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二村ヒトシ、渾身の背徳的新レーベル「美少年出版社」を始動!【1】
女装子AV撮影現場レポート!!
取材・文=早川舞
既存の女装子作品とはまったく異なる観点から美少年や女装男子のエロスを濃厚抽出する、奇才・二村ヒトシが立ち上げた新レーベル「美少年出版社」。ふたなり作品で知られる監督が、満を持して狙う快楽表現の実態、そしてその現場とは……。元SM女王ライターの早川舞が、『女装美少年2』『女装少年と痴女たち』の2作品を撮影現場よりレポートします。さらに、次回は二村ヒトシ監督への突撃インタビューを掲載予定!
実際に経験があるか否かはさておき、女装してみたいと思う男性と、そう思わない男性、その数を比べられるのだとしたら、前者のほうが圧倒的に多いのではないだろうか。そう勘繰ってしまうのは、何も私が長年SMの現場で女装子たちを相手にしてきたからだけではないと思う。近年、一般市場で男性用ブラや、女装のHOW TO本などとがヒットしているというニュースが、それを証明してはいないだろうか。
無論、「ヒットしている」などと言っても、マスコミの大袈裟な物言いが多分に加算されてのことだろうが、に、しても、それがニュースとして世にまかり出、一般人が興味を持って口に端に乗せるということ自体が、「予備軍」の多さを示しているような気がする。
詳しく語ろうとするといくらでも語れてしまうので、ここでは簡潔に述べさせていただくに留めるが、私は、女装をはじめとする男性が女性的であろうとする行為の底に男性が求めているものは、例外もあるが多くは「受身の存在になろうとすること」であると思っている。受身の存在というのは、少々皮肉めいた言い方をすれば、相対する能動体の「寵愛」を一心に受けているとも表現できるわけで、それだけに自己愛の満たされ方はひと通りのものではないだろう。
前置きがやたら長くなってしまったが、要するに男性が女装に走る心理を強引に一言で言い表わすと、「男のボクだってちやほやされたいんだもん! だから女の子になるの!」ということなんだと思う。そして、タチの悪いことは連鎖する。そういう男性は大抵、女性よりもよっぽど女性らしいので、世の女性に夢を抱けなくなっちゃった男性たちの中には、女装子に己の欲望を投影する者もいる。
そんな両者の心理をそのままテーマにしたようなビデオが、このたび発売された。発売元は「美少年出版」。名前からして怪しすぎるこのメーカーが打ち出したそのビデオのタイトルは、「女装美少年」&「女装美少年と痴女たち」。どう? どう? まんまでしょ? 妄想できちゃうでしょ? ドキドキしてきたでしょ?
このビデオが既存の女装ビデオと何が違うかというと、女装を色モノとして扱うのではなく、普段はフツーの男であることを頑張っているけどじつはゴロニャン願望もある男性には女装願望のある美少年という「器」を、女装子に理想の女性像を投影させる男性には女装美少年をイジめる中年男という「器」を与え、それぞれ感情移入できるようにしている点だ。
「女装美少年と痴女たち」のほうでは、中年男は少々だけどなりをひそめ、代わって2人の痴女系AV女優と、言葉責め担当の女王様が登場。女装に興味はあるけど、男に責められてばかりなのはちょっとなぁ〜……という貴方にも安心の内容になっている(笑)。
さらに、個人的に思ったのは、このビデオは男性用に作られてはいるものの、腐女子の皆さんにもご賞味いただけるのではないだろうかということ。=(イコール)で結び付けられる存在意義を持っているものではないのだが(このあたりは後述します)、それでもか〜な〜り腐心を刺激される。というかネタに使えると思う、いろんな意味で。
と、まぁ、ツラツラとワタクシ勝手な所見ばかり述べていてもしょうがないので……しちゃいますよ、レポ。そう、私、撮影現場に行ってきたんです。
現場では2タイトル同時進行で撮影が行なわれていました。上記したこの2作品です。
『女装美少年2』 品番 B-2 監督 二村ヒトシ 出演 りく君 収録時間 111分 発売日 2009年05月01日 価格 6.300円(税込) メーカー美少年出版社 |
『女装少年と痴女たち。』 品番 B-3 監督 二村ヒトシ 出演 りく君 収録時間 129分 発売日 2009年05月01日 価格 6.300円(税込) メーカー 美少年出版社 |
もうパッケージからして、どうかしちゃってますね。なのに何なんだろう、この清純な感じ。何かが狂ってますね。気を抜いてかかったら価値観のゲシュタルト崩壊が起こりそうです(このあたりすべて褒め言葉)。これを世に問える時代に生まれたことを、素直に幸せだと思える。
監督はおなじみ、「ふたなりもの」を世に確立せしめた二村ヒトシ監督。ちなみにふたなりというのは、女優さんに本物そっくりの擬似ペニスをくっつけてレズっていただくジャンルのことを指します。
私は二村監督のことを心の中でこっそり「平成エロ業界のハンニバル将軍」と称しているのですが、またも性差の壁(と書いて雪のアルプスと読む)を力強く越えて下さいました。
当日スタジオに入ると、そんな二村監督がさっそく出演女優(男優?)さんにインタビューをしていました。最初はそれまでの性体験についてなど、まぁ普通に話が進んでいたのですが……(あ、いや、普通じゃないね)
ちなみにこの女男優さん(本記事ではこの表記で統一します!)「りく」君はもともと男女両方ともイケるクチで、中学生のときに同級生数人(全員男)に輪姦されたのが初体験なのだそうです。今でもそれを思い出すと興奮するとか……。
りく君に裸になるように命じた二村監督は、身体検査というかセクハラを開始。敏感な上にM体質のりく君、二村監督の手とカメラのダブルパンチで早くもイイ顔になってます。
が、ここで欲望のままコトを進めるわけにはいきません。まずはりく君に女装してもらわなければ。彼がメイク室に入ると、入れ替わりに本日の女優さんが2人が登場。
SM&ストリップスキーさんたちにはすっかりお馴染み・若林美保さん(左)と、ベロフェチ監督としてレズのキスものビデオをプロデュースする真咲南朋(まさきなお)さん(右)。りく君、いきなりこんな大物と対戦とは。写真には写っていませんが、現場には謎の女王様もスタンバっていました。
女装を終え、メイクもバッチリして出てきたりく君。その場にいた女優ズと女王が品定めするかのように、舐めるような目つきで視姦する。細身ではかなげな顔立ちのりく君が、慣れない女装でモジモジしている姿からは、倒錯的な空気がこれでもかというほどの叩き売り状態で醸し出される。
……嗚呼、これを餌と呼ばず、何と呼びましょう。りく君のそんな様子を楽しがる女王の言葉責めを皮切りに、女3人×女装子1人のプレイが、控え室でいきなり始まってしまいました。そんな4人に貪欲にカメラを向ける二村監督。撮影開始のゴングも鳴っていないというのに、いきなりカオス突入です。
さらにカメラを向けるだけでは飽き足らず、二村監督は今度はズボンを脱いでりく君に触らせ始めました。今まで経験したことのないシチュエーションに、りく君はこわごわながらも手を伸ばします。不安の奥に恍惚の表情が……マゾヒズムとナルシズムとスプーン一杯の勇気が、彼を新たな境地に連れて行こうとしています。
控え室ですべてヤっちゃうってわけにはいかないので、一旦クールダウンして撮影用の部屋に移動。初めてのランジェリーの感触に戸惑っているのでしょうか。動けずにいるところをされるがままの状態、二人の女優にイジられます。どうしようもなく大きくなってきたペニスは、もはやりく君の頭の中ではクリトリスになっているのかもしれません。
あくまでも優しく、でも容赦なく(エロ的に)……女の子として扱われているうちに、りく君の顔が女の子そのものになってきました。1枚目の写真と比べてみればおわかりになるかと思います。過渡期をすっかり過ぎ、今はもう女の子として感じているようです。人間って本当に、まわりの環境に左右されるもんですね。やおいでも「なんで男のクセにこれで感じるの!?」っていう展開あるもんね! ←二次元と一緒にするなと。
一人の人間の自己同一性なんて、環境に否定されてしまえばあっけないものなのかもしれない。
お姉様たちにかわいがられながら、下半身では自慰を強制されるという、これぞ本当の飴と鞭。いや、マゾなりく君にとってはじつは両方とも蜜の味なのかもしれません。「みんなが今、姫(なぜか女王様に姫と呼ばれていたりく君)のいちばん恥ずかしいところを見てるんだよ〜」などと、女王様の言葉責めもエスカレート。
イカされた後は優しく介抱してもらっています。まだ多少目が白黒していますね。それにしても、どこまで至れり尽くせりなのでしょうか。ここまでされたら確かに姫です。こんなにしてもらえるんだったら私も女装子になりたいよ!
当初はアナルプレイも予定に入っていたのですが、りく君があまり得意ではないということで無理は通せず、今回は見送ることに。しかし、逆にそれならばと挿入以外でいろいろがんばってみたので、「入れないだけにかえってイヤらしい」内容になったのではないかと思います。手段が限定されるほどじつはイヤらしさ自体は増すって、あるよね。
イタツク(至れり尽くせりの略)かと思いきや、今度は一転してご奉仕させられる側に。第二部は、薄暗い部屋の中でなぜか腋毛をチェックされることから始まります。きれいにお化粧して服も整えた後だけに、この生々しい無防備さがエロい。これが計画的だったら天才だと思うけど、彼の場合計画的であってもおかしくはないなぁと思える含みがあるところがまたエロいのです。何という誘い受け体質……
調子に乗った二村監督、今度は下の毛まで……さらに「毛深いね」とはさみでジョキジョキカットしちゃいます。ほ、包茎のちんこがあらわに……女の子になったと思った状態でこんなことされたら、どんな気分なんでしょうね。そんなことを考えるとゾクゾクします。これぞ倒錯。ゲシュタルト崩壊と向き合って戦う快感がここにあります。
ところで、先に述べた「やおいとの違い」ですが、やおいにはこの「倒錯感を弄ぶ感覚」がないんですね。あれは倒錯っていうより、不純物(自分に代表される「女」)がいないことによって完成する「悲しきユートピア」の自家生産ですからねー。こっちは自分がズカズカ入り込むことで、倒錯の世界が完成しちゃってます。
そーこーしている現場には若林さんも登場。その上りく君は男優役のADさんのちんぽをしゃぶり始めました。ノンケなのかレズなのかホモなのか……いや、第4の性ですね。新しいのです。
男優さんにとっても女装子にフェラされるというのは初めてのことだったらしく、なかなかイカなかったのですが、それでも溜めに溜めてフィニッシュ。「ご奉仕」後のりく君、何だかスッキリした顔をしています(笑)。最初よりも格段に「女」の顔になっていると思いませんか?
そんなこんなで終わったカオスでソドムな撮影。終わったあとの空気は何ともほっこりしていて、不思議に優しい雰囲気が流れていたような気がします。男性の中の「女性らしさ≒優しさ」をみんなで愛でた結果なのかもしれませんね。
そういえばメンズブラのコピーは「ブラをつけると優しい気分になれる」的なものだったような……。女装には本人はもちろんのこと、周りの人たちにまで優しい気分を振りまくものなのかもしれません。読者の皆様、ムカつくことがあったら女装をすれば、見えてくるものが変わるかもしれませんよ。
さて、次回は本作の監督である二村ヒトシさんにインタビューを行ないます。乞うご期待。
(続く)
関連リンク
美少年出版社
早川舞 世界、特にヨーロッパのフェティッシュ・カルチャー関係者との交流も深い、元SM女王様フリーライター。だが取材&執筆はエロはもとよりサブカルからお笑い、健康関係まで幅広く?こなす。SMの女王様で構成されたフェミ系女権ラウドロックバンド「SEXLESS」ではボーカルとパフォーマンスを担当。 現在、フェティッシュ・ミックス・バー「ピンク・クリスタル」に毎週木曜出勤。
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