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最終章 奴隷の王【8】

北尾は健吉を見た。

「私が……、麻由里さんの肛門を開発する?」
「そうだ。お前はこれから、麻由里の肛門がちゃんと使えるようになるまで、開発するんだ。肛門で感じる女になるようにな。悠長にしている時間はないぞ」
「え、しかし……」

北尾は麻由里の顔を見た。麻由里は哀しげな表情で目を逸らす。

「麻由里を、鈴木太郎の元へ送ることになった」
「えっ!」

健吉の言葉に北尾は衝撃を受けた。健吉が口にしたのは、緊張が高まっている相手国きってのタカ派の実力者である男の名前だった。

「あの男が偏執狂的なアナルマニアであることはわかっている。麻由里を奴の気に入るような身体に仕上げなければならん」
「しかし、麻由里さんは……」
「わしが……、わしの一族がこれまでどんなことを生業にしてきたかは知っておるだろう」

相手の気に入るような身体と嗜好に調教した女を送り、交渉を有利に導く。それが相楽健吉の仕事だった。国力に劣る東京国が、まがりなりにも列強諸国と渡り合い、そして分裂した対立国ともバランスを保っているのも、健吉の力が大きいと言われている。

「これまでに多くの女を地獄へと落としてきたわしが、自分の娘だけを特別扱いにするわけにはいかん。相楽の家に生まれた女として、麻由里も覚悟はできているはずだ」

北尾は、麻由里を見る。麻由里は目を閉じたまま、頷いた。

「しかし……」
「北尾。お前に麻由里を任せる。一週間だ。一週間のうちに麻由里の肛門を、どんな太いものでも受け入れられるように、そして肛門が一番感じるような女にするんだ。いいな。方法は問わん。お前の好きにやるんだ」

健吉はそれだけ言うと、二人にくるりと背を向けて調教室である土蔵を出ていった。

健吉に渡されたトレイを持ったまま、北尾はしばらく呆然と立ち尽くしてた。そしてトレイに目を落とす。そこには奇妙な形の道具がいくつも並んでいた。様々な太さのガラス棒や、ねじりが付けられた張り形、ステンレス製の器具や、薬品の入った瓶などだ。

北尾は続いて、台の上の麻由里を見る。うつ伏せで尻を高く掲げた白い肉体。適度な肉付きの尻肉の間で、恥ずかしげに顔を覗かせる窄まりと、その下の無毛の肉裂。男であれば、誰でも心を奪われてしまうであろう魅惑的な光景だった。

北尾はトレイを傍らに置き、突き出された麻由里の尻へと近づいた。尻肉に手を置き、そしてゆっくりと割り開いた。窄まりが開き、皺が引き伸ばされる。同時にその下の肉の扉も口を開ける。

「あ、ああ……。恥ずかしいわ……」

思わず、麻由里が声を漏らす。もう何度も見られているとはいえ、女として最も恥ずかしい部分だ。思い切り広げられ、凝視されれば羞恥を感じないわけがない。

北尾は手で尻肉を広げたまま、人差し指を伸ばして、その窄まりの中央に触れた。

「あっ……」

いきなりの刺激に、麻由里は声を上げた。その部分がキュンと窄まる。激しい浣腸責めの後とあって、微かに腫れぼったくなっている。北尾は指先でゆるゆると押さえた。先端が微かに飲み込まれる。しかし、無理はしない。

「麻由里は、ここを責められるのは、本当はあまり好きじゃないのか?」

北尾は、麻由里の顔を覗きこむ。麻由里は恥ずかしそうに唇を噛んだ。

「あの……、痛いし、恥ずかしいから……」
「でも、麻由里は、恥ずかしいのが好きなんだろう?」
「はい……。ああ、そんなこと、言わないで」

北尾は再び麻由里の尻を眺める。美しい、と思う。白くむっちりとした尻肉には、少しのしみもない。どこまでも滑らかで、柔らかそうだ。そしてその中央に密やかに咲く菊花。色素沈着は、ほとんどなく、皺も少なめでつるんとした印象だ。ついさっき、その瞬間を見ているにも拘わらず、そこが排泄器官だとは信じられないような可憐さだった。

「麻由里のここは、すごく綺麗で、可愛らしいよ」

北尾は正直な気持ちを口にした。しかし麻由里は顔を真っ赤にして、イヤイヤをするように尻を左右に振った。

「ああん、そんなこと言わないで。そこは恥ずかしくて、汚いところです」
「そんなことないさ。おれは麻由里のここも大好きだよ。ほら」

北尾は麻由里の尻肉の谷間に顔を埋め、そして舌先で窄まりを舐め上げた。

「ああっ!」

麻由里は脳天まで突き抜ける快感に、思わず叫んだ。これまでにも健吉から多少の調教はそこに受けていた。指や細いガラス棒を挿入されたこともある。しかし、それはおぞましい不快感と痛みしかもたらさなかった。そこで快感を得ることなど、想像も出来なかった。健吉も、麻由里にその部分の才能はないと思ったのか、それ以上の調教はしなかった。

しかし、北尾にその部分を舐められた時、今までとは全く違った感覚が麻由里を貫いたのだった。

「ああっ。だめです、そんなところ。ああ、やめて。汚いです」

つい、麻由里はそんな言葉を口にしてしまう。しかし、北尾はしっかりと麻由里の腰を抱え込んで、舌先を窄まりから離さない。たっぷりの唾液に濡れた舌先で、皺の一本一本をなぞるように這わせていく。

