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第12章 指導者・レイヤ【10】

告知されていた「あなたの知らないレイヤ・キヴィマキの真の姿2」 の中継時間が近づいていた。今回、告知されたURLはリアルビジョンのものではなく、聞いたことのない国のドメインだった。

「結局、阻止出来なかったわね……」

PTWのアジトで、ノートPCを前にして、ターヤがつぶやいた。二日前の中継で、レイヤのあられもない姿を目にしたPTWの多くのメンバーは、失望しながら去っていった。あれが、何者かに強制されたことだとはわかっていても、カリスマのみじめな姿は、弾圧に折れかかった心を、木っ端微塵に粉砕してしまったのだ。

シンボルがあそこまで堕ちた姿を全世界に晒してしまったともなれば、PTWの名前も、嘲笑の対象でしかなくなる。

スポンサーであった女性華僑ジェニーとの連絡も取れなくなってしまった。もう関わりたくないという気持ちなのだろう。

これら一連の出来事が全て、PTWに敵対するグループによる仕業だったとすれば、その効果は絶大だった。

もはやPTWは組織としても、壊滅したといってもいいだろう。

ターヤたちも必死に、レイヤを救い出そうと画策したのだが、その足取りは全くつかめなかった。

そして、この二度目の中継の時間を迎えることになってしまった。

「PTWは、もうおしまいだわ、レイヤ……」

ターヤが力なくそう言った瞬間、ブラウザに映し出された画面が切り替わった。

「あなたの知らないレイヤ・キヴィマキの真の姿2」

文字が映し出される。

二回目のショウタイムがこれから始まるのだ。


画面の中央には、すでに全裸のレイヤ・キヴィマキが立っていた。両腕は頭の後ろで組んだ形で拘束されているため、均整のとれたその美しい裸身は、全てをさらけ出していた。股間の陰りは綺麗に剃り上げられているため、割れ目がくっきりと見えている。

そして何よりも目を引くのが、首に巻かれた真っ赤な首輪だった。それは彼女が家畜やペット、奴隷の身分であることを表しているようだった。

そして、国民奉仕法が施行されている東京の国民や、世界中のドール愛好家たちは、レイヤの首輪の意味をよく理解していた。

「せ、世界中のみなさん、こんにちは。……レイヤ・キヴィマキです。今日も、私の、は、恥ずかしい姿を、見てください」

レイヤの肌は薄桃色に染まり、細かい汗で濡れ光っていた。しっかりと閉じられた脚がぶるぶると震えているのは、羞恥のせいばかりでもないようだった。

「あ、ああ……」

屈辱的な口上を言った後、レイヤは熱い吐息を漏らした。それは快感に耐えかねているかのように、甘く淫らな声だった。レイヤが性的な興奮状態にあることは、誰の目からも明らかだった。

形のよい乳房の頂点で、乳首がピンと固く勃起し、腰がくねくねと動く。もうまっすぐ立っていられないようだ。

「も、もう……」

レイヤは画面の外にいるらしい誰かに助けを乞うように言った。

冷酷な声が返ってくる。

「まだだ。もっとみなさんにお願いすることがあるだろう?」

レイヤは、つばを飲み込み、少しだけ躊躇した後、おそらくは中継が始まる前にその声の主に命じられた言葉を口にする。

「私、レイヤ・キヴィマキは26歳の今まで、男性のおち、おちんちんを、お……おまんこに入れたことがありませんでした。でも、本当は、入れて欲しくて入れて欲しくて、我慢できずに、毎晩、……オナニーに耽っていました。今日は、これから念願の、おちんちんを入れてもらえることになりました。みなさん、私の処女喪失の瞬間を、見ていただけますでしょうか?」

言いながらも、レイヤは腰をもじもじと揺らしていた。単に興奮しているだけではなく、何か媚薬のようなものが塗られているようだった。

「ああ、早く、おちんちんを入れて、欲しいです……」

この中継を見ている世界中の男たちは、事前に検索して見つけたPTWの指導者としてのレイヤ・キヴィマキの動画を思い浮かべる。あの意志の強そうな凛とした美しい女性と、この性欲に追い立てられている女性が同一人物とは、到底思えなかった。

「よく言えたな。さぁ、それじゃあ、レイヤのお待ちかねのおちんちんだ」

その声と同時に画面の中に、ひとりの半裸の男が現れた。それはでっぷりと太った脂ぎった東洋人の中年男だった。ヨダレを垂らさんばかりの好色な表情で、レイヤの裸身を見つめている。まともな女性なら嫌悪感を催さずにはいられないだろう。締まりのないブヨブヨとした肉体を隠すものは、白いブリーフ一枚のみ。そして、その前は大きなテントを張っていた。

その男を見て、レイヤは驚いた。

「晶さんじゃ、ないの……」

中年男が近づくと、レイヤは反射的に身をよじった。後ずさりして、男から逃げようとする。

「いいのか? ここには、もうチンコはこの男のしかないんだぞ。入れないで、我慢できるのか?」
「あ、ああ……」

画面の外の男の言葉に、レイヤは悲しげに首を振る。

そんなレイヤの態度に構わず、中年男はレイヤの背後に回って抱きついた。

「あ、いや……」

レイヤの顔に嫌悪の色が浮かぶが中年男は、気にせずにぐいぐいと後ろから伸ばした手で、乳房を揉みしだく。

中年男は、見かけによらずなかなかのテクニシャンのようだった。激しく乳房を揉みながらも、同時に指先で乳首を摘むなど、レイヤの官能のツボを見事に刺激していく。最初は不快感を露にしていたレイヤだったが、次第にその表情が変わっていく。

中年男の手は乳房だけではなく、脇の下や脇腹、下腹部などにも這いまわる。その指が蠢く度に、レイヤの肌の色が赤みを増していく。息が荒くなる。

「あ、あん、そ、そこは……」

中年男は自分の脚を割りこませるようにして、レイヤの脚を左右に広げさせる。そして股間に手を伸ばし、左右から腿の付け根を押し開く。レイヤの無毛の肉裂がぱっくりと口を開いた。

「ああ、いやぁ……」

濃いピンク色の肉壁が、テラテラと濡れ光っている様が画面に大写しになった。あまりにも卑猥な光景だった。

それを見ていた世界中の男たちは、思わず股間を押さえる。

中年男は淫裂を押し開くものの、そこには触れなかった。十分に濡れていることを確認すると、急に手を離した。そしてレイヤからも離れる。

いきなり愛撫を中断され、レイヤは驚いたように中年男を見た。明らかに不満そうな表情だった。

中年男は、レイヤの目の前で、ごろんと仰向けになった。巨大な肉塊が床の上に転がった。下腹部の白いブリーフには、依然として勢いよくテントが張っている。

「お前ばかり気持ちよくなってちゃダメだよな。入れてもらいたいなら、それなりのことをしないといけないぞ」

画面の外の男が言う。

レイヤはしばらく黙って、床の上に寝そべる中年男を見つめていたが、意を決してその前にしゃがんだ。

「言うこともあるだろう?」
「は、はい……。私、レイヤ・キヴィマキは、今まで男性のおちんちんを舐めたことがありません。これから人生で最初の、ふぇ、フェラチオをさせていただきます。なにぶん、初めてなので、上手くできないかもしれませんが、どうぞ、お許し下さい……」

そうしてレイヤは震える手で、中年男のブリーフを下ろした。ペニスが勢いよく飛び出した。レイヤが男性の勃起したペニスを目の当たりにするのは、晶に続いてこれが二人目だった。晶のそれも、たくましく、そしておぞましい器官だと思ったものだが、この中年男のものは、それ以上にグロテスクだった。晶のそれよりも二回りも太く、赤黒く、そして根元にはもじゃもじゃと陰毛が密集している。これに比べれば、晶のペニスはずいぶんと可愛らしいものに思えた。

レイヤはこわごわとその先端に口を近づける。口をゆっくりと開き、震える舌を伸ばす。最初は、まるで汚いものを舐めるような表情をしていたが、それでも、少しずつその先端を口に含む。

確かに、それはぎこちない動きだったが、舐めているうちにレイヤの表情がとろんとしてくる。舐めながら、興奮しているのだ。

赤い首輪をつけた全裸の美しい白人女が、腕を頭の後ろで拘束された格好で、ひざまづいて醜い東洋人の中年男の股間に顔を埋めている。懸命に口でペニスに奉仕している。それは見るもののサディスティックな欲望を掻き立てずにはいられない光景だった。

奉仕されている中年男も、うっとりした表情で、その快楽を味わっている。

「よし、もういいぞ」

画面の外から声がかかると、レイヤはハッとする。いつの間にかにフェラチオに夢中になってしまっていたのだ。レイヤはそんな自分を恥ずかしく思い頬を赤くする。まだ、それだけの羞恥心は残っていたのだ。

「それじゃあ、念願の処女喪失をさせてやろう。全世界の人々に見守られながら、処女を失える女など、いないぞ」
「は、はい。皆さんの前で、しょ、処女喪失できて、レイヤは、し、幸せです……」

レイヤは中年男の腰の上で、脚を広げて立った。男は自分の腹にぴったりとくっついてしまうほど勢いよく勃起したペニスをつまむと、垂直に立てた。その真上にレイヤの股間がある。

「さぁ、いいぞ。腰を下ろしてみろ」
「は、はい。おちんちんを、いただきます」

レイヤは腰を落とす。脚を大きく開いたままなので、がに股のみっともない格好だ。

ペニスの先端が、レイヤの濡れた肉の扉に触れる。

「あっ」

思わず声が漏れる。快感がレイヤの体を貫く。

「入れるんだ、レイヤ」
「はいっ」

レイヤは思い切り腰を落とした。ずぶり、と巨大な肉棒がレイヤの処女地に突き刺さっった。

「ひっ、ひぃっ!」

破瓜の痛みにレイヤは悲鳴を上げるが、それでも肉棒は突き刺さったままだ。中年男は手を伸ばして、レイヤの腰をがっしりとつかんだ。下から腰を突き上げる。

「あっ、あああっ!」

つんざくような悲鳴。そして、その股間から一筋の破瓜のしるしが、中年男のペニスを伝わる。しかし、男は構わずに、腰を激しく動かす。無毛の割れ目にペニスが出入りする。

その度に、レイヤが絶叫し、身を仰け反らせて呻く。だが、その悲鳴は、次第に痛みを訴えるだけのものではなくなっていった。



「ふふふ、処女喪失の世界中継か。これから本当の淫乱奴隷になっていく様を逐一中継してやるからな」

モニターを眺めながら愉快そうに笑う北尾を、真紀は複雑な表情で見つめる。いくら自分と敵対する組織のリーダーだからといって、ここまで残酷なことを考えるこの男が、真紀は恐ろしかった。

最も有力な女性権利団体であるPTWは、これで完全に崩壊するだろう。もう彼らの野望を遮るものは、何もない。

ほとんどの人間が気づかないまま、世界はゆっくりと変わっているのだ。奴隷=ドールという、新たな武器によって。

「このやり方はな、共和国の鈴木将軍に教えてもらったんだよ。あそこの国が昔、レジスタンス運動に手こずった時に、やはりカリスマ扱いされていた若い女がいたらしくてな。そいつをこんな風にいたぶって、中継してやったんだそうだ。その時の一番の見せ場が、ガラスの処刑台という装置でな。ほれ、そこに映ってるそれだ」

真紀は、北尾が示したモニター画面を見た。そこには巨大なガラスの箱があり、その中央にはガラス製の階段があった。

「たっぷりと浣腸してやった後に、あの階段を登らせるんだ。そしてその上で……ふふふ。全てガラス製だから、何もかも丸見えになるというわけだ。レジスタンスのカリスマは、その姿を共和国全てに中継されて、恥ずかしさのあまりに気が違ってしまったらしいぞ。さて、そんな姿を全世界に晒したら、いったいどうなるかな。ははははは……」

北尾は狂気じみた笑いを上げた。真紀は背筋にゾクリと寒気を感じた。
(続く)

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11.10.10更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |