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第12章 指導者・レイヤ【6】

「失神しちゃったのね。すごかったわ」

部屋に入ってきたエリカは、ベッドの上のレイヤを見ながら言った。

「それにしても、恥ずかしい格好ね。レイヤのこんな姿を見たら、PTWのカリスマの権威も失墜よね」

レイヤは、失神しつつも脚を開いて自ら膝を抱えたポーズのままだった。ぐっしょりと濡れた肉裂は丸見えになっている。

「まだまだよ。もっと恥ずかしい姿にさせないとダメなんでしょ? ねぇ、ちゃんと撮れてたかな?」

晶は、冷酷な笑みを浮かべながら戸棚を見た。エリカは、その戸棚に置かれた小さな木箱を手にする。一見すると古びた小物入れのようなその木箱の蓋を開け、中から小さな機器を取り出す。超小型のビデオカメラだった。

「大丈夫、ちゃんと作動してるわ」

エリカはビデオカメラを再び箱の中に戻して、蓋を閉める。側面に巧妙に隠されたレンズを、ベッドのほうに向け直す。

「もっと自分からいやらしいことを口にさせたいわね。『晶のおチンポ欲しい』とか」
「あの調子だったら、あそこで失神しなかったら、言わせられたと思うけど」
「そうね。でも、今度は私も参加させてもらおうかな」
「どうせ、覗いてたら我慢できなくなっちゃったんでしょ、エリカ」
「ふふふ、その通りよ、晶」

エリカは晶を抱きしめてキスをした。

「じゃあ、それなりの準備をしておかなくちゃね」

晶は、再びロープを取り出して、ベッドに近づいた。


とんでもなく背徳的な淫夢を見ていたような気がした。意識が戻ってくるのと同時に、その記憶は薄れていく。もうどんな内容の淫夢だったのかは、思い出せないが、そのもやもやとした気持ちだけは残っている。

ゆっくりと目を開く。まだ淫夢が続いているのでは、という気持ちになる。目の前では二つの白い肉体が揺れている。ひとりが立っていて、その前にひとりが跪いて下腹部に顔を埋めている。

何をしているのだろう……。レイヤはぼんやりと考える。それが何か淫猥な行為であることは、わかる。

跪いている全裸の女は、何かを咥えている。それを口に含み、頭を前後させたり、舌で舐めまわしたりしている。それがペニスであることは、男性経験のないレイヤでもわかる。女はフェラチオをしているのだ。

しかし、そのフェラチオをさせているのは、男ではない。細い体で、愛らしい顔をした少女だ。少女なのに、ペニスが生えている?

意識と視界がはっきりしてくるに連れ、その少女が晶であること、そして跪いている女がエリカであることがわかってきた。

なぜ? 頭が混乱する。まだ淫夢の続きではないかと考える。

そして、その時、初めて自分の体の自由が利かないことに気づく。動けない。動こうとすると、何かが肌に食い込む。ロープで縛られているのだ。

しかも、全裸で、何もかもをさらけ出したあられもない姿で。

「ひっ、何、これっ!」

レイヤは思わず叫ぶ。両腕は頭の後ろで、両脚はM字型に大きく広げられたままで縛れられているのだ。女として隠しておきたい部分が、全て丸見えになっている屈辱的な格好だった。

レイヤの叫び声に気づいた晶がこっちを向いた。驚くふうもなく、静かな笑みを浮かべている。エリカは何事もないかのように、フェラチオに熱中していた。

「あなたたち、何をしてるの?! これはどういうこと? ほどいて、早くほどいて!」

レイヤは錯乱したかのように叫んだ。

「だめよ、レイヤ。そんなに大きな声を出したら、外に聞こえちゃうよ」
「それに、あなた、それは……」

レイヤは一瞬、晶の股間を見つめ、そして慌てて目を逸らす。

「さっき、クリトリスを舐めて下さいって私に頼んだこと、覚えてる?」
「えっ……?」

言われて、レイヤは意識を失う前のことを思い出した。晶に襲われ、舐められ、そしてクリトリスを舐めてくれと懇願したこと。そうだ、自分で膝に手をかけて、晶の前に股を広げていたのだ。それは今のようにロープで無理やり広げられることよりも、恥ずかしいことだった。

その忌まわしい記憶を断ち切ろうと、レイヤはぶんぶんと激しく頭を振る。しかし、それは紛れもない事実なのだ。

「おまんこから、ヨダレをダラダラ流しながら、私に舐めてっておねだりしたのよ。そして、舐めてあげたら、あっという間にイキながら失神しちゃったの。PTWのリーダーが、あんなにいやらしい女だったなんて、失望しちゃったわ」
「や、やめて……」
「あんな姿、PTWの他のメンバーに見られたら、大変よね」
「やめてっ!」

晶とレイヤがそんなやりとりをしている間も、エリカはフェラチオを止めない。ジュルジュルと淫らな湿った音を立てて、晶のペニスをしゃぶっている。

「そ、それに、あなたは一体……?」
「これのこと?」

晶は、エリカの頭に手をかけて、口を離させると唾液でべっとりと濡れたペニスを、レイヤに見せつけた。それは華奢な体とはあまりに不釣合いなほどに、大きく太く、勇ましいものだった。

