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咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫 第5回「片瀬永遠」【5】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★
モデル=片瀬永遠
ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」第5回、片瀬永遠さん最終回です!
いま足を運んでくれているストリップのファンだけではなく
ストリップを知らない人たちに面白い!って言わせるステージをしていきたい
警察
ストリップを知らない人たちに面白い!って言わせるステージをしていきたい
「他のステージでは駄目なのかってよく言われるんですよ。絶対言われるんですね。駄目なんですよ。ストリップでないと駄目なんです。確かに他のカテゴリはあるけど、ここまでエロを追求できる舞台ってないじゃないですか」
エロという概念が理解できなかった片瀬永遠も、ストリップ本来の魅力に取りつかれはじめていた。自分のしている表現はストリップでないとできない、それが確信に変わったのは、あるきっかけがあったから。劇場に手入れが入ったのだ。
「事情聴取をされるんですけど、ストリップを観たこともない人が調書を取ったんですよ。全部一から説明しなくてはいけなくて、警察はありきたりな言葉で『法的に決められていることだから、これは悪いことなんだよ』とか言っていて」
片瀬永遠も充分それは理解していた。ただ否定から入る人たちが許せなかった。世間、そして警察。さらなる壁に、片瀬永遠は人一倍敏感に反応した。
「どうして観たことのない人たちに基礎中の基礎から説明して、喋らないといけないんだろうと思って。だって『ベッドショーっていうのは、盆の上にベッドが置いてあるんだよな』とか言われて。何の理解もない人が調書取ったらそれはそれでイライラして(笑)。すいません、わがままなんですけど。でもその中で理解してくれる方もいたんです。『現場にいました。とてもきれいでした。でもこれが僕の仕事なんです。すいません』嬉しかったですね」
片瀬永遠は押さえつけられることで燃え上がるタイプなのかもしれない。手入れが入ったことをきっかけに、確固たる信念を築き上げることになる。
「脱ぐことが出来るショーって、この職業だけじゃないですか。ライブで出来るのはこの仕事だけなんですね。調書を取られてみて、ストリップを見たことのない人たちにもっと足を運んで欲しいと思ったんです。アンダーグラウンドな感じじゃなく、場末感がなく。敷居は高く、志も高くっていう」
年々落ちるストリップへの客足、そして世間が抱くストリップへの負のイメージ。片瀬永遠は小さなヒントを一つ一つ拾い上げ、頭をフル回転さていた。
「デビュー当時からストリップのイメージを変えていきたい、変えなければならないと思いましたね。だってどうしても世間の人たちは『え、ストリップ!?』ってなるもん、それが現実です。それを『ストリップっていいな』に思わせるようにするには、よいステージをするしかないじゃないですか。いま足を運んでくれているストリップのファンだけではなく、ストリップを知らない人たちに面白い!って言わせるステージを私はしていきたいですね」
ハードルが高いほどに燃え上がる。決して止まることなく、片瀬永遠は明日へと向かっていく。
片瀬永遠
新宿TSミュージック所属。2003年4月21日所属先となる新宿TSミュージックにてデビュー。温和な眼差しと慈愛に満ちた微笑み、また多彩なステージ構成と巧みな身体表現で古くからのストリップファンをも惹きつける魅力を持つ。 撮影=インベカヲリ★
モデル=片瀬永遠
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インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。 インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/ |
08.04.12更新 |
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