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第10章 特殊奴隷・晶【7】

ヘリコプターから降り立つと、生ぬるい森の匂いと潮の匂いに包まれた。飛行機を乗り継ぎ、最後はヘリコプターで数時間。長い旅だった。

スーツ姿の初老の男がにこやかに出迎える。

「ようこそ、ミスター・バックマン。私がこの『島』の責任者の北尾です」
「はじめまして。イサク・バックマンです。北尾さん、お会いできて光栄です」

二人は握手をした。

北尾は、イサクの後ろに隠れるようにして立っている小柄な少女を見つける。少女の首には赤い首輪があった。

「アイリ、お帰り。バックマンさんにちゃんとご奉仕しているかい?」

北尾は気持ち悪いほどの優しい笑顔をアイリに向けた。アイリは北尾とは目を合わせずに、ペコリと頭を下げる。

「はい。ドールの身分を忘れずに、しっかりとご奉仕につとめさせていただいています」

アイリは小さく震えていた。「島」での教育を受けている時に、アイリは何度か北尾に調教されたことがある。その時の恐ろしさは今でも忘れられない。

「アイリは、本当に素晴らしい子です。私はもう彼女なしには生きていけませんよ」

モバイル関係のソフトウェアで世界のトップシェアを誇るバックスの最高経営責任者であるイサクは、アイリの腰に手を回して微笑んだ。

「それはよかった。さぁ、中へどうぞ。我々サガラ財団は、バックマンさんを歓迎いたします」

北尾とイサク、そしてアイリはこの島の中央に建つ大きな建物の中へと入っていった。


「私の国では、もうドールなしでは夜もあけないといった感じです。大統領からも、北尾さんによろしくと言っておりました」
「よろこんでいただけて、私たちもうれしいですよ。さぁ、バックマンさん。この『島』にいる時は、全てを忘れて、身も心も快楽に浸って下さい。楽しんでいただけるように、様々な趣向を用意しておりますから」

イサクのための豪華な客室だった。小さな一軒家なら、すっぽり入ってしまうほどの広さで、調えられたインテリアも贅沢の粋を極めたものだった。イサクがこれほどの歓迎を受けるのは、サガラ財団にとってバックスはそれだけ大口のスポンサーということだ。

北尾が合図をすると、重厚なドアが開いた。半袖の白いセーラー服を着た華奢な少女が立っている。外国人であるイサクには、その制服が女子学生のものだという知識はなかったが、その少女の清楚な雰囲気にはよく合っていると感じた。肩までまっすぐ伸びた黒髪は眉の上で真横に切られていて、バックスの誰かのデスクに飾られていた古い日本人形を思わせた。

そして、その少女の首にも、やはり赤い首輪があった。

「この子は、バックマンさんのお好みに合うかと思うのですが……」

北尾にそう言われて、イサクは顔を赤らめた。確かに、この少女に一目惚れしていた。華奢という意味ではアイリとよく似たタイプだが、この少女はもっと凛とした雰囲気があり、どこか人間離れしていて性の匂いを感じさせない。顔立ちも、端正で作り物のようにすら見える。

少女はその場で正座すると、深く頭を下げた。

「初めまして、ご主人様。晶です」
「この子は、うちで今、一番のオススメなんですよ」

そう言いながら、北尾が笑いをこらえるような表情になっていたことも、イサクは気づかない。少女に見とれていた。

「晶に、ご奉仕させても構いませんか?」
「えっ、ああ……」

イサクはしどろもどろだ。晶と呼ばれたセーラー服姿の少女はソファに座っているイサクの前で腰を折った。

「失礼します」

晶はそっとイサクに顔を近づけ、唇を合わせた。ひんやりと柔らかい唇の感触と、甘い少女の体臭。

「えっ、ええっ」

驚くイサクの唇の間に晶の舌が滑りこむ。そしてイサクの舌にからみつく。その滑らかな感触はイサクの官能を刺激した。フッと力が抜けてしまう。すると晶は、舌をさらに大胆に送り込んで、イサクの腔内を這い回らせた。

「ん、んぐ……」

ようやく晶が唇を離した時には、すでにイサクのスラックスは高い山を作っていた。晶は、その細い指で、それに触れた。

そんな時、アイリなら自分の愛撫で勃起したことで無邪気な笑顔を浮かべているだろうが、晶はどこか淋しげな表情のままだった。しかし、それがまた彼女の端正な顔立ちにはよく似合っているのだ。イサクは晶の顔から目が離せない。

「失礼します」

しかし、そう言って晶がファスナーに手をかけようとした時、イサクは慌ててそれを阻止した。

「ちょ、ちょっと待った」

そして助けを求めるかのように北尾に言う。

「僕は、どうも、人前でこういうことをするのは……」

乱交が当たり前のドールパーティには、もう何度も参加しているイサクだったが、自分が人前でパンツを脱ぐことだけは、どうしても抵抗があった。

「おお、これは失礼しました。晶、やめなさい」

本当は北尾に席を外して欲しいという意味だったのだが、とりあえずイサクはホッとする。

「では、ちょっと面白いことをしましょうかね」

北尾は立ち上がり、自分が座っていたソファの上に晶を座らせた。そして両脚を折り畳んで、左右の肘掛けの上に載せた。縄を取り出すと、その無骨な指からは想像もつかない器用な手つきで、晶の両脚をM字型に縛り上げてしまった。さらに両腕は頭の後ろで縛る。大きく開いた股間は垂れ下がったスカートで隠れているものの、それは少女にとってはあまりにも恥ずかしい格好だった。

