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2011.01.29 Sat 01.30 Sun at club axxcis
世界の緊縛ファンに向けたビッグイベントを緊急レポート!!
一鬼のこ氏率いる一縄会が主催する緊縛愛好家たちのワールドワイドな特別イベント 。世界が注目する“Japanese KINBAKU”は今、何を語るのか。日本が誇る精鋭と海外縄師たちの豪華競演、そしてユニークな企画が目白押しとなった2日間に亘るイベントの模様を、2回に分けて早川舞さんにレポートしていただきます!!

写真=白尾零二
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「うわっ、外国人多い!」
というのが、会場に一歩足を踏み入れたときに抱いた最初の印象。観客も多いのですが、特にプレスに多かったというのが、緊縛ならぬJapanese KINBAKUが海を越えた国々でいかに関心を持たれているかという現状を如実に語っているような気がしました。

去る1月29日・30日に東京は渋谷・club axxcisで開催された緊縛イベント「冬縛」。一縄会主催であり、メンバーズバー「眠れる森の美女」のオーナーである一鬼のこさんがプロデュースし、緊縛縄用専門店「縄屋」がメインスポンサーとなったこちらのイベント、緊縛をメインにしたイベントであることは間違いないのですが、今までのイベントと大きく異なる点は「世界」を視野に入れて開催されたこと。日本人だけでなく外国人縄師も多数招聘し、海外に向けての宣伝も積極的になされた(PVはすべて英語字幕つき)緊縛イベントというのは前代未聞でしょう。

これまで、緊縛というのは物理的にも心情的にも閉ざされたところでひっそりと行なわれることが多いものでした。SM全般ということでは、ギャグ的に語られる場合が多いにせよ、だいぶ一般に認知されてきた感があるのですが、こと緊縛だけを抽出して考えた場合、まだまだ敷居の高さを感じることが少なくありません。その理由はおそらく、縛られている側が(少なくとも見た目上は)「長時間」「ものすごくツラそう」に見えるからだと勝手に考察しておりますが、それはさておき。

閉鎖的=悪ということはもちろんないのですが、多くの外国人が日本の緊縛に興味を持ち、勉強やショー見学のために来日したり、自国で緊縛をテーマにしたイベントを催したりと、緊縛に日本人が考えている以上の注目が集まっている状況を肌で感じていた鬼のこさんが出した答えが、今回の「冬縛」だったのです。鬼のこさんはここ数年、ヨーロッパを中心とした海外で緊縛ショーや緊縛ワークショップをする機会が何度もあったそうなのですが、現地の人と触れ合うたびに「日本は緊縛の聖地として捉えられている」と自覚する一方で、「その日本に、国を代表するような世界規模のイベントがない!」ことに疑問を持ち、開催を思い至ったとのことでした。

私自身も、最近はご無沙汰ですが数年前までは趣味と取材のために海外のフェティッシュイベントに時々足を運んでおり、日本の緊縛にアツい視線が注がれていることは知ってはいたのですが、そこを起点にさらに具体的な行動を起こせる……それも相当ドでかいスケールの行動を……鬼のこさんは、やはり名実ともに日本の緊縛界をリードする存在なのだと改めて確信しました。

今回参加したアーティストは一縄会のメンバー・海月くらげさん、エロ王子さん、音縄さん、時雨さん、紫護縄びんごさん、獅子若さん、蓬莱かすみさん、よいさん。それからゲストとしてSMバー「ARCADIA」のオーナー・蒼月流さん、極悪縄師の異名をとる風見蘭喜さん、「夢想流倶楽部・奈加あきら緊縛同好会」主催の奈加あきらさん(五十音順)。海外から招待されたのは、カナダからCharmさん、アメリカからMidoriさん、イギリスからEsinemさん、縄師村川さん、ドイツから長田スティーブさん、台湾からShinさん。ピックアップはすべて鬼のこさんご本人によるもので、基準は「単純に上手、下手というよりも、個性が出ている緊縛をするかどうか」という点にあったそうです。

会場となったclub axxcisは一棟建てのビル。とは言ってもショーが観られるのは2階と4階のみで、間の3階は物販&飲食スペースになっていました。。この2フロアで交互ではなくほぼ同時に2種類のショーが行なわれるので、参加者は自分の見たいほうのフロアに足を運ぶ、もしくはショーの途中で行き来するという形で見物することになります。感覚としては音楽フェスにかなり近いかな。私は取材者としての意地で後者の道を選びましたが、いやー、両日ともパタパタ階段を駆け回りましたよ! 残念ながら見られなかった演目もいくつかありましたが、走り回った分、冬縛の魅力をたっぷり味わえたのではないかと思っています。


