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(c)2009 八八粍・デイズ/ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

WEBsniper Cinema Review!!
豪華女優陣で贈る押井守のファンタジー映画
全人類の均衡、永遠の停滞という平和を手に入れた未来の人類。唯一残った不均衡である人間自体の「闘争」「暴力」本能を檻に閉じ込めるため、世界は仮想空間アヴァロン(f)を作りあげた。人々はその中で日夜バトルを繰り広げ、それは実際の収入となってプレイヤーに還元されることで、もう一つの現実ともなっている。 グレイ(黒木メイサ)、ルシファ(菊地凛子)、カーネル(佐伯日菜子)、イェーガー(藤木義勝)の4人は互いを罵倒し合いながらそれぞれの目的のためゲーム内のポイントをかせいでいたが、最終ボス「マダラ」を倒すにはパーティーを組むしかないとゲームマスターに助言され、手を組んで倒すことになる――。 実写をCG処理した半虚構空間で繰り広げられる豪華女優陣によるアクション・ファンタジー。これは押井守の遅れて来たミドルエイジ・クライシス突破映画だ!!

12月19日(土)よりテアトル新宿、池袋テアトルダイヤほか全国順次ロードショー
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(c)2009 八八粍・デイズ/ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

冒頭にそもそもなぜ、この映画の舞台となる仮想現実のゲーム空間アヴァロン(f)が出来たかという説明がなされる。あとは全編、ゲーム世界での美女たちの戦闘シーンが続く。死の大地の様な伊豆大島ロケを経て、全編CG処理された奇妙な半実写空間。以前、全編ポーランドロケで作成された『アヴァロン』の外伝的位置づけでもある本作は「日本で本格的なファンタジー映画を成立させてみたい」という監督の、今後を見極めるための習作と言えそうだ。

まずは黒木メイサのおっぱいがでかくて素晴らしい。ただの巨乳とは一線を画す、豊かさがここにはある。今作は、監督が「女優を美しく撮ることを心がけた」というだけあり、衣装がとにかく凝っている。ボンテージファッションを意識したつくりで、特に股間周辺の造形は最高だ。個人的にはエロい衣装目当てで見た『フィフス・エレメント』以来のヒットだった。私はこの映画に「股間金熊賞」を送りたい。佐伯日菜子のおっぱいも強調されていて素晴らしい。彼女の清楚で透明感のある顔とのギャップに、ドキドキしてしまう。

(c)2009 八八粍・デイズ/ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

唯一菊地凛子だけは体の線がはっきり出ない布を羽織っている。しかし、かなりエキセントリックな性格で出演してくる辺り、セクシーさとはまた違った魅力を担当しているのだろう。これは好みの違いというところだろうか。

劇中、途上人物はプレイヤー番号で呼ばれ、「おお0538よ、死んでしまうとは情けない」という聞き覚えのある台詞が多用される。多種多様な銃器、兵器、乗り物が現われての戦闘が続き、ところどころで「SAVE」する。本編は徹底したゲーム感覚の中にあり、悲壮感はあまりない。押井守映画だけあって、戦闘での発砲、破壊の気持ちよさは確かなものだった。

とにかく黒木メイサは、かなり勝ち気な女性として描かれており、突然がばっと股を開いてしゃがんだりして片時も目が離せない。

(c)2009 八八粍・デイズ/ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

また、唯一の男の登場人物である、藤木義勝扮するイェーガー。彼が野営中に自炊したベーコンエッグを食べるシーンが素晴らしかった。この映画の中にあって最も肉感的な場面なのだが、これはただの食事シーンではない。「宮崎駿の食事シーン」を実写で再現していたのだ。

少年ががっつき、ルパンががっつき、海賊ががっつく、宮崎アニメで登場人物たちがいつもするうまそうな食事。あの記号化された 「がつがつ食う」が見事な演技と過剰な効果音で再現されていて感動した。しかし、アニメの快感をわざわざ実写でもう一度なぞってみせるのに、何か訳があるのだろうか。

思い当たるのが、監督の押井守がジブリのプロデューサー鈴木敏夫のラジオで語っていた話だ。そこで彼は前作の『スカイ・クロラ』に関連して、「現在日本にはもう技術を持った若手のアニメーターはいない。匠の技と同じ様に、日本のアニメも消えて行く運命にある」という旨の発言をしていた。となるとこのシーンは、宮崎駿と共に消え行く偉大な匠の技への、押井監督からの追悼のオマージュなのだろうか。

ついでだがこの回は押井守による、映画『崖の上のポニョ』とそのプロデューサーである鈴木敏夫への猛烈な批判が聞けて大変おもしろい。誰でも聞けるのでぜひチェックしてみてほしい。
(→『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』「ポッドキャスティング はこちら」から「2008/08/12 > 崖の上のポニョ VS スカイ・クロラ!」 または直リンク→http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol45.mp3

同番組内で「ポニョのくらげを見て、老境に達した宮崎駿の抑えきれない性の発露を見た」というような発言もしていた押井監督。その後に、鈴木敏夫によって「(前作)『スカイ・クロラ』で生身の人間を相手にし始めた、押井守もまた歳を取ったってことでしょう」と言われている。

(c)2009 八八粍・デイズ/ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

今まで、犬を愛し自作に犬を必ず登場させてきた監督。そこへ今作の、まるでドーベルマンの鼻先に被せる様なマスクをつけた女優陣。老境を迎えた彼の中でさらなる改革がすすみ、ついに「犬が好き」から「好きだから犬」へのコペルニクス的転回が起きたのではないだろうか。

公式HPでは現在、監督が「セックス」「ポルノ」「女」などについて自らの哲学を語る、第二の思春期を迎えたかの様なコーナーも開かれている。これからどこに行くのか全くわからない押井守。暴走する老境の性を映画でぶち破る彼の今後が楽しみだが、まずは本作でその序章を見極めてみて欲しい。

文=ターHELL 穴トミヤ

『アサルトガールズ』
12月19日(土)よりテアトル新宿、池袋テアトルダイヤほか全国順次ロードショー
(c)2009 八八粍・デイズ/ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
監督=押井守
製作= ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
制作= デイズ

キャスト=
黒木メイサ、菊地凛子、佐伯日菜子、藤木義勝

配給=東京テアトル
宣伝=アステア

2009年|日本|カラー|ヴィスタ|70分|

関連リンク

押井守監督作品 映画『アサルトガールズ』公式サイト

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『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』 2009.10.24公開



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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊 ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。 http://sites.google.com/site/tahellanatomiya/
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