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The ABLIFE May 2013
窮屈な毎日に縛られて気持ち悪くならないためのゆるやかな処方箋
黒い恥毛の奥深く、まばゆい女陰から迸る黄金色のオシッコを百薬の長と崇める稀代のネクタール(神の酒=おしっこ)愛飲作家が、自由闊達、繊細至極、奇々怪々、博覧強記の知性に加えて、百花繚乱の体験談を交えて読者諸兄からの質問・相談に答える連載。内容・ジャンルは自由。ネクタール+言葉の免疫で、貴方が今を生きるためのヨスガを紡ぎます。

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Consultation of life to drink delicious urine. For boys and girls.
第45回の受付案件
216、「夫の仕事が長続きしない」
217、「節約とケチ」
218、「都合のいい女」
219、「いい年をして色気を出す父」
220、「とっておきの珍味」


216、「夫の仕事が長続きしない」
40代後半の夫について相談させて下さい。結婚して15年になりますが、その間、夫は5つ仕事が変わりました。そのうちの一つは勤めていた会社の倒産が理由の退職でしたが、他は全て「俺には合わない」という理由で自ら離職しています。一応、すぐに次の職を見つけてくれてはいるものの、まだ中学生の息子が一人いる手前、先々のことに不安を覚えます。そして最近また、1年ほど前から勤めだしている職場を辞めるかも知れないと言っているのです。いつも給料が上がる前に辞めてしまうので、貯金なんてありません。私の父は、至って平凡と言いますか、家族を養うことに喜びを覚える、いわゆる普通の父親でした。そのせいもあってか、今、夫の気持ちがよく分からず、胸の中にある不安や不満をどう打ち明けていいのかに悩んでいます。私が怒ると主人は大抵黙り込んで、カラに閉じこもりがちになってしまうし......。男の人から見ると、うちの主人の気持ちや、妻に望んでいること、分かりますか? パートに出るくらいのことなら、私はしてもいいと思っていますが、今はそれも口に出していません。(主婦/モンシロチョウ)

あなたに、御主人を「怒る」資格などありません。
あなたが不安なのは、ひとりで生活していくことができないからでショ。
御主人に養ってもらわなければ生活できない。
そんなあなたは、
御主人に「不満」をいえる立場でもありません。
御主人が「俺に合わない」仕事を、家族のためを思ってガマンしていることを、なんで理解しようともしないのですか。
転職がそれほどいけないことなのですか。
もっとも「俺に合」う仕事なんてありませんけどネ。
この世のサラリーマン、すべて「ガマン」の塊でショ、キット......。
それでも仕事をしないと......男はツライヨ。

私の団地でも、御夫婦で働いている方はたくさんいます。
夫婦共同体ですからネ、一人より、二人で働いていたほうが力強い。夫婦相和し――
私とスケベ話ばかりしているレストランのマスターも、御夫婦そろっての長時間労働ぶりでいつも感心しています。よく身体が持つと思う。
マスターは酒も飲まないし、女も奥サマしか知らないんだって、ホントかしら。

息子サン、中学を卒業したら、すぐに働かせて、自立することを教えたほうがいいと思いますヨ。
自立できない母親が反面教師というわけ。
高校に入って、御主人に仕事なかったらどうなることやら......。


217、「節約とケチ」
芳野先生、初めまして。僕は26歳の会社員、男です。子供の頃から「もったいない」が口癖で、無駄遣いをせず、できるだけ貯金をするようにしてきました。親の教育の結果だと思いますが、たとえば小学生時代、友達同士、小遣いで10円20円の駄菓子を買って食べる時も、僕だけは「お金がないから」と1円も出さずに節約し、我慢していました。人並にお小遣いはもらっていましたが、使おうとすると、罪悪感を覚えてしまうのです。そんな僕にとって、怖い言葉の一つが「ケチ」です。最近、身構えてしまうのは、同僚からの飲みの誘いを受けた時。「ゴメン金欠なんだ(節約して貯金したいから)」と断わる時、もしかすると自分は「ケチ」なのかも......と後ろめたく思わないでもないんです。「節約」と「ケチ」、芳野先生は、それってどう違うと思われますか?(会社員/一樹)

