「カメラはだいたい5個は常備だね。右の手にふたつ、左の手にふたつ、首からひとつ……あれ、ふたつか」 田中欣一
三回にわたってお送りした『SEX CINE-MATRIX(セックス・シネマトリックス)』先行WEBプレビュー。最後となる今回は、アダルト・コンテンツにつきまとう修正の問題について触れてみよう。
以下にこの豪華写真集に収録されているインタビューを引用する。
「これは当時私と一緒に事務所をやってた人間が、自主規制で……マジック線でいちいち全部、線を引いて出版社に渡してたんだ。もし問題起きたときに、こっちにも責任がくるのは嫌だからって言ってね。出版社をあまり信用していなかったのかもしれない(後略)」
また彼は次のようにも語っている。
「(前略)針金の先に黒紙をつけてね、それを大きいの小さいのと作って、レンズの前でかざすの。(中略)それがに間に合わなくても指でやるんだよ。指に光が当たってだいたい白ーくぼけるんだ。光が当たってないと黒ーいぼけ。この本にも随分あるよ、私の指」
デジタルデータ上での修正がほとんどである現在からは、考えられないような方法で修正を施していたことがよくわかる。またそんな当時の方法で施された修正図版も、この写真集にはそのまま収録されているのだ。 現在のモザイク修正にはない味わいが感じられることと思う。
いまとなっては貴重なカットが多数収録されている『SEX CINE-MATRIX(セックス・シネマトリックス)』。発売日は9月14日。是非とも手に入れていただきたい一冊である。
写真家=田中欣一最初期作品
/70〜80年代ピンク映画黄金期
スチール写真集
『SEX CINE-MATRIX
(セックス・シネマトリックス)』
著者 田中欣一
発売日=9月14日(金)
定価=3,990円(本体3,800円)
判型=A4判変型
(上製・カラー112ページ+モノクロ8ページ)
編集=ワイレア出版株式会社
発行・発売=株式会社大洋図書
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