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第10章 特殊奴隷・晶【9】

スピアは、晶の身体を手際よく縛り上げていった。腕は揃えて天井から吊るし、上半身にはきっちりと菱縄をかける。そして両足首にかけた縄を左右から引っ張り、開脚縛りにする。つまり晶は立ったまま「人」の字型に拘束されたことになる。セーラー服の上から、華奢な身体に縄が喰い込み、なんとも痛々しく、扇情的な光景だった。

久しぶりに目の当たりにしたスピアの縄さばきに、アイリは思わず見とれてしまう。イサクの元に仕えるようになってから、こうして縄できっちりと緊縛されたことはない。せいぜい皮製の拘束具を使われるくらいだ。縛られている晶が羨ましい、とアイリは思った。

見とれていたのは、イサクも同じだった。噂には聞いていたが、本格的な緊縛を見るのは、これが初めてだったのだ。

「素晴らしい……」

イサクはその被虐美に息を飲む。晶の美しさは十分知り尽くしていたつもりのイサクだったが、縄をかけられた姿は、さらに妖艶な魅力を放っているのだ。

「バックマンさん、アイリを少しお借りしてもよろしいですか?」

呆然と晶を見つめるイサクに、北尾が話しかけた。

「は、はい。どうぞ。私もアイリと晶のプレイをぜひ見てみたい……」
「そうですか。それでは……。おい、スピア。お許しが出たぞ」

北尾に言われて、スピアはアイリを見る。鋭い眼光を向けられて、アイリは息を飲んだ。身体が熱くなる。これからスピアに責められるのかと思うと、それだけで淫らな液体が止めどなく溢れてくるようだ。

「アイリ、脱ぐんだ。そこですっぱだかになれ」
「はいっ」

言われてアイリはイサクの隣からぴょんと立ち上がり、自分のブラウスのボタンに手をかけた。スピアの顔をチラチラと見ながら、ゆっくりと服を脱いでいった。スピアの前に肌を晒すのは一年ぶりだ。妙に気恥ずかしい。そしてその羞恥心は、アイリを興奮させていた。自分でも頬が赤くなっているのがわかる。

赤い首輪以外は一糸まとわぬ姿となったアイリは、手で胸と股間を隠しながら、スピアの前に立つ。スピアが冷静な視線で、自分の身体を上から下まで観察しているのを感じると、さらに動悸が激しくなった。

「少し、身体つきがいやらしくなったな、アイリ。ずいぶんご主人様に可愛がられてるようだな」
「は、はい……。イサク様はとても優しくして下さります」

年齢よりも幼く見える身体つきのアイリだったが、確かに以前よりも、柔らかな丸みを帯びて女性らしい曲線を見せるようになっていた。乳房も尻肉も、ぐっと大きくなった。

「手をどかして、身体をちゃんと見せるんだ」

スピアの言葉に、アイリはコクリと頷くと、腕を上げ、頭の後ろで組み、脚を左右に開いた。アイリの肉体が露になった。それを見ていたイサクも息を飲んだ。見慣れているはずのアイリの裸身だが、こうやって他人に命令させている姿は、妙に新鮮だった。

「おい、お前の先輩の身体をよく見ろよ。これが一人前の奴隷の肉体だぞ」

スピアは、縛られうつむいていた晶の顎を持ち上げて、顔を上げさせた。晶は閉じていた目を開く。眩しいものを見るかのような表情で、目の前のアイリの裸身に視線を向けた。

アイリは唇を噛む。晶に見られるのは、複雑な気持ちだった。スピアが縄をかけていたこと。そしてその姿にイサクがみとれていたこと。アイリはこの縛られたセーラー服の少女に嫉妬心を抱いていたのだ。そんな相手に自分の肉体を見られるのは、いい気持ちはしない。

しかし、そんなアイリの気持ちを知ってか知らずでか、スピアは命令する。

「アイリ、お前の恥ずかしい二つの穴を見せてみろ。こいつにも、よく見せてやれ」

奴隷のアイリは、スピアの命令に従わないわけにはいかない。

「は、はい……」

アイリは、くるりと回って縛られている晶に背中を向けると、身体を前に倒した。脚を左右に開き、腰を突き出す。そして手を後ろに回すと、自分の尻肉を大きく広げた。かつてスピアに調教された時に、何度となく繰り返し強制された羞恥のポーズだ。

目の前では、イサクと北尾が興味深げに自分を見ていた。アイリは恥ずかしさに目を伏せる。歯を食いしばる。

キュッとひきしまった小ぶりな尻の谷間が開き、秘められた部分が露になった。淡い菫色の小さな窄まり、そしてその下でぱっくりと口を開くピンク色の肉裂。

「ふふふ、変わらずに綺麗じゃないか、アイリ。もっと開いて見せてくれ」
「はい……」

スピアに褒められて、アイリは胸がときめいた。指に力を込めて、さらに尻肉を押し開く。

「もう濡らしてるのか。そんなに見られるのが嬉しいのか?」

スピアの言葉通りに、肉の裂け目にはたっぷりの透明の蜜が満ち、キラキラと濡れ光っていた。今にも溢れ落ちそうだ。

「ああ……。はい。アイリは、見られるのが、好きなんです。いやらしい奴隷です」

目をつぶり、羞恥の悦楽に震えながらアイリは言った。

その時だった。男たちの微かな笑い声が聞こえた。北尾、イサク、そしてスピアの声だ。

自分が笑われているのか? このみじめな姿を笑っているのか?

