WEB SNIPER Cinema Review!!
「いつもの処で、いつものやうに……」今日も夫は別の男になりきり妻を抱く。
愛と性は切っても切れない関係。この二つをフィーチャーし、まったく新しい性愛の可能性を探る、ロマンティックでちょっとエッチな恋愛映画の祭典「Love & Eros CINEMA COLLECTION」。そのラストを飾るのは、映画『あぶない刑事』(東映)、『ワイルドスピード3』(米ユニバーサル映画)などで助監督を務め、テレビ朝日土曜ワイド「ショカツの女」シリーズ、テレビ東京昼帯ドラマ「詐欺師リリ子」をメイン監督として手がけた児玉宜久監督の作品。ジレンマの中で揺れる夫婦の愛の物語をオナニーマエストロ・遠藤遊佐さんにレポートしてもらいます。もちろん自分がスワッピングにチャレンジする気はないけれど、結婚して10年も経つのに妻だけを一途に恋している男なんて今の世の中にいるわけがない、そう思ってしまう。
でも、私だって一応人の子。実際に結婚生活を送るなら『即尺即ハメ! 潮吹き婦人』とか『人妻不倫旅行』ではなく、チャーミーグリーンのCMに出てくるような仲良し夫婦や(古くてスミマセン……)、スイート・テン・ダイヤモンドの世界に憧れる。一生一人の相手に恋愛感情を持ち続けることができれば、こんなに美しく幸せなことはないと思う。
多分、みんなそうなんじゃないだろうか。
本作の主人公は、アンティークショップを経営している美沙(小松みゆき)と、出版社で働く年下の夫・信次(川口貴弘)。結婚して10年になる子供のないアラフォー夫婦である。
特に不満もない穏やかな毎日。でも世の中のほとんどの夫婦がそうであるように、2人の間にもいつからかマンネリの風が吹き始めていた。
そんな中、美沙はある日突然携帯にメールを送ってきた“トキオ”という謎の男と、不倫をするようになる。最初は警戒していたものの、トキオの真摯な文章に惹かれ心を許すようになったのだ。深入りしないよう、美沙は目隠しをし、トキオは一切喋らないというのが密会のときのルールだ。「いつもの処で、いつものように……」そんなメールで呼び出され、激しく抱き合うのが日課になっていた。
しかし、実は“トキオ”は、信次が美沙の心を確かめようと作り出した架空の人物だったのである。最初はちょっとした出来心だったものの、彼は次第にトキオになりきり自分の妻との密会にハマっていく――。
「Love&Erosシネマコレクション」最後の1本として上映されるだけあって、設定はなかなか過激でエロティック。でも、美沙と同じアラフォー女の私がこの作品を観てまず感じるのは、ショックや背徳感ではなく胸がキュンとなるようなときめきだ。
というのも、この信次という年下夫、なんだかんだいって妻に夢中のカワイイやつなのである。
会社で部下の巨乳ギャルから迫られても見向きもしない。強引に誘われて一緒に飲みに行っても、気になるのはトキオ名義の携帯に入る美沙からのメールのことばかり。帰りのタクシーの中で巨乳の肉弾攻撃を受けても「俺はいくじなしなんだ」とあっさり断わってしまう。
いやあ、こんな男が現実にいるとはとても思えない! でもいて欲しい……!(アラフォー心の叫び)
やがて、信次は美沙からの返信が途切れただけで心配でいられなくなってくる。妻の不倫相手は他ならぬ自分なのに、別のトキオと密会している姿を思い描いていたたまれなくなるというジレンマだ。
もしトキオが自分以外の他の男であっても、妻は抱かれたのだろうか――。
そして美沙の持ち物を調べるうちに、彼は意外な事実を知ってしまう。実は美沙は全てをわかったうえで、トキオのふりをした夫と密会していたのだ。
操っていたつもりが、操られていた。あの甘い時間はなんだったのか。長年連れ添った妻のことがわからなくなり混乱した信次は、同僚の三浦(関係ないけど、すごい細マッチョ)に「トキオになりすまして自分の目の前で美沙を抱いてくれ」と頼む。そして……
おっと、ここからは物語の山場なので書かないでおきましょう。
確かに「そんなにうまいこといくかぁ?」と首をかしげてしまいそうな部分はあるし、ちょっと前のトレンディドラマみたいにキレイすぎるところもある(ちなみに美沙とトキオのセックスシーンなんて、場所はアンティークホテルで女は元祖美巨乳グラドルの美熟女・小松みゆき。『anan』のセックス特集のグラビアそのままままと言っていい)。
しかし、それでも私はこの作品が好きだ。
だって、10年もの間自分の妻に恋し続ける男と、そんな男を愛しむ美しい妻の姿は、観ている者を優しく心地よい気分にさせてくれるから。人の心を動かすのは、重苦しいリアリティばかりではない。
「女房と畳は新しいほうがいい」なんていうけど、そんなもんじゃないってことはきっと誰だってわかってるんだと思う。
この映画を見た人は、映画館を出た後、恋人や連れ合いに思わず電話をしたくなるんじゃないか。そんな気がした。
文=遠藤遊佐
小松みゆき、挙式後初セクシー
「いつもより素敵な夜に」初日舞台挨拶のお知らせ
日時=10月30日(土)上映前21:00より舞台挨拶
出演=小松みゆき、川口貴弘、亜矢乃、大石貴之、児玉宜久監督
「いつもより素敵な夜に」
SISLEY+東京テアトル+レジェンドピクチャーズ
Love&Eros CINEMA COLLECTION
開催日時 : 2010年9月25日(土)〜11月5日(金)
監督:内田春菊 石川均 瀬々敬久 児玉宜久 いまおかしんじ 伊藤一平
宣伝:アルゴ・ピクチャーズ
制作・配給:レジェンド・ピクチャーズ
(c)レジェンド・ピクチャーズ
会場・問い合わせ先=
東京・新宿 『テアトル新宿』
〒160-0022
東京都新宿区新宿3−14−20 新宿テアトルビルB1
電話 03-3352-1846
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「Love&Eros CINEMA COLLECTION」公式サイト
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