第20講 続々・便秘体験告白【3】 文=横田猛雄 イラスト=伊集院貴子 |
第三課 フレキシブルシャフト
女医先生は、
「やっと小穴開けたわ!」
と言うと、ピンバイスを置き、ステンレス製の脇卓から、黒光りのするホースを取り上げました。
頭をもたげてよく見ると、その脇卓の上には、電気ドリルが横に寝かせた形でバンド金具でしっかり固定されており、そのドリルの先端の、刃を喰わえる三爪チャックの所には、刃では無く、黒いビニールのホースが連結されています。
その数十センチの長さのホースの先端部にも、丁度ドリルの先と同じような三爪チャックが付いており、そこへ先生は四ミリか五ミリ径のドリルの刃を喰わえさせて固定しています。
私は親類が鉄工所をしていましたのでよく知っていましたが、鉄や銅などの金属に穴を開ける時は、先ずセンターポンチという先の尖った硬い金具で、開けようとする部位に、ハンマーで叩いて小さな凹みを作ります。
それを導点として、その位置に電気ドリルやボール盤という器械を使って、ドリルの刃先を、そこに当てて、刃が正位置から外れたり滑ったりしないようにして穴を開けるのです。
女医先生が、先ず最初にピンバイスを使って掘った小さな穴は、まさにこのセンターポンチで打つ導穴と同じ理屈で、これから当てる電気ドリルの刃が、踊って外にそれるのを防ぐためなのです。
セットされたドリルの刃が、突然廻り始めました。
スイッチを入れてないのに、どうしたのかと思いましたら、何とスイッチは「フットスイッチ」という方式で、足踏み式になっているのだそうです。
当時下町の縫製工場では、縫製工のお姉さんたちが使っている工業用ミシンのスイッチがこのフットスイッチでした。
両手がふさがっている時そのまま足踏み式のペダルがスイッチになったこの方式が便利だということで、これを応用したということです。
そうやって廻り出したドリルの刃は、何と、普通よりも回転速度がゆっくりなのです。
先生の説明によると、それは速度コントローラーという器具を取り付けたからだそうで、実際先生は何段階かにドリルの刃の回転速度を切りかえて見せてくれました。
このコントローラーは、扇風機の回転の強弱や、熱帯魚などの観賞用の魚の水槽に空気を送る機械の力の強弱、それに半田ゴテの熱の高低の調節のために使われているものを用いたものだということです。
それにもう一つの優れものはこの黒いホース。
その名をフレキシブルシャフトという器械です。
このホースの中にはステンレスのワイヤーが通っていて、これを電気ドリルの本体に連結させると、ホースがかなり自由に曲がるので、その先に喰わえさせたドリルの刃で、色々な方向に向けて穴が開けられるのです。
さあ、そのうねる黒いホースの先端の頭を、蛇の頭のように捕らえた女医先生の手が、私の全開にされたお尻の穴の中をめがけて迫ってきました。
ウイインと唸りながら……。
「ああ僕抜かれちゃう……」
横田猛雄 1990年3月号よりS&Mスナイパーにて実践派のための肛門エッセイを連載。1993年ミリオン出版より『お尻の学校[少年篇]』発行。またアナル責めのAV作品にも多数出演しており、A感覚実践派の伝道師として他の追随を許さぬ存在。2007年5月号まで同誌上で『大肛門大学』を連載していたが、高齢と健康上の理由により連載終了。そしてWebスナイパーにて、膨大かつ偉大なるアーカイブの復刻連載開始です! |
08.01.15更新 |
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