『ビデオ・ザ・ワールド』1985年8月号 発行=白夜書房
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「ビデオ・ザ・ワールド」における青山正明(2)
引き続き『ビデオ・ザ・ワールド』での青山正明の活動を追っていくが、雑誌はこの年の途中からロリータ物をほぼ扱わなくなり、青山も必然的にホラー映画のビデオを中心にシフトしていく。
『ビデオ・ザ・ワールド』/1985年1月号
「デンマーク発ほとんど犯罪ビデオ/ロリータFUCKビデオを楽しく観賞してみよう!!」という記事を執筆。海外ロリータ・ビデオ「ニンフ・ラバー」シリーズ(1984年2月〜)の7本中4本をかなり真面目に紹介。文体が何もひねくれておらず、横道にもそれていない青山の原稿はかなり珍しいが、文末がやや愚痴っぽいのが楽しい。「「青山は下品だから降ろせ」とか「青山の分裂症をどうにかしてくれ」という投書が最近富に増えている。そこで、今回は、冗談無しに書いてみた。原稿書きは、アタシの道楽ですからね。もう、こんなの書かんぞ。妻もこの原稿を読んで、あんまりの生真面目さに、開いた膣が塞がらんそうだ」。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年2月号
ホラービデオ紹介記事「オー、こわッ!血だらけ恐怖ビデオ、ショック場面に首ったけ!!」。青山は『Hey!Buddy』でこの一年ほど前からホラー映画の紹介を行なっていたが、1984年末ににっかつ、SHOWAの二社から字幕入りビデオが発売され、徐々に国内市場も広がりを見せていく過程にあった。『墓場の館』『スカルプス』『ボーディング・ハウス』の三作を紹介。他に大阪ホテトル嬢の盗み撮りビデオ「あけみ15才」「みどり17才」の紹介記事「クソ生意気なホテトル売春娘が本番!」。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年3月号
前回に引き続きホラー映画関係とエロ記事の二つ。「オー、くわばら!スプラッターB級ビデオのショック場面に首ったけ!!」ではゴアフィルムの王様、H・G・ルイスの紹介で、1985年1月25日に発売された『カラー・ミー・ブラッド・レッド』『血の祝祭日』『2000人の狂人』『キャプテン・クロノス/吸血鬼ハンター』の4本のビデオを紹介(すべてにっかつ)。「デカパイ洋物ビデオが大好きだ!!」はDカップビデオの紹介記事で、相変わらず紹介部分以外が面白い。「僕は、エロ本の原稿と云ったら、Dカップ物かロリータ裏ビデオしか書けません。(略)それで、よくエロ本ライターやって食ってるなと疑問に思われる方も多いでしょう。御心配には及びません。エロ原稿依頼は、ちゃんとありませんし、月々に振り込まれる稿料だけでは、ちゃんと食って行けません。世の中の仕組って、全く理にかなっていますね」。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年4月号
「超残酷ワンダーランド 面白ろ興奮ビデオが目白押し 恐怖映画(ホラームービー)に拍手喝采!! 血しぶき飛び交うB級スプラッタービデオに大興奮」と題した集中連載ページに。『マニトウ』(エンバシー)『死体と遊ぶな子どもたち』(にっかつ)『トランス 愛の晩餐』(大映)『フローズン・スクリーム』(SHOWA)を紹介。「“ポルノの次はホラーだ!”と断言して一年半。思えば、この発言は、ホラー原稿の仕事欲しさに口から出たデマカセ“放言”だったのですが、いやあ、見事に当たってしまったようですね」とまんざらでもない様子。この頃は『死霊のはらわた』の大ヒットで次々とB級C級のホラー映画がビデオ化されていた時期だった。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年5月号
前回の続き。『ドリラー・キラー』(MiMi)『マニアック』『血まみれ農夫の侵略』(にっかつ)、『ジャンク』(オレンジ・ビデオ・ハウス)の四本を寸評付きで紹介。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年6月号
前回の続き。『ドライブイン殺人事件』(MiMi)『惨殺の5日間』(エンバシー)『ナイトメアー・ワックス』(SHOWA)『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(フジビデオ)の四本を寸評付きで紹介。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年7月号
この号から青山のホラー映画記事は「VIDEO City」というビデオ情報ページの一つに押し込まれてしまった。しかし紹介ビデオ数は増え、『血の魔術師』『ミミズ・バーガー』『人間ミンチ』『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』『ザ・クレイジーズ』『マーティン』『バスケット・ケース』と数で勝負状態。なお8月号は書いていない。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年9月号
