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第7章 肛虐奴隷・穂奈美【3】

バリバリバリと風を裂くような音が遠くから聞こえる。

何の音だろう……。穂奈美はうっすらとした意識の中で考えた。そして自分が寝ているベッドも揺れている。

目を開いても、真っ暗で何も見えない。まだ夢のなのかと最初は思った。しかし、やがて自分の置かれた状況が段々わかってくる。体の自由が利かない。両手首と両足首を拘束具でまとめられているようだ。そして目はアイマスクのようなもので塞がれている。つまり、まったく身動きが取れない状態なのだ。しかも裸のままだ。

どうしてこんなことになったのか、穂奈美は意識を失う前のことを必死に思い出す。確か、奉仕庁で、奉仕期間終了の検査を受けていたはずだ。好色な初老の男による身体検査の後に、女性の職員からの面談があり、そして待機室で待たされて……。そこから先の記憶がない。

「これで検査はおしまいですよ。二年間よく頑張りましたね。この後、首輪を外してあげますから、この部屋で少し待っていなさい」

温和な笑顔の中年女性職員がそう言って、差し出したお茶を飲んだ後に、急に眠気が襲ってきて……。

あのお茶に睡眠薬でも入っていたのかもしれない。穂奈美はそう推測したが、いずれにせよ後の祭りだ。

どうしてなの? もう奉仕期間は終わりなんでしょう? もう私は普通の女の子に戻れるはずなんでしょう?

「ここはどこなの? なんでこんなことされてるの?」

思わず声を出した。奴隷の時ならば、そんなことを言えばおしおきされてしまったが、もう自分は奴隷ではないはずだ。

すると、カチャリという音が聞こえた。ドアが開く音だろう。足音が近づいてくる。誰かが来たのだ。

「もう目が覚めたのか。薬の効きが悪いみたいだな」

その男がつぶやくのを聞いた直後、穂奈美の口には何かが押し込まれた。

「ングぅ!」

固いゴムのようなものを口いっぱいにふくまされ、そしてそれはベルトで固定された。もう穂奈美は声を出すことも出来なくなった。

「ングングング……」

苦しげな息を漏らしながら、穂奈美は暗闇の中で、不自由な体をもがかせるしかなかった。


いったいどれくらいの時間が過ぎたのだろうか。音と揺れが収まった。また、男が入ってきたようだ。今度は数人いる。

乱暴に手足の拘束具を外す。目隠しと猿轡はそのままだった。

「おい、立つんだ。到着したぞ」

男たちは、穂奈美を無理矢理起こした。長時間、不自然な体勢を強制させられたため、体が痛かったが、逆らうことは出来なかった。

到着……、どこへ着いたというの? 奉仕期間を終えて、家に帰してもらえるんじゃなかったの?

しかし、口には異物が押し込められているため、穂奈美は何もしゃべれない。うめき声を漏らしながら、男たちに連れられて、よたよたと歩かされていく。

空気が生ぬるい。木々の匂いがする。ここが都市の中ではないことを穂奈美は直感する。何か乗り物に乗せられて、遠くまで運ばれてしまったのだ。

二年の奉仕期間を勤め上げ、もう普通の女の子に戻れるのだという喜びに浸っていた数時間前の気分が嘘だったかのように、穂奈美は不安に怯えていた。

しばらく歩いた後、穂奈美は建物の中に連れ込まれた。そして部屋の中に入れられると、男たちは去っていった。両腕を後ろで拘束され、視覚を奪われた状態で、そこで穂奈美は立ちつくしていた。立っているしかなかった。

「ようこそ、穂奈美」

不意に男の声がした。いつこの部屋に入ってきたのか、気配が全くしなかったので、穂奈美は驚いた。

そして不意に口を塞いでいた器具が外され、そして目隠しが取られた。しばらくぶりの光が眩しく、一瞬視界が真っ白になる。

やがて慣れてくると、目の前の男の顔が見えてきた。

「あなたは……」

そこにいたのは、びっくりするほど若い男だった。穂奈美と同じか、もしかすると年下かもしれない。男というよりも少年と言ったほうが似合いそうだ。しかし、ほっそりとしたその顔立ちには、少年特有の甘さは微塵もない。よく研ぎ澄まされた刃物を思わせるヒリヒリとした雰囲気があった。

