毎週土曜日更新! The dancing girls are in full bloom at their best.
咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫 第2回「きらら☆」【2】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★
モデル=きらら☆
ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」、第2回のきらら☆さんは浅草での路上撮影!
周りの男の子たちと一緒に立ちションしてました
自分のことは「俺」って言ってたし
自分のことは「俺」って言ってたし
幼少期
きらら☆は京都の呉服屋に生まれた。純日本風な顔立ちとまったりとした京都弁。身振り手振りも大変女性らしい雰囲気を漂わせている。しかし幼い頃はまるで正反対、男勝りの活発な少女だったという。
「周りの男の子たちと一緒に立ちションしてました。自分のことは『俺』って言ってたし。お母さんに注意されて途中から『僕』になりましたけど(笑)。男兄弟ばかりの中で一人だけ女の子だったから、洋服だってお兄ちゃんのお下がり。可愛がられるどころか完全にオス扱い。遊びだって男友達と山登りとか忍者ごっこで、リカちゃん人形なんて持ってなかったんですよ!」
そんな少女きらら☆には天邪鬼な一面もあった。冬になるとたんすから半そで半ズボンを引っ張り出して身に着けた。夏には毛糸のセーターを着た。両親は必死にやめさせようとしたのだが、やめることはなかったという。
そして既にその頃からストリッパーとしての原点のようなものがチラつき始めていた。
「3歳とか4歳で、パーマかけたいってお母さんに頼んで、髪をクルクルにしてたんですね。それで真っ赤な口紅を塗って、フリフリのスカート履いて、お母さんのハイヒールを履いて、台の上に登るんですよ。その前に、客集めですね。近所中、一軒一軒ノックして『踊るでー』みたいな(笑)。行くときはお母さんの靴履いてくんだけど、その靴を次に行った家のオバチャンのと履き替えて、また違う家に行ってトントン『踊るでー』って。また今度はそこの人の靴に履き替えて、もう誰の靴かわかんなくなって、慌ててみんな集まったって親が言ってました。結局、10軒くらい回って、近所のオバチャンと男友達が集まったところで、踊るんですけどね。終わった後はみんな帰っちゃうじゃないですか。私、泣いてたらしいですよ(笑)。記憶にはないけど写真に残ってました」
3歳の頃から人前で踊っていたということに驚いてしまう。だが、幼稚園のお遊戯会はものすごくイヤがったという。ご近所では誰に頼まれたわけでもなく、自分から踊ったというのにである。
「王子様の白いタイツですよ! 下着とかスケスケだったり。ウサギの役だったんですけど、踊りがウサギじゃないんですよね、耳とお面をつけてるだけで、カエル役とかもそうでした。今にして思えば、演出が気に入らなかったんでしょうね、自分で納得がいかなかったんだと思います。私が幼稚園の先生だったら、絶対白いタイツなんか穿かせないですからね」
高校生の頃にも、きらら☆のキャラは決定的なエピソードとして残っている。
「友達に誘われて、ファーストフード店でバイトを始めたんですよ。『いらっしゃいませー』とか言ってたらお客さんの評判がよくて、スターっていうお客様係に回されたんですね。レジとかはやらないで、混んでるとき並んでるお客さんに『ご注文はお決まりですか?』って聞いたり、お子様にサービスのノベルティをあげたりとか店内の色々なところを動き回る仕事だったんですね。普通より給料もよかったので、よーしこりゃいいと思って」
一際目立つ存在だったのだろう。個性的な彼女は、どこへ行っても普通とは違う仕事を回された。
「今度は美人の友達に『ホステスやらへん?』って誘われて。えーそんなん無理と思ったけど、誘われて恐る恐るついてって、面接したら明日から来てっていわれて。でもオジサンと喋るのが苦手で、ずっと硬直してたんですよ。『ハイッハイッ』とか言って(笑)。そしたら『君は向いてないからキャッシャーでいいかな?』っていわれて。キャッシャーってホステスさんとは違う制服着せられて、いくらですって言ってただ立ってるだけなんですよ。ホステスさんはお酒飲んだりオジサンと喋る仕事でしょ。私は立ってるだけなのに逆に人気が出ちゃって。チップをいっぱい貰ったり、プレゼント貰ったり。オジサン達は、ホステスさんは女として見るけど、私はマスコットガールなんですね。触っちゃいけないものとして扱うんです」
考えていることが素直に表情に出てしまうというのは、決してホステス向きとはいえない。そのマイペースな性格は、当然のごとく現在のストリップ業にも影響しているのだった。
(続く)
きらら☆
1994年5月11日デビュー。京都DX東寺所属。愛称は“きらこ☆”。13周年を迎えた今年、来年2月での引退を表明。2008年2月11日〜20日まで、DX東寺で引退興行を行なう。引退後はさらに自分の思い描く世界を表現し続けるために生きていくとのこと。 撮影=インベカヲリ★
モデル=きらら☆
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京都のお嬢様きららのお部屋
インベカヲリ★
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牧瀬茜 【1】>>>【2】>>>【3】>>>【4】>>>【5】
インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。 インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/ |
07.12.15更新 |
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