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咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫  第5回「片瀬永遠」【4】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★ モデル=片瀬永遠

ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」第5回、片瀬永遠さん掲載中です!
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家を出て暮らしたほうが楽でしょうね
それでも親元を離れて隠し通す方が余計に苦しいなと思って
親バレ

両親にはホテル勤務を続けていると見せかけ、踊り子の仕事を続けていたある日、家でテレビを見ている片瀬永遠に、母親はポツリと言った。

「あのー、まさかと思うけど、やってないわよね?」

「やってるよ」

いつか聞かれるだろうその言葉を覚悟していたのだろう。片瀬永遠はそう答えた。

「その仕事をしているって時点で、母親は勘がいいので気づくんですよ。やっぱり普通の仕事をしていた人間がそういう世界に入ったら、変わりますよね全部が。浮世離れっていうか世間離れするじゃないですか」

勤め人と同じような服装で外出し帰宅していた。衣装は全てトランクルームに押し込み、家には持ち帰らなかった。それでも舞台に立つ人間としてのオーラは普通とは違う。

「中から出る雰囲気っていうのは確実に変わりますよ。母親はずーっと疑ってたんです。それはわかってたんですよ私も。薄々感づいてるなって。ただ直接聞くのが怖いんだろうなっていうのもわかっていたんです」

きっかけはポラロイド。衣装こそ着ていたものの、自分も一緒に写っている姐さんの引退写真などが母親の目に触れてしまったのだという。母親は怒りを通りこして脱力した。

「ばれたのは去年の8月くらいのことですね。母は私を見て、『お母さんの育て方が間違ってた……』って。だから本当にそのときも考えたんですよ。辞めるって。辞めて欲しいってもちろん言われたので」




悩んだ末、母親に辞めることを告げた。辞める日付も決めた。しかし劇場に辞めることを伝える決心だけはつかないまま。辞めると決めた日が近づいてくる。片瀬永遠は信頼できる上司に相談した。“本当に君自身が辞めたいの? また親のせいにするの? それで後悔はしないの?”そう言われ、はっとした。

「幕引きしたいのにできない。スイミングのときも、中学受験のときも、全て親のせいにしてきた自分に気づいたんです。こうなってきたのは結局自分が弱かったから。自分の意思を貫こうと思えば、どんなことだってできたはず。だからそれを認めなければ成長できない、今までと何も変わらない。もう逃げたくない」

片瀬永遠は決めた。

「ごめん。明日から岐阜に行くから」

無理やり地方の劇場に仕事を入れてもらい、数日間家族の元を離れた。母親は諦めた。認めてはいないが、娘が変わらないことだけは理解した。

「いつかは辞めるよ。ただ、『いつまでっていうのはとりあえず今はない、自分を出し切れるとこまで全て出し切って辞めたい』とだけ告げましたね」

安定、安定と強いられ、親の言うことを聞き、長女としての責任感も充分過ぎるほどに持っていた。片瀬永遠は今でも実家に暮らし、毎月家にお金を入れ、休みの日は必ず家族と一緒に食事を取るようにしている。

「もちろん家を出て暮らしたほうが楽でしょうね。それでも親元を離れて隠し通す方が余計に苦しいなと思って。親の顔を見たときに逆に帰れないって気持ちになると思うんです。だからもう、ばれてもいいから一緒にいようって」

しばらく親子の話し合いは続き、母親はため息を吐き、そのたびに片瀬永遠は胸を締めつけられた。そんなときでも仕事に向かうときに「いってらっしゃい」と言ってくれたことが「とてもとても嬉しかった」と片瀬永遠は言う。

「感謝しています。だって母の気持ちを考えたら勘当することだってできたはず。でもそれをしないでくれた。昔も今もいつだって、私のことを考えて想ってくれているんです。それにやっと気づけた。本当に感謝しています」

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Katase Haruka x Inbe Kawori★

片瀬永遠
新宿TSミュージック所属。2003年4月21日所属先となる新宿TSミュージックにてデビュー。温和な眼差しと慈愛に満ちた微笑み、また多彩なステージ構成と巧みな身体表現で古くからのストリップファンをも惹きつける魅力を持つ。
撮影=インベカヲリ★
モデル=片瀬永遠



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インベカヲリ★ インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。

インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/

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08.04.05更新 | WEBスナイパー  >  インタビュー