特選AVレビュー『共犯関係 この世でいちばん罪深い僕ら』（SILK LABO）

決して正しい関係ではないとわかっているのに......。結婚前に元彼との肉欲に溺れる「止まらないリフレイン」、浮気された同士が傷を舐めあう「ただ、愛されたかった」。はからずも不貞の仲になってしまった男と女を描いた2タイトルを収録。
共犯関係。なんというエロい言葉なんでしょう。
ある意味『ヤリマン玉舐め女』よりも『パイパン中出し鬼畜拷問』よりも『奥さん、おちんぽしごいてください！』よりもいやらしいタイトルなんじゃないかと思います。
世間から後ろ指刺されるようなイケナイことを一緒にやる。お互いの弱さやずるさ、貪欲さとみたいな恥ずかしい部分を共有する。それってどんなにハードなセックスよりも甘く卑猥なこと。
例えば、祝福された相手とするセックスより不倫やアブノーマルなプレイのほうが興奮するなんてのもそうだし、もっと身近なところで言うとみんなで楽しく飲んでいる最中二人きりでこっそり抜け出した......なんてのも一種の共犯関係。
特に女性は頭で感じる人が多いせいか、エッチ自体よりもそういうシチュエーションに濡れちゃったりする場合が多いんですよね。

というわけで、本作はそんな気持ちを代弁するかのような一本。
世間的には不適切な関係だとわかっているのに、一時の欲望と愛欲に溺れてしまう。女子のツボをくすぐる丁寧なドラマ作りがシルクラボならではです。

まず1話目は、あずみひな演じる結婚を間近に控えた女・真咲と、その元カレ・旬（向理来）が主人公。学生時代の密な時間を共に過ごした二人は、友人の結婚式で再会。その後バーで飲み直すうちに女はつい優しい婚約者への物足りなさを打ち明けてしまう。
「いつも優しくされてると、適当にされたくなるっていうか......そういうのない？」
なんとゆう勝手なことを！　そんなのただのマリッジブルーだよ!!と言いたくなるところですが、正直真咲の気持ちもわかるんですよ。
というのもこの元カレ、イケメンでちょいSで（「お前はいじめられればいじめられるほど輝く女だよ......」なんてことを真顔で言う！）、今は仕事で海外在住（つまり後腐れなさそう）という一夜の共犯関係を結ぶにはもってこいの物件。しかも昔フッたのは女のほうから！　こんな相手にグイグイこられたら転ぶなってほうが無理でしょう。
「何その言い方、ムカつくッ」なんて言いながらも「いつでも誘って」の言葉にすぐまたLINEする真咲。何度かバーで会ううちに思いは高まり、旬が日本を発つ前日、ついに彼のホテルの部屋を訪ねて一線を越えてしまいます。

敏感なイクイク娘ってイメージで人気のあずみひなだけど、すごいナイスバディとかパッと目を引く美女とかってわけじゃなく、どちらかというと地味で大人しそうな可愛いタイプ。スケベに全力投球しなくてもいいシルクラボ作品だと、その普通っぽさがいいんですよね。共感できるというか。
普段ほどの激しさはないものの反応のよさはもちろん健在で、濃厚なキスに思わず座りこんでしまったり、クンニされると口を押さえてビックンビックン体を痙攣させたり、持ち前のMっ気とエロさがしっかりダダ洩れているのも嬉しいところ。こんな普通っぽい子にこんなエロい反応されたら男はいらん自信持っちゃうだろうなあ。
ちなみに元カレ役の向理来くんは、溝端淳平と北村拓海を足して二で割ったような今どきのイケメン。ビックンビックン感じまくるみひなちゃんの姿を見て満足そうに口元歪めたりするのがたまらない。
うーん、ちょっと見ないうちにどんどん新たな強力エロメンが参入してきてて油断がなりませんな、シルクラボ。

対する2話目は、夫に浮気されている人妻と妻に浮気されている夫のストーリー。
久しぶりのデートを夫にドタキャンされた理沙子（浅見せな）はカフェで学生時代に憧れていた先輩・洋二（有馬芳彦）と再会。同じ悩みを抱える彼と逢瀬を重ねるうちに2人は男女の関係に――という展開です。
既婚者同士の不倫だからこちらも立派な「共犯関係」なのだけど、1話目の2人と違い理沙子と洋二は元々被害者。
「私たちばっかり傷つけられて、ズルいよ......」とか「君が奥さんだったら幸せだったのかな......」なんて元気のないセリフを聞くと、道ならぬセックスの一つや二つしたっていいんじゃないと思ってしまう。浅見せなはハーフ系の美人、有馬芳彦は感じのいい草食系イケメンだからなおさら。
傷を舐めあうように絡み合い、これからも関係を続けていきそうなムードの2人。共犯関係ではあるけれど、これはある意味ハッピーエンドと言えなくもありません。

でも不思議なもので、2本続けて見るとどうしても1話目のほうがいやらしく見えてしまうんだよなあ。
正しいセックスよりも、自分勝手で欲望に忠実なセックスのほうがエロい。エロメンの一挙手一投足に股間を濡らしつつも、そんな身も蓋もない真実を突き付けられた一本でした。

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『共犯関係 この世でいちばん罪深い僕ら』（SILK LABO）

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