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2009.8.25.thu-2009.11.23.mon at Suginami Animation Museum
スタジオぴえろの魔法少女シリーズ5作品と再会!

「スタジオぴえろ〜魔法少女の華麗なる世界」チラシ

日本のアニメーションを体系づけて紹介していくことを目指して出発した杉並アニメーションミュージアム。あなたはもう行ってみた? 現在行なわれている企画展ではスタジオぴえろが制作した魔法少女シリーズ5作品を展示中。その楽しみ方のポイントを、エヴァンゲリオン研究家・四日市氏が独自の視点から紹介します!!
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入るやいなや撲殺天使が迎えてくれる。
杉並アニメミュージアムのビッグスクリーンでクリィミーマミが見られる上にマネーも取られないというので観てきた。

杉並アニメミュージアムは2002年に杉並アニメ資料館として開設され、2005年に拡大、杉並アニメミュージアムとしてリニューアルオープンした。大衆娯楽としてのテレビアニメ全般に対する資料を取り扱っている。放送年ごとの放映アニメ一覧が設置されておりなかなか壮観、ネットでいくらでも探せるが一望できる形になっているとまたおもしろい。また、アニメの上映も常に行なっている。劇場アニメではないテレビアニメを150インチのスクリーンで見られる機会はなかなかない。

『魔法の妖精 ペルシャ DVD COLLECTION BOX 1』 発売=2003年2月25日 販売元=バンダイビジュアル

『魔法のスターマジカルエミ DVDメモリアルボックス』 発売=2007年8月24日 販売元=バンダイビジュアル

『魔法のステージ ファンシーララ DVD COLLECTION BOX』 発売=2002年11月25日 販売元=バンダイビジュアル

今回は「スタジオぴえろ〜魔法少女の華麗なる世界」展の開催。スタジオぴえろが1983年から1986年まで毎年放送を続けた「魔法の天使クリィミーマミ」、「魔法の妖精ペルシャ」、「魔法のスターマジカルエミ」、「魔法のアイドルパステルユーミ」、そして12年の間隔をあけて1998年に放送された「魔法のステージファンシーララ」に焦点が当てられている。

展示内容は各作品のストーリー紹介と、当時発売されたおもちゃなどのキャラクターグッズ。もちろん原画と台本の展示もある。おもちゃの電池が完全に腐っているところや台本が全て手書きなところに時代を感じる。角ばった書体が印象的な台本は手に取ることも出来る。撮影禁止と書かれていたため写真は撮ってきていない。あなたの目で確認してほしい。

展示に併せたアニメの上映(というかこちらがメインと言えるのだが)も行なわれている。平日は16時から、土日祝日は拡大版ということで丸一日かけての上映だ。それぞれ選りすぐりの名エピソードを上映しているとのことだが、やはり土日の拡大版をおすすめしたい。日によっては当時のスタッフを招いたトークショーも開催されている。スケジュールや上映エピソードについては『公式サイトのシアター情報を参照してもらいたい。

各作品の舞台設定に当時の少女たちの憧れ、流行を読み取るのもおもしろい。クリィミーマミはアイドル、ペルシャはキャリアウーマン、マジカルエミはマジシャン、パステルユーミは変身せず、描いたものを実体化する=イラスト。1998年に放送されたファンシーララはファッションモデルに変身するのだが、この設定は1987年に文具展開だけされた「魔法のデザイナーファッションララ」が原型とされているため、そこから1998年を読み取るべきではないだろう。なお公式にはファッションララとの関係はなかったことにされているため、展示でも触れられていない。

筆者が足を運んだ日は「感動のラスト3部作上映!」ということでクリィミーマミの第25話「波乱!歌謡祭の夜」、第26話「バイバイ・ミラクル」と、ラスト3部作である第50話「マミがいなくなる…」 、第51話「俊夫!思い出さないで」 、最終話「ファイナルステージ」を半日かけて観てきた。現在のテレビアニメに比べると密度が高く、今なら倍の時間をかけるであろう内容なのでスクリーンに向き合って、流し見ではなく鑑賞という態度を余儀なくされることは幸福かもしれない。

『魔法の天使クリィミーマミ DVDメモリアルボックス』 発売=2007年7月27日 販売元=バンダイビジュアル

おもしろかったところを挙げておこう。まず第25話と第26話が最終話への伏線となっているのはもちろん、物語全編の折り返し地点ともいえる話で、この地点でのマミのクリィミーマミに対する考え方は最終話でのマミとは明らかに異なっている。その転機となった回という点で重要な話で、この回を見ておくことによって、平凡な少女である自分とトップアイドルであるクリィミーマミという自己像の分裂に対する葛藤を乗り越え、クリィミーマミというアイドルを偶像と割り切った上でトップアイドルにふさわしい幕引きへ向けて奔走するマミの成長の物語がよりわかりやすく見えてくるだろう。

最終話のカットで、ステージ上で歌うマミと、マミを中継している巨大スクリーンを何度も往復するカットがある。以前見たときはどういう意味なのかさっぱりわからなかったのだが、大規模な会場でのアイドルのコンサートへ通うようになった今みると、確かに会場ではそのような目線の動きをしている自分に気がついた。アイドル文化の復興した現在だからこそわかる演出意図と、また現場に基づいた演出がテレビアニメで行なわれるほどアイドル文化が浸透していた当時に思いを馳せつつ、5話まるごと楽しむことをお勧めしたい。

展示そのものは小規模なので企画展としてアニメ上映がメインになってしまうが、常設の展示資料もおもしろいのでぜひ立ち寄ってみてほしい。ただし駅からかなり遠いのでバスを利用しよう。油断して歩いたら30分近くかかってしまった。近くに食事を摂れる店も少ないのでコンビニ弁当で我慢していただきたい。クリィミーマミの時代にはありえなかったライフスタイルだ。

文=四日市

杉並アニメーションミュージアム
「スタジオぴえろ魔法少女の華麗なる世界」


開催日時=8月25日(火)〜11月23日(月・祝)
開館時間=10時〜18時
※入館は17時30分まで。企画展最終日11月23日は16時で閉館。毎週月曜休館(月曜が祝祭日の場合は開館し、翌平日休館)
入場料=無料

会場・問い合わせ先=
東京『杉並アニメーションミュージアム』
杉並区上荻3-29-5 杉並会館内3階 電話 03-3396-1510
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四日市エヴァンゲリオン研究家。三度の飯よりエヴァが好き。クラブイベントにウエダハジメ、有馬啓太郎、鶴巻和哉らを呼んでトークショーを開いたり、雑誌に文章を載せてもらったり。プロフィール画像は昔描いた三十路魔法少女漫画。
http://twitter.com/ykic
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09.10.31更新 | WEBスナイパー  >  イベント情報
文=四日市 |