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monologue in the night
女の子にとって、「美醜のヒエラルキー(それによって生まれる優劣)」は強大だ! 「酉年生まれゆえに鳥頭」だから大事なことでも三歩で忘れる(!?)地下アイドル・姫乃たまが、肌身で感じとらずにはいられない残酷な現実。女子のリアルを見つめるコラムです。それからしばらく通院したら、先生から何も言われなくなったので勝手に完治したものだと思い込んでいました。というか、もはや声帯結節のことなど忘れていました。それが最近になって、時々全く声がでなくなることがあり、数年ぶりに病院へ行ってみたのです。私の声帯にあったコブは完治しているどころか、立派に成長していました。
しかも喉全体が気管支までぶよぶよに赤く腫れ、声帯を圧迫してコブ同士がこすれあっているという、なんだかわからないけど明らかに最悪の状態でした。先生からはコブの切除を勧められました。仕事柄、喉を休めることは難しいので、ふたつ返事で手術を決めました。しかし、どうやらこの手術を受けるためには全身麻酔が必要らしいのです。
全身麻酔って、「最悪の場合死んだり、後遺症が残ったりしても責任とれないけど大丈夫だよね」的な同意書に、親がサインしないといけないんだっけ。あ、でも私もう成人したから自分が書けばいいのか。それにしても健康に産んでもらったくせに、そんなのって申し訳ないなあ。そんなことをぐだぐだと考えていたら、コブを切除すること自体が、親からもらった体を変形させるみたいで複雑な気持ちになってきました。
結局、手術は保留にしました。大人しくしていれば、コブは切除しなくても自然に消えていきます。しばらくは強めの薬を服用しながら、在宅で仕事をしつつ様子をみることにしたのです。幸い活動内容も、ライブより原稿を書く割合が増えていました。それが地下アイドルとして幸いなことかはさておき。
その日も、アイドルと整形に関しての原稿を書いていました。子どもの頃から見てくれの美醜に対してひどく無頓着なので、整形の話ってどうもピンときません。案の定、原稿は行き詰まり、椅子ごとくるくる回転しながら、自分の体の形を変えるってどんな気持ちだろうと思いました。
そのまま夕方までパソコンの前でくるくる回っていたら、買い物から帰ってきた母親から、地元の同級生が整形したという話を聞きました。えー! 同級生が整形......。もっとお姉さんがやるものだと思ってたのに、私たちももう22歳だもんなあ。甲子園に出てくるお兄さんたちが年下になってしまった時と同じような衝撃です。そして私はもう地元の同級生なんて誰も繋がりがないのに、お母さんネットワークは強大です。
しかし驚いてはみたものの、整形した女の子とはもう何年も会っていないので、はっきりと顔が思い出せません。頭の中には、ぼんやりと子どものイメージが浮かぶばかりです。
そうか、私ももう自分のことは自分で責任がとれる年齢なんだなあ。同級生の整形話で妙な事実を再認識させられました。
逆に地下アイドルのライブなんかでは、整形したいという会話をよく耳にします。基本的には美醜も大きく関係する仕事なので、楽屋で聞いていてもなんとも思いません。なんとも思いませんが、あんまり共感はできません。別に反対しているわけではなくて、たとえば自分の顔を整形することになったら、どこをどうしたら良くなるのか、さっぱり見当がつかないのです。それ以前に、鏡をみないと自分の顔がはっきり思い出せません。
先日とある飲み会で、「甲子園のお兄さんが年下になったかと思ったら、いまはもう監督が年下だよ」と笑っている人がいました。私も同級生の整形によって、自分の年齢を実感したという話をしていたら、その人が「女の子の整形は、男の包茎と一緒だ」と言うのです。
最初はなんじゃそりゃと思いましたが、周りは気にしていなくても、本人がどうしても気になる場合は手術をするところが一緒だと言うのです。「別に剥けてようが剥けてまいが、清潔にしてればどうでもいいでしょ」と言われて、腑に落ちました(気にする方、ごめんなさい)。
「でも真性包茎だったら、何かと支障が出てくるから手術したほうがいいよね。女の子も歩いてるだけで犬に吠えられるとか、人生に支障がでるくらい醜いんだったらそれは整形したほうがいいんじゃないかな」
私の声帯にくっついたコブはどうだろう。包茎で言ったら絶対に真性だと思い込んでいたけど、ぼんやり安静にしていればある程度は治るしなあ。本当は仮性なのかもしれません。たいていの女の子は仮性包茎なんだな、きっと。他人の整形はしなくてもいいのにと思うけど、自分のコブに関しては手術しなくてもいいとは言い切れないし。
そのことに気がついたら、このまま一生ハスキーな声でも、個性的と思えばなんとかやっていける気もしました。
生まれ変わるも、受け入れるも自由。20代、幸せになる方法はどんどん増えていきます。
文=姫乃たま
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