The amateur bondage photographer |
顔を映さないことで身体の表情みたいなものに
主眼を持っていくことができるのかなと
主眼を持っていくことができるのかなと
編:足と腕を一緒に縛るのがお好きなんですよね。こういうのもやっぱりデザイナー的にフォルムに対する欲求が強かったりするからなんでしょうか。
S:長くやってるとやっぱりマンネリになってくるところってあるんですよ。僕って吊りをやらないんで、そうすると凄く縛り方とかも限定されてきちゃうので、なるべく変化をつけて。
編:女性の身体の表情ですよね。顔の表情が出ないので。
S:それがうまく出るポーズとか縛り方とか意識してます。足と腕を一緒に縛るのは最初に何気なくいいなあって思って載せてたんですけども、凄く評判が良くて、やめられなくなりましたね(笑)。
編:(笑)。
S:商業主義ではないと言いながら、結構読者の意見は気にしている(笑)。
編:顔が見せられないという理由からなのかもしれないですけれども、空間を使われている写真が多いですよね。
S:その辺はちょっとデザイナーくさい写真になっているかと(笑)。
編:身体のフォルムに対する捉え方のこだわりも、やっぱり表情がないからなんだろうなと思うんです。
S:人間ってやっぱり表情があると、最初に表情を見ちゃうっていうのも本能としてあると思うんで、逆に顔を映さないことで身体の表情みたいなものに主眼を持っていくことができるのかなと。
編:そのために縛る。
S:ただ裸でそこに女の人がいるっていうだけだと、そんなに複雑な表情は出てこないと思うんです。
編:実は緊縛って、縛ってからが本番じゃないですか。縛ってどうしたいんだ、っていうのが結構重要で。
S:なるほど。
編:それでその人がどの方向に行くかっていうのがあるような気がしているんです。縛りって、そこで終わっちゃいそうなんですけど、実は玄関でしかない。
S:縛ったら解くしかないですもんね。
編:縛った後にどうこうしたいというのが普通はあると思うんですが、スズキさんのお写真を観ると、縛って解いて縛って解いて(笑)。
S:(笑)。本当に縛って解いてですよ。
編:実際に写真に撮られるようになったら縛って解いてなのかもしれないですが、写真に撮る以前には、縛ってからの展開があったんですか?
S:まあ通り一遍のことはやってみたことがあります。
編:でもやっぱりしっくりこない。
S:しっくりこないことはないんですけども、うーん、追求すべきところはそこじゃなくて、その手前の縛るところなんです、僕の場合は。
編:緊縛がお好きなんですね。
S:そうですね。縛って鑑賞していたい、みたいな感じですね。できれば縛ったことによって、相手には感じて欲しいし、もう縛っただけでイッてくれちゃっうのが一番いい、くらいのことは思っているんですけども。
編:そうした手ごたえは、やっぱり日々感じていらっしゃいますか?
S:縛られる側の感受性にもよりますよね。縛られても平然としている女性とかもいますし。
編:そういう女性にばっかりに当たると、縛る気もどんどんなくなってくると思うんですが(笑)。どっかで縄酔いしやすい女性に当たったのかもしれないですね。そういった女性像みたいな、あまりにも持っている被虐性が素晴らしかったというような、写真は撮ってないけどあの子はよかったみたいなイメージがあったりするんでしょうか。
S:自分の中ではあるのかな。もう縛っている途中で立っていられなくなっちゃうくらいの子とかもいましたね。奇麗に縛るには縛りにくいんですけどね、そういうのは。
編:あまりそういう姿を写真で撮るようなことは……ないんですかね。
S:割と、撮っているつもりなんですけど……ないんですかね、あんまり(笑)。
編:なんかこう……凄い綺麗綺麗な印象で(笑)。
S:なんだろう、そうですね、少女漫画のセックスシーンみたいなものですかね(笑)。話をもとに戻して、モデルさんに聞くと縛られて気持ちがいいっていうのと、あと写真撮られて気持ちいいってのもあるみたいですね。いい気持ちになって頂くことは、まあまあ、あるように感じてはいます。演技かもしれませんけどね(笑)。
こういう写真を撮っていますっていうのが
メッセージとして伝わっているのかなっていう気はしています
メッセージとして伝わっているのかなっていう気はしています