戦前の小学校には、薪を背負って本を読む二宮尊徳像がありました。
勤勉、倹約、「人道は貯蓄」といった、農政農業土木の大家であります。
農地改革に、お金が必要だったのである。
でも、倹約ばかりで失敗したバカ大名がいましたネ。
天保の改革 水野越前守
寛政の改革 松平定信
改革でなく失政、天保の失政、寛政の失政、と書くのが本筋。

「江戸っ子は宵越しの金を持たない」といって、いつでもスッカラカンの人々もたくさんおりまして、倹約して金をためている人を「しみったれ」といってケイベツしていたそうです。
火事は江戸の花といって、いくらかせいでも火事になればすぐゼロになってしまいますから、今が大切、今使ってしまえということになる。
金はなくても、その日その日を、サバサバキビキビと生きていく、それが江戸っ子の思い切りのよさとか、気風(きっぷ)のよさになったのでしょうか。

今でも気になっているのですが......。
昔の知人の話です。
倹約勤勉の人で、倹約々々で家を買い、結婚した。めでたしめでたし......とはいかない。
家のローンがあるから、結婚しても、倹約は続き、その結果、栄養失調で彼は死んでしまった。過労死。
倹約ってなんでしょうねえ......。

お金については、節約もケチも同じです。
金持ちとビンボー人の差は、そのお金の使い方にあります。
ケチってためたお金をどう使うか......ここが問題。
私は、宵越しの金は持たないほうで、いつでもサバサバスッカラカン人生デス。
「今が大切」で使ってしまう。


218、「都合のいい女」
こんにちは。相談です。男にとって、都合のいい女が、本命になることって、ありますか? それとも、一回都合のいい女になったら、ずっとそのままですか? 好きな人がいます。でも、噂によると、その人にとって私は都合のいい女で、ヤルだけの相手みたいです。(無職/K)

「都合のいい女」で思い出しましたので、昔話――

「彼女にさ、金を貸してくれというと」
と彼がいった。
「――」
「いいわよ、って」

「今夜、とめてくれよ」
「いいわよ」

「ラブホテルに行こう」
「いいわよ」

「結婚しないぞ」
「いいわよ」

「いいわよ、だけ」
と私。
「都合のいい女なんだ」

私のバーに、彼が彼女を見せつけに来ました。
それから、たまに、彼女はひとりでもおいでになった。
「都合のいい女だって、ジマンしていたでしょう」
「――」
「面白いからただ遊んであげているだけなのに」
「都合のいい男なんだ」
彼は、彼女に飼育されているのに気がついていないのです。
支配能力のある女人にしか「都合のいい女」にはなれません。

「飼育されてみたいな」
と彼女にいったら、
「ダメ」


219、「いい年をして色気を出す父」
「芳野流人生相談」宛でお願いします。私の父のことです。私の父は、もうすぐ還暦ですが、まだ現役で仕事をしています。母とは20代前半の頃に恋愛結婚。兄と私を作って、何不自由なく育ててくれましたが、母は父の浮気癖に悩んできたようです。その父が最近、家を出ようとしています。若い女性との色恋が関係しているようです。本当に父が家を出て行くことになると、実家には父と同い年の母しかいなくなります。母は「あの人はそういう人だから......」と諦めかけているようですが、本当は心細くてならないようです。母の苦労を知っている私としては、いい年をして色気を出して、勝手なことをしている父のことが恨めしく、遊びもせずに家を支えてきた母の気持ちを思うと、憎しみのような感情すら湧いてきます。私が口を出すことではないとは思いつつ、今後の母との接し方を見据え、母にとって気持ちが楽になるような考え方を求めて、こちらを選んで相談させていただきました。(公務員/kiyomi)

