THE ABLIFE June 2012
緊縛師・雪村春樹の鬩ぎ合う縄とその過酷なエロティシズム
男と女の絡み合いの断層を「縛る」という行為によって剥き晒し、溺れ込み、あらゆる瞬間に更新されるエロスを積極的に遊ぶ緊縛師・雪村春樹の最新クリエイション。成熟した交わりだけが作り出す、この世の天国と地獄とは......。孕まれたテーマを抽出したフォトギャラリー&雪村の言葉を散りばめたフラッシュで贈る特選緊縛フォトシリーズです。→【雪村春樹FLASH緊縛グラビアを見る】
【わがまま女 A selfish woman】
夜、家に帰るといつも膨らませてしまう妄想が望美にはあった。それは"全身を蛇に巻かれて身動きすらできない己の姿"だった。雁字搦めにされ一切の自由を奪われたまま支配されたい。飼われたい。欲望のままに弄られ、ついには食べられて死に、また生まれ変わって同じことを繰り返したい。
叶え難い願望を切実に抱えながら生活していくのは苦しかった。だから時々、願いを叶えてくれそうな男が現われると、望美は相手をよく確かめることなく己の欲望をぶつけた。甘えるだけ甘えて奪えるだけのものを奪って独りに返った。
またひとり、望美を支配してくれそうな男が現われた。男は望美を滑らかな手つきで縛り上げると、何度何度も乱暴に犯した。犯され続けるうちに望美は自分が変わり始めていることを知った。望美は独りに返ることを恐れるようになったが、どうすればいいのかが分からなかった。
奪い方は知っていた。けれども与え方は知らなかった。せめて望美にできるのはただ奪われることだけだった。
牝犬のように扱われ、何度も恥辱を味わった。奪われれば奪われるほどに飢えが募った。乳房を縄で絞り上げられ、顔にも縄を巻かれ、恥ずかしい格好で貫かれた。大きく開かされた脚の付け根を縄で厳しく嬲られると、ふいに望美はかつて味わったことのない感覚を覚えた。
"私は、この人のことが、好きだ――"
己の中に渦巻く新しい願望に気がついた瞬間、望美は常世の地獄に堕ちた。自信を失い、パニックに陥る望美を見ながら、男は「さあ、やっと始まりだ」と言って唇の端を吊り上げた。
[Yukimura Haruki bondage Photo Exhibition "A selfish woman"]
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『雪村春樹全集 20』(赤ほたるいか/妄想族ブラックレーベル)
『360°マルチアングル緊縛黙示録』(大洋図書)
『緊縛スナイパー』第一号(大洋図書)
関連リンク
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