「VIDEO City」記事内で『何かが道をやって来る』『血を吸うカメラ』『宇宙からのツタンカーメン』『怪奇・真夏の夜の夢』『悪魔の墓場』を紹介。特に最後の作品についてはかなり思い入れが強いようだ。「「悪魔の墓場」がTV放映された時、家にビデオはなかった。そして、高校生だった僕は、悲しくて泣いた。にっかつさん、アリガト」「明言します。ゾンビ映画では、この「悪魔の墓場」が一等恐い! ストーリーが最も秀逸なゾンビ物は、「ゾンゲリア」だが、菅只(註:原文ママ)、恐怖と残酷のみに視点を定めれば、かの「サンゲリア」以上に、こいつは恐い」。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年10月号
「VIDEO City」記事内で、今回はホラー以外を紹介。『ザ・メイキング・オブ・ターミネーター』はその名の通り『ターミネーター』のSFX紹介ビデオ、『命がけ!イス取り大合戦』は喜劇王メル・ブルックスの作品、カルトSF『リキッド・スカイ』の三本。『リキッド・スカイ』は音楽以外はこき下ろしている。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年11月号
「VIDEO City」記事内で、『ザ・ベスト・オブ・アメリカン・プロレス』というプロレスのビデオ、ハマー・プロの『妖女ゴーゴン』、名称不明のミュージカル映画(ビデオ紹介記事なのにタイトルがどこにも書いてない)、『V.マドンナ大戦争』を紹介。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年12月号
パロディ映画『パニック同窓会』、メリル・ストリープ主演の『シルクウッド』、かたせ梨乃が脱いだ『愛しき日々よ』、B級ホラー『ホラー喰っちまったダ!』、『フランケンシュタインの花嫁』を紹介。『ホラー喰っちまったダ!』について「これぞ超B級ホラーの傑作!SFXも演出も、全く素人の域だが、観るモノをグイグイと珍妙な笑いの世界に引きずり込んでしまうこと必至。発想と感性だけでも、面白い映画って作れるんですねェ」と絶賛している。
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【プロローグ】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5 】 【6】 【7】 【8】 【本文註釈・参考文献】
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引き続き『ビデオ・ザ・ワールド』での青山正明の活動を追っていくが、雑誌はこの年の途中からロリータ物をほぼ扱わなくなり、青山も必然的にホラー映画のビデオを中心にシフトしていく。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年1月号/発行=白夜書房 |
「デンマーク発ほとんど犯罪ビデオ/ロリータFUCKビデオを楽しく観賞してみよう!!」という記事を執筆。海外ロリータ・ビデオ「ニンフ・ラバー」シリーズ(1984年2月〜)の7本中4本をかなり真面目に紹介。文体が何もひねくれておらず、横道にもそれていない青山の原稿はかなり珍しいが、文末がやや愚痴っぽいのが楽しい。「「青山は下品だから降ろせ」とか「青山の分裂症をどうにかしてくれ」という投書が最近富に増えている。そこで、今回は、冗談無しに書いてみた。原稿書きは、アタシの道楽ですからね。もう、こんなの書かんぞ。妻もこの原稿を読んで、あんまりの生真面目さに、開いた膣が塞がらんそうだ」。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年2月号/白夜書房 |
ホラービデオ紹介記事「オー、こわッ!血だらけ恐怖ビデオ、ショック場面に首ったけ!!」。青山は『Hey!Buddy』でこの一年ほど前からホラー映画の紹介を行なっていたが、1984年末ににっかつ、SHOWAの二社から字幕入りビデオが発売され、徐々に国内市場も広がりを見せていく過程にあった。『墓場の館』『スカルプス』『ボーディング・ハウス』の三作を紹介。他に大阪ホテトル嬢の盗み撮りビデオ「あけみ15才」「みどり17才」の紹介記事「クソ生意気なホテトル売春娘が本番!」。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年3月号/白夜書房 |
前回に引き続きホラー映画関係とエロ記事の二つ。「オー、くわばら!スプラッターB級ビデオのショック場面に首ったけ!!」ではゴアフィルムの王様、H・G・ルイスの紹介で、1985年1月25日に発売された『カラー・ミー・ブラッド・レッド』『血の祝祭日』『2000人の狂人』『キャプテン・クロノス/吸血鬼ハンター』の4本のビデオを紹介(すべてにっかつ)。「デカパイ洋物ビデオが大好きだ!!」はDカップビデオの紹介記事で、相変わらず紹介部分以外が面白い。「僕は、エロ本の原稿と云ったら、Dカップ物かロリータ裏ビデオしか書けません。(略)それで、よくエロ本ライターやって食ってるなと疑問に思われる方も多いでしょう。御心配には及びません。エロ原稿依頼は、ちゃんとありませんし、月々に振り込まれる稿料だけでは、ちゃんと食って行けません。世の中の仕組って、全く理にかなっていますね」。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年4月号/白夜書房 |
