第25講 褌と日本人【2】 文=横田猛雄 イラスト=伊集院貴子 |
第二課 詰めを抜く
アメリカの若者の多くが、五十年前には、大空の上で、敵国日本と闘いました。
しかしあたら若い命をこうして多く散らし、あるいは助かっても、根本から切断という処置により、チンチンとさよならして、生きながら男性であることを放棄しなければならなかったのです。
かつての欧米では、実におびたかしい数の若者が、生きながら男性失格者となっていたようですが、我が国の軍隊では越中褌を用いていましたから、そのような不幸な例は皆無でした。
このことでも我が日本民族の優秀さが窺えます。
欧米のこの惨状に眼を付けた我が国の某タイツメーカーが、サポーターという名の、褌からヒントを得た製品を考案して発売し、今では欧米はおろか世界中のスポーツ選手の間にも広く普及しています。
お陰で昔のように転けて折れる例は無くなったそうですが、反対に戦後の日本では、何でもアメリカの真似をするのが民主主義だというので、パンツが普及し、褌の締め方すら分からぬ男どもが多くなって米たことは、民族の将来を思うと、実に憂えるべきことです。
丁度この便秘治療をしていた頃のことです。
或る新婚さんの例ですが、夕食後夫がエレクトしたまま仰向けに寝転がっているのを見て、新妻がたわむれにその上に馬乗りになったところ、夫が驚き、チンボが折れて、たちまち紫色に見る見る膨らんできて、救急車を呼ぶという大事に至ったことがありました。
チンボが折れると、丁度コンドームに水道の蛇口から水を流し込んたように、ぷっくり、だらんと膨らみます。
吠え立つチンボを鞄でかくしながら医院の玄関を入ると、看護婦さんがニヤニヤ笑いながら出てきて私の背後に廻り、後ろから押して診察室にせかしました。
部屋に入ると、ついさっき診察が終わったらしく、三十代の人妻らしい女性が衣服を整えているところで、男性の私が入ってきたのを見て、少しあわてるその人に先生は、
「あわてなくていいですよ、この子はね、ひどい便秘で昨日お尻の穴拡げて、二人掛かりで掘り出したんだけど、今日は詰め物を抜くんです。男が婦人科の診察台に上るのはめずらしいことだけど、中絶と同じようなことするんだからそれでいいのよ。さぁ君は早く服全部脱ぎなさい!」
と言いました。
看護婦さんに介添えされて全裸に剥かれた私の腰に、純白の六尺褌をちらと見たその婦人は、
「あれっ!」
と小声で叫びましたが、その人の方が私より奥にいますから、私の脇を通らないと部屋から出られません。
先生の手が伸びて私の腰を正面に向けたものですから、褌の前袋の処から雨後の筍のようにピンと吠え立った赤いチンボを見てしまったその人は、顔を真っ赤にして足元もおぼつかな気に、そそくさと出てゆきました。
私のは長さが二十センチで先太の善光寺チンボで、それが昨夜からのセンズリの掻きっ放しで、真っ赤に光っていますから、それをもろに見てしまったあの人の人生観は、それで確実にコペルニクス的変転を余儀なくされることでしょう。
信じられないという顔をしていましたから……。
横田猛雄 1990年3月号よりS&Mスナイパーにて実践派のための肛門エッセイを連載。1993年ミリオン出版より『お尻の学校[少年篇]』発行。またアナル責めのAV作品にも多数出演しており、A感覚実践派の伝道師として他の追随を許さぬ存在。2007年5月号まで同誌上で『大肛門大学』を連載していたが、高齢と健康上の理由により連載終了。そしてWebスナイパーにて、膨大かつ偉大なるアーカイブの復刻連載開始です! |
08.01.28更新 |
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