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「ビデオ・ザ・ワールド」における青山正明(3)

取材・構成・文=ばるぼら

21世紀を迎えてはや幾年、はたして僕たちは旧世紀よりも未来への準備が整っているだろうか。乱脈と積み上げられる情報の波を乗り切るために、かつてないほどの敬愛をもって著者が書き下ろす21世紀の青山正明アーカイヴス!
『ビデオ・ザ・ワールド』1986年6月号 発行=白夜書房
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「ビデオ・ザ・ワールド」における青山正明(3)

「ビデオ・ザ・ワールド」に青山が書く文章はほとんどビデオ紹介なので、これといって目立った情報はないが、細かいエピソードを挿入する時があり、それが見逃せない。

『ビデオ・ザ・ワールド』1986年1月号/白夜書房
『ビデオ・ザ・ワールド』1986年1月号

ゴダールの名作『アルファヴィル』、抱腹絶倒のホラーコメディ『スプラッターハウス笑激の館』、ロイ・ウォード・ベイカー監督『墓場にて』、『ジャンク3』の紹介。最後の『ジャンク3』は「ギニーピッグ」で有名になるオレンジビデオハウスからのリリースで、青山はこの作品について「何故、内外のホラー研究書は、この手の作品を無視し続けるのだろうか」と煽っている。

『ビデオ・ザ・ワールド』1986年2月号/白夜書房
『ビデオ・ザ・ワールド』1986年2月号

アフリカ全域で行なわれている種々の部族の奇習を5年にわたって撮影した残酷ドキュメンタリー『魔界の大陸』について「恐けれりゃいい、気持ち悪けりゃいい……。煎じ詰めれば、これが私のホラー干渉に於けるポリシーである」と身もふたもない薦め方。その他に『ミイラ再生』、『ビキニマシン』、『ビデオ・マガジン・ムー VOL.1』を紹介。最後のはもちろんオカルト雑誌『ムー』が出していたビデオである。

『ビデオ・ザ・ワールド』1986年3月号/白夜書房
『ビデオ・ザ・ワールド』1986年3月号

『バチェラー・パーティー』、『フレッシュ・ゴードン』(『フラッシュ・ゴードン』のエロチック・パロディSF)、『トイ・ソルジャー』、海外音楽グループ『デッド・オア・アライブ』(映像集)。デッド・オア・アライブについては『フールズ・メイト』在籍時に気になっていたらしく「3年程前、僕が「フールズ・メイト」で只働きの雑用兼イジメられ役をやっていた頃、“サイケデリック界のボーイ・ジョージ”と編集部内で妙にウケていた」とのこと。『フレッシュ・ゴードン』の記事には誤植があり、8月号で苦情の手紙が来ている。

『ビデオ・ザ・ワールド』1986年4月号/白夜書房
『ビデオ・ザ・ワールド』1986年4月号

カルト映画『ウィッカーマン』、社会問題と人種差別を描いた『さようならミス・ワイコフ』、コメディ『トップ・シークレット』、実写映画『ビー・バップ・ハイスクール』と、まったくバラバラの4本。いかにもお仕事である。

『ビデオ・ザ・ワールド』1986年5月号/白夜書房
『ビデオ・ザ・ワールド』1986年5月号

『世界残酷物語』を「公開当時はセンセーショナルだったんだろうけど、今じゃあね……」と皮肉まじりに紹介し、『死霊の祝福』は“訳が分からんけど面白い”と褒め、ロジャー・コーマンの代表作『恐怖の振子』を絶賛し、ルチオ・フルチの一番グロい『地獄の門』に「あたしゃ、ルチオ・フルチにへばり付いて稿料ふんだくるって決心してるもんで……」と心酔。


『ビデオ・ザ・ワールド』1986年6月号

『猿の惑星』『グレート・ハンティング』『魔界からの招待状』の三つ。どれもストーリー紹介のみ。

『ビデオ・ザ・ワールド』1986年7月号/白夜書房
『ビデオ・ザ・ワールド』1986年7月号

「僅かの人がビデオでしつこく繰り返し観る」という意味で、日本に於ける正しいカルト・ムービー(ビデオ)として『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を推薦。何の説明もなくトマトが人間を襲い始める物語だが、「知人は、ニューヨークで、ニンジン、キュウリ、あともう一つ野菜を使った映画を、キラー・トマトと併せて4本連続オールナイトで観たそうで、いやはや、そんなシツコサがたまりませんね。カルトは、ハハッ」と珍妙なエピソードも紹介。その他『ウルフェン』『恐怖の殺人ビデオ』を紹介。「他人の作ったフィルムを観て云々批判するのも飽きてきたから、今度は、早大のサークルに入って自ら作品をこしらえることにしました。完成したらこの欄で紹介させてもらおっと」という、興味深い記述がある。なお本筋と関係ないが、本号で高杉弾氏が『MONDO TOPLESS』の紹介文で「「MONDO」という言葉をご存知だろうか」と“モンド”の解説を行なっている。


『ビデオ・ザ・ワールド』1986年8月号/白夜書房
『ビデオ・ザ・ワールド』1986年8月号

『シビルの部屋』、『注目すべき人々の出会い』、『フェイドTOブラック』の三本。オカルティスト、G・I・グルジェフの自伝を映画化した『注目すべき〜』については期待はずれだったようで、映画よりも本を読むよう薦めている。最後の『フェイド〜』の記述に注目したい。「僕は、他人から無駄に思われるような事でも、“知りたい、覚えたい”欲求を有している人の方が、知る事を止めてしまった人より、精神的に生きているという意味に於て優れている(あるいは、幸せ)ような気がしてならない」「サスペンス、スリラーの体を借りたマザ・コン映画として、僕は、この作品を、『サイコ』以上の出来と判断する」。


『ビデオ・ザ・ワールド』1986年9月号/白夜書房
『ビデオ・ザ・ワールド』1986年9月号

『凸凹フランケンシュタインの巻』、『ユー・アー・ノット・アイ』、『エルム街の悪夢』の三本。『ユー・アー〜』は「Flesh Paper」でも紹介していたように、「ここ5年、僕が観た映画の中で、最も印象深い傑作であることを明言したい」と力強い推薦の言葉。


『ビデオ・ザ・ワールド』1986年10月号/白夜書房
『ビデオ・ザ・ワールド』1986年10月号

『恐竜グワンジ』、『ザ・リッパー』、『四次元への招待』の三本。紹介文の出だしが毎回挨拶になっており、順に「こんにちは。インポの青山正明です」「こんにちは。不運な妻と共に四万温泉で休養してきた青山正明です」「こんにちは。4日間も温泉でくつろいでしまったばかりに、〆切地獄に苦しみ、不運な妻のことを思いやる時間もない26歳のマンガ編集屋、青山正明です」。これ以外は普通のストーリー解説になっているのが意味不明すぎてじわじわ笑える。『四次元への招待』は、小学6年生の夏に深夜放送(オナニーのため淫猥な深夜放送を探していた)で観た『怪奇・真夏の夜の夢』の完全版だったという思い出の作品らしい。


『ビデオ・ザ・ワールド』1986年11月号/白夜書房
『ビデオ・ザ・ワールド』1986年11月号

『デアボリカ』の紹介で「この役立たずのインポ男が、オナニーの単行本を執筆中と云うのだから、開いた膣が塞がらない……」と前にも書いたネタをくり返し。『邪淫の館 獣人』、『逆転』、『針の眼』の合計四本。最後の『針の眼』はいいエピソード付。「忘れもしない81年10月。ふとしたキッカケで知り合った20歳の女性。交際1ヶ月目。嫌がる彼女を強引に説得して、2泊3日の京都の旅。その時、2人で初めて見た映画が、この『針の眼』であった。(略)彼女は現在25歳。私の妻だ」。


『ビデオ・ザ・ワールド』1986年12月号/白夜書房
『ビデオ・ザ・ワールド』1986年12月号

『白と黒のナイフ』『天才アカデミー』『アニマル・セックス』『世界女族物語』。ほとんどストーリー紹介であまり面白みはないが、『天才アカデミー』は6月に行ったタイ旅行中に現地で観た作品だったそうで、唐突にタイでの少女売春の話題が挿入されるのが、らしいといえばらしいか。


(続く)


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man.gif ばるぼら ネッ トワーカー。周辺文化研究家&古雑誌収集家。著書に『教科書には載らないニッポンのイ ンターネットの歴史教科書』『ウェブアニメーション大百科』など。なんともいえないミ ニコミを制作中。

「www.jarchive.org」 http://www.jarchive.org/

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09.06.07更新 | WEBスナイパー  >  天災編集者! 青山正明の世界
文=ばるぼら |