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法廷ドキュメント

ハングリー国家 日本の悲劇  第六回

文=法野巌
イラスト=笹沼傑嗣


強姦未遂事件を起こした少年には母親との不倫の関係があった
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スナイパーアーカイブ法廷ドキュメント、第六回をお届けいたします。
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強姦の真実

巨は、その少し前から信子の話に相槌を打つばかりだった。
そんな時が二〜三分も続いたころだろうか、いきなり炬燵から立ち上がり信子の方に体を寄せて、タックルするような姿勢で、信子の腰に両腕で抱きつき、頭を右胸部付近に押しあてて、彼女を炬燵に倒しつけたのたった。

「いや、何をするの、巨君、いやよ!」

「うるさい! 俺はこのままではダメだ!」

「何がダメなのよ! いやよ、手を離して!」

「うるさい!畜生! お母さんの馬鹿野郎!」

「何よ! お母さんなんて関係ないじゃないの! やめて! いやよ! いや!」

信子は、どうして、こんな時に、巨の口から、

「お母さん」

などという言葉が出てくるのかさっぱりわからなかった。
だが、今、現実に彼女は巨の暴力に踵刺されようとしているのだ。
どの位二人は、横に左右に縺れていたのだろうか、信子は、それはとても永い時間に思えた。
男の力というものはこんなにも強いものだろうか。
そう思って彼女は必死で、下腹部への巨の腕の侵入を拒んだ。

巨の指は、それこそ狂ったように、彼女の一箇所を中心とした部分への攻撃を加えていた。
彼女がまだ誰にも触れさせたことのない花園、柔らかな膨らみを持ったピンク色の切裂面。
優しいウエーブを浮き上がらせている髪の毛よりもやや濃色の恥毛の群れ。
それらを形ばかりにおおい隠しているレース模様のパンティ。
信子にも、男と女の交わり、その具体的な姿勢、そういった知識はあった。
無いのは体験だけ。
体は既に男を受け容れることが出来るだけの成熟さを誇持していた。
信子は、巨が自分の恥部に指を差し入れようとし、パンティの端まで近よらせ、そしてキスをしかけ、耐えきれず唇を重ね合わせ、指が遂にパンティの中に侵入し、その淫蕩な形をしたふくらみをなぞったことまでは覚えていた。
だがその後は、巨の気の抜けたような溜め息だけが耳の中に入ってきた。

「ああ!」

それは、彼の射精の合図だった。
一センチの挿入もなく、巨は信子のパンティの上に彼の情熱の固まりを滾らせていたのである。
以上が信子から聞いて山崎調査官が確認した事実であった。
山崎調査官は、いよいよ巨との決闘の時が到来したことを感じた。
このままでは、巨の行動を理解出来ない。
彼が、

「お母さん!」

あるいは、

「このままではダメになる!」

という解読を要し、かつ解読可能なセリフを発している以上、それらがどんな気持ちで発せられたのかを調べるためには、もはや一番事情を良く知っている本人に当たるしかない。
そして、本人がその核心を隠したがっている以上、聞き出すためには、その相手本人と対決するほかはない。
自己の全身全霊をかけて相手の精神世界に飛び込むほかはない。

(続く)

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07.07.23更新 | WEBスナイパー  >  スナイパーアーカイヴス