『宝島』1993年2月9日号/発行=JICC出版局
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番外・各誌における青山正明
来週からまた連続更新となるので、今回はこれまでの更新では話の文脈上触れられなかった出演媒体をいくつか押さえておきたい。
『VIVIAN』1985年10月号
『VIVIAN』は『デラべっぴん』などで知られた出版社・英知出版が出していた洋ものオンリーのエロ本。解禁前だがヘアの修正がなく、一部スケパン的写真があり、時代を感じさせる。青山はこの号から「無差別イタズラ講座」という連載記事を開始。第一回テーマは「芝生破壊」。夜中にコーンフレークをぶちまける、小石を撒いて芝刈り機の刃をボロボロにさせる、ハッパやシャブを埋めて警察に電話する、大麻の種を撒いておく、除草剤をぶちまける、有毒ガスを発生させる薬品を撒く……など、イタズラレベルじゃない犯罪では?と気になる内容が書かれている。
『VIVIAN』1985年11月号
「無差別イタズラ講座」第二回。出張専門、いわゆるデリヘルの小ネタで、「只で女と寝る方法」「出張売春婦に制裁を加える法」を紹介。といってもカメラとレフ板を持つ友人と一緒に街中で強姦するなど、ありえない話題ばかりである。
『FOCUS』1993年1月15日号
「全て体験済み」麻薬の解説書決定版を出したライター
1992年11月に青山正明の初の著書『危ない薬』(データハウス)が発売されてから、青山はいくつかの媒体でインタビューを受けている。これはその一つで、「ニューパワー'93」という93年に活躍する人紹介のコーナーに登場。「あくまで禁制品であると自覚していれば重度の中毒は免れる。むしろ抑制のないアルコールの方が最悪のドラッグ」「酒、マージャン、車、野球程度で満足するのが不思議ですね」など、快楽主義者として一貫した姿勢を崩さない発言が頼もしい。東南アジアの少女売春についてまとめる予定があると書かれているが、別冊宝島EXのことだろうか。
『宝島』1993年2月9日号
書いた人にきけ!!超・実用的な情報満載!正しいジャンキーが書いた完全無欠のドラッグ辞典
サブカルチャー誌からヘアヌード誌に変わる途中の時期に登場。柳下毅一郎氏による取材記事で、著者のスタンスを明らかにすることを主軸にした内容。「ドロップアウトして薬の世界に沈みこんで楽しいかって言うと決してそんなことはない。生きてるよりつらいこともあるし、あんまりのめり込みすぎるとかえって面白くない。快感を持続させるためには、節度を守るのが重要なんです」という部分は、快楽を追求した果てのバランス感覚であり、一見いいことを言ってる気がするのが良い。他はヘロインをやりすぎて小便が出なくなった話など。
『ダ・ヴィンチ』1995年2月号
麻薬などが出てくる文学を紹介する「人間やめずに幻を見にいく 読むドラッグ」特集にコメントで出演。ウィリアム・バロウズ『ジャンキー』の麻薬描写について。『Crash』1995年2月号で同じネタを使いまわしている。
『AERA』1996年7月8日号
東大卒になぜか多い「微変態」クン
30代女性が不倫に走る理由の一つを、同年代の30代男性に微変態が多いことを挙げた記事で、後半に青山が『危ない1号』の編集者として登場。「僕らの世代はビデオやパソコンに洗脳された、いわばメディアフェティッシュ。中途半端なインテリほど妄想がねじれ、家族や子供を作るバイタリティーがないんです」「ボタン一つで早回しできるビデオと違って、要求が多かったりうるさかったりする生身の女は、つきあうのがしんどいという実感もある」。まるでオタク批判によく登場する典型的オタク像の言い分である。
『AERA』2001年11月19日号
サブカルチャーのカリスマたちの自殺
青山正明、ねこぢる、X-JAPANのhideの自殺をなぜか一括りにした記事で、サブカルチャーに対する書き手の無理解がうかがえる。記事は青山の遍歴を辿りながら、『別冊宝島 死体の本』『完全自殺マニュアル』に触れつつ、新人類の行く末について案じるもの。
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2009.8.23 Sun.at 有明・東京ビッグサイト西1ホール
2009年8月23日(日)開催 COMITIA89!! 文=ばるぼら
“本”と私たちの新しい関係を巡って
海外雑誌との付き合い方 文=ばるぼら
“本”と私たちの新しい関係を巡って(2)
“ZINE”≠ART BOOK? 文=ばるぼら
“本”と私たちの新しい関係を巡って(1)
“ZINE”≠同人誌・ミニコミ? 文=ばるぼら
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番外・各誌における青山正明
