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Alice who wishes confinement
私の居場所はどこにあるの――女児誘拐の不穏なニュースを観ながら倒錯した欲望に駆られた女子高生が体験する、エロティックでキケンで悩み多き冒険。理想と現実の狭間で揺れ動く乙女心とアブノーマルな性の交点に生まれる現代のロリータ・ファンタジー。オナニーマエストロ遠藤遊佐の作家デビュー作品!!「おい、寝てるのか!」
いつもと違う気配にビクッとして目を開けると、くたびれたスーツ姿の中年男が立っていた。タナベが帰ってきたのだ。
どうしたんだろう。帰宅したらまず2階の自室に一旦上がり、Tシャツとスウェットに着替えてからリビングに入ってくるはずなのに。今日はスーツのままだし、右手には星涼学園の学生鞄、コンビニ弁当入りのビニール袋が下げられているはずの左手には、なぜかセーラー服が握られている。
なんだか嫌な予感がする。まゆりはさっきまで感じていた消えてしまいたいという気持ちも忘れ、目の前の男をまじまじと見た。
「さあ、起きなさい。早く起きてこれを着るんだ」
セーラー服と紺色のハイソックスを床に放り投げる。当たり前だが、下着や靴がないところを見ると、ちょっと散歩に行こうというのでもなさそうだ。
一見落ち着いているようだけれど、よく見ると普段よりほんの少し語気が荒く余裕がない。仕方なくわけもわからないままゆっくり体を起こし、着替え始める。
その隣でタナベもベルトをはずし、ズボンを脱いだ。トランクスの股間がツンと盛り上がっている。勃起しているのだ。
まゆりは思わず目を伏せた。男の欲望のままに毎日体の隅々までオモチャにされていたけれど、そのものを間近に見せられたのは初めてだったからだ。今の今まで、ブリーフではなくトランクス派だということさえ知らなかった。
そんな少女の様子にさえ気づかないまま、もどかしそうにトランクスを脱ぎ捨てる。禍々しく勃起した肉棒があらわになると、タナベは床にぺたんと座ったセーラー服少女の前にあぐらをかいた。
「ちゃんと着替えたな。そこにある鞄もちゃんとそばに置いて……違う! 学校に行くとき持ち歩くみたいに自然に……そう、おとなしい女子高生っぽくするんだ。よしよし、いいぞ」
ロリコン趣味を全開にして細かいポーズをつけ、まゆりがそれに従うと満足気にうなずきながら、イチモツを鼻先に突きつける。
「咥えて。ほら、おしゃぶりするんだ」
おしゃぶり? フェラチオしろってこと? こんなヘンな形のもの絶対無理だ。しかも洗ってないからか、据えたような匂いまでする。顔を背けようとしたけれど、どういうわけかその禍々しい物体から目を離すことができない。
タナベの中にある獣のような欲望をこんなにはっきり目にしたのは初めてだ。天を突くようにいきりたったそれをじっと見つめていると、胸の動悸が高まり、下半身がキュンと熱く波打ってくる。
今日、帰りの電車の中でかわいい女子高生を見たのだと彼は言った。
色白で髪の毛は肩までのストレート。涼し気な目をしたアイドルばりの美少女なのにバリバリの清純タイプだったんだ。星涼学園の制服を着てたけど、お前みたいな売女とは大違いだよ。男達の視線にも気づかず一人で文庫本なんか読んじゃってさ。あの手垢のついてない感じはきっとまだ一年生だろうな。近寄るとなんともいえないいい匂いがして……とにかく天使みたいな子だったんだ――。
「で、年甲斐もなく興奮しちゃってこの状態さ。お前も知ってるとおり僕はロリコンの変態だからな。ビンビンに勃起して駅から歩いてくる間も痛くてたまらなかったよ。コンビニにも寄れない始末だ。はははは。でも不思議なもんで、あそこまで清らかだと、妄想は膨らんでも実際にお尻の一つも触ってやろうって気にはならないんだよなあ。逆に守ってやらなきゃって気持ちが強くなる。初めて知ったよ」
夢見るような口調で見知らぬ美少女についてまくしたてる。
要するに、別の女に欲情したから鎮めろというのだ。こんな屈辱が他にあるだろうか。これじゃ面と向かって「お前はただの性処理道具だ」と言われているのと同じである。
「ひどい。嫌です……」
「ちっ、いいから黙ってしゃぶれよ。僕だっていつもマン汁だらけのアソコを舐めてやってるじゃないか」
「……」
それを言われると返す言葉がない。昨日までだったら嫌々従っているのだと言い張ることもできただろうが、あの狂乱ぶりの後では説得力ゼロである。なんといっても自分から欲しがっておねだりしてしまったのだ。
「思ったとおり、そうやって星涼学園の制服を着るとバッチリだ。まあ、中身は売女だけどな……。さあ、早くしないとせっかくの興奮が冷めちゃうだろ」
まゆりは観念して、そろそろと亀頭を口に含んだ。
「うう……そのままできるだけ奥まで咥えなさい。歯を立てると痛いから気をつけるんだぞ。唾液をいっぱい出して、舌と唇を使って上下にしごくように……ああっ……う、うまいじゃないか」
ピクピクと脈打つ感触が気味悪く思えたけれど、褒められるとなんだか嬉しくなってしまう。まゆりは、餌を食べるペットのように中年男の股ぐらに顔をうずめ、懸命に舌を遣った。