1日目のトップバッターは音縄さんと時雨さん。到着して2階「炎の間」に入ると、戦前の歌謡曲のような、陽気なのにどこか物悲しい音楽が耳に入ってきました。ノイズがいっぱい入っているようなアレです。舞台では白塗りに赤褌の少年(に見える)と、女性が一緒に吊られています。吊っていた縄師の音縄さんの言動から察するに、どうやら見世物小屋で見世物にされている母子という設定らしい。しかもよくよく台詞を聞いていると、寺山修司の「身毒丸」をモチーフにしているよう。近親相姦を髣髴とさせる緊縛を施された二人の男女は、美しいと言ってもも恐ろしいと言っても足りません。

妖しくもどぎつい世界に後ろ髪を引かれつつも4F「水の間」を覗いてみると、こちらでは一縄会の時雨さんが。どこかラフな雰囲気ながらも袴まで着用した和装姿です。ゆったりとしたテンポの音楽と淡い色の照明の中で落ち着いた手さばきを鑑賞していると、まさに「炎」熱の情念渦巻く世界から涼しげな「水」の世界に来たかのような錯覚におちいりました。ですが涼しげなのはあくまでも見た目で、その底には「癒しながら奪う」とでも表現すべき、音縄さんのものとはまた違った業が流れているのを感じました。本当に、縄師って業が命ですよね!(褒めてます)

続いては縄師・村川さんの開催による「Festival of the Art」。村川さんは名前こそ日本人ですが、生粋のイギリス人。こちらはショーではありません。イラストレーターとしても活動する村川さんならではの発想のたまもので、彼が縛ったモデルの絵を参加者が描くという「お絵かき大会」です。絵を描くことがメインなので、縛り自体はわりとシンプルなものが多いようでした。鬼のこさん、ほかの参加者そっちのけで一生懸命デッサンに興じていました(笑)。


↑縛り上げたと思ったとたん舞台を降りて、デッサンを始めた縄師村川さん。

↑慣れた手つきでデッサンを進めていく。やはりイラストレーターだけあって上手!


このとき、別のフロアで行なわれていたのが「緊縛ファッションショー」。一縄会のエロ王子さん、紫護縄びんごさんによって「普通に歩行できる緊縛」を施されたモデルさんが、ファッションショーのように舞台を歩いて緊縛を披露するという趣向です。普通に歩行できるぐらいですから拘束性能はゼロ。実用性よりは美術性、緊縛用語でいうと「飾り縄」の美しさを堪能するショーでした。「日ごろ考えないことばかり考えたけど、やりがいがありました!」とはエロ王子さん。

続いて台湾人縄師・Shinさんのショー。台湾でSMサークルを立ち上げ、今も講習やショーなどを積極的に続けているというShinさん。これまでヨーロッパ人のショーはわりとよく見ていたのですが、アジアの方のショーは初めてだったので、興味津々で拝見させていただきました。感想は……いい意味ですごく「やんちゃ」な感じ。単に「ハード」という枠には収まらない気がしました。もちろん下手という意味ではありません。ひと縄ひと縄丁寧で緻密だし、仕上がった形も美しい。ショーの比較的最初の段階で勢い余って縄が上に飛んでいってしまったのですが、この勢いが彼のショーを象徴していたような気がしました。
後のトークショーで台湾SMはまだまだ発展途中と語っていましたが、業界全体の前に進んでいこうとするエネルギーがショーにも表われていたのかもしれません。


↑エネルギッシュでスピード感溢れる縄が持ち味だった台湾人縄師・Shinさん。


蒼月流さんは「いつものスタイル」。完璧に着こなしたスーツに壮大なBGM、流麗さと野性味が共存する所作。後にインタビューさせていただいた際、「自分の世界観を縄を通して表現した。観客の方がそれを一緒に楽しんでくれたのなら嬉しい」と語っていましたが、私は開始3分もしないうちに蒼月ワールドの住人になりました……。
物理的な動きだけでなく、緩急のつけ方や間の溜め方といった「鑑賞するのではなく感じさせる部分」にも世界観が感じられ、それが彼の縄の技術をさらに引き立たせていたように思います。個人的には、いきなりステージに背を向けたかと思ったとたんモデルさんに向けて走り出し、上に跳び乗った演出がツボに入りました!


