毎週日曜日更新!
短期集中連載
永山薫×安田理央
対談『アダルトメディアの現在・過去・未来』【3】
構成=編集部
アダルト写真雑誌、AV、エロマンガ……内部に様々な文化的要素を包括しつつ、その商業形態を劇的に変化させているアダルトメディア。出版不況とインターネット産業の相克の中で、今、見据えるべきポイントはどこにあるのか。漫画評論家・永山薫氏とアダルトメディア研究家・安田理央氏が、素肌と脳で感じているアダルトメディアの状況を縦横無尽に語り尽くす! 大ボリュームの短期集中連載、毎週日曜更新です。
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永山薫
1954年大阪生まれ。近畿大学卒。80年代初期からライター、評論家、作家、編集者として活動。エロ系出版とのかかわりは、ビニ本のコピーや自販機雑誌の怪しい記事を書いたのが始まり。主な著書に長編評論『エロマンガスタディーズ』(イーストプレス)、昼間たかしとの共編著『マンガ論争勃発』『マンガ論争勃発2』(マイクロマガジン社)がある。
安田理央
1967年埼玉県生まれ。美学校考現学教室卒。エロ系ライター、アダルトメディア研究家、パンク歌手、ほか色々。メディアとエロの関係を考察することがライフワーク。主な著作に『エロの敵』(雨宮まみとの共著 翔泳社)、『日本縦断フーゾクの旅』(二見書房)『デジハメ娘。』(マドンナ社)など。趣味は物産展めぐり。でも旅行は苦手。
商売としては消しとかモザイクはしっかり入って、
っていう状況のほうが美味しいですよ。
そこでの工夫ってことになりますから。
それが見せる工夫ってなっちゃうとちょっとね、勝負見えてますから。(永山)
安田(以降「安」) さっきの話に戻るんですけど、僕らでもiTunesとかに慣れてきちゃうと、以前はそれでもCDも欲しいよねとか思ってたんですけど、だんだんデータでいいかなって感じになってきちゃってるんですよね、もう。それが若い子になると最初からデータだから、モノの魅力は一部の人にしかわからないものになっていっちゃうと思って。漫画もそうなりかねないんじゃないですか?
っていう状況のほうが美味しいですよ。
そこでの工夫ってことになりますから。
それが見せる工夫ってなっちゃうとちょっとね、勝負見えてますから。(永山)
永山(以降「永」) それはあると思いますよ。実際、漫画もバンバンP2Pで流れてますし、ZIPをそのまま読めるソフトとかありますから。そういう意味ではフリーライドが当たり前の時代になってきて、そこからいかに金を取るかって話になるんですけど。方法はあるんですよね、実は。あるけど、どこもまだやんないだけの話で。簡単に言うとプロバイダが負担すればいいんですよ。その代わりプロバイダの料金を上げればいいんです、使用料を。
編 ドコモ方式ですね。携帯のコンテンツ代を通話料といっしょに集金する。
永 そうそう。だから割と、そこで携帯コンテンツが伸びるっていうのは、結局親が携帯の料金を払ってるから、実は子供は課金されてもあまり金取られてるっていう意識ないですよね。自分の懐が痛まないから。親の財布から出てたりするんで。そういう、金払ってることを意識させないで金を取る方法は、みんなそろそろ考えてると思いますよ。
安 最近ホントに、いろんな仕事の話しながら思うのは、どうやってお金を稼げる仕組みにするかっていうところまで話さないともうダメなんですよね。昔は作って売ればよかったんですけど、今は、じゃあそのお金はどっから引っ張って来る?って話になっていて、クリエイターもそこまで考えないといけなくなってる。いいものを作ればいいっていう時代ではなくなっちゃって。じゃあ、どういう仕組みで……広告なの?それとも課金なの?っていうところで考えないといけない。
永 そうなってくるとプロバイダが負担しないと変だろっていう話になるんです。あんたらの顧客がフリーライドでどんどんダウンロードしてクリエイターのところまでお金が戻っていかないシステムになってるんだから、あんたらに責任あるよって話は当然出ますよ。
安 あれですよね、ブルーレイのハード会社に加担金(※19)みたいなのに近いですよね。
永 音楽でもありますね、DATとかの話(※20)とかね、当然それは出てくるでしょう。
安 だからもう、そういうことを考えないと商売ってできなくなる。
永 そうなんですよ。だから完全に物流システムがデータ化されることになって、全然変わっちゃってるんですから、前の時代とは。で、そこの過渡期的な状況の中でフリーライドってのがガーッと出てきてて、それが実は産業とか経済を圧迫してるんだよっていうことが、みんな気づいてるんだろうけど、まだそこの最初の一歩を踏み出せない。プロバイダだけが高額な会費取ることになっちゃうんで、そうなると競争勝てなくなるから怖いみたいな。そうなってくるときっと、世界的な意味での法律っていうのが、どっかで出てくると思う。割と海外と日本ではフリーライドに関する考え方が違うんじゃないかなっていう気はしてます。海外のほうがひどい。それはなんでかっていうと、そもそもインターネットというのは自由な空間で……。
安 もともとヒッピーの思想なんですよね。共有しようっていう。
永 そう、西海岸的な発想。それがすごい俗な形で広がってるので、同じ海賊版っていうか、違法コピーも海外のほうがすさまじい。どっちかっていうと日本では安価な形で正規版が出れば、正規版のほうをダウンロードする。そこでお金を払うことになってる。海外はそうじゃないみたいですね。
安 安くても……。
永 そう、安くてもただのほうがいい。ただが当たり前だから金払うのは馬鹿。
安 ユーザーとして考えれば、そりゃただのほうがいいって分かるんですよ。僕自身は割と自分が撮った写真がどっかの掲示板で貼られてたりすると、ちょっと嬉しかったりするんですよね(笑)。あとブックオフで自分の本が売られてたりすると、なんかちょっと嬉しかったりする。おれの本、あるじゃんとか。少なくとも一回は買ってくれたんだなとか。
永 ブックオフの問題とかも、ありますよね。ブックオフと漫喫の問題。
安 エロ漫画じゃなくなっちゃうんですけど、漫画が長すぎるじゃないですか。家に置いとけないですよね。『はじめの一歩』を買ってて、えらいことになっちゃってね。
永 『はじめの一歩』は、六十巻くらいから後は、僕も歯抜け状態ですね。
安 ええ、五十巻を超えた辺りで、もう、本棚が全部『はじめの一歩』っていうのはいやだなと思って、友達に売っちゃったんですよね。
永 ゴルゴもね、百超えたら売りましたね。ゴルゴがまた分厚いんだもん(笑)。
安 あんなの置いとけるわけないじゃないですか。だから漫画家さんとしては自分の漫画が捨てられるのは、いいの?って聞きたいんですね。読んだら捨てなきゃ無理じゃないですか。捨てられるのは嬉しい?と。
永 うーん、それは個人差あると思う。
安 漫画家さんに聞くと、俺の本だけは捨てないで欲しいんだよねって(笑)。捨てられるよりブックオフで流れてるほうが、僕はまだいいと思うんです。そうじゃなかったら出版社が回収しないといけない。
永 ブックオフの問題は、事実上の貸本屋状態ではないかっていう辺りで批判する人は批判します。ただあれはこの『マンガ論争勃発2』の中でもはっきり出てるんですけど、ブックオフ的ないわゆる新古書店で、取り締まれるのは買い戻し特約を明記してるところなんですよ。それは貸本屋だから。(ブックオフは)買い戻し特約してないですよ。読んだ本、また売りに来て下さいとは言うけど、幾らで買い取るとか何パーで買い取るっていう約束は一切してないでしょ。だからそこで2004年の著作権法改正の時(※21)に、ホントは新古書店取り締まりたかったんだけれどもできなかった。細々とやってきた貸本屋とかがお金払わなきゃなんなくなっちゃった。
安 今TSUTAYAとかがレンタルブック、やってますよね。
永 正規にお金払えばいいんだってことが分かって、TSUTAYAとかそういうとこが参入してきたんですよね。
安 実際僕はブックオフ凄い好きで、普通の本屋行くより楽しいんですよね、何があるかわかんない面白さが。
永 蚤の市的なね。
安 普通の本屋って、今同じものしか置いてないんで、行ってもワクワクしないんですけど、ブックオフはあるべきものはないけど、他にないものがあったりとか。これが欲しいと思って行くと大体ないんですけど、変なもの、こんな本出てたんだみたいなものがあるんですよ。誰が流したんだろうみたいな。だからやっぱりブックオフのほうが行くと楽しいですね。その楽しい感じが普通の本屋さんは失っちゃってる気がするんですよ。
永 本屋さん側はね、こういうこと言うと書店組合の人は怒るかもしれないんだけど、言い方悪いんだけど大名商売っていうか。結局仕入れ、ちゃんとやってる?って話ですよ。普通の商店だったら何を仕入れて何個売るかって、考えないと商売成り立たないんだけど、本屋さんっていうのは取次に口座作って、取次が配本してくれたもの並べて、売れなかったもの返品するわけですから。すごい有利な商売なんですよ。最初のハードルは高いんだけど、あとは凄いね、楽ですよ、他の商売と比べたら。だって仕入れのリスクとか、凄い低いわけじゃないですか。万引きさえしっかり見はってれば(笑)。
安 万引きが結構大変なんですよ。
永 万引きは凄い損害になるんだけど、それさえしっかり見張ってれば、リスクは凄い低い。売れると思って仕入れたけどぜんぜん売れなくて、大赤字だってのはあんまりないですね。だから再販制度とか取次制度とか、そういうのに守られてきた歴史があるんで、それが今ぐずぐずに崩れかけてるんだから、それはもうしょうがないよね。いい本置くとかいろいろ工夫はしてますけど。
安 やっぱり大きい書店のほうが楽しい部分があるじゃないですか。小さい書店は並べられないですけどね、今の本の数を考えれば。
永 ただね、小さい本屋さんでも頑張って品揃えを工夫したりとか、僕が昔よく使ってた本屋さんは店員さんが選んだ本の棚とかがあるんですよ。注目の本っていって。そういう棚を作ることを怠ってるチェーン店なんかは頑張らないとダメでしょうけど。
安 そういう中で、どんどんエロ本を売る本屋がなくなっていって。
永 ないですよね。
安 まず大書店にはエロ本コーナーがないじゃないですか。そして小さい書店はなくなってる。エロ本はもうダメですね、そういう意味じゃホントに。
永 実際エロ漫画系の出版社行って、話聞いて、全部がそうかっていうとまた話は別なんですけど、実際どこで売れてるかっていうと、虎の穴とか専門店と、アマゾンとか橘書店とか、エロ漫画も扱ってる通販がほとんどだって言ってた。
安 今はエロ漫画の通販も結構多いですよね。
永 結局店で売れてる部分は減ってるみたい。
安 どんどんアマゾン一人勝ちみたいな。通販が一般化していくと、意外とエロにとっては有利かもしれないですね。
永 本屋さんに行かずに買える。
安 エロ漫画なんかも、やっぱり買いづらいし、売ってるところも少ないんで今まで苦しくなってたけど、でもアマゾンならいいやっていうのがありますよね。もっとアマゾンで買うっていうのが一般化していけばいくほど、その辺は解消されますよね。
永 ただ中身が見られないんで。虎の穴とがまだまだ頑張れてるのは見本を立ち読みできますからね。
お金を払ってくれる人数は少しでも、
単価が高ければトータルでは利益になる。
高くってしょぼいものでもその人にとって価値があれば、買うんですよね。
だから買ってくれる人だけを相手に生きてくしかないなという気が凄くしているんです。
もうマスでエロはできないんじゃないかなと。 (安田)
編 さっきのブックオフの話で、大日本印刷が筆頭で集英社、講談社、小学館でしたっけ、出版社が自らブックオフの株取得に乗り出した(※22)らしいんです。今、店舗が900くらい全国にあるらしいんですけど、その販路に出版社が目をつけたという状況らしいです。安田さんはブックオフ否定派じゃないですけど……。
単価が高ければトータルでは利益になる。
高くってしょぼいものでもその人にとって価値があれば、買うんですよね。
だから買ってくれる人だけを相手に生きてくしかないなという気が凄くしているんです。
もうマスでエロはできないんじゃないかなと。 (安田)
安 大肯定派ですよ。
編 作家サイドに立たれる永山さんとしては、なかなかブックオフを肯定できない部分があったりするのでは。
永 個人としては全然肯定してますよ。ただ業界全体ってこと考えると、ブックオフからクリエイターにお金が回るシステムを作ってかないと、将来的にはどっちも厳しいなっていうのはあります。そこを考えていかないと、畑はどんどん枯れていくよと。ユーザーだってただでラッキーとか、安くてラッキーは当然のことだと思うんだけども、ユーザーにそこまでの要求は、いきなりはできないと思うんで。システムの中でお金を回すことを考えていかないとせっかくの畑はどんどん痩せ衰えていき、そうなるとブックオフとか、マン喫とかも長い目で見るとしんどくなっていく。
安 ただエロ漫画って、そんなにブックオフの影響受けないんじゃないですか?
永 受けないね。業界全体の話としてね、あくまで。
安 時々思うんですけど、音楽でもコピーの影響を一番受けるのって、凄い売れてる人たちですよね。でもそういう人たちがベンツ乗んなきゃいいんじゃないかっていう(笑)。そんな生活しなくたっていいじゃんと、いう気もするんですよね。
永 それはその通りなんですよ。売れてる人たちが、その辺はちょっと考えたほうがいいのかなっていう気もします、そのお話聞くとね。でもそれは漫画産業なり音楽産業なり基盤があって初めて貴方の生活は成り立ってるんだからっていうことですよ。
安 税金みたいに、売れれば売れるほど還元するシステムがあれば、いいのかなって思ったり。
永 ロックの歴史とか見てると自分でお金出して基金作ってそれで難民助けようとか、そういう社会還元の意識っていうのが海外のミュージシャンは結構ありますよ。
安 ミュージシャンじゃなくても多いじゃないですか。ビル・ゲイツも引退して基金作ってましたもんね。ちょっと稼いでるクリエイターの人が還元するべきなんじゃないかなと思う。
永 分かりますよ。でも日本にはそういう文化的土壌ってのがまだないに等しくて、一部のアーティストが海外の影響でそういうことやってるだけの話。結局日本の企業自体が企業メセナとか、まだまだ薄いじゃないですか。だから企業スポーツも不景気になってきて、広告としての役割を果たさなくなってきたら冷酷に切り捨てていくんですよ。だって企業スポーツも社会還元だという発想がないと凄い情けない世界ですよね。
安 僕はマイナーな人にとっては違法コピーもブックオフも関係ないんじゃないかなと(笑)。
永 関係ないですよ。ただ……。
安 それで業界自体がダメになるっていう。
永 違法コピーに関して言えば、売れてる本をコピーされても痛かないだろうけど、マイナーな人たちは違法コピーされちゃうとホントに生活に直結しちゃうんで。
安 でもマイナーな人のコピーはそんな出回らないんじゃないですか(笑)。
永 いや、出回んないですけども、ここで一冊売れたらっていう話になるじゃないですか。ギリギリのとこでね。ただ、違法にコピーしたりダウンロードしている奴がお金払うかって言ったら、払わないですけどね。
安 そうなんですよね。結局はじめからその人買わないしなっていう。
永 だからもともと客じゃないからっていう話。
安 それよりも売れないって他のところに原因があるのかなって思ったりする。
永 うん。違法ダウンロードする奴と買う奴は実は別なんだってこと、その辺みんなよくわかってないのかもしれない。だってYouTubeで満足してるような人たちの多くは、マメに映画館行かないし、DVDも買わない層です。YouTubeとかニコ動とか、あの辺の画質と音で結構みんな平気なわけですから……。
安 ですよね、ブルーレイ買わないですよね。
永 買わないですよ。スペック競争って意味ないなと思う。
安 配信のほうでハイビジョン来てるんですよね。パソコンで見るとモニターの解像度は高いんで、配信は向いてるんですよね、DVDより。だから配信も無修正のほうがハイビジョン化が早い(笑)。
永 エロのコンテンツがハードウェアを引っ張るっていう構図は昔から変わってないですね。
安 ただ……よくそう言われるんですけど、それほどの力はないなって思うんですよね。そういうふうに見えるんですけど、エロがそれほどは引っ張っていない気が。目立つけれどそこまで力ないなぁと。
永 力があって欲しいんですけどね。
安 そうですね。
永 どんどん弱くはなると思いますよ、エロの力っていうのは。家庭用のビデオデッキが出始めた頃って、電器屋が裏ビデオくっつけて売ってたっていう伝説があるじゃないですか。統計としてはぜんぜんカウントされてないから、あくまでも伝説なんだけど、説得力はあった。
安 あと裏ビデオはVHSが多かったからVHSが勝ったとか(笑)。伝説はあるんだけど、ちょっと検証できない。
永 検証はできないけれども、一定の説得力は持ってた。だけど今、そこまで説得力ないでしょう。
安 ないですね。今年はアダルトのブルーレイが本格化してきてるんですけど、けん引力にはならないような気がします。根本的にハイビジョンのデカい画面で、ブルーレイでAVを観られる環境にある人って、そんないないと思うんですよ。だいたい居間にありますから、デカいテレビは。独身でデカいテレビを持ってる人しかブルーレイのAV観られないですからね。
永 オーバースペックですよね。昔のAVでピンク映画とぜんぜん違うと思ったのは、どう考えても当時だったら14インチのブラウン管で、1メートルの距離で見るメディアだなっていうのを感じたんですよ。
安 それまではポルノ映画館ですからね。
永 そうすると必然的にですね、フレームとかも変わってくる。映画とは違うし。昔、周防さん(※23)とか、ピンク映画撮ってた人がAVに流れたりとかするわけですよ。そうするとね、周防さんのはつまんなくて見られない。村西とおるのほうが面白いんですよ。村西さんがまさにハメ撮りで1メートルの距離に女の子の顔があるでしょ。だからまったくカメラの目線で、村西さんの目線で女とヤッてるのを疑似的に楽しめる。だからそれがね、50インチとか60インチの大画面にになっちゃったら、どうなるかなとかね。
安 今、若い子は携帯ですもの。ちょっと前にAV女優の子にインタビューした時に、二十歳の子だったんですけど、自分のAVは前から観てたと言ってて。その時AV観てるっていう動作が、携帯持ってる動作なんですよ。
永 うわー。
安 リモコンじゃないんですよ。だから、えっ、AVって携帯で見るのが普通なんだこの人たちって思いましたね。聞くと若い子は携帯で、まあ要するにサンプルムービー程度なんですけど、観てる子は多いんですよ。もう僕なんかはこんなちっちゃい画面でとか思っちゃうんだけど、彼らにとっては全然普通なんですね。今後はやっぱりそれが当り前になっていくんだなぁと。着うたと一緒で。何でも携帯で見るもの、携帯で聞くものになっていくんだなぁと。ブルーレイで大画面ってなると、方向性としては逆ですよね。実際はどんどん小さくなっていってる感じなので。
永 やっぱりエロは、パーソナルメディアのほうが向いてるのかなって気がしますね、そういう意味では。当時はそれこそ14インチで六畳一間っていうのがメインのユーザーだったと思うんですけど、それが携帯になっちゃうのかぁ……。漫画も、今までの形態とは違う漫画になっていかざるを得ないでしょうね。携帯になると画面ちっちゃいですから、一コマずつとかって話になって。そうすると恐らくイラストの連なりみたいな、一ページの中のコマを目で追えない人っていうのがどんどん増えていくだろうし。
安 それこそ震えるとか、動くとかね。そういうほうの演出力が問われるかもしれないですね。
永 ある程度は大画面化していくと思うんですけどね、携帯電話も。
安 そうですね。iPhoneみたいな形で。僕のはiPod Touchなんですけど、漫画読むコンテンツとか出てきてて、小さいけどそれなりに読めるんですよね、あれくらいになると。これは、結構大きい動きになるのかもしれないなぁとは思いました。
(つづく)
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永山薫 1954年大阪生まれ。近畿大学卒。80年代初期からライター、評論家、作家、編集者として活動。エロ系出版とのかかわりは、ビニ本のコピーや自販機雑誌の怪しい記事を書いたのが始まり。主な著書に長編評論『エロマンガスタディーズ』(イーストプレス)、昼間たかしとの共編著『マンガ論争勃発』『マンガ論争勃発2』(マイクロマガジン社)がある。
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安田理央 1967年埼玉県生まれ。美学校考現学教室卒。エロ系ライター、アダルトメディア研究家、パンク歌手、ほか色々。メディアとエロの関係を考察することがライフワーク。主な著作に『エロの敵』(雨宮まみとの共著 翔泳社)、『日本縦断フーゾクの旅』(二見書房)『デジハメ娘。』(マドンナ社)など。趣味は物産展めぐり。でも旅行は苦手。 |