アイリはそっと目を開けた。北尾とイサクは、自分の後ろを見て笑っているようだった。アイリは慌てて振り向く。

「えっ……」

アイリは目を疑った。そこには、さっきと変わらずに、天井から人の字に縛られ、吊るされたセーラー服姿の晶がいた。しかし、そのスカートの股間の部分が高く盛り上がっていたのだ。それはその可憐な少女には、あまりにも不似合いだった。

晶は顔を背けていた。頬が真っ赤になっている。その表情は羞恥に耐える少女そのものだった。

「ふふふ、アイリ。こいつはお前のおまんこと尻の穴を見て、興奮してしまったらしいぞ。あんなにビショ濡れのいやらしいおまんこを見せつけられたら、そりゃあ仕方がないか」

北尾がそう言ってゲラゲラと笑った。アイリは、混乱した。わけがわからない。しかし自分以外にこの部屋にいる男たちは、晶のスカートの膨らみに、全く驚いていないようだった。

「アイリ、こっちへ来るんだ」

スピアに言われて、アイリは晶の前へ立つ。スカートの膨らみに目を奪われてしまう。それはテントのように布地を突き上げていた。

まさか……。アイリはその膨らみと、真っ赤になった晶の顔を見比べる。ある想像が頭に浮かぶが、それは現実的ではないと打ち消す。いや、そうとしか思えない。ぐるぐると考えを巡らせているうちに、スピアが命じた。

「そこを触ってみろ、アイリ」

アイリはコクンと頷くと、恐る恐るその部分へと手を伸ばした。スカートの生地の上から指が触れた。

「ああっ!」

晶の身体がビクンと震えた。驚いてアイリも手を離す。

「えっ、どうして……?」

アイリの手が触れたそれは、熱く硬かった。しかし、それは無機質なものではない。明らかに人間の身体の、それも、男だけが持っている器官のようだった。

アイリは目をパチクリさせる。まさか、自分の目の前にいる可憐な少女の正体は……。

「スカートをめくってやれ、アイリ」

アイリの手がおずおずとスカートの裾に伸びる。

「あ、いや……」

晶の唇からか細い声が漏れる。それは少女の声そのものだった。

そしてアイリは勢いよくスカートをめくりあげた。

「いやっ、見ないでっ」

晶の悲鳴が上がる。同時に、アイリも驚きの声を漏らした。

「ひっ……」

スカートの下に下着はなく、晶の下半身は丸出しになっていた。白く滑らかな肌、ほっそりした太もも。やはり、アイリと同じく、一本の陰毛も生えていない。
しかしアイリと違うのは、そこに天を向いて雄々しく突き立った肉の器官があったことだった。

「ど、どうして……」

晶はさらに顔を真赤に染めて、肩に埋めている。身体が羞恥に震える。アイリは、その部分から目が離せない。それはあまりに不条理で、不思議な光景だった。

「晶は、女の子としていじめられたくて、自ら志願して奴隷になったんだよ。いやらしい変態なんだ」

北尾がそう言ってゲラゲラ笑う。晶は歯を食いしばって、恥辱に耐えている。うっすらと涙まで浮かんでいるようだ。しかし、それでも、その部分は勢いよく屹立している。

「女装癖があって、しかもマゾなんだよ。こうやって恥ずかしい目に遭わされるのも好きだし……」

北尾が顎を突き上げて合図をすると、スピアが手にしていたムチを振り上げた。先の割れたバラ鞭が、晶の背中に炸裂する。鋭い破裂音が迸る。バラ鞭で、しかも服の上からなので、苦痛はそれほどでもないはずだが、晶は悲鳴を上げた。

スピアは何度も、背中に鞭を振り下ろす。その度に、乾いた破裂音と、晶の悲鳴があがる。

「痛い目に遭うのも好きなんだよ、こいつはな……」

北尾の言葉通りに、晶の股間のペニスは、さらに勢いを増してそそり立つ。先端からは、ヌルヌルとした透明の液まで滴っていた。

ゴクリ。アイリは思わず唾を飲み込んだ。目は晶の股間に釘付けだった。信じられないものを見ている気分だった。

「面白いだろ、アイリ。奴隷の先輩として、可愛がってやりたくなってきただろ?」

アイリは振り向き、イサクと目を合わせる。イサクは頷いた。

おずおずと手を伸ばす。アイリの細い指が、その先端に触れた。

「あっ!」

ビクン。晶は全身を反応させた。アイリは右手でそっと、握る。それはドクンドクンと熱く脈打っていた。

同時に左手を下から伸ばす。一本の毛もなく、皺も少なめの袋の部分に指先を触れさせた。サワ、サワと撫でる。

「ああっ、だめ……」

晶は、切なげな声を漏らした。今度は、右手の手のひらを先端にあてがう。半分だけ包皮から露出している亀頭部をやさしく撫で回した。すでに滲んでいた透明な液が、潤滑材となり、滑りやすくする。アイリの手が動く度に、晶は快感に呻く。

そんな晶の反応を確かめながら、アイリは己の持っている快楽のテクニックを次々と試していく。かつてこの「島」で叩き込まれた男を喜ばせるための技術。これまでイサクという主人に奉仕するためのものであったが、今は目の前の異形の奴隷を責めるためのものになっている。

もっと、もっといじめてみたい。快楽にのたうち回らせてみたい。アイリの心の中に潜む獣がそう望んでいた。

晶には奴隷女たちのそんな欲望をかきたてる何かがあるようだ。真紀や千尋がそうだったように。

「すごい、可愛いわ……。もっと、いやらしい声、聞かせて……」

アイリはそう言いながら、左手をさらに滑らせていく。その指先が、肉の谷間にひっそりと眠る窄まりを捉えた。

「ああっ、そこは……だめです」

晶がうろたえるが、アイリはさらに指を蠢かせる。

「ここも好きなんでしょ? いっぱい可愛がってあげるわ」

(続く)

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11.05.16更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |