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咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫 第13回 「浅葱アゲハ」 【3】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★
モデル=浅葱アゲハ
ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」第13回浅葱アゲハさん、掲載中です!
自分の存在が恥ずかしかったので
なんとかして空気中に自分の占める面積を減らしたいと思って
コルセットをすると、ウェストが絞まる分、隙間が空くじゃないですか
純潔への執着
なんとかして空気中に自分の占める面積を減らしたいと思って
コルセットをすると、ウェストが絞まる分、隙間が空くじゃないですか
彼女のウェスト40センチは、もともと痩せた身体に、さらにコルセットを着用していたから、というのもある。趣味であるコルセットはSMショーパブに入るずっと前から着けていたという。これもリストカット的な意味合いがあったのだろうか。
「考え方はちょっと似てましたね。自分の存在が恥ずかしかったので、なんとかして空気中に自分の占める面積を減らしたいと思って。コルセットをすると、ウェストが絞まる分、隙間が空くじゃないですか。ちょっと気がおさまるように思って」
やはり浅葱アゲハの自虐は筋金入りだった。今でこそコルセットが一部の愛好者に受けている時代だが、当時はまったく付けている人などいない。彼女は日本で手に入らないぶん、わざわざ海外から輸入して愛用していたが、現在はそのコルセットメーカーと契約を交わし、インターネットで輸入販売も行なっている。
誰もやらないことを一人でやるというのは、とても勇気がいることだが、彼女には周囲の目線などまったく気にはなってないかのようだ。マイペースに自分のやりたいことだけを頑張り、そしてその成果に自信を持つわけではなく、あくまでまったく自信はないままというのが、不思議でしょうがなかった。
浅葱アゲハは、自分で決めた「思い込み」のようなものをいっぱい抱えて生きているような人だ。
あるときから、浅葱アゲハと長田スティーブの緊縛ショーは、SMショーパブだけでなく、ストリップ劇場へも範囲を広げていくが、夜の世界に足を踏み入れてからの一年半、依然として彼女は処女のままだったという。
「処女への執着があって、処女でなくなったら、すごく汚らわしくなると思ってたんです。それは子供の頃からあったんだと思う。子供の頃に、性的な嫌がらせを受けたことがあったんです。それは単発的に、近所の公園で変質者に触られたり、親戚のおじさんに触られたりってことだったんですけど。それでそういうものがすごく怖くなったというか。なんだろう、子供ってたぶんそういうことされると、自分が悪いって思うんですよね。大人が悪いなんて夢にも思わないんです。やっぱり家の両親も倫理的に厳しい人だったので、テレビでHなシーンが流れると母が『こんなヤラシイもの観ちゃ駄目』って消したりして、そういう意味ではすごく厳しかったんです。なので、自分がそういうことされたら、ああ自分がヤラシかったんだなって思っちゃうんですよ。だから本当に処女でなくなったらヤラシくなっちゃうと思って」
同時期、化粧をした女性が怖くなるという妙な恐怖症に取り付かれていたという。
「今はそんなことないんですけど。夜の世界にいると、いろんな女性を見るじゃないですか。M女さんだったり、フラっと遊びにくる女性だったり。で、女性のヤラシイところが強調して見えちゃう世界だと思うんです。そういう人たちが実は普通の大学生だったり、OLさんだったりするわけで、それを目の当たりにしてるうちに、街を歩いていても化粧をしている女性を見るのが怖くなっちゃったんですよね。その化粧が、身だしなみじゃなくて、男の人を誘惑する道具にしか映らなくなっちゃったんです。自分自身もショーに出るときは仕事だから化粧するけど、それ以外は『男を捕まえようと思ってない』っていう気持ちから、化粧ができなくなっていました」
論理的にものごとを考えるのが得意な浅葱アゲハは、真面目な分、より屈折した道を歩んだのだろう。強い貞操観念を持ちつつ、ショーで裸になることはいとわない、というのは明らかに普通ではないが、その両方がないと浅葱アゲハではいられなかったのだ。
(続く)
浅葱アゲハ
2003年6月よりSMショーに出演、2004年4月21日九条OSのSM興行にて劇場デビュー。緊縛師・長田スティーブとの緊縛ショー、またソロの出演では空中パフォーマンスをメインとして演出がなされた演目を行なっている。鍛え抜かれたスレンダーな肢体が宙に浮いたまま披露されるステージは必見だ。劇場のほかクラブイベントなどにも精力的に出演しており、ステージを見ることができる。
A-GEHA.COM Asagi Ageha Official Website
-浅葱アゲハ公式サイト-
船橋ニュー大宝
2月1日ー2月10日
イベント情報
新宿ロフトプラスワン 毒蟲
2/16 ソロパフォーマンス
撮影=インベカヲリ★
モデル=浅葱アゲハ
取材協力=西川口テアトルミュージック
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インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。 インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/ |
09.02.07更新 |
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