差し掛かった頃から急激に精力が落ちたような気がしていた。求めてくるマリアを前にしても、上手くいかないことが増え、それが二人の関係を微妙なものにした理由のひとつでもあった。

しかし、この別荘に来てから、というよりもアイリを目の前にしていると、いつでも下半身が熱くなってしまうのだ。若い時に戻ったようだとイサクは思った。それほど性欲の強くないほうであるイサクでも、思春期の時期はそれなりに精力を持て余して悶々としたものだ。まるでその頃のように、すぐに勃起してしまうのだ。

朝勃ちなんてしたのも、しばらくぶりのことだったが、この別荘では毎朝その現象を目の当たりにしている。

「すごいです、ご主人様。すごく硬くて、熱くなっています……」

アイリは布地の上から、その硬いものを指で刺激している。細いその指が、絶妙なタッチで這い回る。

寝起きのぼんやりとした意識の中で、じわじわと快感が押し寄せてくる。この毎朝のサービスは、イサクにとっても、なんとも心地のよいものだった。

「失礼します」

アイリはゆっくりと、ズボンとブリーフを脱がせた。大きく勃起しているので、脱がすのに、ちょっと手間取る。

そして舌をペニスの根元から這わせていく。同時に指先を立てるようにして、腿のあたりの肌に軽く触れさせる。

まだはっきりしていない寝起きの意識を、急にかき乱すようなことはしない。その微かな快感をぼんやりと味わっていると、まだ夢の中にいるような気持ちになってくる。

アイリは、ゆっくりと、柔らかく、軽く、イサクのペニスを口に含み、愛撫する。舌先が小刻みに動きながらからみつく。イサクの敏感な部分をすでに知り尽くしているのだ。

「ああ……、気持ちいいよ、アイリ……」

間の抜けた声で、イサクがつぶやく。するとアイリは一瞬顔をあげ、満面の笑みを浮かべる。

「うれしいです、ご主人様」

そして再び舐めていく。イサクの脚を左右に広げさせると、股間の根元のほうに舌を伸ばしていく。袋の部分の皺を丁寧に舐め進んでいく。舐める度に、イサクの内腿がビクンビクンと反応するのをアイリは見逃さない。その間も右手でペニスへの愛撫は続いている。

「う、うう……」

思わず声が漏れる。イサクはセックスの時に男が声を出すのは、恥ずかしいという意識がなかなか抜けない。いくらアイリが、恥ずかしいことではなく、むしろ女にとっては嬉しいのだと、繰り返し訴えても、なかなか意識を変えるのは難しいのだ。

それでもアイリのテクニックは、ついつい声を漏らしてしまうほどの快感をイサクに与える。

そして、それはアイリの舌が、さらに下へと向かうと、さらに大きくなってしまう。

「ご主人様のお尻の穴も、舐めさせていただいてよろしいですか?」

アイリは無邪気に尋ねる。

「うーん、どうしようかな」

イサクはわざと悪戯して、許可を出さない。

「朝からそんなところを舐めさせちゃ悪いからな」
「ああん、そんなことないです。私が舐めたいんです。舐めさせて下さい」
「え、誰のどこを舐めたいんだ?」
「ご主人様の、お尻の穴です……」
「どうしてそんなところを舐めたいんだい、アイリ? そこは汚いところだよ」
「でも、ご主人様が、一番気持ちよくなってくれるところですから……」

言われてイサクは苦笑する。

「いいよ、舐めてくれ」
「はい、ありがとうございます」

アイリはイサクの腿を持ち上げ、尻の肉を指で左右に開くと、そこへ顔を埋め、舌を伸ばした。陰嚢の付け根あたりから、いわゆる蟻の戸渡りと呼ばれている部分を、アイリは丁寧に舐め進んでいく。そこもまた敏感な性感帯だということを、イサクはアイリに教えられたのだ。くすぐったいような、それでいて下半身が熱くなっていくような感覚。