北尾の舌が動く度に、妖しく痺れるような感覚が麻由里を襲う。それが快感なのか、どうなのか麻由里にもよくわからない。

しかし、自分のそんなところまで舐めてくれている北尾が、たまらなく愛おしく思えた。

「麻由里のここは、とても魅力的だよ。いつまででも、舐めてあげるよ」

その言葉通りに、北尾は延々と麻由里の窄まりを舐め続けた。窄まりが柔らかくなってくると、舌先を丸めて、少しだけ中へと侵入させる。決して急がず、ゆっくりゆっくりと進めていく。

「ああっ、あっ……」

麻由里の声が次第に変化していくのがわかる。北尾は舐めながら、指を股間へと伸ばした。無毛の肉裂にそっと触れさせる。

ぬるり。

麻由里のその部分は、すでに蜜を溢れさせていた。北尾は指先をそっと沈める。麻由里の肉裂はスムーズにそれを受け入れる。

「あーっ!」

突然、敏感な部分を責められて、麻由里は叫ぶ。窄まりを舐められる未知の感覚とは違って、慣れ親しんだ快感だ。

「どうしてこんなに濡れてるんだ? 麻由里は、おれにお尻の穴を舐められて、そんなに感じてるのか?」

わざと意地悪く北尾は言う。

「ああっ、わかりません。わからないんです」
「麻由里は、もうお尻の穴が感じる、いやらしい変態なんだろ?」
「言わないで、そんなこと、言わないで、北尾さん」
「さぁ、もっとたくさん舐めてあげるよ」

北尾は再び、顔を尻肉に埋めて菊花を舐め始めた。同時に指で、肉裂の中や、敏感な蕾も刺激する。

「ああっ、あっ、ああっ、だめ、だめです。そこは、そこはだめです」

麻由里の声はどんどん大きくなっていく。豊満な尻肉がぶるんぶるんと震える。北尾は中指で粘膜をかき混ぜつつ、人差し指の腹で肉芽を擦る。肛門、膣内、クリトリスの三カ所を同時に刺激され、麻由里はもうわけがわからなくなっていた。

「あっ、あっ、だめ。もう、もうイキそうです。イッてしまいます」
「ようし、イクんだ。お尻の穴を舐められながら、イッてしまえ、麻由里」

北尾は指と舌の動きを激しくする。それに連れて、麻由里の声を身体の震えも激しくなっていく。

「あっ、だめ……」

麻由里の白い尻がガクンガクンと大きく震えた。そして何度も痙攣する。

すると北尾は尻肉から顔をあげて、麻由里の顔のほうへ身体を向けた。そして、キスをした。麻由里が絶頂の余韻に浸っている時に、唇をあわせ、舌をからめた。指は肉裂の中にすべりこませたままだ。

「あ、あ、あ……」

重ねられた唇から、熱い吐息が漏れる。互いに激しく舌を絡めあう。

強烈な快感の余韻がゆっくりと引いていく間、北尾はキスを続け、肉裂の中の指を少しずつ動かしていた。

そしてようやく、唇を離す。トロンとした濡れた目で、麻由里は北尾を見る。

「あ、ああ……。気持ち、よかったです」
「お尻で感じたか?」
「わからないです。わからないけれど、いやではなかったです……」
「そうか。少しずつ気持ちよくなればいい」
「ああ、北尾さん……」
「なんだ?」
「キスして。もう一度キスして下さい」

北尾は頷いて、唇を重ねた。

一週間後には、麻由里は日本を離れ、敵対する国へと送られるのだ。恐らく二度と生きては帰ってくることは出来ないだろう。

お互いに、それをわかっている二人だから、何度も何度もキスを求め合うのだ。



それからは開発もスムーズだった。肛門だけで絶頂に達するのは、まだ難しいものの、そこへの刺激で快感は十分に得られるように、麻由里はなっていた。

また、ガラス棒やアナルスティックを少しづつ太いものへと変えていくことで、今ではかなり太い物まで痛みを感じずに咥え込めるまでになっている。

北尾の望むように自分の肉体が開発されていくのは、麻由里にとって嬉しいことではあったが、その先にあるのが、彼との永遠の別れだと思うと複雑な気持ちになる。

それは北尾に取っても同じことだった。いっそ麻由里を連れて、二人でどこかへ逃げてしまおうか。そんな思いも頭をよぎる。

しかし、遠まわしにそんな計画を麻由里に話してみても、彼女は父を裏切ることなど、考えの隅にもないようだった。

「私は相楽の女ですから」

麻由里はそう言う。

主人のため、国のために自らの身体を使ってお役に立つのが、相楽一族の女の務めなのだという。

そして彼女たち相楽の女たちや、相楽の男が調教して磨き上げた女たちは、武器以上の力を持って、戦争を制してきた。いや、それ以前の交渉にも大きな力となってきた。相楽の末裔である麻由里は、それを誇りだと信じて生きてきたのだ。

北尾には、何も言えなかった。せめて、鈴木太郎の元に送られた時に、つらい思いをしないように、彼女の身体を開発することしか、北尾には出来ないのだ。

「これから麻由里のそこに、おれのものを入れる。それでイクんだ。そこで、おれを感じるんだ。いいな」

敷布団の上で、全裸で正座した麻由里は頷く。これから二人の聖なる儀式が始まるのだ。

同じく全裸になった北尾は麻由里を固く抱きしめ、唇を合わせた。もうそれだけで北尾のペニスは熱く、固くなっている。

「これが、入るのね……」

麻由里は完全に勃起した北尾のペニスをそっと手で包む。熱い眼差しで、その先端を見つめ、そしてそっと咥えた。これから自分の窄まりに挿入されるその巨大な肉棒を愛おしむように、丁寧に舌を這わせた。

(続く)

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12.05.07更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |