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『S&Mスナイパー』1980年7月号 読者告白手記
「秘縄に濡れた女たち〜ある引越し請負業者の可虐体験記」
「秘縄に濡れた女たち〜ある引越し請負業者の可虐体験記」
引越し請負い業を始めたばかりの男に訪れた、願ってもない好機。以来、男はかつて想像したこともなかった淫楽の日々を送ることになる――。『S&Mスナイパー』1980年7月号に掲載された読者告白手記を、再編集の上で全3回に分けてお届けします。
あんなことがなければ俺は一生SMなんてことに興味はもてなかっただろうなァ。
もちろん、俺はド助平人間で、女を見りゃ女高生であろうが人妻であろうが、見境いがないってなもんで、ずいぶん、カカアを泣かせたもんだ。
でも、よオ、女をふん縛って浣腸をやるなんてことは、一度だって考えたことはなかったよ。女を歓ばせるにゃ、オッパイとアソコさえ満足させればいい、って思ってたんだもんな。
俺がSMに目覚めたのは、今から10年ほと前のことで、俺が30歳になろうかってころだったんた。
俺はとにかくガキのころから勉強ってやつか大嫌いでさ、中学を出てからズーッと運送関係の仕事をやってきたんた。
そして、まがりなりにも自分で運送会社を持つことができたんだ。会社ったって、カカアと俺と、それから、俺のガキのころと同じように、できの悪い中学出の男が一人ってゆう小っちゃいやつなんだ。
主な仕事は引越しの請負いなんだけど、独立して初めて受けた仕事でSMに目覚めたのは、なにか、こう、因緑めいた話だよ。 なにしろ俺の引越し請負い業とSMとは、切っても切れねえ関係になっちまったんだからねェ……。
あれは……春だったかなァ、とにかく、10年前のことさ。まわりからはまだ早いって言われてたんだけど、他人に使われるのがイヤでさ、独立して初めての仕事がきて、さすがの俺も嬉しくてね、すっ飛ぶようにしてその家に行ったもんだよ。
俺のやっているような小っちゃな運送屋に頼むんだから、どうせたいした家じゃないだろうって思って行ったら、これが、ビックリするような豪邸なんだなァ。
――こりゃ、理由(わけ)ありだなア。
そう思ったよ、俺は……。
俺の直感はズバリ的中! そのでっけェ家にいたのは、27、8歳の女ひとりで、これがまた、目ン玉の飛び出るような美人なんだよ。
引越しのためにスラックスとトレーナーっていう服装だったけど、切れ長の目といい、色の白さといい、着物を着るために生まれてきたんじゃねェかっていうほどの日本的な女なんだよ。
そうかと言って、からだつきは日本人離れしてるんだなァ。こう……オッパイはツンと飛び出る感じで、ケツだってブリンと外人みたいに突き出てるんだよ。
そのオッパイだってケツだって、かたちは外人みたいなんだけどこう……全体的につつましやかなんだ。
ちょっといい女に会うと、ビビーッとすぐポコチンに響いちまう俺だけどさ、その女を見たときは、ポコチンもうなだれてご挨拶ってゆうテイタラクよ。
声だって、銀の鈴を鳴らしたようで、ゾクッとするように淑やかなんだ。
引越しの荷物はそんなに多くはなかったけど、ひとつだけ気になるものがあったんだ。
それはひと抱えもあろうかっていうダンボール箱で、俺が運ぼうとすると、
「アッ、それは、私が……」
って、まるでこっちが悪いことをするような感しで、触らせねェんだよ。
「でも、奥さん、こりゃ、ちょっと、無理じゃないですか」
って俺が言っても、ダメなんだ。
その女の熊度があんまり変なんで、俺は最初に、「こりゃ、理由(わけ)ありだなァ……」って感じたものの根本が、このダンポール箱にあるような気がしてきてね、その女がトラックの荷台に積むとき、俺はワザと、揺れの激しいところに置いたんだ。
その女の家から引越し先のマンションまでの道筋は、俺の家の庭のように知りつくしているからね、俺は、途中、ワザと工事中の道路を走ってやったんだ。
すると案の定、ダンボール箱の脇に置いといたトランクが倒れて、ダンボール箱が破れちまったんたよ。
どんな荷物でも人が開けたのと、事故で開いちまったのとでは、その差がハッキリと出ちまうってことは、経験で知っていたから、俺はこんな面倒なやり方をしたってわけだ。
俺は使用人を助手席に残して、荷台のダンボール箱の中味を見に行ったんだ。
壊れたダンホール箱からは中味が半分以上飛び出ていてね、みんなきれいな包装紙で包んであったけど、そんなのは開けたと分かったところでなんとでも言いつくろえるからさ、俺は中を見たんだ。
その包装紙の中味か全部SMに関係があるものばかりだったんだよ。
貞操帯、ゴムのパンツにブラジャー、浣腸器にオマル、おとなのオモチャ……てなものがビッシリ詰まってたわけだ。