来週からまた連続更新となるので、今回はこれまでの更新では話の文脈上触れられなかった出演媒体をいくつか押さえておきたい。
『VIVIAN』1985年10月号/英知出版 |
『VIVIAN』は『デラべっぴん』などで知られた出版社・英知出版が出していた洋ものオンリーのエロ本。解禁前だがヘアの修正がなく、一部スケパン的写真があり、時代を感じさせる。青山はこの号から「無差別イタズラ講座」という連載記事を開始。第一回テーマは「芝生破壊」。夜中にコーンフレークをぶちまける、小石を撒いて芝刈り機の刃をボロボロにさせる、ハッパやシャブを埋めて警察に電話する、大麻の種を撒いておく、除草剤をぶちまける、有毒ガスを発生させる薬品を撒く……など、イタズラレベルじゃない犯罪では?と気になる内容が書かれている。
『VIVIAN』1985年11月号/英知出版 |
「無差別イタズラ講座」第二回。出張専門、いわゆるデリヘルの小ネタで、「只で女と寝る方法」「出張売春婦に制裁を加える法」を紹介。といってもカメラとレフ板を持つ友人と一緒に街中で強姦するなど、ありえない話題ばかりである。
『FOCUS』1993年1月15日号/新潮社 |
「全て体験済み」麻薬の解説書決定版を出したライター
1992年11月に青山正明の初の著書『危ない薬』(データハウス)が発売されてから、青山はいくつかの媒体でインタビューを受けている。これはその一つで、「ニューパワー'93」という93年に活躍する人紹介のコーナーに登場。「あくまで禁制品であると自覚していれば重度の中毒は免れる。むしろ抑制のないアルコールの方が最悪のドラッグ」「酒、マージャン、車、野球程度で満足するのが不思議ですね」など、快楽主義者として一貫した姿勢を崩さない発言が頼もしい。東南アジアの少女売春についてまとめる予定があると書かれているが、別冊宝島EXのことだろうか。
『宝島』1993年2月9日号/JICC出版局 |
書いた人にきけ!!超・実用的な情報満載!正しいジャンキーが書いた完全無欠のドラッグ辞典
サブカルチャー誌からヘアヌード誌に変わる途中の時期に登場。柳下毅一郎氏による取材記事で、著者のスタンスを明らかにすることを主軸にした内容。「ドロップアウトして薬の世界に沈みこんで楽しいかって言うと決してそんなことはない。生きてるよりつらいこともあるし、あんまりのめり込みすぎるとかえって面白くない。快感を持続させるためには、節度を守るのが重要なんです」という部分は、快楽を追求した果てのバランス感覚であり、一見いいことを言ってる気がするのが良い。他はヘロインをやりすぎて小便が出なくなった話など。
『ダ・ヴィンチ』1995年2月号/リクルート |
麻薬などが出てくる文学を紹介する「人間やめずに幻を見にいく 読むドラッグ」特集にコメントで出演。ウィリアム・バロウズ『ジャンキー』の麻薬描写について。『Crash』1995年2月号で同じネタを使いまわしている。
『AERA』1996年7月8日号/朝日新聞社 |
東大卒になぜか多い「微変態」クン
30代女性が不倫に走る理由の一つを、同年代の30代男性に微変態が多いことを挙げた記事で、後半に青山が『危ない1号』の編集者として登場。「僕らの世代はビデオやパソコンに洗脳された、いわばメディアフェティッシュ。中途半端なインテリほど妄想がねじれ、家族や子供を作るバイタリティーがないんです」「ボタン一つで早回しできるビデオと違って、要求が多かったりうるさかったりする生身の女は、つきあうのがしんどいという実感もある」。まるでオタク批判によく登場する典型的オタク像の言い分である。
『AERA』2001年11月19日号/朝日新聞社 |
サブカルチャーのカリスマたちの自殺
青山正明、ねこぢる、X-JAPANのhideの自殺をなぜか一括りにした記事で、サブカルチャーに対する書き手の無理解がうかがえる。記事は青山の遍歴を辿りながら、『別冊宝島 死体の本』『完全自殺マニュアル』に触れつつ、新人類の行く末について案じるもの。
(続く)
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ばるぼら ネッ
トワーカー。周辺文化研究家&古雑誌収集家。著書に『教科書には載らないニッポンのイ
ンターネットの歴史教科書』『ウェブアニメーション大百科』など。なんともいえないミ
ニコミを制作中。
「www.jarchive.org」 http://www.jarchive.org/ |
09.09.06更新 |
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天災編集者! 青山正明の世界
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