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スナイパーアーカイブ・ギャラリー 1983年5月号 「東京SM見聞録」【1】

編集者突撃モニター
東京SM見聞録 第一回

プレイ報告=本村夏彦


スナイパーアーカイブ、数回にわたって当時の記事をご紹介します。


●プレイゾーンへ●

「編集者突撃モニターを見て撮影に出演したいとおもっているのだが、夫婦でもかまいませんか?」

という電話をO氏からいただいたのは、前々号(3月号)が出た直後のことだった。

じつはこのときO氏と相前後して同じような電話を何本かいただいたのである(前号のミツコさんもその一人だった)。

皆さん、3月号の神戸のY夫人弘美さんの『好色妻のG腺オーガズム』をごらんになっての電話があった。

『そのうち撮影に出演したいとおもっている』
『ただ今、妻を説得中……』
『撮影のようすについてききたい』

などといった出演希望や問い合わせの電話で、正直言って編集部でもおもいがけない反響で驚いた。驚きよりも嬉しさのほうが大きかったのは、勿論、いうまでもない。この種の雑誌作りには読者の参加が不可欠であり、編集者にとっても何より心強いことだからである。

電話は大半が夫婦や恋人の関係にある男性からだったが、なかには先月号のミツコさんのように女性からのものも二、三あった。

ただ、いざとなるとなかなか決心がつかないのか、いまのところ出演が実現したのは、そのうち前回のミツコさんと今回のO氏夫妻だけである。もっともなかには編集部の撮影だからその点は安心しているといって近々出演してくださる可能性のある方もいる。電話をくださった方たちは勿論、それ以外の方もプライバシーは編集部が責任をもって保持しますので、ぜひあなたやあなた方のプレイをモニターさせてくださるようお願いします。




ところで今回のプレイ志願者、というよりプレイヤーのO夫妻だが、夫君のO氏から編集部に電話があったときはまだ夫人の了解が得られていなかったのである。

だが、O氏の口ぶりには充分に説得の自信が窺え、電話の応待をした私としても大いに期待していたところ約半月後の二月なかば朗報が届いた。裏を返せば約半月かけてO氏は夫人を説得したことになる。

その代償として夫人が求めたのが、東京のSMクラブやSMショーの探訪、観賞とか。

だが、実際は、それは好奇心旺盛な夫妻で計画したことで、それとはべつに夫人の求めた代償というのは都心の一流ホテルに最低三泊はして旅行者気分を満喫したいということだったようである。

O夫妻と会ったのは、そのホテルのロビーだった。

O氏はコールテンの上下にノーネクタイでシャツとベストというラフスタイル。広い額に人なつっこい眼、容貌にマッチした鼻の下にたくわえた髭――役者でいえば渋い性格俳優といった感じだ。

一方の由紀さんと紹介された夫人のほうはセミロングの髪の生え際、そして額がきれいで曲眉豊頬、チャーミングで色っぽい雰囲気をもった女性である。薄い色のファッショングラスをかけ、すらりとした体に黒いシックなドレスがよく似合う。おしゃれが身についている。

そんな魅力的な夫人に、私の気持はもう夫妻のプレイのほうに飛んでいた。が、そんなことはオクビにも出さず夫人にきいてみた。

「東京はいかがですか? 昨日はどこかいかれたんですか?」

夫妻は前日から上京していたのだ。

夫人はO氏のほうをチラッと見ると、

「それが……」

といって微笑んだ。笑うととてもチャーミングで二十九歳の人妻とはおもえない。

昨夜は某劇団主催のSMショーを観てきた、ところがホテルに帰ってきてからO氏だけふたたび外出したという。

「じつは、そのためにもう一泊延ばす約束をさせらたんですわ」

O氏が苦笑しながらいう。そこからはO氏がかわって話した。某SMクラブのSの女性とMプレイを愉しんできたのだという。

O氏はSとMの両刀使いなのである。
訊けばO氏のMプレイは相手が他の女性でも夫人公認らしいのだ。

その理由を、夫人は、

「主人が何かするわけではないし虐められるだけでしょ」

といい、O氏が補足して、

「つまりファックまでいかなければいいってことなんですよ」
「だけど、奥さんもときどきSを演じるわけでしょ?」

私が訊くと、

「ええ。でもわたしは本物じゃないから不満らしいの」

夫人はチャーミングな微笑を浮かべてO氏のほうを見ていう。夫婦が円満にやっていくにはどんな場合でもそこにそれなりのルールがある。ことさら気づかなくてもそういうものが自然に生じているといっていい。

O夫妻の場合は、それがルールということなのだろう。それも夫妻にとっては少しも不自然ではない取り決めなのだろう。それはおたがいの信頼から生まれたことにちがいない。

仲睦まじい夫婦を見ているとそうおもえた。そうおもいながら私は夫妻にふさわしいプレイゾーンへお二人を案内した。

そこは六本木にあるSMサロン『サム』である。経営者の賀山氏にご無理をいって昼間の店内をお借りしたのだ。

(続く)

monitor8305_plyer.jpg プレイヤー紹介
O氏夫妻=夫36歳、妻29歳(当時)。名古屋在住。自営業。結婚7年。SM歴は夫13年、妻7年少々(結婚前から夫と)。夫はS,M両刀使い。妻はM、ただ時々夫の要求でSも演じる。共に好奇心旺盛。今度の上京は東京のSMクラブやSMショーの探訪、鑑賞も目的の一つとか。勿論、第一の目的は今回の本誌への出演。すこぶる人柄のいい、息の合った夫妻である。
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