「ひっ」

レイヤは慌てて目を逸らす。そんな状態の男性器を実際に見るのは初めてだった。それはあまりにもおぞましい生き物のように見えた。

「何かおかしいのかな?」
「あなた、男、だったの?」
「ふふふ、どうでしょう?」

エリカは全裸だったが、晶はワンピースの下をまくりあげている格好だった。その股間に生えているものを除けば、可憐な少女にしか見えない。

「気になるの? これが」

晶は、ベッドの上で恥ずかしい姿で縛り上げられているレイヤに近づく。目の前に勃起したペニスを見せつける。レイヤは怯えるように目を閉じて顔を逸らしていた。

「でも、そのうち欲しくなると思うわ」

晶は再びエリカに、舐めさせ始めた。目の前に突き出されたそれをエリカは嬉しそうに口に含む。根元から尖端まで、ねっとりと舌を這わせる。

それはさっきよりもレイヤの顔の至近距離で行なわれた。目をつぶっても、いやらしい音が聞こえてくる。

クチュ、クチュ。

エリカはわざと激しく音を立てさせながら、晶のペニスを舐めあげる。舐めながら、熱い吐息を漏らす。

耐えかねて、時々まぶたをうっすらと開けると、その刺激的な光景が目に飛び込んできて、あわててまた目を閉じる。その繰り返しだった。

レイヤの体の奥が熱くなり、知らず知らずのうちに腰がモジモジと動きだした。晶の舌によって、一度火を点けられている肉体だ。まだ残っていた性欲の残り火が、少しずつ大きく燃え上がっていく。

レイヤは同性愛的な気持ちをエリカに抱いたことはあるが、自慰にふける時の妄想の中では、男たちに辱められる自分を想像することが多かった。

そう、今の自分のようにあられもない姿を、たくさんの男たちの好色な視線にさらされるといったような妄想だ。恥ずかしい目に遭わされたいという願望が、レイヤの中にはあったのだ。

「ああ、晶さん、美味しいです。もっといっぱい舐めさせて下さい」
「気持ちいいわ、エリカ。いいわ。もっと舐めてちょうだい。ああ……」

晶も熱い吐息を漏らす。その声は、まるっきり女のものだった。

どんなに目を閉じても、二人の艶かしい声が重なって聞こえてくる。それはレイヤの想像力をかきたて、官能の炎を燃え上がらせていく。体が、熱い。

「ずいぶん濡れてるわよ、レイヤ。もうビショビショじゃない」

晶に指摘されて、レイヤは頬を真っ赤にする。自分でもどうしようもなく濡れているのがわかっているのだ。

そして、目を閉じていても、脳裏に晶の勇ましいペニスが浮かんできて消えない。自分も、あれを触ってみたい、舐めてみたい。そんな欲望が沸き上がってくるのだ。そして、貫かれてみたいとも。

男たちに凌辱される自分を妄想することは数えきれないほどあったが、こんなに明確にペニスに対する欲望を覚えたことはなかった。それは、今まで勃起したペニスをちゃんと見たことがなかったからかもしれない。

「レイヤがこんなにいやらしいおまんこを持ってたなんて、知らなかったわ」

気がつくと、エリカが開ききった自分の股間を覗き込んでいる。

「いや、見ないで、エリカ……」
「レイヤ、私のことが好きだったんでしょ? 私といやらしいこと、したいと思ってたんでしょ?」

エリカが濡れた目で見つめて、言った。それはゾクっとするほど、艶かしかった。

「あ、ああ……」

レイヤは答えられずに呻くばかりだ。すると、エリカが抱きついて、唇を合わせてきた。濡れた唇の感触もさることながら、おしつけられる柔らかな乳房の感触が、レイヤの官能を燃え上がらせた。

拘束されたレイヤの体の上に乗っかるようにして、エリカがしがみつき、唇を重ねる。舌が入ってくる。晶のキスとは、また違う。とろけるような感触の舌。そして滑らかで、柔らかな肌と脂肪。

エリカと愛し合いたいという思いは、ずっと続いていた。こんな形とはいえ、それが叶ったのだ。理性も麻痺してしまう。

「レイヤ、好きよ」

唇を離して、エリカはそう言うと、再び唇を重ねて、レイヤの舌を吸う。レイヤも吸い返す。

そんな二人の姿を晶は見ていた。口元には笑みを浮かべているものの、目は全く笑っていない。

拘束されたレイヤの上に重なったエリカは、尻を突き出した格好になっている。無駄な贅肉のない引き締まった尻だ。

晶はその尻を軽く撫でる。するとエリカはさらに尻を高く上げた。晶が指を股間へと滑らすと、そこはすでに十分な湿り気を帯びていた。

晶はエリカの後ろに回り、そしてその突きあげられた股間へ向かって、腰を勢いよく打ち付けた。

「あっ、ああっ!」

晶のペニスが、エリカの肉裂に沈み込む。晶が腰を動かす度に、淫らな音が響く。

「?!」

下になっているレイヤは、一瞬状況がつかめなかった。エリカは、唇を離して、甘い喘ぎを漏らしている。

エリカが背後から晶に犯されているのだとわかったのは、しばらくしてからだ。晶の動きと共に、ゆっさゆっさとエリカの体は揺れ、それはその下のレイヤにも伝わる。

エリカは貫かれる快感のままに、レイヤを抱きしめる。

「ああんっ、んんっ」

レイヤは、まるで自分が晶に貫かれているような気持ちになってきた。

そして、レイヤの未開の処女地は、その快感をもとめて、妖しく疼きだしていた。

(続く)

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11.09.12更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |