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『S&Mスナイパー』1982年10月号 読者投稿小説
「ポラロイドゲーム」
作= 范虐路

夫を持つ身でありながら職場の上司に抱かれる女。縄で縛られ、卑猥な言葉を言わされながら淫らな調教を受ける彼女が次第に目覚めさせていく快楽とは……。『S&Mスナイパー』1982年10月号に掲載された読者投稿小説を、再編集の上で全4回に分けてお届けしています。
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【2】改造される意識

末広に全く下心がないとは言えなかった。

プロポーションといい、女優の多岐川裕美に似た顔立ちといい、由利子のことを一度は口説いてみたい女と思ってはいたが、当時はまだ独身であり、末広個人の加虐趣味の性癖から接近を躊躇していた。

だが、今は別居しているとは言え、おたがい気まずくなっても落ち着く先のある人の女房、そしてご無沙汰の夜の生活。条件は整っている。こんなチャンスに心の中で舌舐めずりをしない男はいないだろう。

「おいっ、大丈夫か、だいぶ酔ってるぞ」

由利子を抱きかかえながら歩く末広に、由利子は甘える。

「末広さんて本当にやさしいのネ、ふうっ、今夜は酔っぱらっちゃった。ねえ、介抱してくれる……? 冗談ですよ! あなたには、おうちで待ってる奥さんがいる……そうでしょ、わたしには待ってる人がダーレもいない、結婚してるのよ、わたし……不公平よっ……」
「わかった、わかった……」

時計を見ると、八時だった。末広の心に素早い計算が働く。結婚前には何人かの女と付き合ったが、結婚後の浮気は今夜が初めてだった。

今からホテルに入っても遅くとも11時には出られる。この女は一体どんな乱れ方をするのか。末広は高鳴る胸をおさえて、

「少し休んでから帰ろう」
「え? あっ、おぬし悪さをしようというんだな、今流行の上司と部下のただならぬ関係、あのオフィス・ラブを実践、ヒイック、しようというのだにゃ……、グスン、で、でも、ふうっ、あなただったらいいわ。あんな男、姉さんといちゃついていればいい……」

ベッドに由利子を寝かし、風呂に湯を入れながら、末広はブリーフ一枚になった。寝ぼけ眼で顔を上げた由利子は、

「ここはどこ? アレッ、なんでパンツ一枚に! ふうっ、そうか……今夜はあなたと初めてデートしたんだっけ……」
「そうだよ、男と女で付き合ったんだ」

ゆっくりワンピースのベルトをはずし、背中のファスナーを下ろす末広に、由利子は哀しげな目を向けて、

「あなたが結婚してなければ、もっと早くこうなれたんだわ」

とポツリと言った。

「ええっ? 由利子ちゃん俺に気があったの」
「うん、最初はオジン臭くて、どうも出世しそうもない男だなあって思ったけど、やさしい人だってことは判ったの。でも、そのやさしさは他の人が判らないやさしさよ。だって普段は何を考えてるんだか、ポケーッとしていて、そのくせ人が一番落ち込んいる時に誰も気付かない所で、スッと手を差しのべてくれるんだもの。なんで私と出逢う前に結婚したのよ、ねえ」
「僕はやさしいんじゃない、ずるいんだよ、ほんとうは」
「ずるい……? かもね。人が失敗する結婚をジッと見ていたんだから」
「ズボシ! 僕はバカな男から、いい女を奪い取るのが大好きな狡猾な男なんだ、エヘヘヘ……」
「どうせ、あいつもキャバレーの女といいことしてるんだもん、わたしも腹を決めた、やっちゃうか!」
「そうだ、そうしよう、それがいい」
「あなたねえ、人の不幸を笑うの!?」
「そう! 笑って暮らせばこの世は極楽、さあ、極楽に行こう!」