編:アマチュアでやられていることも関係していると思うんですが、素人のモデルさんであることで苦労されている点などありますか。例えばいろんな制限があると思うんですが。
S:身元がわかったりということがあっちゃいけなかったりという。
編:ほくろの位置をレタッチしたりだとか。
S:はい。世の中少しずつオープンな世界になって、4〜5年前と比べてもだいぶ変わってきてるとは思うんですけれど、でもまだまだ「私はそういう趣味を持っています」ということを大っぴらに言うことが、特に女性では難しいこともあるでしょうし。そもそもネット上に自分の裸が出ちゃうってこと自体、縛られている縛られていないに関わらず、勇気のいる話だと思うんで。基本的には表情なしで、いわゆる個人情報みたいなものは全部伏せた状態でモデルをしていただけるというふうにはしていますね。
編:そういう制約が直接的にフレーミングへと影響しますよね。
S:そうですね、表現の幅が当然それで狭くなるんですけど、ポリシーとしてよくあるモザイクとか、黒い目線とかは……。
編:使わない。
S:使わない。それは「作品だから」ということで。
編:拝見していると、我々よりもよっぽどスズキさんのほうが、素人さんの顔の隠し方がお上手だなと。
S:見えない方が楽しかったりもしますよね。自分の想像で適当にイメージをかきたてられたりとか。
編:モデルさんも、非常に皆さんスタイルの良い方ばかりですよね。
S:モデルさんの選考に関しては、ここ半年ぐらいでやっと選ばせて頂くようになった感じで、2006年の最初ぐらいまでは選んでなかったです。来た方全部撮らせて頂くという。
編:なかにはこう、明らかにスズキさんの好みじゃないモデルであるとか。
S:(笑)。うーん、でもあれですよ、割と僕はストライクゾーンは広いんで。逆になんだろう、こういうサイトに掲載しますよというのが撮らせて頂く前提となっているので、応募して頂くモデルさん自身のほうで、ある程度選抜してくれているのかなと。
編:なるほど、そういった敷居をあげるためにも……。
S:敷居をあげるっていうわけでもないんですけど、まあひとつの世界観ができてるじゃないですか。誰でもいらっしゃいというよりは、こういう写真を撮っていますっていうのがメッセージとして伝わっているのかなあっていう気はしていますね。でも今までに撮影したモデルさんは……最近数えなくなっちゃったんですけども、たぶん100はいってないと思いますが、50は確実に越えています。
編:では応募もかなり頻繁にあるんですね。
S:だいたい月にひとりふたりは来ていただいてる感じです。くどいようですが趣味でやっておりますんで(笑)、ちょっと全部にお応えしていると身体が持たないというか、懐具合が持たないというのか。多少自分の作品に相応しい方を選ばせて頂いているということはあります。
編:リピーターのモデルさんもいらっしゃるみたいですね。
S:うまく波長が合うモデルさんとは自然と何度も撮影することになってます。やっぱり初対面で撮るのって、そのスリルもあって新鮮さもあって、それはそれでいいんですけど、いろいろやっぱりお互い不慣れなわけで。関係をつくりながら手探りしながら撮っていくんですが、やっと打ち解けた頃にはもう終わりって感じになってしまうので、ちょっと凝った撮影とかしたいなあとか思うと、やっぱり二回目以降のモデルさんの方が気心が知れてやりやすいというのはありますね。
(続く)
インタビュー・文=編集部・五十嵐彰
フレーミング=写真や絵画の制作において、フレームの位置や大きさなどを検討、決定すること。
スズキレイジ 自称チョイ駄目オヤジ(笑)。1960年代のなかば生まれ。生まれも育ちも東京都多摩地区。
幼少のころから女の子が大好き。そしてなぜか「縛られた女の人」に興味津々。少年時代をボースカウトのロープ名人として過ごし、だいぶ大人になってから女性を縛ることを独学で覚える。学生時代はデザインを学び、就いた仕事もグラフィックデザイン系。仕事でカメラマンに注文つけているうちに自分でも写真を撮るように。現像の必要ないデジタルカメラの出現を機に「縛られた女性」の写真を趣味として撮り始め、最近はアマチュア緊縛写真作家として本格的に作品創りに励んでいます。 スズキレイジ氏のサイト=「ROPE MAGIC」 |
07.09.12更新 |
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