毎週日曜日更新! あの日“アイツ”を追いかけた 全ての女子たちへ! 「腐った遺伝子」 第10回 文=早川舞 ←『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』 発売元:初恋妄℃学園 品番:SKOOL-012 税込:3,150 円(税抜3,000 円) (C) 2003-2007 初恋妄℃学園 All Right Reserved. |
今までの連載を読み返してみて、女王たるものの威厳を一文字にも見出せなかった私ですが、先日そんな状況に追い討ちをかけるように、この年末進行の中、知り合いの漫画家さんのアシスタントに入ってきました。立場でいえばMです。いやもう、アシスタントなんて横文字を使うのもおこがましいほどの単純作業の連続……。
「ベタはこぼします、はみ出します、絶対」と事前に必死に申告しておいたせいか、私に与えられた作業はスクリーントーン貼り。
そりゃ同人誌でやってましたけど、もう10年以上ブランクがあるし、絶対大きいところしかできないYO!と思っていたのですが、合計9時間に及ぶ作業が終わる頃にはすっごい細い線とかガンガン切れるようになっていて、
「トーン? 黙って私に回してちょうだい」
ぐらいの勢いになっていました。この体があなたを覚えていたの。
しかし何だかんだいってやってみてよかったです。
「トーンを使った作業をしていると切りカスが足の裏にくっつく」という青春時代のちょっとしたひとコマをリアルに体験しなおせたことと、「銀杏BOYZ」と「ガガガSP」(BGMでエンドレスで流れていた)が思っていた以上にすばらしいバンドであるというのを発見できたので。
身に覚えのある方も多いと思うんですが、単純作業に延々没頭していると感覚が変に研ぎ澄まされますよね? それで異様に深く聞き入ってシマイマシタ……。
いろいろ語りたいことはありますが、一言で言うと「人生の暗黒時代」と呼ばれる(らしい)中学生時代にどれだけ、どういう種類の黒々としたものを抱いていたかで、その人の人生の行き先は決まるのだなぁと。
あの娘に1ミリでもちょっかいかけたら殺す。
(前回からの続きです)
前回、印象に残っているコスプレしたキャラクターの名前を挙げていましたが、じつはいちばん大事なキャラクターの名前を出していませんでした。
当時私がコスプレしたキャラクターの中に、その後の人生を決定づけたといっても過言ではないほどの強烈な体験をもたらしたキャラクターがいます。
当初はオタク向けのいちアニメだったはず(らしい)が、いつの間にか社会現象にまでなってしまった『新世紀エヴァンゲリオン』の「綾波レイ」です。
うわぁ、恥ずかしい (笑)!!
みんながこのキャラを知っているであろうだけに恥ずかしいわ!
しかしですね、みんなが知っていたからこそ、綾波(もはやオタモードの呼び方)は私にとって特別なキャラクターになり得たのでした。
←『新世紀エヴァンゲリオン 第3巻』
著者:貞本義行
税込:567 円(税抜540 円)
発行元:角川書店
Copyright All rights reserved. KADOKAWA GROUP PUBLISHING CO.,LTD.
↑当時はさすがにプラグスーツは作れなかったので、第3中学校の制服を着ていました。今だったらちょっといじったらプラグスーツになりそうなエナメルのキャットスーツも持っているんだけど、さすがにもう遅すぎる……。でも私が今キャットスーツが好きなのは、絶っっっ対にプラグスーツの影響もあります。全面的にじゃないけど。
私は当時ちょうどああいう髪型をしていたし、性格も今よりはきゃんきゃんしていなかったし、カラコン入れていたし、酒も飲まなかったし(関係ない)、バンドでシャウトやダミ声やデス声や歌ったりしてなかったし(全然関係ない)、結構綾波が「似合った」んです。
オタクではない普通の友人にも、写真を見せるとそう言ってもらえました。お世辞8割だとしても!