「超残酷ワンダーランド 面白ろ興奮ビデオが目白押し 恐怖映画(ホラームービー)に拍手喝采!! 血しぶき飛び交うB級スプラッタービデオに大興奮」と題した集中連載ページに。『マニトウ』(エンバシー)『死体と遊ぶな子どもたち』(にっかつ)『トランス 愛の晩餐』(大映)『フローズン・スクリーム』(SHOWA)を紹介。「“ポルノの次はホラーだ!”と断言して一年半。思えば、この発言は、ホラー原稿の仕事欲しさに口から出たデマカセ“放言”だったのですが、いやあ、見事に当たってしまったようですね」とまんざらでもない様子。この頃は『死霊のはらわた』の大ヒットで次々とB級C級のホラー映画がビデオ化されていた時期だった。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年5月号/白夜書房 |
前回の続き。『ドリラー・キラー』(MiMi)『マニアック』『血まみれ農夫の侵略』(にっかつ)、『ジャンク』(オレンジ・ビデオ・ハウス)の四本を寸評付きで紹介。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年6月号/白夜書房 |
前回の続き。『ドライブイン殺人事件』(MiMi)『惨殺の5日間』(エンバシー)『ナイトメアー・ワックス』(SHOWA)『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(フジビデオ)の四本を寸評付きで紹介。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年7月号/白夜書房 |
この号から青山のホラー映画記事は「VIDEO City」というビデオ情報ページの一つに押し込まれてしまった。しかし紹介ビデオ数は増え、『血の魔術師』『ミミズ・バーガー』『人間ミンチ』『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』『ザ・クレイジーズ』『マーティン』『バスケット・ケース』と数で勝負状態。なお8月号は書いていない。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年9月号/白夜書房 |
「VIDEO City」記事内で『何かが道をやって来る』『血を吸うカメラ』『宇宙からのツタンカーメン』『怪奇・真夏の夜の夢』『悪魔の墓場』を紹介。特に最後の作品についてはかなり思い入れが強いようだ。「「悪魔の墓場」がTV放映された時、家にビデオはなかった。そして、高校生だった僕は、悲しくて泣いた。にっかつさん、アリガト」「明言します。ゾンビ映画では、この「悪魔の墓場」が一等恐い! ストーリーが最も秀逸なゾンビ物は、「ゾンゲリア」だが、菅只(註:原文ママ)、恐怖と残酷のみに視点を定めれば、かの「サンゲリア」以上に、こいつは恐い」。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年10月号/白夜書房 |
「VIDEO City」記事内で、今回はホラー以外を紹介。『ザ・メイキング・オブ・ターミネーター』はその名の通り『ターミネーター』のSFX紹介ビデオ、『命がけ!イス取り大合戦』は喜劇王メル・ブルックスの作品、カルトSF『リキッド・スカイ』の三本。『リキッド・スカイ』は音楽以外はこき下ろしている。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年11月号/白夜書房 |
「VIDEO City」記事内で、『ザ・ベスト・オブ・アメリカン・プロレス』というプロレスのビデオ、ハマー・プロの『妖女ゴーゴン』、名称不明のミュージカル映画(ビデオ紹介記事なのにタイトルがどこにも書いてない)、『V.マドンナ大戦争』を紹介。
『ビデオ・ザ・ワールド』1985年12月号/白夜書房 |
パロディ映画『パニック同窓会』、メリル・ストリープ主演の『シルクウッド』、かたせ梨乃が脱いだ『愛しき日々よ』、B級ホラー『ホラー喰っちまったダ!』、『フランケンシュタインの花嫁』を紹介。『ホラー喰っちまったダ!』について「これぞ超B級ホラーの傑作!SFXも演出も、全く素人の域だが、観るモノをグイグイと珍妙な笑いの世界に引きずり込んでしまうこと必至。発想と感性だけでも、面白い映画って作れるんですねェ」と絶賛している。
(続く)
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ばるぼら ネッ
トワーカー。周辺文化研究家&古雑誌収集家。著書に『教科書には載らないニッポンのイ
ンターネットの歴史教科書』『ウェブアニメーション大百科』など。なんともいえないミ
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09.05.31更新 |
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