不定期連載 美しい日本人女性のためのコルセット製作術!
Japanese modern corset photo column.
古く中世から普及し始めたコルセットの伝統を踏まえつつ、現代の日本人女性に向けたオリジナル・コルセットの製作を手がけるパタンナーが、作品の撮り下ろし写真とともに創作の心と技を示す新連載。「美しさ」の創造を目指す現場で素朴にきらめく、誰にも知られることのない光の乱舞。
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「日本人の為のコルセットを求めて」
着けた人をいかに美しく見せられるか。そしていかにそれを見た人を魅入らせられるか。
それは私がコルセットを製作する際、第一に考えることです。
LOVELAD RESSENCE のコルセットの特長は、“日本人が作る日本人の為のコルセット”というコンセプトにあります。
衣服とは、まずデザインを考え、それを元に平面での設計図を描きます。
そこから生地を裁断し、縫製という名の組み立てを行ない、立体化させたものです。
この設計図を私達はパターン(型紙)と呼んでいます。
ここ最近では立体裁断など立体から作り上げていく手法も増えていますが、やはり基本は平面です。
デザインはあくまでも頭の中にあるイメージをカタチにする作業です。
パターンはそこから一歩踏み込んで、そのデザインを三次元化するための縫製方法や仕様まで考えた上での設計が必要となってきます。
つまりいくら素敵なデザインであっても、衣服として成り立たないデザインも多々存在するということです。
また、逆に言えば、どんなデザインであろうと、想定通りに具現化されるかどうかは、パタンナーの腕次第ということにもなってくるのです。
元来、コルセットとは海外が発祥の地。その為当然ながらコルセットのパターンは欧米人の体型に合わせたパターンになっています。
しかしながら日本人と欧米人の体型の差というのは大きく、どうしても肋骨等に無駄な負担をかけてしまうことがあるようです。
LOVELAD RESSENCEのコルセットをご購入頂いたお客様がよく下さる感想の中に、「ラブレス(LOVELAD RESSENCE)のコルセットを着けるまでは、コルセットとは痛みを伴うものなんだ。皆この痛みを乗り越えてきてるんだ!と思って我慢してました」という内容のものがあります。
逆に考えるならば、体型に合ったものを身に着ければ無駄な負担や痛みを我慢する必要などないということです。
きっと、コルセットを愛用している方の中には、上述のお客様と同様の誤解をされている方が他にもたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。私はそんなイメージを払拭すべく、専門学校時代に学んだ、日本人と欧米人の体型の違いを元にオリジナルのパターンを引き始めました。
そして日本人の体型にあったパターンにしていく為に、自分を含め、友人知人に協力して貰い、何度も何度もパターンの改良を繰り返してきました。
パターンというのはおもしろいもので、同じアイテムのパターンを引いても十人十色。
カーブのきつやさラインの引き方が人それぞれ違うので当然ながら個人差が出ることになります。従って、いかに素敵なデザインであっても、前述した通りデザイン通りになるかどうかはこのパターン次第なのです。いかに丁寧な縫製であっても、このパターンがしっかりしていなければ、良いものには仕上がりません。だからこそ、コルセットの製作において一番の要(かなめ)はパターンじゃないかと私は思っています。
少し話は反れますが、以前、私が尊敬を抱くある方に教えて頂いたことがあります。
言葉に引きずられてはいけないと。言葉にすることで、カタチを決めてしまうことで、カテゴライズしてしまうことでその言葉や文字に拘束されてしまうことがあります。
こうでなければいけない、こう言ったからにはこうしなきゃいけない。
そんな風に考えてしまうと、とても視野の狭い人間になってしまうような気がします。
教えて頂いた時、私はコルセットとはまったく別のことで悩んでいたのですが、ある意味コルセットに関しても同じようなことが言えるのではないかと思っています。
私は常に新しいものを追求していきたい。
中世から普及し始めたコルセットを現代の人達が受け入れやすいカタチで提供することで、より多くの人達にコルセットを愛して頂きたいと思っています。
海外におけるコルセットの歴史はとてつもなく長いものです。
。積み重ねられた歴史から得られる知識や情報は膨大な量だと思います。しかしながら、それは時として枷になってしまうこともあります。
知識や情報に囚われず、最高のパターンを引く為に、私は敢えて余分な情報から目を背けることにしました。
パタンナーとしての勉強をしてきた私のプライドもそこにあるのかもしれません。
確固たるものを築いてから改めて必要と感じた時に更なる知識や情報を手にするのが最良ではないかと考えています。
需要の高いコルセットに必要なものは何なのか。
先にも書いた通り、私は友人や知人を中心に、日本人女性が自分の身体で一番気になるところはどこかリ
サーチをしました。その結果、やはり一番は「下腹部」、次に「胸」、そして「背中」という回答が得られました。
そこで、まずは下腹部をしっかり抑えられて、できるだけ下腹部分がフラットになるようなパターンと仕様にしました。
胸に関しては、アンダーバストの場合は少し胸を押し上げるようにフロントを長めに設定し、腋に向かってのカーブで胸を大きく見せられるようにしています。
またオーバーバストの場合は胸を潰さないようにバストカップを内蔵しました。
最後に背中。特にブラジャーをしてアンダーバストをすると、ブラジャーとコルセットの隙間が気になるという声が多く、これも少し丈を長めに設定することで、ブラジャーとの間ができにくい仕様にしています。
ここまでパターンについて詳しく述べてきましたが、それは私がコルセットを作る上で最も大切な前提としていることだからです。
私にとってコルセットは、矯正器具ではなくあくまでもファッションアイテムです。
それなのに何故ここまでパターンに拘っているのかというと、女性ならではの美しいシルエットを最大限に引き出すことをコルセット製作における要点の一つと考えているからです。
そしてその基本を踏まえた上で、より一層美しくみせる為、あるいは個性を引き出す為に、素材やデザインというものをプラスしているのが私の作るLOVERLAD RESSENCE のコルセットです。
(続く)
関連サイト
LOVELAD RESSENCE
LOVELAD RESSENCE
http://www.lovelad-ressence.com/
http://www.lovelad-ressence.com/
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10.01.17更新 |
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ジャパニーズ・モダン・コルセットの虹
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