THE ABLIFE March 2012
緊縛師・雪村春樹の鬩ぎ合う縄とその過酷なエロティシズム
男と女の絡み合いの断層を「縛る」という行為によって剥き晒し、溺れ込み、あらゆる瞬間に更新されるエロスを積極的に遊ぶ緊縛師・雪村春樹の最新クリエイション。成熟した交わりだけが作り出す、この世の天国と地獄とは......。孕まれたテーマを抽出したフォトギャラリー&雪村の言葉を散りばめたフラッシュで贈る特選緊縛フォトシリーズです。→【特選フォトFlashを見る】
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【性悪女 A darling evil woman】
真樹が身も心も捧げて仕えていた主人が新しい奴隷をつれてきた。さくらという名前らしい。その日から真樹は自分よりも若く美しいさくらと共同で責められるという耐え難い屈辱を味わい続けることになった。かつては一身に受けていた寵愛が、縄が、快楽が、苦痛が、さくらによって半分以上も奪われてしまった気がした。日に日に配分は減っていき、すでに自分は棄てられる寸前なのかも知れないとすら思えてくる。
真樹は焦りの中でさくらへの憎悪を募らせていく。
主人の興味を自分だけに引き付けたい――
彼女に主人を奪われたくない――
渦巻き起こる独占欲に翻弄される真樹の中に屈辱の裏返しの快楽が、そしてさくらに対する憎悪の裏返しの愛情が育ち始める。
"他の誰でもない。この私が、貴女を支配してあげるわ"
衝動のままに、真樹は鎖のついた革製の拘束具をさくらの首に装着した。
秘めた焦りが、さくらを責める真樹の手を日に日に苛烈にしていった。しかし、どれだけさくらを責め苛んでも、真樹の心の飢えが癒されることはなかった。癒されないどころか、さくらばかりが美しく磨かれていくように思えた。独占欲は醜い空回りを繰り返し、抑えられない自己嫌悪だけが耐え難く膨らんでいく。
真樹はそれでも責めの手を緩めることができなかった。
主人は、何もかもお見通しなんだろうか――
拠って経つ地面がグラグラと揺らいでいるような気がした。そして同時に、ゾクゾクするような快感が真樹の全身を這い上ってくる。この先に何が待っているのか、それは怖くて見ることができなかった。
ただ暗闇に向かって身投げをするように、真樹は目の前にある淫らな肉塊にズブズブと救い難い自分を溺れ込ませていくのだった。
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『緊縛スナイパー』第一号(大洋図書)
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