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第10章 特殊奴隷・晶【10】

アイリの指先がぴっちりと口を閉じた窄まりをゆっくりと刺激する。

「あっ、ああ……」

指が動く度に晶は切なげな声を漏らす。

傍から見れば、それは少女が少女を責めているようにしか見えない。両腕を天井から吊るされ脚を左右に開くという「人」の字型に拘束されたセーラー服の少女の下半身を全裸の少女が指で愛撫している。なんとも淫らな光景だ。

しかし、よく見れば、責めている少女の右手には、たくましく屹立した肉棒が握られている。全裸の少女は右手でその肉棒をしごきながら、左手で尻肉の間の窄まりに指を這わしているのだ。

ペニスを生やした少女の頬は赤く染まり、息が荒くなっていく。快感に耐えるその表情も、少女のものとしか思えない。

「ふふふ、やっぱりここが感じるのね」

アイリはそういうと、ペニスから手を離し晶の背後に回った。スカートをまくりあげる。

「あっ……」

白い尻が丸見えになった。小さく、ひきしまった尻だった。女性らしい丸みには、少々欠けるものの、それが男性のものとは思えない繊細なラインを見せている。白くすべすべとした肌には染みひとつない。

「綺麗なお尻ね……。嫉妬しちゃう」

アイリは、その肉の谷間を大きく左右に割り開いた。菫色の菊花が露になる。型崩れもなく綺麗な放射線状に皺が花開いている。可憐な窄まりだが、その下から続く細いミミズのような筋、そして膨らんだ肉の袋が、それが女性のものではないという信じられない事実を証明していた。

「ああ……。そんなに広げて、見ないで……。恥ずかしいです……」
「何言ってるの。あなたは、こうやって恥ずかしいことをされるのが好きなんでしょ? だって、ほら」

アイリは股の間から、晶のペニスを握った。

「ああっ!」
「すごく硬くなってるわ。興奮してるんでしょ? いやらしい子ね」

アイリは晶のペニスをゆっくりをしごきながら、尻の谷間へ顔を埋める。舌を伸ばし、窄まりの中央に触れさせた。

「あっ、だめぇっ」

晶は叫んで、尻をくねらせるが、アイリはしっかりと顔を押し付け、さらに舌を内側へと滑りこませていく。それだけが別の生き物のようにアイリの舌は艶めかしく、動きまわった。晶の脳天まで快感が突き抜ける。ビクンビクンとペニスが震える。

「ねぇ、あなたは男の子なの? 女の子なの? 男の子ならこんな格好して、お尻の穴を舐められて、そんないやらしい声あげないわよね。でも、女の子なら、こんな大きいおちんちんがついてるはずがないし……」

アイリに言われて、晶は真っ赤になった顔をイヤイヤと激しく振った。

「ううむ、これはすごいですね……」

二人の姿を見ていたイサクが感極まって、声を漏らす。これはイサクの想像を超えた淫らな光景だった。

「ええ……。確かにこれは……」

北尾も息を飲んでいた。晶を女に責めさせているところを見るのは初めてではなかったが、見る度に妖しい興奮を覚える。特に、どちらもほっそりとした少女体型である晶とアイリの組み合わせは、妖精が絡み合っているような現実離れしたエロティシズムを感じさせた。

しかし、スピアだけは冷静に晶とアイリの痴態を眺めていた。いや、冷静ではない。妙な苛立ちが沸き上がってくるのだ。自分と同じ年令の男である晶がこんな姿を晒しているというのが、気に障って仕方がないのだ。まるで自分が辱められているような気すらしてくる。

苛立ちを隠そうともせず、スピアは不機嫌な表情のままで、晶の背中に鞭を放った。

「ああっ!」

晶は悲鳴をあげるが、それは苦痛に耐えているばかりの声ではなかった。明らかに快楽を覚えている甘い声だった。

そして、すぐ頭上を鞭が通過していることも、全く気に止めず、アイリは晶の尻肉に顔を埋め、窄まりに舌を這わせ続けていた。

「ああ、もう……」

晶が、限界に近付いていることを知らせる呻き声をあげた。いきり立った肉棒の先端からは、すでに透明な液が大量ににじみ、濡れ光っている。今にも破裂しそうだ。

「だめだ。まだイカせるなよ、アイリ。もしイカせたら、お前もお仕置きだぞ」
「は、はい……」

アイリは一瞬だけ顔を上げて、返事をするとすぐに戻って窄まりに舌を這わせた。ペニスをしごくスピードこそ若干遅くしたが、相変わらずその指は複雑な動きを続けている。男性の生理を知り尽くしたアイリには、射精をコントロールすることなど容易なのだ。その瞬間が近づいたことがわかると、ペニスの根本をキュっと指で締めてつけて、射精できないように制御する。そしてまた快感の波が治まると、再び絶頂へ向けて愛撫を激しくしていく。

そんなふうにして、晶は寸止めと呼ばれる状態を、延々と続けられていた。射精したいのに、出来ないということがこれほど辛いとは。気が狂ってしまいそうだ。

「ああ、もう、もう勘弁して下さい……」

息も絶え絶えになりながら、晶は許しを乞う。それが聞き届けてもらえぬことを知りながら、それでも言わずにはいられない。

「何を勘弁して欲しいの?」

嬉しそうにアイリが尋ねる。

「もう、もう、出したいんです……」
「何を出したいの?」
「……」

口ごもる晶を、さらにいたぶるように、アイリはペニスをつよく握りしめ、手を上下に振る。

「あ、ああっ」

晶は絶望的な呻き声を上げた。

その時だった。

「よし、そこまでだ」

突然、北尾が言い放った。その部屋にいた誰もが北尾の顔を見た。

「晶の拘束を解いてやれ、スピア」

プレイが今や最高潮に達しようという時に中止の命令だ。誰もが北尾の意図がわからず、ぽかんと口を開けてしまう。

「早くしろ、スピア」
「は、はい」

この「島」で最も腕のいい若き天才調教師であるスピアでも、最高権力者の北尾の命令は絶対だ。慌てて晶の手首と足首の拘束を解く。

自由になった晶だが、どうしていいのかわからず、不安気な表情で立ち尽くす。しかし、セーラー服のスカートには、大きなテントを張ったままだ。そしてアイリも、目をぱちくりしながら、床にぺたんと座り込んでいる。