アイリは唾液をたっぷりと舌にからめながら舐めるので、ピチャピチャと猫がミルクを舐めるような音がする。

焦らすように、周囲からじわじわと近づくようにしてから、アイリはその部分に舌を這わせた。

「うっ……」

いつもその瞬間、イサクは声を漏らしてしまう。痺れるような感覚に襲われるのだ。アイリの舌はゆっくりと皺をなぞるように動く。その滑らかな感触はイサクの脳神経を直撃するほどの快感をもたらす。

丁寧に、丁寧に、アイリは夢中になって、その部分を舐めていく。その度に、イサクはヒクヒクと腰を動かしてしまう。その反応を確かめながら、アイリは舌を動かす。

「ご主人様の、お尻の穴を舐めるの、大好きなんです。いっぱい舐めさせて下さい。もっと、気持ちよくなって下さい」

そんなことを言いながら、アイリは本当に嬉しそうな表情で、イサクの肛門を舐めるのだ。
時には、舌先を窄まりの中心に沈めるようにしたり、時には蟻の戸渡りからの広い部分を舐めつくしたり、そして同時に指先で陰嚢やペニスの先端を刺激したり……。

 何度か指先を少しだけ肛門に挿入するということも試したが、それはイサクの反応があまりよくなかったので、以降はやっていない。アイリは常に、どうすればイサクが一番気持ちよくなるのか、注意しながら愛撫を進めているのだ。

そうしてアイリのアナル舐めは、何十分と続くのだ。その間、イサクはたまらずに声を漏らしながら、腰をガクガクと震わせる。先端からはダラダラと先走りの汁が溢れているが、直接的に射精にはつながらないため、延々と快楽が続くのだ。それはもう甘美な拷問とでも言うべきものかもしれない。

「あ、ああ……、もうだめだ、アイリ」

何十分もの快楽責めに絶えきれなくなったイサクは、ギブアップの声を上げる。するとアイリはようやく顔を股間から上げる。

「それでは……失礼します」

アイリは立ち上がり、スカートをまくり上げ、ショーツをおろした。そして、イサクの腰の上に、しゃがみ込む。

イサクのいきり立ったペニスの先端を、自分の亀裂へとあてがう。

「あ、ああん」

アイリのそこは、すでに十分なほどに濡れそぼっていて、なんの抵抗もなく、イサクの先端を飲み込んだ。スカートをまくりあげているため、仰向けに寝転んでいるイサクにも、その接合部の様子は、よく見えた。

燃えるように熱く、そしてヌルヌルとした粘液がイサクの先端を包みこむ。さらにギュっと、絞めつけてくる。

「うっ」
「ああっ、気持ち、いい、です……」

アイリはしゃがみ込んだ膝を上下させる。クチュクチュと湿った淫らな音が上がる。

「ご主人様、ああん、すごい……」

アイリの腰の動きが少しずつ早くなっていく。

何十分ものアナル舐めでイサクは、限界を超えるほどの快楽を味わっていた。今にも爆ぜてしまいそうな状態だったのだ。

そこへこの快感だ。耐えられるわけがない。

「う……、アイリ。気持ちよすぎるよ。もう……、いくぞ……」
「ああっ、ご主人様。私も、もう……。イッて、イッて下さい。私の中で、イッて下さい!」
「う、ああっ」
「あっ、ああっ」

イサクが大量の精液を膣内へと放ったその瞬間、アイリも絶頂に達していた。

「イキますっ! ご主人様っ!」

アイリの下半身が激しく痙攣し、キュウッと締め上げた。

「あっ、ああっ」

アイリはイサクの体の上で、何度も体を震わせた。
イサクも長い長い射精の快楽を味わっていた。
二人とも汗まみれだった。

「はぁ、はぁ……。シャワーを浴びなくちゃいけないな。アイリ、洗ってくれ」
「はい、ご主人様」

アイリが笑顔で返事をする。そうやって、イサク・バックマンのバカンス4日目はスタートしたのだ。


(続く)

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10.07.05更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |