The ABLEFE September 2009
窮屈な毎日に縛られて気持ち悪くならないためのゆるやかな処方箋
黒い恥毛の奥深く、まばゆい女陰から迸る黄金色のオシッコを百薬の長と崇める稀代のネクタール(神の酒=おしっこ)愛飲作家が、自由闊達、繊細至極、奇々怪々、博覧強記の知性に加えて、百花繚乱の体験談を交えて読者諸兄からの質問・相談に答える新連載。内容・ジャンルは自由。ネクタール+言葉の免疫で、貴方が今を生きるためのヨスガを紡ぎます。
|
次回の記事>>>
Consultation of life to drink delicious urine. For boys and girls.
第1回の受付案件
1、「戦争と性癖」
2、「おしっこと健康」
3、「別れがち」
4、「引きこもり生活」
1、「戦争と性癖」
先生のプロフィールを拝読したところ、「1952年、『奇譚クラブ』に高校3年の時に書いた小説「孤独なFANTASY」が掲載され、デビュー」とあります。それは第二次世界大戦が終わってからわずか7年後のことですね。先生の描くマゾヒズムの世界を愛している私ですが、戦争のことは知らない世代です。そのために先生の書かれることで分からない点もあるかもしれません。先生にとっての戦争の影響を、もしそれがあるとするならば、性癖の面から一部でも教えていただけないでしょうか。(K・S 会社員)
――昭和20年3月10日の冬季用大空襲で、B29から頭上に爆弾や焼夷弾をタクサンいただきました。国民学校6年生。
あっさりさっぱり燃えてしまった焼け跡を、白金台から麻布まで歩きました。
それでも陸軍幼年学校受験候補生でした。ガチガチの軍国少年。
8月14日の白昼、あんまり暑いので裸でいたところ、艦載機グラマンがご丁寧にも機銃掃射のシャワーを浴びせて下さいました。
15日敗戦。鬼畜米英、軍国日本だったのが、コロリとアメリカ万歳、平和民主主義になってしまいました。
なんたって「左向け左、ハイ」の従順な国民ですからネ。
だまされた。軍国少年はオコッタ。
もうだまされないぞ、これからはアウトサイダーでいこう。オレの価値観でやってやる。
それから千夜一夜物語全集を読みふけり、軍国少年はアングルの「グランド・オダリスク」に向かって、小さな大砲をぶっぱなしたのであります。
軍国少年の無念やいかに……。
かくして「スケベ大好き」人間の種類に入ってしまったと思し召せ。
さて――
「孤独なFANTASY」の中に、
「『宇治拾遺』や『玉勝間』に書き残されている三十六歌仙の一人平貞文の話が、芥川の『好色』に、潤一郎の『乱菊物語』に各々脚色されている。本院の侍従に恋した風流子平中が恋しさのあまり侍従の屎尿をうばう話である」
とある。これが原点。
そして、谷崎潤一郎の「少年」……
「光子は増長して三人を奴隷の如く追い使い湯上りの爪を切らせたり、鼻の穴のそうじを命じたり、Urineを飲ませたり、終始わたしたちを側へ侍らせて長くこの国の女王となった」
Urine――デスヨ。神酒開眼。
軍国少年が、みごとに、神酒少年に変身してしまったのであります。ハイ。
カフカの「変身」の主人公グレゴール・ザムザは、等身大の大きな虫になっちゃったけど。
軍国主義から民主主義になって、ホントにヨカッタ。
2、「おしっこと健康」
付き合っている彼女に「私のおしっこ飲める?」としばしば聞かれて飲んでいます。僕は彼女が大好きです。だから飲む瞬間には目眩のするような快感を覚えます。飲尿健康法があるように、おしっこは出た瞬間には無菌状態で、飲んでも害はないと言われているようです。先生も文章の中でそういうことを書かれています。また、SM雑誌やスカトロ雑誌を読むと、みんなモリモリうんちを食べたり、おしっこを飲んだりしています。でも僕は心の片隅で、「いつか病気になるんじゃないか……」と心配なんです。先生、本音の話、先生はオシッコを飲んでお腹を壊したりしたことはありませんか?(ユータ 学生)
――私は健康そのものです。長寿です。
ほやほやのおしっこには細菌はすんでおりません。
いいですか、ここが重要です。
おしっこを放置しますと、空気の中の細菌がよろこんですみこんでしまい、アンモニアと炭酸ガスに分解してしまいます。
せっかくの美酒が腐敗してしまう。
ですからも健康に心配な方には、彼女の目眩めくポワッとした神聖な泉に顔を深々と沈めてですね、泉の底からこんこんとわきあがるあたたかく香ばしい美酒を、ゴックンゴックンと喉を鳴らして飲むことをおすすめします。
おいしいゾー。
あと始末は舌で念入りにドウゾ……。
3、「別れがち」
女性と長続きするコツを教えて下さい。(蜘蛛 自営業)
――わざわざ長続きする必要はありません。
くたびれます。
いつも新鮮な美熟女と出会えるのは「別れがち」なおかげではありませんか。
いつでも「初恋」デスゾ!
さまざまな悩ましい「小さな死」をむかえましょう。ウッフン!
長続きは飽きますヨ。
「小さな死」といっしょに、あたたかい神酒のおめぐみをいただきましょう。
魔味、媚味、稚味、幻味……。
4、引きこもり生活
人と接するのが苦手な26歳です。もう10年近く引きこもり生活を続けています。親は泣きますし、近所に住む叔父には説教のされ通しです。自分でも焦りを覚えてはいるのですが、どうしても外に出る気力が湧いてきません。先日は親戚中から励ましの手紙が届いて、いたたまれない気持ちになりました。そんな自分の一日は、昼過ぎに起きる→インターネットを見る→ゲームをする→本を読む→明け方に寝る、です。芳野先生の一日の過ごし方と、こんな自分が腹に留めておくべき言葉を教えて下さい。(なまむぎ ニート)
今の日本は有難いことに「引きこもり生活」ができるような国になったということですネ。
働かなくても暮らしていける状態がむかしから理想だったんですからね。
その理想の生活をしているのですからいいじゃないですか。
毎日楽しくすごしましょうよ。
生活は人それぞれです。
「働かなくて食える」の究極の形がホームレスでショ。
さて――5Fの部屋から老人の一日
日々これ好日
朝風呂入って 酒飲んで
花にかこまれ 酒飲んで
スズメといっしょに 酒飲んで
天を見上げて 酒飲んで
風に吹かれて 酒飲んで
・ ・ ・
カラスと目が合って 酒飲んで
月をあおいで 酒飲んで
夢の中でも 酒飲んで
(つづく)
芳野流人生相談
『10代からの飲酒案内』【1】
皆様からの相談・質問を大募集!
質問・相談を寄せてくださる方は、このページ下段の投稿用メールフォームより「投稿される内容」の中から「芳野流人生相談」を選択、相談内容とペンネーム、職業(差し支えない範囲で結構です)をお書きの上、送信して下さい。
郵送の方は下記の宛先まで、葉書か封書にてお願いいたします。尚、その際もペンネームと職業のご記入はお忘れのないようにして下さい。
【郵送宛先】
〒101-0065
東京都千代田区西神田3-3-9 大洋ビル4階
株式会社 大洋図書
WEBスナイパー編集部「あぶらいふ」係
【投稿フォーム】
こちらからメールを送信していただくことができます。
関連記事
ABLIFE INFORMATION 『あぶらいふ』が貴方からの投稿を待っています!
芳野眉美 作家・ネクタール愛飲家。1952年、『奇譚クラブ』に高校3年生の時に書いた小説「孤独なFANTASY」が掲載され、デビュー。翌年2月号の「硝子便所」で評価が固まり、以後ネクタール(神の酒=おしっこ)を題材にした小説の元祖として多くのマニア読者に支持される。また「あぶいらいふ」での連載「芳野流神酒譚」で綴られたファンタジックなまでに刺激的な実体験は、数多のファンに衝撃を与えた。現在は『SMマニア』(マイウェイ出版)にて不定期に新作を発表している。
|
次回の記事>>>