↑蒼月流さんは独自の耽美&ゴシックな世界を縄で表現。オーケストラのBGMがピッタリ。


それから一縄会最年少縄師・海月くらげさん。私は縛っていない彼としか話したことがなかったので、普段はまじめな好青年といったくらげさんがどんなふうに変貌するのか、ちょっと腐女子じみた目で拝見させていただいちゃいました!
最初のほうはわりと淡々とした、しかしとても丁寧な縛りで、ついお人柄と重ねて見てしまったのですが、後半はテンポも速くなり雰囲気が猛々しくなりました。「優等生がキレた!」というのが、私の心の叫びです。前半と後半でカラーが変わりましたが、白系の作務衣に彼の若々しさが引き立てられて、一貫して品の良い、凛とした空気が漂っていたのが印象的でした。


↑一縄会・最年少ながらも落ち着いた縄さばきを見せてくれた海月くらげさん。


今度は縄師村川さんの、純粋な緊縛だけのショー。神楽風の音楽に合わせて、襦袢に直接色とりどりの帯を合わせた女性たちが吊り上げられていきます。彼に限らずいつも思うのですが、外国人縄師のショーは日本のアイテムの取り上げ方が斬新で面白いですね。そういえば冬縛とは関係ないけど、箸で髪をまとめていた女性もいたな〜。
色彩の使い方がまた何とも強烈で、たぶんほかの色彩との相乗効果のせいだろうと思いますが、イベントから何日もたった今も、吊り上げられて空中に浮かんだ女性の、帯の金色が目に焼きついています。まるで一幅の美しく毒々しい絵画を見ているようでした。

さて、真打! 一鬼のこさんの登場です。このときばかりは重なるショーがなかったせいもあり、フロアは黒山の人だかり!
鬼のこさんといえば蛍光ロープを用いた光のショー(詳しくは後述します)のイメージが強いですが、今回は純和風のシンプルな、それだけに技術を余すところなく拝見できる贅沢なショーでした。素材の生の旨みを味わえたというか。小道具も、手ぬぐいや蝋燭といった「王道」が多かったのが嬉しいところ。普段は比較的「動」の印象が強い彼ですが、今回は「静」に徹したのか、あまり派手な展開はありませんでした。が、そのぶん息づかいまでありありと伝わってくるようでゾクゾクしました。


↑一鬼のこさんは着流し姿で純和風のショーを。ひと巻きひと巻き味わうようにじっくり縄を掛ける。

↑蝋燭でじわじわと責めたてていく。「静」の激しさに思わず息を呑んでしまう。


カナダ人縄師・Charmさんは、参加されたほとんどの縄師の方が和風の衣装や舞台づくり、BGMでショーを行なった中、黒Tシャツにパンツに、小道具もあまりないという「質実剛健」なショー。ショーの内容もまさにそういう雰囲気で、いったん縛り始めたらあまり遊びの間を入れず、黙々と縛っていくその姿はストイックとも言えるほどでした。異色たる部分が目立たなくはあるけれど、今回の参加者の中ではかなり異色の存在だったのではないでしょうか。


↑Charmさんの縛りは「ヨーロッパっぽい」。どこがヨーロッパかというと……後編で説明します。


1日目のラストは「極悪」の名をほしいままにする風見蘭喜さん。が! ……何だかしんみりしてないですか? いや、スタートはしんみりってよくあると思うんですけど、時間が経っても、なんだかいつもの風見さんとは少し違った、しっとりして、どこかしら優しげなものまで伝わってきます。そして、そのまま最後までしてしんみり……! しかし、ただのしんみりではないのです。
「縄で愛情を表現する」というのは、SMにたずさわってから何度となく聞き、また実感できたこともある言葉ですが、ことショーということで言ったら、それをここまで余すところなく表現していたショーを見たのは初めてだったかもしれません。「まず後ろ小手で縛って、続いて片足を上げさせて……」などと、動作だけを説明することはできます。しかしそんなものだけではとても追えない愛情表現があったんです。終わった後にM女さんを抱きしめて、一緒に泣きながら微笑みあう姿に、何だかこちらまで泣きそうになりました。二人は縛り、縛られ合いながら、何を語っていたのでしょうか。


↑モデルさんだけでなく風見さんのお顔も何だか優しげな……縄で癒されている最中!?

↑見て下さい! この至福の表情! 何かが「スッキリ落ちてる」感じがしませんか?

(続く)

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早川舞
早川舞 世界、特にヨーロッパのフェティッシュ・カルチャー関係者との交流も深い、元SM女王様フリーライター。だが取材&執筆はエロはもとよりサブカルからお笑い、健康関係まで幅広く?こなす。SMの女王様で構成されたフェミ系女権ラウドロックバンド「SEXLESS」ではボーカルとパフォーマンスを担当。
早川舞ブログ=「早川舞ブログ」
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02.19更新 | WEBスナイパー  >  イベントレポート
早川舞 | 写真=白尾零二 |

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