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Special Maniac Interview with Denjin Kobsyasi
「羞恥学園新聞」号外!?
処女長編『羞恥の教室』完成記念
SM官能小説家・小林電人インタビュー!

取材・文=井上文

アダルト業界とは無関係の本業を持ちながら、長年夢見てきた「理想のSMビデオ」を作りたい!とAVの自主制作を始めた小林電人氏。まったくの素人が撮ったものとしてスタートした氏の作品は、今や羞恥責め・アナル責めを愛好するマニアがもっとも注目するシリーズの一つになっている。そしてもう一つ。ついに完結した処女作『羞恥の教室』で官能小説家デビューまで果たした氏は、今、クリエイターとしての本領をいよいよ発揮しつつある――期待を込めて、『羞恥の教室』完成記念インタビュー!
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もともと、70年代の永井豪先生の漫画がベースにあるんです。
僕が自分の性癖に気づいたのは中学生の時
SM雑誌を読んだのがきっかけなんですけど、
その前に『月間少年ジャンプ』で永井豪先生の『けっこう仮面』を読んでいて、
性癖の芽はそこで植えつけられてるんですよね。


約2年間に亘って連載されてきた官能小説『羞恥の教室』。著者の小林電人氏は、都内某所で電気屋を営む40代の男性だ。羞恥責め、アナル責めをこよなく愛する熱心なSMマニアで、その原点は70年代永井豪エッチ漫画。『羞恥の教室』の中にその影響を楽しく見出した読者も多いのではないだろうか。小説内で現実と小説内小説を交互に示し、背徳的な関係のスリルとファンタジックなまでに大胆な責め描写(それこそ永井豪の漫画のような!)を両立させた本作は、氏にとって小説家としての処女作でもある。期待される2作目の執筆を前に、処女作完成の喜びと次回作の展望を語っていただいた。

常にリラックスしたムードで気さくに話をしてくれる小林電人氏。「(『羞恥の教室』は)もうちょっと短くできたかもできたかも知れない。僕の癖で、つい責めシーンを描き込みすぎちゃうんですよね」と謙遜しているところ。好きな官能小説家は杉浦春也、結城彩雨。
――『羞恥の教室』、アップされる月曜日が毎回楽しみでした。責め描写の具体的なところはほぼアナル責めだけに置いていて、性器いじりはおあずけ、セックスシーンが一つもなかったことは痛快ですらありました。浣腸責めマニアとスカトロ責めマニアの違いも明確に描かれていて、本当にお尻と羞恥が好きな人が書いているんだなと分かる、信頼できるマニア・エンターテインメント小説だったと思います。まずはお疲れさまでした。

ありがとうございます。2年ですか、長かったですね。小説って、僕は中学高校の頃に少し書いてたことがあるんですけど、その後パッタリ縁遠くなってましたから、本当にいきなりの連載だったんですよね。我ながらこんな無謀なことをよくやったなって思います(笑)。

――あれだけたくさんの責めシーンがあって、テンションを保ちながら2年間毎週書き続けたというのは、結果としては無謀じゃなかったからできたんじゃないでしょうか。描かれた世界は、責め方にしても設定にしても電人さんの好きな世界ですよね。

もともと、70年代の永井豪先生の漫画がベースにあるんです。僕が自分の性癖に気づいたのは中学生の時にSM雑誌を読んだのがきっかけなんですけど、その前に『月間少年ジャンプ』で永井豪先生の『けっこう仮面』を読んでいて、性癖の芽はそこで植えつけられてるんですよね。『けっこう仮面』の舞台になっているのは、スパルタ学園っていう全寮制の進学校で、そこでは問題のある生徒が日常的に性的なお仕置きを受けてるんです。僕らくらいの世代だと影響を受けた人は多いと思いますよ。ネットを見てると、往年のファンが集うサイトがいくつもあります。僕はそこでそういうエロ小説を読んで、個人的にちょっと描写が薄いと思ったりすると、自分で勝手に書き加えたりしてたんですね(笑)。好きだから。そしたらだんだん、書き加えた部分のほうが原文より長くなったりしていって(笑)。『羞恥の教室』はそういう断片の数々が土台になっているんです。