それに多分、私は綾波で初めてコスプレイヤー夢のカウントダウナー(※1)になれたんじゃないかなぁ。
※1 すいません勝手な造語です(笑)。コミケ会場なんかで写真撮影の要望の多いコスプレイヤーさんは、いちいちひとりずつ対応していたら埒が明かないので、カメラマンに半円の形で周りを囲んでもらい、誰か(大抵そのへんにいる関係はないが善意はあるイベント慣れした人、またはスタッフ)のカウントダウンのもと、全員一斉に撮ってもらいます。その対象となるコスプレイヤーさんのこと。
私はもともと、とっても自己愛が強い、世界でいちばん自分が大好きな人間なので、これによって大いに自己顕示欲が満たされました。
もちろんコスプレというやり方以外にも何か他に表に出る方法はあったとは思うのですが、しかし、私の自己顕示欲はもうあまりにも、ちょっとおかしいぐらいに強すぎたので、ただ自分が身ひとつで表に出るだけでは全然物足りなかったのです。
私は自分のまわりの環境や背景、またそこにいることで自分が帯びることになるイメージや周囲が自分に与えるラベリングなど、すべて理想的なものをひっさげた上で表に出ていきたかったのでした。
コスプレで「そっくり」だとか「イメージ通り」と褒められるのは、厳密には私は私の理想とする世界の住人ではないけれど、しかし他人からはそう見えるという意味で、こうありたいと願う希望にかなり肉薄できるものでした。
このアイタタな考えというか性格はきっと生まれつきでしょうからなおるはずもなく、SMを経て、今は#01という形に結実しております。
多少成長の跡が見られるとしたら、自己顕示欲の効果的かつ理性的な使い方がわかってきたことでしょうか。
自己顕示欲というのは要するに、できるだけたくさんの人の目に触れるという状態を触媒にして、自分の持つスペック(生まれつきのものも後天的に身につけたものも有形のものも無形のものも)で誰かの、それもできるだけ多くの人の何かを「変えたい」、もっと言えば「侵食したい」ということだと思うのですが(「伝わる」なんて甘っちょろいもんじゃないです。伝わるだけなんてごめんだぜ)、どのスペックを出すかやそのときの環境、どんな人たちを相手にするかなどによって、表現する方法というか、やり方を変えられるになってきたことでしょうか。
以前はただ漠然と、表に出たいと思っていただけでしたが。
また、今度は単独プレイではなくメンバーが6人もいますので、自分だけでなく、それぞれが持つスペックへも目を向けられるようになり、全体的なパフォーマンスの完成度をもって良し悪しを計れるようになったのも、成長した点かもしれません。ま、結局は自分のためであることは変わらないんですけど。
そして、いちばん大事なことですが、それを「見世物」というレベルに昇華させるにはどうしたら良いのか。ここで何とかふんばって昇華させないと、侵食するどころかあきれられて離れられちゃいます。そうなったら元も子もミもフタもありません。ちなみにこの考え方は今思えばSMをやっているときに身についたものですが、SMのときは「見世物」ではなくて「プレイ」でした。
↑「SMとロックの融合」をコンセプトに絶賛(特にM男から)活動中、大音量でM男をシバくドミナトリックスバンド「SEXLESS」。多分ヴィジュアル系。具体的にどんなことをするのかは、こちらにわかりやすく説明していただいています。
アメーバニュース
↑M男をベースで殴って前衛的な音を出そうと試みるベースのAyumi嬢。というと聞こえはいいけど、単なるいじめに見えなくもない。しかしちゃんといい音は出たので、まぁいいよね。あっはっは。このほか、ムチでひっぱたかれたM男の悲鳴がリズムになっている曲なんかもあります。
話が相当脱線しましたが、とにもかくにも綾波は、理想主義者の上、自己顕示欲がとことん強いという厄介すぎる性格の私に、新たな活路を与えてくれたのです。
他のキャラにも多少は浮気しながら、何だかんだいって綾波は1年ぐらいずっとやっていた気がします。
ちなみに、その後一時、自分の強すぎる自己顕示欲に嫌気が差して、コスプレ関係の資料や写真、衣装などをすべて捨てたり売却したりしてしまったのですが、そのとき、この綾波の衣装はヤフオクで1万2000円で売れました。安いよね。
早川舞 世界、特にヨーロッパのフェティッシュ・カルチャー関係者との交流も深い、元SM女王様フリーライター。だが取材&執筆はエロはもとよりサブカルからお笑い、健康関係まで幅広く?こなす。SMの女王様で構成されたフェミ系女権ラウドロックバンド「SEXLESS」ではボーカルとパフォーマンスを担当。 現在、フェティッシュ・ミックス・バー「ピンク・クリスタル」に毎週木曜出勤。
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07.12.09更新 |
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