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Alice who wishes confinement
私の居場所はどこにあるの――女児誘拐の不穏なニュースを観ながら倒錯した欲望に駆られた女子高生が体験する、エロティックでキケンで悩み多き冒険。理想と現実の狭間で揺れ動く乙女心とアブノーマルな性の交点に生まれる現代のロリータ・ファンタジー。オナニーマエストロ遠藤遊佐の作家デビュー作品!!18時45分。
目を細めて数メートル先の壁掛け時計の時刻を確認し、ホッと安堵のため息をつく。
タナベは今日も残業らしい。この分なら少なくともあと3〜4時間は姿を現わさないだろう。
密室となったリビングで性のオモチャとして中年男の帰りを待つ日が続くうちに、まゆりは彼の生活のリズムがだいたい予測できるようになっていた。
平日は8時きっかりに家を出て、定時なら18時半には帰ってくる。手には通勤用の鞄、そして必ず夕食の弁当とビールが入ったコンビニ袋。火曜と木曜はその中に週刊のマンガ雑誌がプラスされる。
18時半を過ぎても帰ってこない時は残業だが、一旦そうと決まると夜遅い時間まで帰宅しない。しかしそれでも、玄関の鍵をカチャカチャと開ける音が聞こえるのは終電のきっかり1時間前、23時頃と決まっていた。面白みがないくらい規則正しい男なのだ。
タナベが帰ってこないとわかって一瞬喜んだものの、そう安心してもいられなかった。
あと数時間したら、どうしたって顔を合わせなくてはいけない。それを考えると恥ずかしさのあまり走って逃げ出したくなる。
まあ、依然として右足は柱に繋がれたままだし、男物のTシャツ一枚という格好だから逃げ出すなんてことはできっこないのだが、それでもなんとなくじっとしていられず、まゆりは鎖をジャラジャラいわせて足をバタつかせたり、「んもうっ、バカ!」と大声で叫んでみたりした。
そうやって暴れると、Tシャツがめくれて陰毛のないツルツルのアソコが丸出しになる。いやらしい監禁魔に無理矢理剃られてしまったのだ。でも今となってはそんな恥ずかしさなど些細なことに思える。自分の中にスケベで強欲な女がいることを知られるのに比べれば、されるがままの剃毛プレイなんてなんともない。
ああ、もう何も考えたくない。朝から脳内でひっきりなしにリピートされているあの出来事を追い払うかのように、少女は勢いよくクッションに突っ伏した。
ああ、いっそのことこのまま窒息死しちゃいたい――。
昨夜の“お遊び”は凄かった。
タナベの愛撫がねちっこいのはいつものことだが、まゆりの感じ方はいつものレベルを遥かに超えていた。あの、ピンク色の怪しい薬を飲まされたせいだ。
同じポーズで同じように舐められているはずなのに、何倍も敏感になった気がする。恥ずかしいくらいに濡れてしまうのだ。
ピンと尖った乳首をしつこく弄ばれ、興奮で極限まで膨れ上がったクリトリスにフッと息をふきかけられる。するとそれだけでイキそうになり、ヌメった肉色の穴の奥から白味がかった淫らな液体がトロリと流れ出る。
「なんだ、小便漏らしたみたいじゃないか。今日のスケベっぷりはまた格別だな」
初めて会った時は礼儀正しく紳士的な言葉遣いをする男だったのに、まゆりを売女扱いするようになってからはわざと下卑た口調で話すようになってしまった。そうさせてしまったのはほかならぬ自分なのだと思うと胸が傷んだが、官能小説にでも出てくるかのようないやらしいセリフを聞くと、なぜかドキドキしてしまう。
「や、やめてください……」
「どうして? こんなに気持ちよくなれて嬉しいんじゃないのか。まあ、やめて欲しいっていうんだったらしょうがないな。今日は僕も疲れてるんだ、仕事の引継ぎで得意先を行ったり来たりでさ。そのかわり、いいことをしてあげよう」
そう言うと、ロリコン男は麻縄で手際よく少女の上半身を縛り上げてしまった。両手を後ろで拘束し、初々しいDカップの乳房を搾り出すようにキツめに縄をかける。あれほど夢見ていた美少女の生オッパイは、この数日で急激に柔らかく吸いつくような脂の乗った手触りに変わってきている。
「何するの?」
怯えたようにつぶやく声を無視したまま、振動を最大にしたローターを両方の乳首に当て、絆創膏でしっかり固定する。
ローターが敏感な突起に触れた途端しびれるような快感がこみ上げて、少女は気が狂わんばかりに身をよじった。
「い、いやぁ、外して! お願いっ!」
「あれ、こういうの嫌いかい? ああそうか、手抜きは嫌、ちゃんと指でクリクリして欲しいっていうんだな。相変わらずわがままだなあ。一休みしたらもう少し可愛がってやるから、ビールをもう一缶飲ませてくれよ」
冷蔵庫からビールを取り出し、美味そうに悠々と飲み下す。
まゆりは小さな唇をキュッと噛んで、乳首から広がっていく快感を懸命に忘れようとした。毎日のように中年男の愛撫を受けているうちに、そこが自分の大きな性感帯だということは薄々わかってきている。
男の舌や指で軽く転がされただけでもいやらしい声が出そうになってしまうのに、両方一度にローター責めにされてはたまらない。いろんな性感帯を同時に刺激されることで、切なさは何倍にも高まっていく。セックスの快感に、1+1=2という数式は通用しないのだと思い知らされる。
次第に下半身がムズムズしてきた。
あっ、ああんっ……。無駄だとわかっていながらも、内股をもじもじこすり合わせずにはいられない。
――欲しい……。
目の前の男に、トロトロに火照ったその部分を触って欲しいのか、逞しい肉棒で貫いてほしいのか。それともただギュッと抱きしめて欲しいのか。よくわからないけれど、とにかく欲しい。欲しくて欲しくてたまらないのだ。
「お、そろそろ効き目が出てきたかな。いやらしいメスの声が聞こえてきたぞ。下のほうもたまらなくなってきたんじゃないか」
そうなの。早く、早くちょうだい。思わずそう口走りそうになるのをグッと我慢する。
内股を震わせながらタナベのほうを見ると、男は舌を突き出し、舐め上げるように卑猥に動かしていた。欲しい、欲しいの。切なさで泣きたくなる。
「僕は疲れてるんだから、ちゃんとお願いしないと気持よくしてあげないよ」
「欲しいんです……」
これまで一度たりとも自分の意思で口にしたことのない言葉を、ついに言ってしまった。堪えていた感情が堰を切ったように溢れだす。あの薬よ。あのピンク色のカプセルが悪いのよ。
「欲しいじゃわからないよ。どこに何が欲しいのか、ちゃんと言いなさい」
「アソコに……オマンコに欲しいの……」
「そんなふうにギュッと閉じてちゃ何もできないだろ。足を大きく広げてドスケベマンコをこっちに突き出せよ」
「欲しい、お願い、欲しい……」
うわごとのように繰り返しながら、震える足を大きくM字に開く。
「うわ、ヌルヌルが尻のほうまで伝ってきてるじゃないか。湯気が立ってるぞ」
「意地悪しないで早くちょうだい、欲しいのぉ……お願い、オマンコなんとかしてぇ……」
一度口にしてしまうと、淫らな言葉が次々と口をついて出た。
媚びるようないやらしい口調だと思うのだが、どうしても止めることができない。
私は、この男が欲しいんだ。今まで感じていたような、心優しいオタクを傷つけたくないという気持ちとは違う。はっきりとした欲望だった。
タナベは少女の白い尻をゆっくりと抱き抱えると、濡れそぼった部分に唇をつけ、焦らすようにチュウチュウと愛液をすすった。
やがて生温かい舌がクリトリスに触れると、
「イクうぅぅぅッ……!!」
まゆりは全身を震わせ、あっけなく絶頂を迎えてしまったのだった。
タナベはたいそうご満悦で、人の変わったような乱れっぷりを散々からかい、少女をいたたまれない気持ちにさせた。
でも、それだけならまだよかったのだ。
昨夜の出来事を、泣きたい気分で思い返す。
「あんな薬を飲ませるからです」
恥ずかしさのあまり消え入りそうな声で訴えた彼女に、タナベはこう言ったのだ。
「ああ、なんだ、あの薬か。あれはただの栄養剤だよ」
「栄養剤って……」
「毎日コンビニ弁当ばかりで体調を崩されちゃたまらないと思って買ってきたんだ。でもまさか、こんな楽しい副作用があるとは思わなかったなあ――」
頭に血がのぼり、心臓がバクバクと波打つのがわかった。顔から火が出るとはこのことだ。そんなバカみたいな勘違いするなんて……まるで四六時中セックスのことばかり考えてるみたいじゃないの。
それよりもショックなのは、ただの栄養剤を飲んだだけなのに、あんな痴態を見せてしまったことだ。鼻を鳴らしていやらしい言葉で愛撫をねだってしまったのを思い出すと、透明人間にでもなって消えてしまいたくなる。
――ああ、私キモい。すっごく、すっごくバカみたい!
まゆりはずっと自分のことを冷静で理論的なタイプだと思っていた。幼い頃から姉の富子が感情を爆発させるところを見てきたせいか、無意識に自分はそれとは逆の振る舞いをするようになっていた。
すぐに男に熱くなり、騙されて泣きわめく富子。でもどんなにひどい目にあわされても、男が猫なで声でやってきてセックスすると、あっさりと許してしまう。ずっとそんな姉を見るのが嫌だった。富子の部屋から媚びるような喘ぎ声が聞こえてくると、いたたまれなくて耳を塞ぎたくなった。
単純で、信じやすくて、快楽に弱い愚かな女。でも、そんな富子とさっきの自分とどこが違うというのだろう。
――きっとお姉ちゃんも、こういう気持ちだったんだ。
まゆりは生まれて初めて、富子に心からの親近感を感じた。
それにしても恥ずかしかった。どんな顔をしてタナベに会えばいいのかわからない。
朝は黙りこんでなんとかやり過ごしたけれど、あと数時間すれば彼はまたこの部屋に帰ってくるのだ。
仕方ない、かくなる上は……!
まゆりは床の上にゴロリと横になり目を閉じた。3年間のひきこもりで培った必殺技、ふて寝である。
しかしやはり平常心ではいられず、数時間後、監禁魔の手で玄関の鍵が開けられるまで足のバタバタは続いた。
(続く)
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