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(C) 2011 東京プレイボーイクラブ

WEB SNIPER Cinema Review!!
新人監督・奥田庸介による完全オリジナル脚本、劇場デビュー作品!!
職場でトラブルを起こして東京近郊の小さな町にながれてきた勝利(大森南朋)は、昔の仲間(光石研)が経営する場末のラウンジ“東京プレイボーイクラブ”に身を寄せる。が、ある日、地元の若者と起こした喧嘩が原因でとんでもないいざこざが発生、勝利はなんとか事態を収拾しようと努めるが――。

2012年2月4日(土)、渋谷・ユーロスペース、シネマート新宿他にて全国ロードショー
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(C) 2011 東京プレイボーイクラブ

『モテキ』は確かに良かった! TwitterやYoutubeでついに日本映画が現代に追いついたと思った! あちらはスマートフォン、ナタリー、パフュームだがこちらはガラケー、ピンサロ、横浜ホンキートンクブルースだ。童貞が先に飛び出し、チンピラが後を追って、日本映画はついに時代に追いついた。これは傑作だ!
昨年のゆうばりファンタスティック映画祭でグランプリを獲得した若干24歳(撮影当時)の監督による長編デビュー作。大森南朋演じる抑えの利かない元チンピラが、東京でピンサロを経営する仲間(光石研)の元を尋ねてくる。彼は上京するなり地元のヤクザとトラブルになり、「さあどうする?」という映画なのだが、70年代東映やけっぱちチンピラ映画(深作欣二監督『暴走パニック 大激突』)、80年代サイバーパンクチンピラ映画(石井聰亙監督『狂い咲きサンダーロード』)、90年代日常会話チンピラ映画(石井克人監督『鮫肌男と桃尻女』)、00年代出口なしチンピラ映画(富田克也監督『国道20号線』)。そんな脈々と続く、日本チンピラ映画のバトンがここにきて確かに次の世代に渡されるのを感じた。この映画はやけっぱちで、生命力が強く、なにより21世紀に不死鳥のように蘇った「最後にストップモーションでキマる映画」なのだ!

(C)2011 東京プレイボーイクラブ

『モテキ』で大根仁監督が『500日のサマー』『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』をなぞりつつ、ふんだんに「今」の映画文法を取り入れたのに対し、本作では24歳の監督が、オーソドックス演出、昭和サウンド(しかしこれもHIPHOP好きの監督によるレアグルーヴ主義とも言える)、挙げ句最後はストップモーションの激OLD SCHOOLやけっぱちロック映画を完成させた。
出て来る景色も昭和の場所ばかりで、モテキのような、眺めるだけで苦しくなるような「今」っぽい巨大マンションも出てこないし、心躍るようなフェスも出てこない。改めて考えてみると監督が若いという以外、この映画は全然若くないし、新しさもあまりないのだが、そんなことはどうでもいいんだよ! ついにやけっぱちの時代に新作の「やけっぱち」映画が出て来たんだから!

(C)2011 東京プレイボーイクラブ

それに若くないというのは、これがいきなり手練手管に長けた映画だっていう話で、例えば朝の喫茶店でモーニングを食う光石研のシーン。サラダの食い方がほんと汚くて、観てるだけでワクワクする。ピンサロ店長が月給11万5千円とか細かい金の話も楽しいし、ヤクザの脅しもたまらねえ。中でも3兄弟ヤクザの真ん中を演じる劇団THE SHAMPOO HATの赤堀雅秋が素晴らしく、大森が血まみれにした弟を彼が満面の笑顔で引っ張って来るとこなんかは本作のハイライト! 始終続くひょっとこみたいな彼の笑顔は気持ち悪くて大興奮だ!

『鮫肌男と桃尻娘』に、ヤクザ連中が車で子供の頃の話をするシーンがあって、本筋とは全く関係ないのだが印象に残る、その生活感の面白さがタランティーノや石井克人の90年代だった。その空気を本作も継承していて、それがいちいち巧いのがこれまた若くない。エロいチャンネーが「外資系かアナウンサーになりたい」トークをするシーンもいいのだが、何よりすぐパニくるくせに、少し経てば何でも受け入れる光石研の免許証エピソード! あれには巧すぎて唸らざるをエミー賞だ!

(C) 2011 東京プレイボーイクラブ

クライマックスのまさかの突発事故はいきなり商業映画が自主制作映画になる瞬間というか、そりゃねーだろという感じもなくはないのだが、そんなの関係ねえ! 最後のストップモーションがバーン! そこでエレカシがバーン! 流れ出した瞬間、くだらねえ他の日本映画は(『モテキ』は除く)すべて爆発炎上! もうどっかのおっさんとおっさんがタイアップを決めたクソダサい劇中歌ともおさらばだ! 三丁目とか怪物とか人工衛星とかお前ら全員死ね! 惑星イトカワと一緒に宇宙の果てまで飛び去って穴に吸い込まれろ! 東京プレイボーイクラブ最高! ついに日本映画が誕生した!

大森南朋が女の子と2人、クラウンで走るときの窓への照り返しが美しい。『Helpless』(青山真治監督)で光石研が運転していた北九州の黒いクラウン、それが15年経って、やけっぱちでストップモーションの東京に戻ってきた!

文=ターHELL穴トミヤ

“戦い続けろ。かしこくなるな。”
圧倒的なパワーと人情、ユーモアを散りばめた快作が完成!


FLV形式 5.06MB 1分56秒

『東京プレイボーイクラブ』
2012年2月4日(土)、渋谷・ユーロスペース、シネマート新宿他にて全国ロードショー
(C)2011 東京プレイボーイクラブ

監督・脚本= 奥田庸介
出演= 大森南朋、光石研、臼田あさ美、淵上泰史、赤堀雅秋、三浦貴大、浜崎茜、安藤聖、佐藤佐吉

配給=スタイルジャム
配給=ビターズ・エンド

2011|日本|96mm|カラー|ビスタサイズ|5.1

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映画『東京プレイボーイクラブ』公式サイト

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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。
http://sites.google.com/site/tahellanatomiya/
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