左)『けっこう仮面』第4巻
著者=永井豪とダイナミックプロ
発行=1978年
出版社=集英社
上)電人氏が70年代の『月刊少年ジャンプ』からファイルしたスパルタ学園の仕置きシーン。単行本(第4巻)ではP171に収録されている。

――電人さんが少年時代から育んできたツボの部分が栄養になってるんですね。もともとは個人的に楽しんでいたということですけど、WEBスナイパーで連載することになったのはどういう経緯だったんですか?

懇意にしていただいているエロ系ライターの安田理央さんが、やっぱり70年代永井豪先生のファンなんですよ。それで僕が自分用に書いたちょこちょこっと書いたものの一部を見せたら、いつの間にか「あいつは書けるから」とWEBスナイパーに伝達が行ってて(笑)。長編なんてまったく書いたことないのに週刊で書けなんて、無茶苦茶な人たちだと思いましたよ。

――(笑)第一話の段階で最終話までの構想はできていたんですか? 

いくつかアイディアはあったし、だいたいの終わらせ方はイメージしていました。ただ全部ではなかったので、特に後半は毎回「どうしよう……」って(笑)。たとえば絵里香のリモコンローターを誰が操作してるんだ?っていうところでも、謎だけ提示しといて、実はまだ誰が動かしてるとか考えてなかった(笑)。その場になって、あ、ここに誰か一人入れなきゃとかって、後から設計図を書いてるようなところがありましたね。なので全体としてアドリブに近い感覚があったんですけど、その分なりゆきの面白さみたいなものはあったかなと思っています。

――小説の中で現実と小説内小説が入れ子状態になっていて、永井豪的に突きぬけたファンタジーやエロの部分と、(教師と生徒のSM関係が)バレちゃいけないっていう現実的なスリルが両方楽しめたのは、『羞恥の教室』の最大の特徴だったと思います。当然、書き手としての狙いが最初からあったんじゃないでしょうか。

感覚としては、『羞恥の教室』で書いた小説内小説でやったような設定、まずあれが凄く好きなんですよね。それこそスパルタ学園みたいな。だけど漫画とは違うから、「そんな馬鹿な」ってどうしても思っちゃうじゃないですか。なんかやっぱり、あの架空のところだけを書くことに照れがあって、だからああいう形にしたのかも知れません。自分用に趣味で書いていたのと同じでいいのかどうかっていうことも少しありましたし。なので書く上でも小説内小説のところは自由ですしスラスラ書けましたけど、現実のほうの話では「あーっ」って頭を抱えることも結構あったんですよ(笑)。

――まず何を書きたいのかということを大事にされていたんですね。全体として、書きたいことは書けたという感じでしょうか。

そうですね、自分で(オナニーに)使えますからね。読み直してるうちにまた書き加えたりとかしてますけど(笑)。一応、自分の好きなパターンはかなり入れられたんじゃないかと思います。公開調教的な世界も大好きだから、最後は絶対それにしようって決めてたんですけど、ちゃんと話を持っていけましたし。考えてみると、ただ自分が入れたいものを入れていくために話を繋いでいった感があります(笑)。


キャラクターとしての仲村忍には、別にモデルがいるんですよ。
全体のイメージとしては笠木忍で、ルックスは、十四、五歳の時の仲村みうです。
2人の名前を合体させただけっていう安易なネーミングなんですけど(笑)。

――ところで、電人さんのブログを読むと、『羞恥の教室』における藤井と忍の出会いが実は電人さんの実生活と重なっていたことが分かるんですよね。電人さんがサイトに書いた文章を読んでメールしてきたという高橋真弓(仮名)さんが、その後電人さんとのやり取りを経て、電人さん監督のAV第一作『1年S組 高橋真弓のおしおき』に出演することになったという。『羞恥の教室』では(小説の中の)現実と小説内小説がリンクしていましたけど、電人さんの現実と『羞恥の教室』もリンクしていたということですか?

『1年S組 高橋真弓のおしおき』
全寮制の進学校S学園で繰り広げられる、スケベな変態教師 による辛く恥ずかしい「おしおき」の数々。電人氏が初めて製作したAVだ。
品番:DJ-001
収録時間:50分
送料込価格:6,000円
購入は電人blog「理想のSMビデオを作りたい!」から。
結果としてそういう部分があったということですね。確かに第二章の半ばくらいまでの流れは、高橋真弓さん個人のことや、僕の実体験をヒントにして書かれたところもあるんです。ナル(忍)とメールのやり取りをしている時の藤井の興奮とか、待ち合わせをして実際に会う時の緊張とか、処女なんだけれどもSMを受け入れようとしている女性と出会って何を思うだとか、僕の現実をなぞっている部分がありますね。ただ、これは是非書いておいて欲しいんですけど、キャラクターとしての仲村忍には、別にモデルがいるんですよ。

――え、誰なんですか?

全体のイメージとしては笠木忍で、ルックスは、十四、五歳の時の仲村みうです。2人の名前を合体させただけっていう安易なネーミングなんですけど(笑)。僕は仲村みうの十四歳くらいの頃が凄く可愛いと思っていて、仲村忍の身体の描写なんて当時の仲村みうのグラビアをトレースして書いてたくらいですから。

――高橋さんという生々しい存在がそばにいるのに、その上で、そんなミーハーで楽しい遊びをしてたんですか? 逆に凄い人だなって思えてきました(笑)。

そういうのが楽しいんですよ(笑)。あと、キャラの名前とかを永井豪先生の漫画からいくつも取ってたりするんですよ。谷口ゆり先生も、谷間ゆりっていう『おいら女蛮』に出てくる先生がいて、そこから取ったりとかね。だいたいもう、現実に即していても何でもマニアックな遊びを入れていく感じでやるのが、凄く楽しい(笑)。

――電人さんの趣味とかやりたいことがいよいよはっきり分かってきた気がします(笑)。電人さんと趣味が近ければ近いほど読む楽しみも大きくなりそうですけど、連載の前と後で、AV作品やブログを通じて聞こえてくる声に何か変化はありましたか?

今のところ、AVと小説ではユーザーが違うのかなという感じがしてますね。ただ、メールはそれぞれのユーザーからいただいています。世界中を飛び回っているビジネスマンが赴任する先々のパソコンで読んで応援メッセージをくれてたりとか、どこかの風俗嬢が自分のブログで「あんなふうに責められたい」って書いてくれてるのを間接的に教えてもらったりとか。あと、ビデオでも小説でもそうなんですけど、僕の作品を観たり読んだりして、自分でも撮ってみた、書いてみたっていう人が結構いたことが嬉しかったですね。

――それこそ『羞恥の教室』の最終回みたいに、作品が自立していろんな人が勝手に話を膨らませたり飛び火していったりしたらたまらないでしょうね。

そうですね。僕がしていることもそういうことの一種ですし(笑)。


まだ詳細は考えているところですけど、まず、男の人は徴兵にとられて、
女の人は誰かの奴隷にならなきゃいけないっていう、法律がある(笑)。
で、女の子は、赤紙が送られてきた場合に名前が官報みたいなのに載るわけです。

――今日は次回作についても伺いたいと思っているんですけど、前情報によると、自主制作されているAVと内容をリンクさせていくということですね。

そうなんです。今度『首輪少女』というシリーズで自主制作の新レーベルみたいなものを立ち上げるんですけど、内容はパラレルワールドもので、小説のほうではその世界の設定みたいなものをどんどん書いていこうと。で、AVのほうでは登場人物の一人の話っていう感じで撮る。つまり、同じ世界でやろうかなと。今回、高橋真弓さんの件でたまたま現実と小説がリンクしたというのがあったので、今度は意識的にやっていこうかと思ってるんです。

――もう構想はできているんですか?