「交代だ、晶」

そういって北尾は大きな音を立てて一回、手を叩いた。

その瞬間、晶の表情が変わった。人形のような端正な顔立ちこそそのままだが目尻が上がり、口元には不敵な笑みが浮かんだ。弱々しい印象はすっかり消え失せ、別人のように自信に満ちた表情になる。

「ずいぶん気持ちよくしてくれてありがとう。今度は僕が君を気持ちよくしてあげるよ」

そう言うと晶は、アイリの肩を強くつかんだ。

「え、ええっ?」

自分の目の前にいるのは誰なのか。アイリは混乱する。さっきまで自分に寸止め愛撫を繰り返されて泣き叫んでいたセーラー服姿の女装少年ではない。いや、セーラー服こそ着ているものの、獣のような性欲をぎらつかせている少年だった。

晶はスカートを脱ぎ捨てた。白い下半身が剥き出しになる。そこには逞しい肉棒がそそり立っている。ほっそりとした身体つきはそのままなのに、弱々しさが消え、しなやかな獣のような印象に変わっていた。

晶はアイリを床に押し倒して、上から覆いかぶさった。アイリを見つめて、ふてぶてしい笑いを浮かべる。

「な、何をする気?」
「決まってるだろう? あんなに焦らされたら、早く突っ込みたくてしょうがなくなるよ」

晶の手がアイリの股間に伸びた。強引に太腿を割り裂いて、その付け根へ押しこむ。

「ずいぶん濡れてるね。これなら、もう大丈夫だ」
「え、え?」

とまどうアイリを尻目に、晶は両脚を大きく左右に開かせた。そして、一気に腰を打ち付けた。肉棒が、アイリの無毛の肉裂に突き刺さる。

「ああっ!」

晶が言った通りに、アイリのその部分は、すでに十分に潤っていたため、荒々しく挿入されたそれも、スムーズに受け入れてしまった。そして、その一撃は、アイリの身体に強烈な快感を与えた。

「ひ、ひいっ!」

晶は、腰を動かし始める。凄まじい勢いのピストンだった。ほっそりとして身体には似つかわしくない太い肉棒が、猛烈なスピードでアイリの無毛の肉裂に出入りする。

「あっ、あっ、ああっ……」

アイリの細い身体が仰け反る。白い肌がみるみるうちにピンク色に上気していく。

「だめ、ああっ、こんな、すごい……」

スピアもイサクも、この光景を呆然と見ていた。何が起きたのか、さっぱりわからないのは二人も一緒だった。ただ一人、北尾だけがニヤニヤと、セーラー服の少女が全裸の少女を犯す姿を眺めていた。


「いやぁ……、また驚かされました。この子は、晶は一体?」

イサクの目の前では、晶がまだアイリを犯していた。一度、正常位で射精したのち、すぐに回復した晶は、今度はバックからアイリを貫いている。アイリは、ずっと泣き叫びっぱなしだ。しかし、それが限度を超えた快感のためだということは、誰の目にも明らかだった。

「まぁ、一種の多重人格者ですね。本来は気の弱い少年なんですが、女の子として調教していくうちに、元々眠っていた人格が目覚めてしまったようでね。本来の晶、女の子としての晶、そして暴力的な晶。その三人の人格を、我々が催眠術でコントロールしています。PTWへの武器になってもらうためにね」

北尾はグラスを傾けてアードベッグを喉に流しこむ。悪臭すれすれの強烈なピート香が口腔内一杯に広がる。

「武器……」
「PTWの現在の指導者、レイヤ・キヴィマキがレズビアンだという情報がありましてね。いや、正式には両刀使いか。どっちもいける口らしいんですよ」
「レイヤがレズだなんて、初耳ですよ」
「まぁ、極秘情報ですね。そんなことが公になったら、PTWの活動自体が色眼鏡で見られてしまいますからね。しかし、この間、紹介したエリカが色々教えてくれましたよ。彼女もレイヤに迫られたことがあったそうです」
「ほう……」
「晶をレイヤの元に送り込もうというわけです。ややレズっ気の強い両刀使いの彼女には、晶はもってこいの存在でしょう。レイヤが晶に夢中になってくれれば、PTWの活動も変わってくるでしょうからね」

我々と同じように、か……。イサクは心の中でつぶやく。自分たちもドールに夢中になることによって、サガラ財団に首根っこを押さえこまれてしまっている。それは十分わかっているが、もはやドールなしには自分たちは生きていけない。

そして少なくとも、サガラ財団が目指している「世界平和」という目標を否定する必要はない。

目の前で、アイリは尻を高く掲げるあさましいポーズで、晶に犯されていた。晶はアイリの尻を平手で叩きながら、勢いよく腰を打ち付けている。アイリの尻肉は真っ赤に染まっている。そのサディスティックなセックスに、アイリは酔っていた。その至福の表情は、イサクとのプレイの中では見せることのないものだった。

(続く)

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11.05.23更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |