毎週日曜日更新! あの日“アイツ”を追いかけた 全ての女子たちへ! 「腐った遺伝子」 第7回 文=早川舞 ←『SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.31 電脳戦機バーチャロン』 品番:SLPM-62767 税込 ¥2,625(税抜 ¥2,500) 販売元:株式会社 セガ (C)SEGA |
何やらWEBスナイパーでガンダムの話題が出ていますね。ワタクシ、ガンダムはほとんどわからないのですが、一時期メカデザイナーを務めていたカトキハジメ氏のデザインは大好きです。何が好きかって『バーチャロン』シリーズが。途中から私の運動神経ではついていけなくなりましたけど。『バーチャロン』はロボットキャラによる3D対戦ゲームなのですが、カトキさんの秀逸なデザインと、ロボットなのにも関わらず異様に細かい設定が人間くささを感じさせたせいか、腐女子界の一部でも『バーチャロン』は取り沙汰されていました。どこにナニを入れてどこからナニを出すの!? とか、そんな野暮なことは聞いちゃダメです。
「バイパー\x87U」かっこよかったなぁ。装甲めちゃくちゃ薄くてよく撃墜されたけど。シリーズが進むにつれてデザインがかっこ悪くなっていくのが悲しかったです。なので、“オラタン”になってからはあっさり「スペシネフ(2P)」に乗り換えました。エヴァも、量産型が好きなんです。
(前回からの続きです)
というわけで腐女子の先輩とコスプレをしようということになった私。中学生のときに初めてやったコスプレの悪夢が蘇らなかったわけではありませんが、それを思い出してもなお、コスプレしたいという作品への愛が止まらなかったわけです。そのゲームとは『サムライスピリッツ』。
←『サムライスピリッツ天草降臨スペシャル (PS one Books)』
品番:SLPS-91513
税込 ¥6,090(税抜 ¥5,800)
販売元:株式会社SNK プレイモア
(C)Copyright 2006 SNK PLAYMORE CORPORATION All rights reserved.
↑元祖ではなく、2作目か3作目のパッケージ。アニメ化されたものは、主人公に香取慎吾、ヒロインに千葉麗子が声優として配されるという、今から見ればバブル極まりない豪華さでした。そういえば先日、「チャムチャム」のあまりのかわいさについ、パチスロにもパチンコにもまったく興味がないのにフラフラとパチ屋に入ってしまいそうになりました。エヴァには見向きもしなかったのに……恐るべし「チャムチャム」。
“スト2”的対戦格闘ゲームの流れを汲みながらも、武器を使用するという当時としては斬新な発想と、江戸時代後期を背景とする世界観の作りこみようがオタ心を刺激して止まなかったのです。相手を切るとちゃんと血が噴き出るというのもステキでした(笑)。
関係ありませんが、海外輸出版は血の色が赤だとリアルすぎるというので白になっており、牛乳みたいでした。ていうか、余計不自然だよ……。
さて、中学の忌まわしい思い出を乗り越えての決断とはいいましても、同じ愚を繰り返すことは何としても避けたいところ。そこで、DIYの精神はキッパリ捨てることにしました。手作りを避けるとなると当然既製品で勝負するしかないわけですが、ここで「キタ」のが「橘右京」というキャラ。居合道の達人の浪人で、肺結核を病んでいるという、ある意味「お約束」な、作品きっての美形キャラです。
↑「橘右京」は当時の持ちキャラでした。もちろん顔で選びました。「つばめ返し(必殺技)」がなかなか出せないで苦労したなぁ。「つばめ返し」を習得するのに、1週間分ぐらいの昼ごはん代を費やしたような気がします。育ち盛りだったというのに……。だいたい空中でコマンド入れるっておかしいよ(当時の概念では)! ちなみに青よりオレンジのほうが好きでした。派手なほうが好みなんです。
もはやこんなイラストしか描けなくなった私ですが(いや、昔からこんなですが)今度知り合いの漫画家さんのところにアシスタントに行ってきます。ベタをこぼさないように注意するところから始めなければ……。
こちらの「橘右京」の衣装は、へっぽこな私のイラストではまったくもってわからないでしょうが(ていうか描いてないし)、道着に紺袴というシンプルないでたち。剣道をするときのあの格好です。ということは、最初から剣道着を用意しさえすれば、もうあの屈辱を味わわないで済むのです。しかも運のいいことに、髪型も当時はそのまんまでした。ハードル低ぅ!
そんなわけでさっそく剣道部の友人に頼んで、道着一式を貸してもらいました。ちなみに先輩は何のコスプレをしたか、忘れました……すいません。でも、それほどこの体験は強烈だったってことです(フォロー)!
参戦した場所は、かつて辛酸を舐めたあの地方コミケ……とはいっても、同人誌即売会に参加するために、いっつも行っていたんですけど。
そこの、更衣室とは名ばかりの、カーテンで仕切られただけの場所で道着に着替えたとき、なんかこう……頭の中にホワァ〜っと甘いものが広がったんですよ。学ランを着たときにも、似た感じはありました。しかし、今回のものはもっと強くて濃いものでした。
学ランを着ることで飛び越えられたのは、どんなに馴染みのある男装だったとは言えど、せいぜいが「日常」の壁でした。でも、今度の体験では日常どころか、「次元」まで飛び越えられた感覚がありました。私が『聖闘士星矢』にハマったときから漂い続けていた「狭間の世界」が、その瞬間にうっすらと色づいたのです。
その感覚は、その衣装でカーテンの外に出たときに、さらに強く、確実なものになりました。
当時、地方の小さなイベントでコスプレをする人なんてほとんどいませんでしたから、私は必要以上に「ちやほやされた」のです。
「似合いますね!」とか「本物みたい!」と何度も声をかけてもらったし、写真も何枚も撮ってもらいました。
それが、余計に現実と「狭間の世界」の結びつきを強く感じさせました。これが、家でひとりで袴を履いて楽しんでいるだけだったらそうはいかなかったでしょう。
現実と空想、あるいは理想の狭間の世界は、自分の行動次第で、よりリアリティのある密度の高いものにすることができる、ということを、私はこのときに無意識のうちに体感しました。それは結局、その後SMにも生かされたような気がします。
↑当時のコスプレの写真がなかったので(というか、今までやったもの自体が1枚も残っていませんが。忌まわしい過去としてイヤになってすべて処分してしまった時期があったので)今年の夏にやったやつ。30女のメイドさん。隣に写っているのは本誌でもおなじみの、フランス人ジャーナリスト・アニエス。場所は居酒屋。なぜこういう状況でこんなことをしたのかは聞かないで下さい。
早川舞 世界、特にヨーロッパのフェティッシュ・カルチャー関係者との交流も深い、元SM女王様フリーライター。だが取材&執筆はエロはもとよりサブカルからお笑い、健康関係まで幅広く?こなす。SMの女王様で構成されたフェミ系女権ラウドロックバンド「SEXLESS」ではボーカルとパフォーマンスを担当。
Reverse Dead Run |
07.11.18更新 |
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