まだ詳細は考えているところですけど、まず、男の人は徴兵にとられて、女の人は誰かの奴隷にならなきゃいけないっていう、法律がある(笑)。で、女の子は、赤紙が送られてきた場合に名前が官報みたいなのに載るわけです。そうすると、この子が欲しいっていう人は、入札できるんですよ。ポイントとしてはアイドルとかにも赤紙が来ちゃう場合があるということですね。で、そういう時にはもの凄い入札が(笑)。中には近所の女の子だったりとか、小学校の頃の担任の先生っていう設定があったりもして、想定できる様々なケースを描いていきます。小説の場合には一人の子のことをある程度長めに書いて、AVのほうでは細かくたくさんのバージョンを作ろうかなと。ヒロインが一人だけとは限らないですね。

――ワクワクしてきました。でもいろんな男女の組み合わせということになると、次は必ずしもお尻にこだわる小説にはならないということでしょうか。

セックスシーンが好きな人も多いんでしょうけど、うーん、僕はあんまり好きじゃないんで、やっぱり偏る可能性が……ある(笑)。いっそセックスしちゃいけないっていう法律にしようかな、なんか理屈つけて(笑)。

――楽しみにしています(笑)。それで、その次回長編が近く連載開始ということになるわけですけど、他にも『羞恥の教室』のサイドストーリーが予定されているそうですね。

ええ、とってもありがたいことに……、でも、まだ誰を主人公にするとか、ぜんぜん考えてないんですよね(笑)。僕、本業が電気屋なもんですから、正直言って今、地デジの切り替えで大変なんですよ。本業しっかりやらないと、羞恥とかお尻とか言ってられなくなりますから(笑)。

――また無茶苦茶なスケジュールで「書きなさい」っい言われるかも知れませんよ(笑)。

うーん、今回の『羞恥の教室』だってね、うちは書斎なんかないんで、息子の勉強机借りて書いてたんですよ。店が休みになる土曜の午前中に2時間くらいで書いて、午後は家族サービスして。AV撮るのだって結構大変なんですから。「ちょっと修理行ってくっから」ってカミさんに言って、安田(理央)さんの事務所寄って置かせてもらってる機材回収して、撮り終わったらまた置かせてもらいに行って。カミさんに「ただいま」って笑顔で言って、エコポイントの話とか白々しくして(笑)。

――分かりました(笑)。電人さんが充実した生活を送れる範囲で、長く、たくさんの作品を味わわせてもらえたらと思います。今回は処女作が完成したということで、まずは、本当にお疲れ様でした。そして、おめでとうございます。

いえいえ、どうもありがとうございました。

実際のところ、AVの制作を始めて以来、「カミさんとペッティングもできないほど」大忙しの日々を送っているという小林電人氏。これから小説と併せて最も力を入れていくことになるに違いない『首輪少女』シリーズは、現在、第一作目の編集作業が進行中。一方では二村ヒトシ監督のAV作品でパート監督を任されるなど(詳細はいずれ電人ブログで発表されるはず)、地デシ対応と併せて毎日が引っ張りだこ状態なのだ。そんな日々の中、氏の尽きない妄想から生まれてくる次回作への期待は高まるばかり。今度は何をやり出すかわからない、気さくな氏の好奇心旺盛な子供のような遊び心が、ますます作品の完成を待ち遠しくさせている。



取材・文=井上文


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1年S組の女生徒、仲村忍はまじめな優等生の仮面の下に、アナルでも感じる性癖と強いマゾ性を隠し持っていた。忍はSM趣味、アナル趣味を持つ教師に調教されることを自ら望んだ。これはその最初の調教の記録……。
「い、1年S組の仲村忍は、恥ずかしい姿を見られるのがすきなマゾです。どうか私が、うんちをするところを。見てください……」

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inouebun.jpg 井上文 1971年生まれ。SM雑誌編集部に勤務後、フリー編集・ライターに。猥褻物を専門に、書籍・雑誌の裏方を務める。発明団体『BENRI編集室』顧問。
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09.05.26更新 | WEBスナイパー  >  インタビュー
文=小林電人 |