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『女装美少年』

品番 B-1
監督 二村ヒトシ
出演 タッキー君
収録時間 103分
発売日 2009年05月01日
価格 6.300円(税込)
メーカー美少年出版社


二村ヒトシ、渾身の背徳的新レーベル「美少年出版社」を始動!【2】
女装美少年の魅力に迫るインタビュー!!



取材・文=早川舞

既存の女装子作品とはまったく異なる観点から美少年や女装男子のエロスを濃厚抽出する、奇才・二村ヒトシが立ち上げた新レーベル「美少年出版社」。ふたなり作品等で知られる監督が、満を持して狙う快楽表現の実態、そしてその現場とは……。元SM女王ライターの早川舞が、昨日お届けした撮影現場レポートに引き続き、本日は二村ヒトシ監督への突撃インタビューを掲載!
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想定している視聴者はニューハーフでもホモでもゲイでもなく、一般男性
一般男性に新しい価値観というか、生き方を提案したかった

前回、現場レポという形でご紹介した、「色モノではない女装AV」である『女装美少年』と、『女装美少年と痴女たち』。世の男性たちに女装熱がひっそりと高まっている?昨今だが、監督である二村ヒトシさんは、どういった意図でこれらの作品のリリースに踏み切ったのか。

早川舞(以下・早): まずは新レーベル発足おめでとうございます。さっそくですが、今回のレーベルは女装子がテーマとのことですが、どういった意図で立ち上げられたのでしょうか?

二村ヒトシ(以下・二): 狙いから言うと、主役として出演するのは男性なんだけど、想定している視聴者はニューハーフでもホモでもゲイでもなく、一般男性なんですよ。一般男性に新しい価値観というか、もっと大きく言うなら生き方を提案したかった。

早: 生き方の提案に女装子! それはいったい、どういうきっかけで生まれてきたアイディアだったんでしょう?

二: 最初は、単にM男がきれいなSMビデオ、美少年をM男にしたSMビデオを作りたかったんです。そのケがない人が見てもエロいと思えて、M男はM男で、きれいなM男優に我を忘れて一時、感情移入できるような(笑)。ただ、なかなか「この人に出てほしい!」と思えるようなキレイなM男優がいなかったんですよ。
それとは別に僕はずっとふたなりという路線でビデオを作っていて、前々から美少年に美少年をあてがうというのはエロいなぁと思っていたんです。女優さんの擬似ペニスもいいけど、本物でもぜひやってみたいと。
そんなときにたまたまゲイビデオの監督さんと知り合いになって、日本で唯一、ゲイビデオに美少年を派遣している芸能事務所を教えてもらったんです。当初はM男優として出てくれそうな人に声を掛けて、とも思ったんですが、もうちょっとカテゴリを広げたいという思いも同時に湧いてきた。もちろん、こういう発想を持ったまま、ゲイ向けのビデオを撮ろうとも思わなかったし、じゃあ何がいいかと思ったら「女装っていいんじゃない?」とひらめいたんですよ。


↑りく君が女装する前からハッスル気味だった二村監督。「美少年をとりあえずイジってみたかった」という原点を考えれば、これはこれで頷ける光景。

早: そうなんですね。でも二村監督のSMビデオが見られないのは少々残念な気もします。

二: いやいや、アイディア自体をお蔵入りにしたわけではないので、いつになるかはっきりとは言えませんが、やりますよ。SMビデオって、今のビデオが悪いわけじゃないと思うし、あれで十分市場としては成り立っているんだけど、実際にはSMをやらない人にも女王様の美しさを伝えたい、みたいな気持ちがあるんです。
今回の女装ビデオにも言えることなんだけど、もともとそういう趣味を持っているのではない人を引き込んで、新しい世界を垣間見せたいという思いがあるんです。

早: その気持ちはわかります。今ってAVに限らず、マニアはマニアだけで好きなものに没頭して、横のつながりがないですもんね。それがたまに息苦しく感じることもあります。あらゆるジャンルが飽和状態ですよね。

二: 特に今回の「女装」ということに関して言えば、「踏み越えて」はないけれど、自分も女装してみたいとか、美少年も悪くないじゃんと思っている人、要するにまだ白寄りのグレーゾーンの人って、絶対いると思うんですよ。そういう「境界線上」の人が見てくれたら嬉しい。ホモビデオの文法じゃないところで撮ったから、多分受け入れてもらえるんじゃないかな。

早: 監督は、今回のビデオの見所はどのあたりだと思いますか? ホモビデオとの違いが明確にわかる点を押さえつつ挙げていただきたいのですが……。

二: 今回出演してくれたりくくんに関して言えば、アナルファックができなかったというのが、惜しいと言えば惜しくて、そういう意味では「見た目的に女」になっているのは撮れなかったけど、ただ、女装していく過程でどんどん女になっていくという部分はすごく良く撮れたと思う。

早: 確かに写真を見ると、最初のほうと最後のほうでは顔が全然変わっていますしね。

二: カメラマンが撮っていた絵、画角みたいなものも、ものすごくエロかった。もともと女の子のお尻だけとか、フェチ的な映像を撮りなれている方なので、撮る絵が的確なんですよね。ホモビデオとは全然違う絵で、男の子のエロっていうのが撮れていたんじゃないかな。
それと、女性が出演しているのも大きい。女性がいないとこのビデオは普通のホモビデオになってしまうかもと思って、女優さんと女王様をお呼びしたんですが、それが想像以上に良かった。特に女王様が、蚊帳の外にいつつ言葉責めだけしているっていうのが卑猥で(笑)。多分、彼女がいなかったら、彼女の言葉を僕が全部言うことになったと思うんだけど、そうなると全然変わっていたと思うんだよね。具体的に言うと、あんなにエロくならなかったんじゃないかと。「女3人が」、「自主的に」、「女装した美少年を囲んで」「キャーキャー言う」っていうのが何とも言えなかった。

早: 確かにあの雰囲気はおかしかったですね(笑)

二: 異常だったよねぇ。女子高ノリ?っていうのかな、ああいうの。初対面のエロい女の人の真ん中に、女装美少年というエサを放り込むことで一致団結しちゃった。
もともと痴女ビデオによくある、女が集団で男をいじるっていう定番ではあるんだけど、それが自然発生的に生まれたのだからすごい。


↑2人の痴女系女優に責められながら、「中年オヤジ」二村監督にもエネマグラでイタズラされるりく君。「倒錯」のひとつの新しい到達点がここにある。

早: じゃあ監督としては大正解な人選だった、と。

二: うーん、まだジャンル自体が生まれて間もないものだし、結果が出ていないだけに正解かどうかはわからないけど、いろんな意味で非常に面白い形になったとは言えますね。

早: 正解がわからないということは、撮っていて神経が磨り減ったんじゃないですか。経験のないことが目白押しで。

二: 本当に疲れましたね(笑)。僕だけじゃなくて、撮られているほうもそうだと思うけど。場面が終わるたびにぐーっと眠くなって、バッタリ倒れそうになったりもした。これって本当にエロいの?って、常に心配になりながら撮っていましたね。
カテゴリを広げたいという意図自体は明確なのだけど、じゃあ広がった先がどこにつながるのか、つまりどの層にウケるのか、っていうのが、今の時点ではまったく想像がついていないですから。
ただ、撮影の後にりく君自身が、自分の性の世界が広がった、みたいなことを言ってくれていたのが良かった。


↑そろそろお互い疲労の色が見え出した後半数カットの撮影。余裕がなくなるだけにケモノ臭さが滲み出る。まさに「欲望のままに突っ走る」という言葉がピッタリ。その向かう対象が、今までにない存在なわけだが……。

早: 確かに撮影が終わった後に、「女装をしてみたら自分が男だという気持ちが消えて、女として体をまさぐられている感じだった。僕はそれまで女装はしたことはなかったけど、女装もいいなと思った」って言ってましたね。あと、今度は女装でタチ役をやってみたいとも。1回だけじゃ終わらなくなってしまったってことですよね(笑)。

二: そう言ってもらえたのなら嬉しいねぇ。まぁ今回に関して言えば、コンセプトうんぬんというのももちろん最初にあるんだけど、わりと僕の欲望で突っ走っている面もあるというか、美少年というものをよく知らないのでいじってみたかったという、まずはその欲望を果たさせてもらった感じ(笑)。

早: 第一章・完といったところですかね。続きが気になります!

 
二村監督は天才的であると同時に、非常に凡人的な要素も持ち合わせている。それは、「自分が好きなものや欲しいものを形にしたら、ウケないわけがない」という考えの下、次々と作品をリリースし、実際ヒットさせているからだ。自分と世間の考えていることは同じである、とは天才は考えないだろうし、それを作品にしてしまおうという度胸と直感と、それから「こだわり」は、凡人にはないだろう。

そしてつくづく思うのだが、二村監督はヒネクレ者である。その上、照れ屋さんで物好きである。いや、二村監督だけでなく、何かを表現しようとする人たちというのは、総じてヒネクレ者で照れ屋で物好きなのだろう。本来ならそんなこと、好きなら好き、嫌いなら嫌いと、ゴールデン街あたりの飲み屋でクダを巻いていれば済む話なのだ。

表現というのは、ものすごーく乱暴な言い方をすると、これが好き、これが嫌いというのを、自分にとってもっとも効果的と思える手法で組み立てて他人に伝えることだ、と思う。そんな面倒なこと、ヒネクレ者で照れ屋で物好きじゃないとやってらんない。

二村監督はきっと、美少年やふたなりやSMに代表されるような、はかないものや境界線上にあるものが好きで、それをエロ的に汚したり汚されたりしたいのだろうけど、ヒネクレ者で照れ屋さんで物好きであることが、単に好きとだけ言わせることを許さず、好きという理由だけで突っ走るわけにはいかない、手法やキャスティングへの「こだわり」を発生させてしまうのだろう。

二村監督にとっては大変な作業だろうが、世間に何となく蔓延している目に見えない「好きの流れ」を凡人的なアンテナでキャッチし、天才的なこだわりで形にしてもらえるというのは、凡人たる我々にとっては大変ありがたいことなのではないだろうか。まぁこれは、表現者と呼ばれる人全般に言えることでもあると思うが、こと性に関することは、のーみそへの染み込み具合が違いますからね。


文=早川舞


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早川舞 早川舞 世界、特にヨーロッパのフェティッシュ・カルチャー関係者との交流も深い、元SM女王様フリーライター。だが取材&執筆はエロはもとよりサブカルからお笑い、健康関係まで幅広く?こなす。SMの女王様で構成されたフェミ系女権ラウドロックバンド「SEXLESS」ではボーカルとパフォーマンスを担当。
現在、フェティッシュ・ミックス・バー「ピンク・クリスタル」に毎週木曜出勤。

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