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2009.11.01.sun-2009.11.13.fri at Vacant
アートディレクター・大類信が収集したヴィンテージ・ピンナップ写真の数々!

『BD SNIPER』 発行=ミリオン出版

1930〜70年代にパリで発行されていたヌード・グラビア誌『PARIS-HOLLYWOOD』。そこに掲載されていたピンナップのオリジナルプリントを肉眼で拝むチャンスが到来。さあ急げ! ところでコレクションの所有者である大類信は1980年代日本におけるボンデージ・ブームの仕掛け人であったが、そういや当時の日本のボンデージ・ブームってどんな構造を持っていたのだろうか? 展覧会を訪ねたネットワーカー・ばるぼら氏が、思索の網を広げて日本におけるボンデージの受け入れられ方を改めて俯瞰します。前後編の後編です。
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日本のボンデージ・ブーム回想

『S&Mスピリッツ』89年5月号 発行元=ミリオン出版

『BONDAGE STAR』発行元=ミリオン出版

『TOKYO BIZARRE BONDAGE RED』Ha!(ゴールドマン、野田大和、安田理央)

『TOPAZ vol.8』発行元=英知出版 発行=1994年8月25日

『完全ボディピアスマニュアル』発行元=白夜書房 発行=1995年3月31日

『SALE2 41号』発行元=フィクション・インク/発行=1991年10月23日

ボンデージ・ブームに気を配りつつも『S&Mスナイパー』があくまで日本の王道SM路線を守る中、『S&Mスピリッツ』は1989年にビジュアル・イメージを一新している。「海外のSM・ボンデージ雑誌はデザインもかっこいいのに、日本はいつも畳の上で縄で縛るだけ」という状況に不満があったようで、それまでの耽美と背徳の香りを漂わす薄暗いイメージから、SMを中心にしたアンダーグラウンド・カルチャー誌に変貌してしまった(売上は急激に下降し同年9月号にはまた元の路線に戻ってしまうが)。

本誌では全面的にやりづらかったボンデージ関係も、増刊なら冒険ができたようで、スナイパーの増刊『BD・SNIPER』(1990年11月30日発行)や、スピリッツの増刊『BONDAGE STAR』(1991年10月30日発行)などは、ボンデージ中心の展開で一見の価値はある。ただ、当時出ていた投稿写真のみの別冊『投稿秘縛コレクション』シリーズが安定して巻数を重ねていたことから想像するに、やはり読者としては縄を使った対人プレイの方が気軽だったようだ。

この時の『S&Mスピリッツ』のデザインを担当していた野田大和は、ゴールドマン監督と組んでノン・ヌードのビデオ「TOKYO BIZARRE」シリーズを制作していた。特にシリーズ中の一つ「BONDAGE RED」(1989年/映研)は女性をガムテープなどでグルグル巻きにし、肉体を完全にオブジェと捉える、SMとアートの境界を曖昧にした傑作で、若きゴールドマンの感性が爆発している。しばらく後に野田がデザインを担当したボンデージ専門誌『TOPAZ』(英知出版)もまた素晴らしく、徹底してビジュアルにこだわり、コアな周辺情報も網羅した、ボンデージ・メディアの最高峰だったと言ってよい。

しかし現在から省みるに、マドンナが「Justify My love」(1990年)のPVから現在まで定期的にボンデージ衣装を着用しているように、ファッション・アイテムとして世界的には定着しているのに対し、日本でのボンデージの流行はおおよそ1992年頃、長く見積もっても90年代前半までであり、流行としては消費されても文化的な定着はしなかった。その理由を改めて考えれば、やはりセックスに直接つながらずに、あくまでファッショナブルなビジュアルとして魅せるに留めたからだと考えられる。これは相手を“パートナー”と考える従来のSMに対して、相手を“モデル”と考えるボンデージの感覚にも表れているのではないだろうか。当時のスナイパー編集長のインタビューにはこうある。

「縄を人体にかけて拘束するボンデージは、対人関係の中で成り立つというよりも、相手をモノとして扱ったり、自分をモノにしていく、より個人的なこだわりの部分が強いので、SMよりフェティシズムに近いですね」(『宝島』1991年9月9日号「ボンデージ美学」)

この言葉どおり、人体を単なる物質として扱うフェティシズムがボンデージ流行の要だったとしたら、その感覚は結果的にボンデージではなく別の方面で拡がりを見せた。「モダン・プリミティヴ」と呼ばれるアメリカ雑誌『RE/SEARCH』の特集を発端とした世界的ムーブメントの勃興、すなわちタトゥーやピアッシングなど身体改造方面へと進化したのである。日本での実践的な意味での発端は、渋谷パラドックスの間宮英三店長自身があらゆるボディピアスを試し、来店する客をサポートし、普及に貢献したことが大きいだろう(間宮氏はのちヌーンという店に移る)。その後、タトゥーは『BURST』(コアマガジン)、ボディピアスは『ニャン2倶楽部』(白夜書房)を中心に、90年代後半からマニアックな支持を集め、現在も安定したユーザ層がいる。

ボンデージを心から愛し、その独特のフェティシズムに魅せられた人がいなかったのかと言えば、もちろんそうではない。ただ、日本ではボンデージを「鑑賞対象」として愛ですぎたことで、逆にそれで満足してしまい現物や体験を欲した人が少なかった、とは言えないだろうか。80年代後半から90年代前半のボンデージ・ブームは、マイナーなフェティシズムに過剰に注目が集まったことでの特需であり、現在の状況が平常であると考えた方が今の所はよさそうである。だが、日本のSMからはどうしても得られないあの乾いた情感と特有の美学は、一度は味わって欲しいとも思う。
文=ばるぼら


Vacant
「『the far fog〜The Collection of 60's-70's Vintage French Pin-ups』展」


開催日時=2009年11月1日(日)〜11月13日(金)
時間=13:00〜21:00
料金=500円

協力=大類信/ YO+the deep paris

会場・問い合わせ先=
東京・原宿『Vacant 』2F
東京都渋谷区神宮前3-20-13
電話=03-6459-2962

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ばるぼら ネットワーカー。周辺文化研究家&古雑誌収集家。著書に『教科書には載らないニッポンのイ ンターネットの歴史教科書』『ウェブアニメーション大百科』など。なんともいえないミニコミを制作中。
「www.jarchive.org」 http://www.jarchive.org/
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09.11.08更新 | WEBスナイパー  >  イベント情報
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