――こんなことイヤなはずなのに、どうして……。
代用品扱いされているのに、体が熱くなるのを抑えられない。1ミリでも深く咥えこもうとしてしまう自分が疎ましかった。
百戦錬磨のイメクラ嬢のテクニックに比べるとお話にならないくらい拙いフェラチオだったが、セーラー服姿の美少女におしゃぶりしてもらっている興奮は格別だ。
スカートをめくり、丸見えになった白いお尻をいやらしく撫でまわして、軽くスパンキングする。「あふぅん……」と鼻を鳴らし、尻をモジモジさせる美少女。尻の間の肉襞に触れると、床にこぼれ落ちそうなほどの愛液でヌルヌルに濡れている。
感極まったタナベは、思わず少女の頭を押さえつけ腰を上下に揺さぶった。
「ううっ……出るぞ!」
ドクドクッ。急に生温かい精子の味が口の中に広がり、まゆりは陶酔から返った。ヘンな味……。だらりとなった肉棒から唇を離し顔を上げると、男は目を閉じハァハァと息を荒くしていた。
――気持ちよかったんだわ。
まゆりは口中に溜まったザーメンを、不思議な満足感とともにコクンと飲み下した。嫌だとは思わなかった。
タナベも射精して我に返ったのだろう。小犬のような目で見上げるまゆりと目が合うと、慌てたように「な、なかなかよかったぞ。男に媚びるテクニックが身についてきたみたいじゃないか」と言った。
「明日の夕食は好きなものを買ってきてやるからな。また頼むよ。……あれ、そういえばさっき出したザーメンはどうした……まさか、飲んだのか?」
まゆりはコクリとうなずいた。性処理道具だとわかってはいたけれど、あまりの心ない言葉に思わず涙が溢れそうになってしまう。
「電車の子に比べればダメで価値のない人間かもしれないけど、でも、でも私だって女の子です――」
うつむいてそうつぶやくと、セーラー服のまま背を向けて丸くなってしまった。
――はぁ。
タナベは自己嫌悪にさいなまれていた。
暗い部屋の中、パソコンの明かりでウイスキーを飲みながら、何度もため息をつく。
ウイスキーはついつい飲み過ぎてしまうので晩酌向きではないのだが、コンビニに寄れなかったせいでビールがないのだからしょうがない。つまみは冷蔵庫の隅にあったチーズと魚肉ソーセージ。リビングで丸くなっているまゆりのところにも夕食がわりに同じものを置いてきたが、たぶん口はつけてくれないだろう。幼く可愛らしい見た目とは裏腹に、こうと決めたら動かない強情なところがあるのは、これまでの監禁生活で嫌というほど思い知らされた。
少しやりすぎただろうか。いや、冷静になればどう考えたってやりすぎだ。あんなふうに何度も売女と罵られ道具のように扱われたら、どんな素直な女だって腹を立てるに決まっている。ああ、どうして俺は、そのへんの微妙な空気というのがわからないんだろう――。後悔するごとに、ついつい酒量が増えていく。
実は、さっきまゆりにした話は嘘だった。
いや、正確に言えば途中までは事実だが、あとの半分は作り話である。
確かに彼は今日、会社帰りの電車で清純な美少女と乗り合わせ、その可愛らしさに思わず目を奪われた。ほどよく混んだ車両の中でもみくちゃになったその子の体は運よくタナベの右隣のスペースに収まり、肌が触れ合わんばかりの状態になった。女子高生特有の甘い体臭がふわりと鼻先をくすぐる。
それは最寄り駅に着くまでの数分間の密やかな心の潤いになるはずだった。しかし実際には、降ってわいたような幸運に感謝しているだけでは済まなかった。
「やめてください!」
美少女が、いきなりそう叫んだのである。
タナベは何事かと思って思わず当たりを見回した。すると周りの視線は自分に集まっているではないか。
痴漢扱いされたのだ。
もちろん体に触れるなんてことは一切していないし、疑われるようなそぶりも見せてはいない。体臭を嗅いだのが痴漢行為になるというのなら仕方がないが、そうでなければまったくの言いがかりである。
「おじさーん、次の駅で降りてくださいね。駅員のところに行ってしっかり話を聞いてもらいますから」
間にサラリーマンを2、3人挟んだ向こうで、いかにも品のない間延びした声があがる。よく見ると、一応星涼学園の制服を着てはいるもののとても優等生とは言いがたいタイプの女子高生が数人、半笑いでこちらを見ていた。
――やられた……。
してもいない痴漢の罪を着せて、男から金銭を奪おうとする女子高生がいると聞いたことがある。痴漢というのは無実を証明するのがやたら難しく、たとえやっていなくても冤罪を勝ちとるまでには莫大な時間と費用がかかってしまうため、男達はヘビに睨まれた蛙のようにしぶしぶ小娘たちが要求する示談金を払ってしまうのだそうだ。
美少女は小さくなってうつむいている。きっとタチの悪いクラスメイトにそそのかされて、仕方なくスケープゴート役を買って出たのだろう。
ああ、思い出すだけでもムカムカしてくる――。タナベはグラスに残ったストレートのウイスキーを一息に飲み干した。こりゃ悪酔い確定だなと思ったけれど、止めることができなかった。
(続く)
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