大きく叫んで末広は由利子に唇を重ねた。

由利子が風呂に入っている間、末広は二人分の浴衣の帯を椅子にかけておいた。部屋は照明を薄暗くしておき、由利子の湯上がりを待った。

「ああっ、いい気持ち」

タオルを胸に巻きつけて上がってきた由利子を抱き寄せて、そっと両手を後に持っていき、椅子から帯を取り、手首に搦め肩越しにうなじで結んだ。

「なにするの?」
「あまり気持ちよ過ぎて、由利子に暴れられると、体力のない僕としてはナニがダメになりそうだから」
「うそーっ、そんないい体格して。あっ、さては変態だな」
「そういうこと。世に言うアブノーマル。だけど俺にとっては、これがノーマル」

サッと体に巻き付いているタオルをはがしてベッドに仰向けに押し倒し、照明を明るくする。そして両足首を持って急いよく開く末広。

「痛っ! い、いやっ、灯りを消して、いや、そんな恥ずかしいこと」
「さてと、まず隅から隅まで見せてもらおうかな、うーん、まだあまり使っていないようだな、きれいな色をしている。でも可愛い顔の割に、たくさん生えてるな。おヘソまで続いてるぞ」
「い、いや〜」

ジッと見ていると、花弁の内側から透明の液が、スーッと流れ出てきた。

「もう濡れてる、だいぶご無沙汰だね、由利子」
「見ないで、そ、そんなこと誰もしないわっ!」
「ええっ、亭主はこんなふうに、ゆっくり可愛がってくれなかったのか。ただヤルだけか、やっぱりバカだねえ、もったいない」

花弁の上に隠された半球の肉粒を、ソッと人差し指でサグる。

「あうっ!」

ピクッとのけぞる由利子の股間に、ドロンとした乳白色の液が流れ出た。

(やっぱり想った通りだ。この女にはマゾの素質がある)

末広は心の中でそう思い歓喜した。照明を薄暗くして由利子の上に末広は這い上がっていく。スリムな体の割に大きめの乳房を両手で掴み、その谷間に顔を埋めて風呂上がりの芳わしい女体を存分に味わう。

「ああ〜、はあはあ……」

固くなった桜んぼのような乳首を吸い、噛み、指先で揉む。

その一つ一つに由利子は大きく反応を示し、自由にならない後手でバリッ、バリッとシーツを掴む。そんな姿に、不遇な立場に置かれた女の哀しさを末広は垣間見る感じがした。

足首を交差して、もう一本の帯で縛り、閉じ合わせられないよう末広は自分の足を由利子の両ももに乗せて、左手は乳房を、右手は花芯を執拗に責めたてた。

「ああ〜、おうっ!」
「どうかな、まだかなあ」
「ああっ、うう……、手を……、手をほどいて……」

乳首は、ますますツーンと尖がり、股間の液はシーツを濡らす。

自由にならない体の分だけ、顔を前後左右に動かし、髪を乱して喘ぐ由利子に予想以上の敏感な姿を見た末広の頭の中には、次々に悪い企みがよぎる。

「ああっ……、いいわっ……あうっ、もうだめっ! ねえ、入れて、はやく入れてっ」 

そう言って由利子は限界に達した。しかしその言葉がどこかの三流週刊誌のエロ漫画に出てくるセリフを聞いている感じで、末広は興奮が半減する思いがした。

「なんだ、その安っぽい言葉は、どこで覚えたっ!」
「ああっ! はやくゥ」
「誰に教えられた。亭主かっ!」
「だって、あう……、あの人、買ってきた週刊誌で、このセリフがいい、こう言えって、ああ〜、無理矢理言わされたの……、ああっ!はやく、ねえっ」
「どこまで低能児なんだ。くそっ! 俺がそんな安ゼリフ全部捨てさしてやるっ」
「は、はやくっ!」
「じゃあ、あなたのモノを奥まで深く私にください、お願いしますと言うんだ」
「ああ〜」
「さっ、言えっ!」

末広は、なおも由利子の体から手を離さず責め続ける。

「ああ〜、あ、あなたのものを……はあは あ……奥まで深く……わたしに、くだ……さい……、お願いしま……す……もうっ……だめっ!」
「もう一回!」

体で覚えさせようと、末広は由利子の改造を試みるのだった。

(続く)

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