スナイパーアーカイブ・ギャラリー 1980年12月号【5】
読者告白手記 ロープハント 第二回 わが愛奴――立花よしえ 投稿者=山田卓造 (仮名・37歳) 「お縄、ください」とよしえは甘えるように俺を見つめて催促する…… 。 |
スナイパーアーカイブ、数回にわたって当時の読者告白手記をご紹介します。
記念すべき日
それから俺は立花よしえを待ちつづけた。
「誰かから電話こなかった」
会社の配車係へ帰社するたびいったが返事はない。立川競輪場へもでかけたが、よしえの姿はなかった。(あれは気紛れだったのだろうか……彼女はたまたま競輪場へきて、オケラになりかげた。俺が教えた車券を買って儲けた。その礼に一回、からだを許したにすぎないだけだ……)
俺はそう思うとしだいに諦めかけていた。いままでにもこんなふうに、ずらかった女はいっぱいいた。だが反面、俺はかすかな自信があった。(あのM性はホンモノだ……)
恥じらうような物腰や、セックスの歓喜をたえしのぶ仕種は、ふつうの女でない。俺はクルマのトランクに縄、手伽、足伽、浣腸器を用意し、もし会ったらすぐプレイできるようにしておいた。
七月にはいってしばらくしたときだった。俺が仕事を終えて帰社すると、「女の人が待っています」
と連絡があった。
「えっ……」
あわてて事務所へいくと、白いブラウスの娘が恥すかしそうに立っていて、それが立花よしえだった。
「ごめんなさい……」
彼女はすなおにいった。
「どうしたんだ。あれから一カ月ぶりじゃないか」
俺はあふれてくるものをぐっとおさえていった。
「あれから、ずっと、考えていたんです……」
「ずっとだって……」
「ええ、考えていたんです。あなたが怖い人に見えて……」
「ずいぶん慎重だな、けどよくきてくれた」
俺は嬉しかった。
その夜―正確には昭和五十五年七月十八日だが、俺たちにとって記念すべき日がついに訪れたのだった。
俺は立川のファッションホテルへ、よしえをつれていって奴隷宣誓させた。ファッションホテルとは、当今、流行のSMホテルで、さまざまな設備が整っている。
「奴隷になった以上、じっくり倹分すっからな」
俺はよしえを裸にして、かんたんに縄をかけた。つまり初縄であるが、これは緊縛というより心理的な拘束を与えるものだった。
「やさしくして……」
すなおに両手を前にした彼女は、首筋まで朱に染めて俺を県つめた。
「初めてかね」
「はい……」
「ほんとかい、正直に答えるんだよ」
「ほんとです。でも縛られた人の写真はよく見ました」
「SM雑誌をか?」
「はい、古本屋で拾い見しただけですが……」
「なるほど……」
俺はナットクした。
やはり、M性がある……そして俺がM女の出現を待っていたように、よしえもS男との邂逅を待っていたのだ……それでなければここまでトントン話がすすむはずはないのだ……。
俺はよしえの両手首を背中へまわしてねじった。
「あっ!」
彼女は喉のおくで小さく叫んだ。俺は可愛らしい両手首を交えて後手縛りに括る。俺は緊縛の経験はすくなかった。何回かやったことがあるが、女は痛がりいつも呼吸が合わない。しかしこんどは違った。
よしえは痛みを訴えるが、拒んだり逃げようとするのではなく、俺に協力しようとするやさしさがあった。すばらしい愛奴の資質を、彼女はそなえているのだった。
「こんどは点検するよ」
俺は縛ったあとカメラのシャッターを切っていった。
「点検って……どこをなさるんです……」
「わかってるじゃないか。よしえのからだだよ」
「こうしてよしえは裸になっています……」
「裸になっていても見えないところがあるよ」
「……」
感付いたらしく、よしえは顔を伏せた。
(続く)
07.05.17更新 |
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