「いい年をして」とはどういうことですか。
娘として、父上をブジョクしてはいけません。
男はいつまでもスケベなのです。
あなたに、父上の人生を理解できるわけがない。
それにしても、よろしかったではありませんか。「レンアイ結婚のハテ」を見たのですから。

あなたか、兄上が、母上を養えばよろしいのです。
どういう形にせよ、母上を養ってから、父上をめちゃくちゃにブジョクしてもよろしい。
認めます。
とくと、兄上とも相談あそばせ。

そのうち、父上が、若い彼女にステラレルかもしれません。
そしたら、また、めちゃくちゃにブジョクすればいい。
「このスケベジジイ」
「色ボケ」
「ひとりでさっさと死んでしまえ」

ある有名人が入院したら、さっさと若い妻は逃げてしまい、前老妻にカンビョウされて死んだという、バカな男の話があります。
そんなものです。


220、「とっておきの珍味」
芳野先生に質問です。わたくし先日、生まれて初めてハチの子を食べました。塩コショウで炒めただけの料理でしたが、これがなかなか香ばしく、くどくない甘みもあって、今までこの味を知らなかったなんて......と、食わす嫌いでいたことを悔やみました。思い返すと、わたくしは食に関して実に保守的で、いわゆる「珍味」と呼ばれるものをまったく口にしてきませんでした。これを期に、いろいろなものの味を知っていきたいと思い、今はワクワクしています。芳野先生は、お酒を飲まれるようですし、これまで様々な山海の珍味を味わってこられたのではないでしょうか。おつまみでも、そうでないものでも結構ですので、これはというものを一つ、ご紹介いただけないでしょうか。よろしくお願い申し上げます。(塾講師/五月)

幼少の頃、祖父の田舎によく連れて行かれまして――
庭の山羊の乳を飲まされたり、とってきたばかりのイナゴを炒って食べたり、タンボのドジョウの大きいのが丸ごと入っているドジョウ汁を食べさせられたり、カバヤキだと思ってよろこんで食べていたら床下のヘビだったり......。
池にいた鯉がね、丸ごと頭からぶつ切りになってみそ汁に入っていたのヨ。「鯉こく」ネ。
産婦の乳の出をよくする何よりの栄養食というわけ。
赤ちゃんにオッパイをすわせている、そのチョー巨乳を、ポカンと口を開けて見ていたら、
「ボーヤも飲ませてもらえ」
あまりおいしくなかった。
今は「鯉の洗い」しか食べません。

私は食通でもありませんし、「山海の珍味」とはエンがございません。
「ももんじ屋」でイノシシにお目にかかったくらいです。
食用蛙は、あっさりした味なので、よく食べに行きました。
眼にいいからというので、八つ目うなぎもかなり食べましたネ。

家では、馬刺し、くじら刺し、アジ刺し、サンマ刺し......。
ということで、小さな店で「トロ」で一杯。
その「トロ」牛の金玉デシタ。
色あざやかにして美味。

日本人ほど「悪食」の民族は世界で珍しく「なんでもかんでも食べてしまう」そうデス。

(続く)



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WEBスナイパー編集部「あぶらいふ」係

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芳野眉美 作家・ネクタール愛飲家。1952年、『奇譚クラブ』に高校3年生の時に書いた小説「孤独なFANTASY」が掲載され、デビュー。翌年2月号の「硝子便所」で評価が固まり、以後ネクタール(神の酒=おしっこ)を題材にした小説の元祖として多くのマニア読者に指示される。また「あぶいらいふ」での連載「芳野流神酒譚」で綴られたファンタジックなまでに刺激的な実体験は、数多のファンに衝撃を与えた。現在は『SMマニア』(マイウェイ出版)にて不定期に新作を発表している。
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