不定期連載 綿まで愛して!新世紀抱き枕系コラム! すあまにあ倶楽部 第18回 マニア倶楽部 後編 文=抱枕すあま 取材協力=三和出版『マニア倶楽部』編集部 ←『マニア倶楽部05号(三和出版)』 |
杉浦則夫氏が撮影する『マニア倶楽部(三和出版)』の巻頭グラビアのエキストラを頼まれた私は、編集部の山之内サチ隊長からの要望に、唖然としていた。
撮影当日は、養父役の衣装を持って来ていただけますか?
リクルートスーツやビジネスマンスーツのようなのではなく、お金持っていそうで年輩に見えるスーツがいいです。
サチ隊長! むちゃ振り過ぎます!! そんなスーツ、持ってませんがな。それに、メールが届いたのが木曜日の深夜で、撮影は土曜日である。服を買いに行く余裕もない。しかたなく、私は持っている服でなんとかやりくりして、撮影現場へと向かったのだった。
私がスタジオ入りしたときには、すでに表紙の撮影が始まっており、緊張した雰囲気が流れていた。『杉浦則夫緊縛桟敷』の撮影動画を見ると、時折、杉浦氏の怒号が聞こえるので、私はかなり緊張していたのである。そんな時、奥の方から山之内サチ隊長が現れた。久しぶりにお会いしたサチ隊長は、年末進行で大変な時期であり、かつ風邪を引いていたため、身体がまん丸くなるまで重ね着をしていた。さらに、一番上には赤い毛糸のセーターを着ていたので、外見は『赤いマリモ』そのものだった。そんな赤マリモが、奥からヨロヨロと歩いてくるのだ。緊張した雰囲気だというのに、私は笑いを堪えるのに必死であった。
私の出番までは、まだまだ時間がありそうだったので、杉浦氏の撮影現場をそっと覗いてみた。グラビアをひと目見ただけで、誰もが杉浦氏が撮影したと分かる、あの独特の照明がそこに広がっていた。
↑これが、杉浦氏の照明だ!!
この時は、照明を3灯使用していたが、他のシーンでは、主に1〜2灯であった。写真では見にくいが、モデルさんの足下にレフ板を置いて、光を調節している。撮影現場というと、照明の暑さにまいってしまうことが多いのだが、杉浦氏の撮影現場は違った。照明の数が少ないので、冬場でも寒いままだ。しかし、この少ない照明が、杉浦氏のグラビアの特徴でもある。『夜警』で知られる画家のレンブラントは、斜め45度からの光を表現し、『レンブラントライト』と呼ばれた。これに対して、杉浦氏独特の影を作り出す照明は、マニアの間で『ノリオライト』と呼ばれているのだ。
一方の『S&Mスナイパー』本誌のグラビアで有名な田中欣一氏は、対照的に照明を多用して、人物にできる影を消している。スナイパーの2007年11月号には、『田中欣一ライティング講座』が掲載されているので、ご覧になって比較されると面白いと思う。この記事によれば、田中氏は照明を9灯も使用しているのだ。だから、フィルムも「Kodak E100G」と明るい場所に適したものを使用している。
これに対し、杉浦氏が使用しているフィルムは、「富士フイルム PROVIA400X」であり、暗い場所に適したものを使用している。ちなみに、杉浦氏が使用しているカメラは、私が確認できた範囲だと「キヤノンEOS−1」、「マミヤ645プロTL」であった。この他、写り具合を確認するためのデジカメなど、数台使用していた。
私自身、カメラは大好きなのだが、「フォクトレンダー」や「ライカ」などのレンジファインダーで風景を撮影することがほとんどなので、一眼レフに関する知識に乏しい。そのため、レンズの種類やシャッタースピードなど、詳細についてお知らせできないのが残念である。今度は、カメラに詳しい人に同行して貰おう。といっても、私の周りでカメラに詳しい人といったら、本誌『S&Mスナイパー』のW編集長くらいなのだが。
しかし、今回のモデルさんは、やけに小さくて可愛らしい。しかも、セーラー服がよく似合っている。「誰だろう?」と思って見てみたら、ぬわんとっ! むかいねねちゃんであった!! ねねちゃんは、身長が138.7cmである。小さくて当然である。ちなみに、小学5年生(10歳)の女児の平均身長は、140.2cmなのだ(出典:「平成18年度学校保険統計調査」文部科学省)。宮地奈々ちゃんよりも、さらに10cm近く小さい。これで、ねねちゃんがどれくらい小さいか、分かってくれるかと思う。ちなみに、私にとって宮地奈々ちゃんは、東京ドームと同じように大きさを比較する目安となっている。
むかいねねちゃんといえば、『少女体罰6(中嶋興業)』で、すあまが選ぶ『2007最優秀DVD大賞』を受賞したモデルさんである。そんな、ただでさえ可愛らしいねねちゃんに、セーラー服に三つ編みという最強コンボで来たのだ。しかも、パンツはサイドが幅広のお子様パンツである。さらに、メイクさんのナチュラルメイクも上手かった。私は、あやうく悶絶死するところであった。
↑楽屋で『ほっとレモン』を飲むねねちゃん。それを見て『ほっと』になるすあまさん。
ねねちゃんは、小動物的な可愛らしさを持っている。愛玩動物に近い存在なのだ。抱きしめたら、うちの抱き枕の百合ちゃんと同じ大きさであった。しかも、抱き心地まで似ている。でも、そんな小さな身体のわりに、お弁当はモリモリと食べるのだ。そんな姿も、なんだか可愛らしい。ふと、ねねちゃんの脚を見たら、すねに擦りむいた傷跡があった。話を聞いたら、撮影前に駅の階段で転んでしまったという。こんなドジッ娘は、もう放っておけない。しかし、その一方で、杉浦氏の求めに応じ、自分で考えて演技をしている。それに、話をしていると、非常にしっかりとした大人の印象を受けた。私も、ねねちゃんで何か作品を撮りたくなってしまった。WEBスナイパー編集部のIさん。ねねちゃんを使って撮影をしませんか?
さてさて、杉浦氏の撮影に話を戻そう。撮影現場で感じたのは、杉浦氏の小道具へのこだわりである。そのシーンの中で、伝えたいことを印象付ける小道具を置いていくのだ。それも、ただ置くだけではない。カメラの画角を考え、その小道具が自然に溶け込むよう、位置を調整している。これが、杉浦氏のグラビアの魅力の一つとなっているのだ。
↑小道具の膿盆を置き、エキストラに動きを指導する杉浦氏。
小道具といえば、通学カバンを開けてみて驚いた。中には何も入っていないと思っていたのだが、いろいろな物が入っていたのだ。しかし、なぜだか筆箱が3つも入っているのに、教科書が入っていなかったりする。しかも、墨で汚れていない筆が不自然に1本だけ入っているのだ。墨が付いていないということは、書道用ではないということ? ということは、筆を使って、あんなところやこんなところを撫でているのか? もう、ねねちゃんったら……。
↑これが通学カバンの中身。変なところを取材するのが、『すあまにあ倶楽部』です。
杉浦氏は、セーラー服にもこだわりがある。今回の撮影での縛りは、すべて杉浦氏が行なっている。拘束具にいたっては、専用の道具箱を持っていて、ササッと現場で作製してしまうのだ。そして、縛るにしても、拘束具を使うにしても、杉浦氏は絶対にセーラー服の白線を隠したりしない。白線のないセーラー服なんて、コーヒーの入っていないクリープのようなものだ。そして、セーラー服のリボンやスカートの裾が乱れないよう、絶えず気を遣っている。セーラー服好きの私には、非常に嬉しい配慮である。
そして一番感心したのは、杉浦氏が絶えずねねちゃんの可愛い表情を追及していることである。ただ単に、眉間に皺を寄せているだけでは、ダメなのである。苦悶の表情の中に、可愛らしさを表現させたいのだ。その一瞬を狙い、杉浦氏はシャッターを切っていく。杉浦氏が撮影するモデルが、みな愛おしく思えるのは、こんなところにも秘密があったのだ。
ただ、そんな杉浦氏も、時には無理な要求をすることがある。ねねちゃんが放尿しているとき、こう叫んだのだ。
「おしっこ止めて!!」
女性に対しては、かなり無茶な要求である。しかし、この要求に応えてしまうねねちゃんは、プロだと思った。ちなみに、私が杉浦氏に言われたのは、「妊婦つくっといて!!」である。ひょっとすると、私は杉浦氏に妊婦作りの職人だと思われていたのかもしれない。
Special Thanks:杉浦則夫(杉浦則夫写真事務所)、赤マリモ(三和出版)
関連リンク
杉浦則夫緊縛桟敷
杉浦氏によると、以前アップされた画像でも、新たにフィルムをスキャンし直してアップすることがあるとのこと。昔よりもパソコンの操作に慣れてきたこともあり、再スキャンの画像の方が、自分の思い通りの色により近づいているそうだ。ちなみに、すあまも会員である。
三和出版
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アートビデオ
お知らせ
S&MスナイパーSNSに、『すあまにあ倶楽部』のコミュニティができました!! 誰も作ってくれないので、自分で作ったのですが……。
抱枕すあま 『SM探偵団』(ガッツ)で男優兼監督としてデビュー。その後、カメラマン、照明を経てスタッフその3となる。着実に一歩ずつ大物監督へのステップを踏み外している。最近では、『SM魔女狩り審問会』(エピキュリアン)において、金属製拘束具のデザインおよび製作を担当した。抱き枕との生活を綴ったブログ『すあま日記帳』もある。 |
08.02.07更新 |
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