ド助平の俺はトルコ、ストリップはもちろん、エロ本のケンキューも怠りなくやってたもんだから、ダンボールの中味がなにに使われるか、ピンときたよ。
そして、「理由(わけ)あり」の意味も分かったってことだ。
俺は包装紙をもと通りに直すと、なに喰わぬ顔でマンションに届け、タクシーで先に着いていたその女に謝ったもんだ。
女はそのダンボール箱が壊れているのを知ると、青くなった顔を引きつらせて俺をジッと見たねェ。多分、俺がその中味を見たかどうか、俺の顔色から判断しようとしたんだろうな。
もちろん俺は「何もみ存じません」ってな顔をしていたけど、そのときはもう小細工を弄してたってことさ。
俺は化粧バックらしいものをひとつトラックの幌の下に隠しておいて、家に戻りその日の仕事を終えて使用人を帰らせると、さっそくその女に電話をして、
「……実は、ひとつ荷物をおろし忘れまして、これからすぐにお届けに参ります」
って言ったもんだ。
女が、 「……いえ、それは、今日でなくても……」 と言いかけたのを無視して電話を切ると、また、トラックをぶっ飛ばして女のマンションに向かったんだ。
悪は急げってな調子で、 「ひょっとしたら男か来てるかも知れねェな……?」 ってことも頭に浮かんだけど、それはそのときのこと、女がひとりなら図々しく家にあがりこんで、あのダンボール箱の中味のことをチラつかせて……。
俺は、勉強はカラキシだったけど、妙なことに、そういったことには変に頭が働くんだなァ。人間、なんか、取得がなくちゃね……。
とにかく俺は女のマンションに着くと、バッグを渡し、
「……ところで、お部屋の片付けは終りましたか?」
と切り出したんだ。
女は、
「……いえ、まだなんですのよ……」
と、俺の悪企みを知らずに答えたもんだ。
「そうですか。こう言っちゃ、なんですが、お詫びのしるしにお手伝いしますよ。旦那さんには休んでいてもらいましょうよ」
俺はそう言いながら、人のいい運送屋って感じで部屋にあがりこんじまったんた。
わざわざ「旦那」って言ったのは、俺が女ひとりの部屋にあがりこむような男しゃないよ、っていうことを女に分からせる方法でね、その実は、女がひとり住まいってことは、もうお見通しだったよ。
俺はそのシャレた3LDKのマンションの部屋にあがると、まず、例のダンボール箱を探したよ。もうどこかヘ片付けちまったかな、とも思ったけど、これが、リビングルームの片端にちゃんと置いてあるじゃないか……。
「そんなことをしていたたかなくても……」
と、オロオロ俺のうしろをついてまわる女を無視して、重たい荷物を片付けると、俺は、
「フーッ、いやァ、そんなに多くないと思ったけど、こうして片付けてると、けっこうありますねェ。とても、一人じゃ無理でしたよ」
と、いかにも疲れたって素振りで、ソファに腰かけて一服したんだ。もう、女がひとりだってことはハッキリしていたし、女もそれを隠そうとはしなかったな。俺の働きぶりから悪意がないって安心したんだろうね。女は、
「とうもすみませんでした。助かりましたわ。今、お茶でもいれますから……」
って言うと、お茶と食器の入った荷物を開き始めたんだ。俺は、
「いや、おかまいなく、一服したらすぐ帰りますから……」
って言ったけど、膝を床について荷物を開けているその女の背中やかっこうのいいお尻を見ていたら、どうしようもなくムラムラとしてきちゃってね。
「……ところで奥さん、あのダンボールの中味ですがね……」
と、切り出したんだ。
女はまだなんのことかわからないらしくて、キョトンとした顔で俺を振り向いたんだ。
俺が、ちょっとスゴむような目つきで女を見て、隅に置いてあったダンボール箱をアゴでしゃくると、女は、ギョッとして唇をふるわせたよ。
「……な、なんのことですか……!?」
女はシラを切り通すつもりでそう言ったらしいけど、その時点で、勝敗は目に見えていたな。
俺がたたみかけるように、
「あれ、SMってゆうのかな。ああゆうのを使ってやると、すごく感じるらしいねェ」
って言ってやると、
「……!?」
女はもうなにも言えなくなっちゃったんだよ。
もう、かわいそうになるくらいおびえちゃってね、まぶたをふせて、からだをワナワナとふるわせるんだ。ネズミ捕りにかかったネズミって感じだったなァ……。
これが、下着をチラッと見ちまって、女をからかう、ってんじゃ、女だって別に弱味があるわけじゃないから、「帰ってください! 人を呼びますよ」ですんじまうんだろうけど、見られたものが貞操帯とか浣腸器ともなれば、女としても強気になりにくいよなァ。
こうして俺はジワジワと女をいたぶり始めたんだ。
(続く)
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