「これが緊縛ですか。すごいですね」

イサクは北尾の縄さばきに素直に感心した。

「いえ、私などは大したことはありませんよ。後ほど、調教師にちゃんとした緊縛をやらせましょう」

北尾は晶の背後にまわる。後ろから手を伸ばして、晶の胸に触れる。セーラー服の上から乳首を見つけ出し、そして指の腹でそれを転がすようにした。

「あっ……」

無表情だった、晶の顔が歪んだ。ほとんど膨らみのない胸の上を北尾の指が這い回ると、晶の頬が赤みを増し、そして息も荒くなって来る。イサクはその様子を呆然と見ていた。

「何も感じないというような顔をしていながら、実は敏感なんですよ、こいつは……」

北尾の言葉を裏付けるように、晶の表情がどんどん艶やかになっていく。

そして北尾の手が、スカートの中へと伸びた。

「あ、そこは……」

晶はとまどいの表情を見せた。

「ふふふ、バックマンさんに、お前のここがどうなっているのか、よく見てもらおうな」

晶の頬が真っ赤になる。唇を噛み、羞恥に必死に耐える表情になった。

そんなに恥ずかしがるほど、濡れてしまっているのか……と、イサクは思った。きっとスカートをめくりあげると、ショーツにシミがつくほど濡れているのだろう。

しかし、北尾がスカートをめくり上げた時、そこに現われた光景は、イサクが想像もしなかったものだった。

「ええっ!?」
「ああ、いや……」

イサクの驚きの声と、晶の羞恥の呻きが上がるのは同時だった。

イサクは目を疑う。晶の大きく開かれた股間には小さな白いショーツから先端をはみ出させた勃起したペニスがあったからだ。

「晶、バックマンさんが驚いているぞ。お前のここには、変なものが付いているからなぁ。なんだこれは? 女の子のくせに、こんなものを大きくさせてるのは何故だ?」

北尾の言葉に、晶は顔を真っ赤に染めて、イヤイヤと頭を振る。恥ずかしさのあまりに涙まで浮かんでいる。

「ま、まさか……」

イサクは混乱していた。まだ、自分が見ているものの意味がわからない。この美しい少女に、なぜ男のシンボルが付いているんだ?

「ふふふ、バックマンさん。失礼しました。実はこの晶、れっきとした男なんですよ。それなのに、こうやって女の子の格好をしたいという変態でね。しかも、女の子としていじめられたいと、奴隷になることを自ら志願してきたんですよ。まぁ、これだけの美形なので、我々も特例を認めたというわけです」
「お、男……」
「男にキスなんかさせて、本当に申し訳ありません」
「い、いえ……」

晶が男だとわかっても、不快感はなかった。それほどに晶は美しく、そのキスは官能的だったのだ。

「晶、バックマンさんが呆れてるぞ。お前のような変態がいるなんて信じられないそうだよ。でも、お前は見られることが好きなんだよな。バックマンさん、お見苦しいとは思いますが、ちょっと見てやって下さい」
「ああ、いや、いやですっ……」

晶は狂ったように頭を振り、身をよじるがしっかりと縄で拘束された身では、どうにもならない。

北尾がナイフでショーツの左右を切り裂いた。それは一片の白い布となって、はらりと床に落ちた。

ショーツから解放されたペニスが勢いよくそそり立った。先端が軽く包皮に覆われていて、剥き出しになっている亀頭は、初々しいピンク色をしていた。そして剃られてしまっているのか、そこには一本の陰毛もなく、ツルンとしていた。

「初めて会う異国の方に見られているというだけで、こんなに興奮しているんですよ、こいつは。本当にとんでもない変態でしょう」

北尾は晶のペニスをつかんで、軽くしごいた。

「あっ、だめです……」

晶は弱々しい悲鳴をあげる。その声も、どう聞いても少女のものだった。イサクはまだ、何が何だかわからない。しかし、晶から目が離せない。羞恥に泣きじゃくる顔と、その少女の姿とは不釣合いにそそり立たせた股間を交互に見ては、唾を飲み込む。

「ほら、バックマンさんが、お前のいやらしいクリトリスをじっと見てるぞ。これはお前のクリトリスなんだよな……」
「ああ、許して下さい」

どんなに泣きじゃくろうと、その立派に屹立した物は、晶が興奮状態にあることをはっきりと証明している。

「晶、お前はもっと恥ずかしいところを見てもらいたいんだろう?」

そう言われたら、どう答えなければならないのか。奴隷となった晶には厳しい調教で叩き込まれている。晶は羞恥に声を震わせながら、言った。

「わ、私のおまんこを、見て下さい……」
「お前は男なんだから、ちんこはあっても、おまんこなんてないだろう? そこはケツの穴だろ?」
「いいえ、わ、私のおまんこです……」

言いながら、晶はみじめさに涙が止まらない。そしてそんな思いをさせられているのに、ますます勃起してしまう自分が悲しかった。

「そうか。おまんこか。じゃあ、バックマンさんにどうして欲しいか、お願いするんだな」

晶は嗚咽しながら、イサクに屈辱的なお願いをした。

「ご主人様。私のおまんこを、開いてよく、見て、下さい……」

言われてイサクは魅入られたようにフラフラと晶の大きく開かれた股間へと近づいた。そして、手を伸ばし、すべすべとした晶の尻肉を大きく開く。

「ああ、いや……」

そこには、ピンク色の窄まりが、恥ずかしそうにヒクヒクと震えていた。それは見慣れたアイリのそれと同じくらい、いや、それ以上に可憐で、美しいとイサクは思った。

(続く)

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11.05.02更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |