短期集中連載・毎週金曜日更新! 11月21日(金)発売「置き屋に落ちた恩師の妻」 完全ノベライゼーション! 〜堕落妻・律子〜【1】 「置き屋に落ちた恩師の妻(大洋図書)」より 脚本=竹中ハモニ
無残に続く陵辱地獄! 地獄から逃げ延びた先は見ず知らずの男に弄ばれる温泉宿だった……。花嫁シリーズに続く陵辱小説。新連載開始!
著者=芽撫純一郎 |
【1】
料亭風の古い和室である。膳が三つ。お銚子と、二、三種類の小鉢がのっている。
浴衣姿でくつろいだ男たちは、すでに相当飲んでいる様子で、猪口を置くこともなく品のよくない冗談を言い合っている。声が大きい。しかし店主から文句を言われるような気配もない。それもそのはず、ここは表向き高級料亭を装いながら、実際には置き屋の女を客に抱かせる、昔ながらの遊ばせ茶屋なのである。
シロアリでも棲んでいそうな飴色の柱も、煤けた襖も、これまでいくつもの痴態を眺めてきた年代物で、鼻を近づければ臭いすら卑猥に酸っぱい。この場にいるだけで劣情が煽り立てられるような、安い岡場所の見本みたいな風情である。
三人の男は、そのうち二人が威勢のいいあんちゃん風。いつでも性欲を持て余していそうな脂っこい肉体派で、色事においては恥も外聞もなく下劣になれるというふてぶてしさが滲み出ている。そしてもう一人は、勢いのある二人とはまったく対照的に、線が細くて気の弱そうな事務員風。実際、年齢も先の二人より五つは若く、酔ってはいるが飲みつけない様子で終始うつむき加減でいる。
三人がどういう取り合わせなのかは分からないが、ガン首揃えて不埒な店に来ている以上、いずれ気の置けない遊び仲間ではあるのだろう。
「よお、よお、姉ちゃん。なんか表情暗くねぇか? 固くなんないでさ、あんたも一杯やんなよ」
中央に座ったリーダー格の男・花岡が言い、紅一点、自分の横に座らせた店の女を抱き寄せた。その手付きには遠慮のない粘着性がある。抱き寄せながら、襦袢一枚でいる女の肩から上腕をゆっくりと揉むように撫で、伸ばした指先では乳房の膨らみも存分に堪能している。
「はい……」
大人しく身を任せながら猪口を持ち上げた女は、ありがとうございますと小声で言って口を湿らせ、美味しゅうございますと首を傾けてしなを作った。襦袢の合わせ目にはすでに花岡の手が侵入しているが、大して気にした様子もなく自由に遊ばせている。
歳は四十代半ばといったところ。憂いを湛えた大きな瞳は熱があるように潤んでいる。どこか茫洋とした陰気さはあるが、正座をしたことで柔らかく張った腰回り、太腿回りには、女盛りの濃厚な色香がぷぅんと匂いたっていた。乳白色の肌はきめ細かく、しかもぬめったような透明感がある。
「姉ちゃん、あんた、ほんっとにイヤラしい体してんなぁ……」
襦袢の中で乳房をこねくり回していた花岡が、しみじみと言って酒臭い息を吐いた。
「名前は、なんて言ったっけ?」
「律子……と申します」
そこへ「なあおい」と堪えきれなくなった様子で割りこんできたのは、花岡と同様、全身に好色な気配を漲らせた男・一条だ。
「あんたさ、何でこんなとこにいんの?」
優しさのかけらもない質問をいきなりぶつける。
「はい……それは……いろいろと事情がございまして」
「えっ何、旦那は、旦那はいるの? これ知ってるの?」
事情、と聞いて野卑な好奇心を剥き出しにした一条が、ややピント外れな質問で食い下がる。
「今は、おりません」
「今は? じゃあ、前はいたんだ」
「はい、……私立高校の、教師をしている方でした。立派な方です」
「ふぅん、で、なんで偉い先生の奥様だった人が、今は娼婦になってんの?」
ようやく質問の流れを戻した。
「それは……申し上げました通り、いろいろな事情で……」
「だからさ、その事情を聞かせろって言ってんだよ」
少し気が短いのか、だみ声を大きくして太い首を伸ばし、律子の顔を覗き込む。花岡がそれを煽るように、
「いいねぇ、不幸な身の上話ってやつ? チンチン勃ってきちゃった」
と言って空気をますます下世話なものに落とした。
事実、花岡のヘチマのような男根は、浴衣を割って膳を倒さんばかりにそそり立ち、先端をぬらぬらと光らせて天井を睨みつけている。
律子がそれにチラリと目を落とした。
そして、分かりました、お恥ずかしい話ですがと言って軽く居ずまいを正した。
「ショーが始まるまでの余興に、お話いたします」
猪口に残っていた酒を一気に煽る。もともと潤んでいた瞳がますます妖しく濡れ、光っていた。
「いよっ、待ってました!」
一条が膝を叩いてガバと立ち上がった。そして身振り手振りを交えつつ節をつけるように、
「それでは只今より、元金持ち教師の奥様で、今は本番でもSMでも何でもヤラせる最下級娼婦に転落した、美人マゾ熟女律子の、不幸な不幸な身の上話を始めまぁす! はい拍手、拍手ぅっ」
そう言って自ら手を叩いて場末の司会者を気取った。
乗っかった花岡が小鉢を叩いて鳴らし、
「いやぁ、ソソるねぇ。堕落した美人妻!」
と調子を上げる。さらに学生風の男にも、「ほら、お前だって聞きてぇだろうが。初めてだからって緊張してねぇで、手ぇ叩くなりなんなりしろよ」と肩に拳骨を当てて無理やり拍手を促した。
学生風の男は気押されたように二、三度手を叩いてみせると、胡坐を組み直して背筋を伸ばし、締まらないなりに一応は聞く姿勢のようなものをとった。
律子が、小さく先払いをする。
そして訥々と語られたのは、こんな話であった。
【2】
それでは、お耳汚しをいたします。私、今はこんな仕事をしておりますけれど、こう見えましても一時は教師をしてたんです。大学を出ましてから北陸の高校に赴任いたしまして、一年生の、保健体育を担当しておりました。主人と知り合いになりましたのはその折です。主人は三年生の担任で、私からすると大変頼りになる、それは立派な先生でした。
恋に落ちましたのは私のほうです。当時の私はまだおぼこ娘でしたから、アタックも何もできませんでしたけれど、二十七歳の時にようやくお声をかけてもらえまして、三十歳の誕生日に、プロポーズをしていただけました。それからの数年間は本当に幸せでした。今思い出しましても夢のようです。けれどある日、思いもかけない訪問者が……。
夕方の、五時くらいだったと思います。チャイムが鳴りましたので出てみますと、戸口に、主人の学校の制服をきた男の子が一人で立っておりました。気の弱そうな、優しい顔をした子で、思い悩んだ様子で「あの、僕……庄田先生の生徒なんですが……」と。
庄田というのは、主人の苗字です。つまりその子は主人が担任するクラスの子で、折り入って相談があるとおっしゃるものですから、とりあえずリビングまでお通ししました。主人が帰宅するのは夜八時くらいなんですけれど、私も以前は同じ学校の教師だったものですから、親ごころのような気持ちで。
ところが、ソファで向かい合ったその子が言いだしたことが、とんでもないことでした。「すみません……突然来ちゃって」と態度は殊勝なんですけれど――。
「あの……実は僕、僕……庄田先生にレイプされているんです」
「え?」
「聞いて下さい! 最初は、サッカー部の部室でした。庄田先生に呼び出されて、自分は男の体にしか興味がないって……お前もそうだろって……。そりゃ抵抗したけど、お前の成績全部、赤点にするぞって。僕、女性との経験だってまだないのに、無理やり裸にされて、お尻の穴を……。もう痛くて……気持ち悪くて!」
私には、その生徒さんの言っていることが何が何やら。
主人がゲイ? 教え子と関係している? しかも無理やり? 女とのまぐわいに興味がない? 嘘よ……信じられない!
頭がくらくらしてしまって、あいづちどころではありませんでした。
「おばさん、聞いてくれてます?」
「ええ、もちろん。でもそんな馬鹿な話……何か証拠でもあるの?」
私が聞くと、その生徒さんはふいに立ちあがってこんなことを言うのです。
「庄田先生に犯されて脱肛してる僕の肛門、見ますか?」
そしておもむろにズボンのベルトを外し始めたのです。もちろん慌てて止めました。家の中でパンツを下ろされたりしては、もうどうしていいか分かりません。
「ちょっと待って! お願い……気分が悪いの」
嘘ではありません。私は本当に吐きそうな気分になってしまっていたのです。
「少し……少し失礼させて……ごめんなさい!」
私は口に手を当て、ふらつく足取りで洗面所に行くと、げえげえと実際にもどしてしまいました。鏡を見ると顔が真っ青。それはもちろん、主人のことは信じておりましたけれど、生徒さんの顔も真剣そのもので、とても嘘をついているようには見えなかったのです。
その時、
「おばさん……」
いつの間にリビングからそこまで来たのか洗面所に生徒さんが入ってきて、
「まだ話は終わってないんです。さっき、相談があるって言ったじゃないですか。それを聞いてくれないと帰れません。……僕、最近、庄田先生とのセックスが気持よくなってきちゃって……怖いんです。このままだと、僕までゲイにされちゃいそうで。だから……その前に、どうしても女の人の体を知りたいんです」
固い表情でそう言って、後ろから私に抱きつくなり、息を荒くしながら胸を揉みしだいてきたのです。
「おいおいおい、来たねぇ、来たねぇ」
一条が生唾を飲み込んで身を乗り出す。
花岡も立て続けに杯を煽って興奮を露にし、真っ赤な顔で「続きを頼むぜ、姉さん」と先を促す。
律子は「はい、本当にお恥ずかしい話ですけれど」と言った後、少し間をおき、話の続きを淡々と語り始めた。
(続く)
『置き屋に落ちた恩師の妻』
発売:11月21日
出演:翔田千里
収録時間:100分
品番:KNSD-07
メーカー:大洋図書
ジャンル:SM・緊縛・和服
レーベル:キネマ浪漫
定価:5,040円
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芽撫純一郎 1960年和歌山県生まれ。プロポーラーとして活躍後、セミリタイアして現在は飲食店経営。趣味として、凌辱系エンターテインメントAVの鑑賞と批評、文章作品の創作を行なう。尊敬する人は一休宗純。 |
08.11.14更新 |
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