WEB SNIPER's special AV review.
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スナイパーAVレビュー!
彼氏とのセックスがきっかけで「人生の歓び」を知った過去出演作1本のみのAV女優・榎本南那。露出やスワッピングプレイにプライベートでも興じるAV女優・横山夏希。それぞれがカメラの前で晒すパートナーとのセックスと愛の形......。男女のピュアな交接に触れる、意欲的なドキュメンタリーAV。それにしても、2009年から現在に至るアダルトビデオ界の変化には今昔の感に堪えない。当時は大塚咲や川上ゆうなど、人気女優が次々と登場した頃で、何よりセルAVの勢いが凄まじかった。『ウチの嫁さんはAV女優です。』も、そんなある意味裕福な環境を元に制作された作品だったと記憶している。しかし2010年代に入ると突如DVDが売れなくなり、当然ユーザー受けのいい単体作か低予算で制作できる安易な企画物が求められ、硬派なドキュメンタリー作品を作るのが本当に難しくなった。HMJMというメーカーも、長らく苦戦を強いられたと聞く。
ところが2014年になって『劇場版 テレクラキャノンボール2013』が大ヒットするという突然の「事件」が起きて潮目が変わる。次にAVとアイドルの融合『劇場版 BiSキャノンボール2014』、今度はロックとAVの合体『劇場版 どついたるねんライブ』(監督・梁井一)へと繋がっていく。カンパニー松尾監督によれば、AVメーカーとしてのHMJMの現状にはまだまだ困難なものがあるそうだが、AVの中にサブカルチャーというものが存在する余裕が残されたというか、もっと言えばAVをヌキだけでなくサブカルチャーの一分野として楽しむ若い世代が現われたと感じるのは、果たして僕だけだろうか? もちろん、だからといって産業としてのAVがこれからまた伸びていくかというと、それはまた別の話なのだが。
前置きが長くなりすぎた。内容を紹介しよう。主役は大阪から撮影のためにやってきた一組のカップル。彼女・榎本南那(32才)、彼氏・山南恵介(40才)。交際11年、画面を通して見ていても、コチラがテレ臭くなるほどラブラブな恋人同士である。今でもセックスは週4、5回。1回にかける時間は3時間、4時間は普通という好きモノぶりである。そんな二人が今回なぜAV出演に至ったか? じつは南那さん、1年前にプレステージで1本だけAV出演をしている(『まさかのAVデビュー 中学校教諭 榎本南那』)。
元々は彼氏と二人でAVに出たいと思っていた。そもそも彼女は彼以外の男とセックスはしたくないのだ。ところが話が一人歩きしてしまい、事務所やメーカーの手前もう断われなくなってしまったのだという。この辺、昨今話題になっている「AV強要出演」問題にも繋がりそうだが、話が長くなるのでやめておこう。ともあれ、その経験が棘のように心に刺さったままの彼女は、今度こそ彼と一緒に出演して、自分たちの真の姿をAVに残しておきたいと考えた。
そもそも南那は20才のとき恵介さんと出会い初めてセックスのよさを知った。いやそれどころじゃない、「生きててよかった」「自分は自分らしくていいんだ」と気づいた。それまではイジケていた。地味なくせにプライドだけが高く、グレたいけれどグレ切れず、寂しさを男で埋めていた。結果高校1年で妊娠堕胎。それが恵介氏と巡り会い、「君は可愛い。君は君のままでいいんだよ」と初めて知らされたのだ。
ココまで書くとナント美しい恋人同士と思うだけだが、ホテルに入りいざセックスとなると、我々はこの二人の恐ろしいほどの愛の深さと濃さにたじろぐこととなる。そもそも恵介氏は梁井監督に「性癖は?」と問われると、「女性がどうやったら歓ぶんやろうと思ったら、徹底的に調べ上げてためしてみずにいられないんですわ」と語る求道派。「七つ道具があるんですけど」とニコニコしてバイブ各種を取り出す辺りから風向きが変わってくる。そして榎本南那も小柄で華奢、少女のような肉体にも拘わらず、「女性の性欲ってこんなに強い、女って欲深い、こんなにエグイんだよってAVを観る男性たちに知って欲しい」と言うだけあって、そのパフォーマンスは凄まじい。
彼氏にバイブをあてられると「イグーッ、イッグーッ!」とダミ声で絶叫、エクソシスト状態というか、「激しぐぅー!」「くっそ、コノヤロー、イッグ、ギモヂイイー」「ソゴ、ソゴ、グリグリじでぇー」と汚い言葉を連発。全身の筋肉が盛り上がり、その可愛らしい身体の中には邪悪なエイリアンでも棲みついていて、ソイツが彼女の肉体をバリバリと割ってその姿を現わしそうな勢いである。ところが一度イッてしまうと声のトーンが2オクターブほどあがり、「シアワセ」「ベッド行こう!」とニコニコ。女というものはわからない、というか、愛とは、男女の幸せとはいったい何なのだろうと感じざるをえない。
ただし、ココまでは驚愕の内容ではあるのだが、正直エロとして、ヌキ目的としてどうなのだろうといぶかる部分もあったのだが、2日目、AV女優・横山夏希(24才)が登場するに至りグッと画面が華やかになる。先に挙げた『劇場版 どついたるねんライブ』や、カンパニー松尾監督作品『恥ずかしいカラダ SNSでハメまくったドスケベ女 横山夏希』でもお馴染みの彼女、美脚・スレンダーモデル体型だけでなく、全身から何ともエロいフェロモンが溢れ出し、榎本南那が1度だけプレステージ作品で他の男とセックスしてしまった代わりに、やはり11年間南那以外の女性と寝たことがないという恵介氏とのセックス、つまり嫉妬のゲームへと突入するんである。
また、南那・恵介カップルの撮影が終わると、<夏希はハプニングバー、露出、スワッピングなどを日常的に行っている生粋の変態女なのであります>とテロップが出て、ラスト30分は横山夏希がメインとなる。10代の頃からニャン2系の投稿雑誌にハマり、モデル、レースクイーンという華やかな世界の影で、変態一直線に進んできた彼女の青春が明らかになるくだりは、これもまた別の意味で感動的である。
かつて、ベテランAV監督で『カップルズ AV女優リアルドキュメント』(2002年・MOODYZ)、『中出し 天使美樹』等々、名作カップルAVを撮っていた高槻彰がこう言っていたのを思い出す。「カップル物はAV女優が女優じゃなくなるんです。男優もそう。単なる一人の男になって嫉妬する。だから面白い」と。ただし「でも、売れないのが困るんだけどね」と笑って付け加えた。梁井一とHMJMが、これからも本作のような意欲作を世に問うことが出来るのか? それは梁井とHMJMの問題だけでなく、AV業界全体の課題だと思う。
文=東良美季
『True Love リアルカップルのセックス(HMJM)』
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16.07.08更新 |
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