「お前の新しい主人だよ」

男は言った。

「主人って……、もう奉仕期間は終わったはずですが……」
「ああ、お前は国民の義務としての奉仕期間を無事勤め上げた。ご苦労様」
「だったら……」
「これからは、お前の自由意志で、奴隷になるんだ」
「え?!」

穂奈美は男の言っている意味が全くわからずに混乱した。しかし男はいきなり穂奈美の頬を平手で打った。

「わかりました、ご主人様、だろう」

頬を打たれたショックで、穂奈美は床に倒れた。両腕を後ろで拘束されているため、バランスがとれずに、無様に転げてしまう。

男は穂奈美の髪の毛をつかんで強引に起こした。ほっそりとした体つきで背もそれほど高くない。グラマラスな穂奈美のほうがよほど体格がいいかもしれない。しかし、この男は体つき以上の威圧感を持っていた。

この人に逆らってはいけない。穂奈美は思った。二年間、奴隷として生きた直感がそう教えたのだ。

しかし、奉仕期間が終わったのに、今度は自由意志で奴隷になれという男の言葉を受け入れるわけにはいかない。

「いやです。家に帰して下さ……」

穂奈美が言い終わらないうちに、再び男の平手打ちが飛んだ。

「お前は奴隷だ。口答えは許されない」

男はそう言い放つと、穂奈美をひょいと担ぎあげた。男は、体の線がはっきりと出る黒ずくめの服装をしていた。贅肉は一片もないような細い体つきが見て取れる。しかし、その体のどこにこれほどの力があるのだろうと驚くほど軽々と、穂奈美を持ちあげたのだ。

そして部屋の隅にあるベッドの上に、穂奈美を投げ倒した。コンクリート打ちっぱなしの壁と床の殺風景な部屋だった。ベッドの他にも、いくつかの奇妙な形の大きな器具が置かれている。

「穂奈美、尻を出せ」

男の言葉に、穂奈美は体を縮こませて拒む。断わってはいけないと奴隷としての直感が教えていたが、こんな理不尽な仕打ちに従うわけにはいかない。自分はもう奴隷ではないはずなのだ。

「世話がやける奴だな」

男は素早く穂奈美の首輪をベッドのヘッドボードに鎖でつないでしまった。さらに両脚をベッドの後ろの脚に鎖でつながれた脚輪で拘束した。

「あっ、あっ」

声を上げる間もなく、穂奈美は頭を下にして、腰を突き上げる姿勢に拘束されてしまった。両腕は背中で拘束されたままだ。もう、この恥ずかしい体勢のまま、身動きが取れない。

「大きな尻だな。前の主人がここにこだわって調教したのもよくわかるよ。男を惑わすいやらしい尻をしている」

男はそういいながら、剥き出しになった穂奈美の白くて大きな尻肉を平手打ちした。

バシっと肉の弾ける音が上がる。同時に穂奈美の悲鳴も上がる。

「ひぃっ!」

男のスパンキングは、体の奥までジーンと痺れるような痛みを穂奈美の尻にもたらした。男はそれから何発も穂奈美の尻肉をひっぱたき続けた。

「あっ、ああっ」

白い尻肉が、たちまち真っ赤に染まっていった。熱く腫れ上がる。ジンジンと痛みが増していく。

自分と同じか、年下かもしれない若い男に、尻を叩かれる苦痛とみじめさが、穂奈美の中の奴隷の血に火をつける。

森元も、穂奈美の尻をスパンキングすることが大好きだった。そして穂奈美も、そうされることで激しく興奮した。

そして、この男のスパンキングの技術は、明らかに森元よりも上だった。男の掌は、適度な苦痛を的確に穂奈美が感じるポイントに与えてくるのだ。

「あっ、あっ、ああっ」

穂奈美の悲鳴が次第に甘い吐息を含んだものへと変わりつつあった。それを見計らったかのように、男は穂奈美の尻肉をつかみ、押し開いた。

「ああっ!」

スパンキングで燃えるように腫れ上がった尻肉をつかまれる苦痛に、穂奈美はうめくが、それ以上に秘められた場所を男の視線に晒す羞恥がたまらなかった。

「これは確かにすごいな」

男は呆れたように言った。押し開かれた尻肉の谷間の中央で可憐な窄まりがヒクヒクと震えていた。そして、その下の肉裂は、透明な蜜を溢れさせていた。

「スパンキングだけで、こんなに濡らすとはな。立派な変態マゾだ。報告通りに素晴らしい素質の持ち主だよ、穂奈美は……」
「ああ、そんなこと言わないで」
「言わないで下さい、だろう」

男は、もう一発、尻肉を叩いた。

「ああっ!」

穂奈美はその刺激に全身を震わせた。それは苦痛を超えた快感となっていた。こんなことで興奮してしまう自分が、穂奈美はみじめだった。自分は、やはり奴隷としてしか生きていけないのだろうか。

「物欲しそうにヒクヒクしてるぞ、穂奈美のいやらしいお尻の穴が」

男はさらに尻肉を押し開き、窄まりを広げた。その言葉通りに、穂奈美の菊花は艶めかしく蠢いていた。

「ここも責めて欲しいんだろう、穂奈美」
「ああ……」

男は指先で窄まりの周辺をなぞった。しかし、その部分には決して触れない。

「ああ……、ひどい……」
「何がひどいんだ?」

穂奈美は突き上げた腰をもじもじと振った。窄まりは刺激を求めて口を開く。

「普通の生活に戻ったら、こんなことをしてくれる相手は、なかなか見つからないぞ」
「でも、でも……」

男の指遣いは見事だった。触れるか触れないかという微妙なタッチで、穂奈美の敏感な部分を刺激していく。それでいて、最も感じる部分には全く触れないのだ。

「もう、もう、許して下さい……」
「何を許すんだ、穂奈美?」
「い、意地悪しないで下さい」
「何が意地悪なんだ? ちゃんと言わなくちゃダメだろう?」
「ああ、もう、お、お尻も、お尻もして下さい」

穂奈美は屈服した。もう我慢できなかった。

「よく言えたね、穂奈美。いい子だ」

その言葉と同時だった。

「ああっ!」

穂奈美の絶叫が部屋中に響き渡った。それは明らかに歓喜の声だった。

男がペニスで穂奈美の窄まりを貫いたのだ。突然の挿入は、穂奈美にとてつもない快感を与えた。

二年間の調教で刻みこまれたその部分の喜び。いや、男のペニスが与える快感は、これまで味わったことのないレベルのものだった。体を引き裂くような、それでいて奥深くまで痺れるような、肛門性交独特の快感の波が穂奈美を飲み込む。目の前が真っ白になり、火花が飛び散る。ペニスを受け入れている部分がとろけるように熱く燃え上がる。

「ひっ、ひっ、ひっ!」

男は穂奈美の大きな尻を抱え込み、スピードや角度を絶妙に変えつつ腰を動かしている。

その動きのひとつひとつが穂奈美の官能を刺激する。

「ああっ、あっ、だめ、だめです。お尻で、お尻でイッちゃいますっ」
「イカセて欲しい時はどう言うんだ、穂奈美?」
「は、はい……。お尻で、お尻でイッてもよろしいですか、ご主人様」

穂奈美は自然に男をご主人様と呼んだ。もうその呼び方しか考えられなかった。

「よし、イッてもいいぞ、穂奈美」
「はい、ありがとうございます。あっ、あっ、ああああっ!」

穂奈美の中で何かが破裂した。そして、薄れていく意識の中で、穂奈美は自分の運命が変わっていくことを知った。

(続く)

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10.08.30更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |